言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

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暴走爺さん

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ゴールドエクスプレスが到着したのは七時過ぎ。
今夜はこの辺りで泊まるかな。
本格的にアンを探すのは明日からにしてまずは夕食にしよう。
ゴールドエクスプレスでは食事どころかトイレにさえ行けなかったからな。
だからもうお腹がペコペコ。
さあ思いっきり食うぞ!

匂いに誘われてステーキハウスへ。
「いらっしゃいませ! 何をご注文でしょうか? 」
「ヘイお嬢さん。俺たちみたいな旅人を見なかったかい? 」
ちょっと格好をつけてみる。
「ご主人様! 」
すぐにアトリにたしなめられる。
立ち寄ってすぐに分かるほど甘くないだろうが一応念のためだ。

「あの…… 注文していただかないと困ります」
駅前は首都だけあってもう遅いと言うのに人で溢れかえっている。
こんなところで一人の少女を見つけるなど到底無理がある。
それでも諦める訳にはいかない。
「ステーキを四人前」
「かしこまりました。はいどうぞ」
「おお、いきなり来よった! 」
爺さんの驚きようったらない。
「ではごゆっくり」
モクモクした店内で黙々とステーキを食す。

「ふう食ったわ」
「爺さん喰い過ぎだって! 」
ノコタンの倍は食っただろうか? 爺さんなんだからもう少し抑えて欲しいな。 

飯を食い話を聞くことに。
「そうですね。パン屋さんを覗いてみてください。
いつもそこで買い物するお婆ちゃんが詳しいんです」
うんこれは幸先がいいぞ。貴重な情報を得る。

地図を頼りに一キロほど進む。
この付近にお婆さんは住んでるらしい。
首都・キャピタルでは多くの若者が夜遅くまで屯している。
昔よりも治安が悪化してるんだとか。その多くが俺たちみたいな田舎から来た者。
第四世界までやって来たがここほどごみごみざわざわしたところはない。

「おい何を見てるんだよ? 」
目つきの悪い輩に絡まれたりと洗礼を受ける。
ただ絡みたいだけなのかその後は大人しくなる。
「おいそこの姉ちゃん。良いところあるよ」
そうやっておかしな奴がしつこくついて来る。
「何だよ。家族連れかよ。まったくしらけるぜ! 」
悪態を吐くおかしな輩。
もし着いて行ったどうなることか。
この世界も一応モンスターの支配下のはずだがどうやら監視が甘くなってるよう。
これではオチオチ観光も出来やしない。

「ああん何を見てるんだ爺さん? 」
おっと爺さんは本当にトラブルメイカーだからな。
「おいお主ら! 流浪の民を見んかったか? 」
「はあ? 何を言ってるのこの爺さん? 」
相手にされずに笑われるばかり。
これはまずいな。爺さんが切れるか?
「うむ。礼儀正しい若者じゃ! 」
どこをどう勘違いしたらそう見えるのか?
ただ馬鹿にされてるだけなんだけどな。

「あの…… 」
またアトリ目当てに話し掛けて来る。
ものすごく迷惑なんだよな実際。
「ああこれは精巧に出来てるけど実はロボットなんだ。残念だね。
お話がしたかったら俺が相手してやるよ」
「失礼しました! 」
「ご主人様! 」
「そう言うなよ。これも面倒に巻き込まれない為さ」

目当てのパン屋が見えてきた。
だがその前に爺さんが盛り場をうろつく二人組に声を掛ける。
「パン屋を知らんか。最近物忘れがひどくてのう」
爺さんは積極的だ。でも目の前にあるんだけどな。
「もうお爺ちゃん。見えるでしょう。そこ触らないで! 」
もう爺さんは夜の町で浮かれ気味。これは暴走の予感。
トラブルにならなければいいんだけどな。

「いや…… 連れて行ってもらわんと。頼むわ」
そう言って両手に花を演出する。
「だからそれ以上触らないで! 」
もうただのエロ爺になっている。
この爺さん意外にも頑固ではなく何にでも染まりやすいタイプらしい。
アトリに手を出したのも頷けるな。

さあ一緒にパン屋さんへと。
パン屋は夕方から営業してるらしくほとんど閉まってる店の中で唯一の店。
珍しいが人気はあるのか盛況だ。
では食後にパンでも買うかな。

「おい爺さん! ちょっといいか? 」
気分よくしてるところに邪魔が入る。
「待ってくれ! 見捨んでくれゲン! 」
俺たち三人は無視して中へ入ろうとするが情けない声で呼び止められる。
自業自得なので自分で解決して欲しいな。
実際俺たち関係ないじゃないか。
他人のフリするつもりだったがアトリが我慢できずに反応してしまう。
仕方ない。助けるか。

爺さんは武器を持ってない。
だからただの田舎から来た爺さんでしかない。

              続く
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