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ど田舎エクスプレス
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こうしてパン屋さんで夜食を買うことに。
ミッションコンプリート。
おっと違った…… ここに出没するお婆さんに会いに来たんだった。
だからまだ何一つ解決してない。
そう言えば俺たちそのお婆さんの顔を知らないんだよな。
ただこの時間帯にはきっといると言う希望的観測から。
いない恐れも充分にある。
「あんたも男だね爺さん! 」
隣の隣の席から声が飛ぶ。
これはまさか……
一人寂しくでコッペパンを頬張るお婆さんの姿。
間違いない。目当ての人物だ。
「お婆さん! あなたが伝説の詐欺師? 」
「はああ? ゆっくり食事もとれないよ。まあいいや。そこにお座り! 」
自分で話し掛けたくせに文句を言うんだもんな。
説教されるような失礼なこと言ったけ?
逆らわずに大人しく従うことに。
「あなたが伝説の…… 」
「うるさい! そんなことより爺さん。あんた凄いよ。
あのスターフィッシュパンをお替りするなんてさ。出来ることじゃないよ。
彼女はいい人だけどおかしなのを作っちまう。料理は美味いのに不思議だろ? 」
「うむ! 儂はそんな細かいことは気にせん。
それより婆さん。あんた流浪の民に詳しいと聞いたが」
どうでもいい話を続けるお婆さんに対しきちんと目的を伝える爺さん。
意外にも真面目。見直したな。ただせっかちなだけの気もするが。
このまま二人のやり取りを見守ってもいいがもう遅いからな。
「うーん。このコッペパンもさすがに食べ飽きたね。味を変えてみたい…… 」
爺さんを無視して好き勝手に行動。不満を述べる。
「ふん。これでもかけてみよ」
そう言って取り出したのはレストランでくすねた魔法の粉。
一振りかければいいところをサービスで三回。
食えた代物ではないがお婆さんは美味い美味いと大喜び。
ははは…… どう言うこと?
爺さんが爺さんならお婆さんもお婆さんだな。
「それで何だったけかな? 」
食事を終えようやく協力してくれる気になった。
ではさっそく伺うとしますか。
「流浪の民について何か知りませんか? 」
アトリが丁寧に失礼のないように。
いつまでも爺さんだときっとトラブルを起こすだろうから。
「はいはい。知ってますよ。彼らは三日前にハイマウンテンに向かったよ」
ついに居所が判明。もう出発してしまったらしい。
「ハイマウンテン? 」
「そうだよ。ニューキャピタル駅から出てるど田舎エクスプレス。
その終点が例のハイマウンテン駅さ。そこからハイマウンテンまではすぐ。
そうそう。その山を登って下山すると第五世界の入り口になってるって話よ。
彼らは結局都会に慣れずにハイマウンテン近くで落ち着くこともなく。
第五世界に向かうと言ってた」
「それは本当か婆さん? 」
「ああ嘘言ってどうするの? でも三日前の話だからな。もしかしたら…… 」
どうやらもうすでに第五世界へ入ったのではないかと考えてるらしい。
「もう遅い? 」
「ああ何て言ってもそんな難しい山ではないからね。迷いもしないでしょう」
クソ! ダメか。またしても遅れを取ったか。
どうしていつもあと一歩のところで逃してしまうんだ。
まあ後悔しても遅いけどね。さあ切り替えよう。
「それでど田舎エクスプレスは? 」
「ああ毎日一日一本出てる。確か朝七時出発のはずさ。
エクスプレスなんて言ってるけどただの各駅列車だからね。
ゴールドエクスプレスみたいに混んではいないから安心しな」
どうやら今度は危険はないらしい。命がけの列車旅にならずに済みそうだ。
「ありがとうございます」
アンたちはハイマウンテンに向かった。
もう遅いがどの道急いで追いかけるしかない。
「ああもしかしたら追いつけるかもね。彼らの中にけが人が何人かいるんだよ。
さすがに背負って山は登れない。完治しないまでもゆっくり登るはずだから」
お婆さんによる希望的観測でしかないがそれでも元気が湧いてくると言うもの。
「それは女の子? 」
「いや男のはずだが。だからこそ強行しかねないがね。
仲間を置いて行かないのが流浪の民さ。急ぐ理由もないしね」
安住の地を求めてついに第五世界へ向かう流浪の民。
その中にアンがいるはず。
「アン! アン! アン! 」
我慢出来ずに何度も何度もアンと叫んでしまう。
こうしてお婆さんと別れることに。
「ちょっとお待ち! 」
おおこの展開はレアアイテムゲットか? それとも逆に何か要求する気か?
