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リーダーの責任

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アギョウはモンスターソードを落としていった。
さっそくたっぷり辛水を塗りつけたモンスターソードを装備。
これで多少の格好がつく。勇者に相応しい姿。
このモンスターソードで半モンスターの息の根を止めてやる。

アトリがレベルアップ。
地図が読めるようになった。

「ご主人様こちらです」
疲れ果てた爺さんを置いて一人先に進む張り切り過ぎのアトリ。
いくらなんでも爺さんが可哀想じゃないか。やはり感情のないロボットなのか?
「もうご主人様! また悪口を! 」
可愛らしく怒って見せるアトリ。そうだ。その怒りこそが大事。

「ノコタン運んでやってくれ」
本来なら二人で両肩を持って運びたいがアトリが先に行ってしまうものだから。
こんな初めての場所で迷子になられでもしたら大変だからな。
振り返るとノコタンが辛そうに肩で息をする。
俺がアトリを追い駆けたものだからノコタンは仕方なく爺さんを引きずって行く。
「うおおお! 足を引きずるでない! 頭がくらくらするであろう! 」
相変わらずワガママな爺さんだな。
「悪いな爺さん。雑なんだから仕方ないだろ? 一人ではこれが限界だ」
疲れてそうに見えたがこれだけ元気なら心配いらないかな。
後はノコタンに任せよう。
それよりも今はなぜか狂ったように前を走るアトリを捕まえること。

「アトリ待ってくれよ! 」
「置いて行きますよご主人様! 」
元気過ぎるアトリの後をついて行くも差は開くばかり。

それから一時間。
そろそろ疲れて眠くなったところで再び半モンスターの登場。
彼らの得意な待ち伏せ作戦。ワンパターンだな。
一瞬で周りを囲まれてしまう。

次は当然サギョウかと思われたがタギョウだった。
タギョウは不気味な鳴き声の鳥だった。
大きな翼を広げて威嚇をする。
あれ? 人間の姿がない。これはまたしても大ピンチ。

ぎゃあ
うぎゃあ
耳を貫くような激しい鳴き声が頭に響いて立ってられないほど。
レベルアップして絶好調のアトリに頼るも何のアイディアも出てこない。
そうなると可哀想だが爺さんを囮に使うしかない。
様子を見て相手の弱点を探るしかないな。

「嫌じゃ! 儂はもう協力せん! 」
前回のが効いたのか拒否する。
しかし拒否されたら誰かが代わらなければならない。
「ノコタン頼んだ! 困った時のノコタンで」
「ウソ? 私が囮になったら誰が奴らを倒すんだよ? 」
ノコタンまで首を振るとは思わなかった。
確かに攻撃力のあるノコタンを囮には使えないよな。
だったらどうすればいい? ここは消去法でアトリが良いのかな?
「ご主人様! 」
アトリにはお見通しらしい。いや心が読めるんだったよな。
「アトリ頼むよ。俺の代わりに…… 」
「ご主人様はそんな人ではないと信じてます」
アトリが先回りして頼み辛くする。これでは諦めるしかない。
ご主人様の命令は絶対だったはず。あの海底王国ぐらいからおかしくなった気が。
仕方がない。ここは俺が囮…… ではなく正面から攻撃するとしよう。

まずは念の為に暴言カードを使ってみる。
【蒸し焼きにするぞ! 】
手頃なカードを選んでみた。

ぎゃああ!
ぎゃああ!
だがちっとも効果はなし。逆に威嚇される始末。
さあどうするかな?
うん? アギョウもカギョウも五匹。その内一人は人間だと思われる。
と言うことはタギョウもあの五匹の中に混じってる可能性が高い。
どれだ? どいつが人間で親玉だ?
動きを見るが五匹とも変わらない。
違いは多少あれど誤差の範囲内。

ギャア
ギャア
ダメだ。ここは逃げるしかない。
まず石を投げて怯んだところを一発喰らわしてから逃亡。
少々原始的だがこれも意表を突くには持って来い。
だがもちろんノーダメージで無敵と来てるから下手に捕まったらお終い。

「さあ逃げるぞ! 」
近くに森があるのでそこに隠れればいい。
タギョウは集団で飛びかかって来る。
羽根が生えており森に入る前に再び取り囲まれてしまった。

くそ! 上手く行くと思ったのに読まれていたか。
どうやら逃げ切れそうにない。
ここは戦うとしよう。
ありったけの暴言カードを投げつける。
だがやはりどれも効かないのか戻ってきてしまう。

次だ。次の手を考えなくては。


               
                    続く
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