155 / 200
怪鳥の言い分
しおりを挟む
クエスト発生!
ローム氏が負傷した通称フォレストバレー事件。
被害者本人から直接依頼があった。
ローム氏から充分話を聞いたところで捜査を始める。
さっそく現場へ。
現場は徒歩で一時間のところにある。
ハアハア
ハアハア
さすがに疲れた。皆大丈夫かな? 特に爺さんが心配になる。
「おい爺さん大丈夫かよ? 顔が真っ青だぜ」
ノコタンが指摘する。
確かによく見ると顔色が悪い。これではいつぶっ倒れてもおかしくない。
「何…… これくらいどってことないわ! 」
強がりを言って誤魔化するがもう限界だろう。年なんだから無理しなくていいのに。
「ご主人様! 危ない! 」
アトリが大声で危険を知らせる。
ギャア!
ギャア!
奇声を上げ怪鳥が襲って来た。
再びフォレストバレーの怪物が姿を見せる。
「どうしようゲン? 」
焦って混乱気味のノコタンを落ち着かせる。
「戦うしかないだろう」
そうは言ったものの保護動物だからな。
攻撃でもしようものなら警告を喰らうことになる。
あと二つでお近くの刑務所に直行。
動くに動けない状態。
だからここは爺さんに犠牲になってもらう。
「済まない爺さん。丸腰で戦ってくれ! 」
武器さえ使わなければ問題ないはず。
武器もダメなら言葉の暴力も使えない。
しかも一度注意を受けた以上三つ警告が来てもおかしくない。
ここは心を鬼にして爺さんを捨て駒にするしかない。
「ご主人様…… 」
「済まないアトリ。堪えてくれ! 」
「おいおい何をふざけたことを? 儂の意志を無視するでない! 」
爺さんは頑なだがこれもすべて全滅阻止の為。
フォレストバレーの怪物対マタギの爺さん。
運命の一戦が幕を開ける。
だが爺さんは始まってすぐに降参してしまう。
戦意を喪失した者が生き残れるほどフィールドは甘くない。
怪鳥は大人しくなった爺さんとの距離を詰めて行く
どうする? どうしたらいい? 懸命に策を講じる。
逃げるを選択しても全員で逃げるのは不可能。爺さんはもう走れないし。
ロックオンされてしまっている。
この状況では誰かが再び囮になるしかない。
「そうだノコタン! 通訳を頼む! 」
「ああその手があったか。だったらほらゲンも協力しろ! 」
なぜかノコタンの胸を触る羽目に。
「これまだやるの? 」
「ほら恥ずかしがるな! 喰われるぞ! 」
ノコタンに脅される。
「でも…… もう少し下でも良くないか? 」
「いいんだよ! ほら早く通訳しろよ! 」
ノコタンの特殊能力。シカなどの野生動物とコミュニケーションが取れる。
何故ならノコタンはシカと人間のハーフだから。
だからノコタンに任せておけばいい。
ただ人間生活が長かったからサポートなしでその能力が発揮できない。
だから俺が手助けしている。とは言え胸を触るのはさすがに抵抗がある。
実際はそこまでだけど…… アトリがいるしな。
「ほら早くしろ! 恥ずかしがるなバカ! 」
「儂が代わってやろうか? 」
もはや限界の爺さんのはずが立ち上がる。
「爺さんは黙ってろって! ほらゲン早くしろ! 」
「ご主人様…… アトリは信じております」
アトリを悲しませたくない。だがこれも仕方ないこと。
ノコタンを使って怪鳥と話をしてみる。
ギャアギャア!
ガアガア!
「早く立ち去れ! ここは俺の縄張りだ! 」
怪鳥は縄張りを主張する。
「分かったよ。でもその前に今朝誰か来なかったか教えてくれ? 」
「ああん? あの偉そうな男か? 」
どうやらロームのことを言ってるらしい。
「それ以外には? 」
「ああノーノー言ってたのがいたな。
グッドバッド博士も来てたらしい。
「もういいだろ? 早くここから立ち去れ! 喰っちまうぞ! 」
もう我慢の限界で翼を広げる。
まずい。これ以上ここにいれば俺たちは全滅だ。
「いい加減にしろ! 俺にはこの暴言カードもあるし名刀・辛水だってある。
だから言うことを聞け! 」
まさか怪鳥相手に脅しをかけることになるとはね。
でも俺はやられはしない。
「ははは! 一撃で仕留められるのか? こっちは保護対象なんだぞ」
どうやら人間よりバカじゃないらしい。
「俺は知らない。だから関係ないね」
「ふざけるな! 」
「ふざけてるのはお前だろ? 」
つい相手に合わせて言い争いになってしまう。
だが一歩も引けない。引いたら負け。負けたら食われてしまう。
「ご主人様…… 」
アトリが心配そうにこちらを見る。
大丈夫問題ない。説得して見せるさ。
駆け引きを繰り返し今はこう着状態。
「分かったよ。俺が悪かった」
ついに怪鳥の方が折れた。
話し合いになればこちらが有利。
それが分かったのだろう。やはり知能は高い。
奴はここからすぐに立ち去ってもらいたがっている。
俺たちは事件の捜査に来ている。
続く
ローム氏が負傷した通称フォレストバレー事件。
被害者本人から直接依頼があった。
ローム氏から充分話を聞いたところで捜査を始める。
さっそく現場へ。
現場は徒歩で一時間のところにある。
ハアハア
ハアハア
さすがに疲れた。皆大丈夫かな? 特に爺さんが心配になる。
「おい爺さん大丈夫かよ? 顔が真っ青だぜ」
ノコタンが指摘する。
確かによく見ると顔色が悪い。これではいつぶっ倒れてもおかしくない。
「何…… これくらいどってことないわ! 」
強がりを言って誤魔化するがもう限界だろう。年なんだから無理しなくていいのに。
「ご主人様! 危ない! 」
アトリが大声で危険を知らせる。
ギャア!