「どうしましたお婆さん? 」
期待と不安が入り混じる。
「そのスターフィッシュパンを置いて行くんじゃないよ! 」
どうやら忘れ物(わざと)を指摘しただけらしい。
何だこれか……
お婆さんと別れ宿へ。
続く
ミッションコンプリート。
おっと違った…… ここに出没するお婆さんに会いに来たんだった。
だからまだ何一つ解決してない。
そう言えば俺たちそのお婆さんの顔を知らないんだよな。
ただこの時間帯にはきっといると言う希望的観測から。
いない恐れも充分にある。
「あんたも男だね爺さん! 」
隣の隣の席から声が飛ぶ。
これはまさか……
一人寂しくでコッペパンを頬張るお婆さんの姿。
間違いない。目当ての人物だ。
「お婆さん! あなたが伝説の詐欺師? 」
「はああ? ゆっくり食事もとれないよ。まあいいや。そこにお座り! 」
自分で話し掛けたくせに文句を言うんだもんな。
説教されるような失礼なこと言ったけ?
逆らわずに大人しく従うことに。
「あなたが伝説の…… 」
「うるさい! そんなことより爺さん。あんた凄いよ。
あのスターフィッシュパンをお替りするなんてさ。出来ることじゃないよ。
彼女はいい人だけどおかしなのを作っちまう。料理は美味いのに不思議だろ? 」
「うむ! 儂はそんな細かいことは気にせん。
それより婆さん。あんた流浪の民に詳しいと聞いたが」
どうでもいい話を続けるお婆さんに対しきちんと目的を伝える爺さん。
意外にも真面目。見直したな。ただせっかちなだけの気もするが。
このまま二人のやり取りを見守ってもいいがもう遅いからな。
「うーん。このコッペパンもさすがに食べ飽きたね。味を変えてみたい…… 」
爺さんを無視して好き勝手に行動。不満を述べる。
「ふん。これでもかけてみよ」
そう言って取り出したのはレストランでくすねた魔法の粉。
一振りかければいいところをサービスで三回。
食えた代物ではないがお婆さんは美味い美味いと大喜び。
ははは…… どう言うこと?
爺さんが爺さんならお婆さんもお婆さんだな。
「それで何だったけかな? 」
食事を終えようやく協力してくれる気になった。
ではさっそく伺うとしますか。
「流浪の民について何か知りませんか? 」
アトリが丁寧に失礼のないように。
いつまでも爺さんだときっとトラブルを起こすだろうから。
「はいはい。知ってますよ。彼らは三日前にハイマウンテンに向かったよ」
ついに居所が判明。もう出発してしまったらしい。
「ハイマウンテン? 」
「そうだよ。ニューキャピタル駅から出てるど田舎エクスプレス。
その終点が例のハイマウンテン駅さ。そこからハイマウンテンまではすぐ。
そうそう。その山を登って下山すると第五世界の入り口になってるって話よ。
彼らは結局都会に慣れずにハイマウンテン近くで落ち着くこともなく。
第五世界に向かうと言ってた」
「それは本当か婆さん? 」
「ああ嘘言ってどうするの? でも三日前の話だからな。もしかしたら…… 」
どうやらもうすでに第五世界へ入ったのではないかと考えてるらしい。
「もう遅い? 」
「ああ何て言ってもそんな難しい山ではないからね。迷いもしないでしょう」
クソ! ダメか。またしても遅れを取ったか。
どうしていつもあと一歩のところで逃してしまうんだ。
まあ後悔しても遅いけどね。さあ切り替えよう。
「それでど田舎エクスプレスは? 」
「ああ毎日一日一本出てる。確か朝七時出発のはずさ。
エクスプレスなんて言ってるけどただの各駅列車だからね。
ゴールドエクスプレスみたいに混んではいないから安心しな」
どうやら今度は危険はないらしい。命がけの列車旅にならずに済みそうだ。
「ありがとうございます」
アンたちはハイマウンテンに向かった。
もう遅いがどの道急いで追いかけるしかない。
「ああもしかしたら追いつけるかもね。彼らの中にけが人が何人かいるんだよ。
さすがに背負って山は登れない。完治しないまでもゆっくり登るはずだから」
お婆さんによる希望的観測でしかないがそれでも元気が湧いてくると言うもの。
「それは女の子? 」
「いや男のはずだが。だからこそ強行しかねないがね。
仲間を置いて行かないのが流浪の民さ。急ぐ理由もないしね」
安住の地を求めてついに第五世界へ向かう流浪の民。
その中にアンがいるはず。
「アン! アン! アン! 」
我慢出来ずに何度も何度もアンと叫んでしまう。
こうしてお婆さんと別れることに。
「ちょっとお待ち! 」
おおこの展開はレアアイテムゲットか? それとも逆に何か要求する気か?
「どうしましたお婆さん? 」
期待と不安が入り混じる。
「そのスターフィッシュパンを置いて行くんじゃないよ! 」
どうやら忘れ物(わざと)を指摘しただけらしい。
何だこれか……
お婆さんと別れ宿へ。
続く
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