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ダブルパンチ

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第四世界目前。
天狗のテープは第二世界でお世話になった女性の姉の館に繋がっていた。
姉はこの辺りでは有名な占い師で第四世界までの道のりを示す。

「ちょっと待ちな! 」
館を出るとすぐに占い師が追いかけて来た。
どうやら言い忘れたことがあるらしい。
早くしてよね。こっちは忙しいんだから。
「もっと近道もあるよ。一億払えば最短ルートを教えてやる」
まだやってるよ。交渉上手だが人間性に問題があるから信用できない。
これで本当に町の人の相談に乗ってるのか疑問。
町の皆から愛される信頼のあつい人間と言う評判はどうも嘘らしい。
これだとただのぼったくりで吹っ掛けるのが好きな金に汚い人でしょう?

一億は出せないのでとにかく言われた通りに進む。
リーダーである俺は間違えられない。プレッシャーが掛かる。
左だよな。うん間違いない。アトリはついてきてるしな。
「おい本当にこっちで良いのか? 」
爺さんが後に引っ付いてうっとうしい。
たださえ爺臭く暑苦しいのにこれじゃ余計やり辛い。

まずはこの左右のくねくねした道を進む。
ここまでは覚えてるんだよな。問題はこの後。
曲がり角? どっちだっけ?
アトリを見るが涼しい表情のまま。だったら右に行くかな。
「おい何をしておる? 反対じゃぞ! 」
爺さんが口を挟む。まさかリーダが信じられないのか?
変なアドバイスしないでよね。間違ったらどうするの?
とにかく自分が思う通りに進む。爺さんのため息が届くかのよう。

すぐにゴミが散乱。どうやら行き止まりのようだ。
「へへへ…… ごめんごめん。逆だった」
爺さんに睨まれるが気にしない気にしない。だってこれで選択肢が消えた。
要するに右に後ろ歩きしろってことね。まったくあの占い師紛らわしいんだから。
困るんだよな。間違ったら俺の責任になるんだからさ。
もっと分かりやすくしてくれないと。

取り敢えず曲がり角に戻ってやり直し。
これでいい。下手に進むのではなく変だと思ったら戻る。
そうすればいつかはたどり着く。
よしここを左に行けばいいんだな。
さあ第四世界にレッツゴー!

だが歩けど歩けど第四世界は見えてこない。
仕方なしに地元の者に聞いてみる。
「第四世界にはどう行けば? 」
「はあ? 引き返しな。あんた第四世界から来てるじゃないか」
意味不明な返し。これはもう酔ってるな? 昼間から酒飲んで良い身分だぜ。
この男では話にならない。他を当たろう。

さあまともな人まともな人。優しそうな人。信用できる人。きれいな人もいいな。
きれいなお姉さん二人組が歩いて来る。
へへへ…… 丁度良い。聞いてみますか。
あれ…… アトリが怒ってる? 気のせいだよな。
「あの…… 」
「はい…… きゃああ! 」
「うおおお! 儂と付き合ってくれんか? 」
海底王国の生活から未だに抜け出せない爺さん。
よせばいいのに見境なく暴走するから怯えさせるばかり。
せっかくのチャンスを潰すとは何を考えてるんだろうか?
いやこれは恐らく何も考えてないな。

「ちょっと待ってよきれいなお姉さん。第四世界にはどう…… 」
俺の質問に答えずに一目散に逃げて行った。
仕方ない。ここはノコタンに頼ろう。
どうしようもない時のノコタン。

ノコタンがさっそく猫を発見。
カメに続き猫からも話を聞く。
だがなぜかそれでも爺さんが迫る。
「儂と付き合ってくれ! 頼む! 」
「ニャン…… 」
もう見境がなくなった爺さんが有無を言わせない。
「確かにこの子はメスだけどさ。それはないだろ爺! 」
ノコタンとニャコタンのダブルパンチで爺無残に散る。
果たして立ち直れるのか?

おっとここで警告が爺さんに一気に三枚。
なぜか暴力を振るったノコタンでもニャコタンでもなく爺さんの方に。
理不尽な展開だが暴走する老人が見苦しいとの判断らしい。

こうしてニャコタンから情報を得た俺たちは再び分岐点へ。
「まったくお主のせいで酷い目におったわ。今度はしっかりせい! 」
爺さんは自分のことを棚に上げて人のせいにする。絶対に爺さんのせいなのに。
「ここは海底王国ではない。だから誰も爺さんあなたを歓迎しない。それが現実さ」
リーダーとして注意を与える。本当はこんなこと言いたくないんだけど。
絶対に反省してないからな。これ以上余計なことされたら堪らない。

再び曲がり角から再開。

               続く
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