ギャア!
奇声を上げ怪鳥が襲って来た。
再びフォレストバレーの怪物が姿を見せる。
「どうしようゲン? 」
焦って混乱気味のノコタンを落ち着かせる。
「戦うしかないだろう」
そうは言ったものの保護動物だからな。
攻撃でもしようものなら警告を喰らうことになる。
あと二つでお近くの刑務所に直行。
動くに動けない状態。
だからここは爺さんに犠牲になってもらう。
「済まない爺さん。丸腰で戦ってくれ! 」
武器さえ使わなければ問題ないはず。
武器もダメなら言葉の暴力も使えない。
しかも一度注意を受けた以上三つ警告が来てもおかしくない。
ここは心を鬼にして爺さんを捨て駒にするしかない。
「ご主人様…… 」
「済まないアトリ。堪えてくれ! 」
「おいおい何をふざけたことを? 儂の意志を無視するでない! 」
爺さんは頑なだがこれもすべて全滅阻止の為。
フォレストバレーの怪物対マタギの爺さん。
運命の一戦が幕を開ける。
だが爺さんは始まってすぐに降参してしまう。
戦意を喪失した者が生き残れるほどフィールドは甘くない。
怪鳥は大人しくなった爺さんとの距離を詰めて行く
どうする? どうしたらいい? 懸命に策を講じる。
逃げるを選択しても全員で逃げるのは不可能。爺さんはもう走れないし。
ロックオンされてしまっている。
この状況では誰かが再び囮になるしかない。
「そうだノコタン! 通訳を頼む! 」
「ああその手があったか。だったらほらゲンも協力しろ! 」
なぜかノコタンの胸を触る羽目に。
「これまだやるの? 」
「ほら恥ずかしがるな! 喰われるぞ! 」
ノコタンに脅される。
「でも…… もう少し下でも良くないか? 」
「いいんだよ! ほら早く通訳しろよ! 」
ノコタンの特殊能力。シカなどの野生動物とコミュニケーションが取れる。
何故ならノコタンはシカと人間のハーフだから。
だからノコタンに任せておけばいい。
ただ人間生活が長かったからサポートなしでその能力が発揮できない。
だから俺が手助けしている。とは言え胸を触るのはさすがに抵抗がある。
実際はそこまでだけど…… アトリがいるしな。
「ほら早くしろ! 恥ずかしがるなバカ! 」
「儂が代わってやろうか? 」
もはや限界の爺さんのはずが立ち上がる。
「爺さんは黙ってろって! ほらゲン早くしろ! 」
「ご主人様…… アトリは信じております」
アトリを悲しませたくない。だがこれも仕方ないこと。
ノコタンを使って怪鳥と話をしてみる。
ギャアギャア!
ガアガア!
「早く立ち去れ! ここは俺の縄張りだ! 」
怪鳥は縄張りを主張する。
「分かったよ。でもその前に今朝誰か来なかったか教えてくれ? 」
「ああん? あの偉そうな男か? 」
どうやらロームのことを言ってるらしい。
「それ以外には? 」
「ああノーノー言ってたのがいたな。
グッドバッド博士も来てたらしい。
「もういいだろ? 早くここから立ち去れ! 喰っちまうぞ! 」
もう我慢の限界で翼を広げる。
まずい。これ以上ここにいれば俺たちは全滅だ。
「いい加減にしろ! 俺にはこの暴言カードもあるし名刀・辛水だってある。
だから言うことを聞け! 」
まさか怪鳥相手に脅しをかけることになるとはね。
でも俺はやられはしない。
「ははは! 一撃で仕留められるのか? こっちは保護対象なんだぞ」
どうやら人間よりバカじゃないらしい。
「俺は知らない。だから関係ないね」
「ふざけるな! 」
「ふざけてるのはお前だろ? 」
つい相手に合わせて言い争いになってしまう。
だが一歩も引けない。引いたら負け。負けたら食われてしまう。
「ご主人様…… 」
アトリが心配そうにこちらを見る。
大丈夫問題ない。説得して見せるさ。
駆け引きを繰り返し今はこう着状態。
「分かったよ。俺が悪かった」
ついに怪鳥の方が折れた。
話し合いになればこちらが有利。
それが分かったのだろう。やはり知能は高い。
奴はここからすぐに立ち去ってもらいたがっている。
俺たちは事件の捜査に来ている。
続く
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる