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海底王国の宝

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海底王国の宝とは?
囚われたノコタン。ついに救出作戦が始まる。

「何? それで儂に頼るとな? ほほほ…… 仕方がないのう」
頼られると嬉しいらしく笑みがこぼれる。
俺もそうだから気持ちはよく分かる。でもニヤケ過ぎじゃないか?
これは調子に乗るな。暴走しないといいけど。
「頼んだよ」
「任せておけリーダー! 」
爺さんを囮にノコタン救出作戦を決行する。

ノコタンの様子を見に牢屋へ。
牢屋の前にはカメのツルさんが張り付いていた。
「どうされました客人? 」
「申し訳ない。仲間が捕まったようで」
誤解だと主張するが決して受け入れてくれない。

「ここはツルさんが担当で? 」
「はい。悪いが乙様から言いつけられた。いくら客人とは言え立ち寄られては困る」
「そんな…… 意地悪言わずにお願いしますよ」
迫るも首を決して縦に振らない。
「済まない。乙様の許しがなければこれ以上は…… 」
頑ななツルさん。
だったら乙様を説得するしかないな。
しかしすぐにアトリに止められる。

「ご主人様。もう時間です」
こそこそ耳打ちをするアトリ。
そうだった。もう爺さんが動き始めていた。のんびりしてられない。
「話をしても? 」
「それは出来ん相談だな。何度も言うが乙様の許可を頂くしかない」
ツルさんは譲らない。

「しかし我々は招待客で…… 」
「いくら招かれたとは言えこの屋敷に害をもたらす者は排除する。
どうか勝手な行動はお控えください」
ツルさんも辛いだろうな。自分が連れて来た者が悪さしたのだから。
立場を危うくしかねない愚行。
ノコタンの奴め。どこまで人だかカメだかツルだかに迷惑を掛けるつもりだ?

「あの…… ここから話しかけても? 」
「それくらいはご自由に」
うーん。これが限界。牢屋まで近づくことさえままならない。
やはり爺さんの揺動作戦に賭けるしかない。本当に大丈夫かな?
「ご主人様。そろそろかと」
アトリが急かす。そんなこと言ってもな……

「おーいノコタン元気か? 」
「そんな訳ないだろゲン! 少しは考えろよな! 」
これなら問題ない。いつものノコタンだ。
今置かれてる状況を説明する。
「聞いてると思うけどノコタンは間もなく処刑される。お元気で」
「おいこら! ちょっと待て! 助けろっての! 」
残念だよノコタン。でもこれが運命なら受け入れるしかない。
「一体何をしたんだよノコタン? 」
「だからちょこっとお宝を見つけたから手に取ったんだ。
そしたら大声を出されて捕まったって訳だ」
どうやら全員監視されてると見て間違いない。

「分かった! そこで反省しててくれ! 」
「馬鹿言うな! 俺を見捨てるんじゃない! リーダーだろ? 」
もうこれ以上話すことはない。
非情かもしれないがこれ以上関わると疑われる。
後のことはアトリに任せることにした。
それにしても爺さん遅いな。怖気づいたか。
変なことせずいつも通りにしてくれればいい。
トラブルメイカーの爺さんなんだから。下手に小細工せずに。

それから五分が過ぎた。
アトリも話し疲れたらしい。
「あなたは我々を裏切りませんよね? 」
ツルさんが疑い始めた。
「裏切る? 具体的には? 」
うん。少しはリーダーっぽくなったかな。交渉術も完璧だ。
相手から多くの情報を引き出しこちらは最小限に留める。
本当はこんなことしたくはないが……

「それでお宝と言うのは? 」
「乙様が昔人間より献上された天狗の球」
「天狗の球? 」
「自分にもよく分からないがテープみたいなものらしい」
「テープ? それが宝? 色は? 」
「実はこれは内緒だが決して献上されたのではない。
慌てて帰った人間が落としていったものらしい。赤いテープだったかと」
「それは今どこに? 」
「ミヨと言う海底の女神の一人が保管している」
「では乙様のところにはないと? 」
「うん? 」
ツルの鋭い視線が刺さる。
念の為に聞いてみたが気に障ったらしい。
ミヨね…… さあそろそろ始まるかな。

「あの騒がしくありませんか? 」
アトリが我慢できずにツルに聞いてしまう。
「いやまったく」
アトリが不思議がるとツルがそれを訝しがる。
フライングしたせいで疑われてしまったか?
「ほら聞こえませんか? 」
「アトリさんでしたよね? いい加減にしてください! 」
いくらお客様でもふざけては困りますよとカンカン。

怖気づいたか爺さん?
これはタイミングが大事なんだがな。


                  続く
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