言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

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太郎さんと弁蔵さん

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ツル(亀)の恩返し。
爺にいじめられているところを助けた俺たちは言われるまま潜水艦に。
いいのかな? 張本人の爺もいるんだけどな……
いつの間にか潜水艦で仲間のいる海底王国へ。
現在ツルの操縦で海底五千メートルまで潜水。
そろそろ目的地が見えてくるそう。

あれこれは…… 乗り物は違えど昔話で聞いたような展開。
この後竜宮城に連れて行かれるはず。だが少々話が変わったらしい。
亀のツルさんは乙様のところへ連れて行くとのこと。

「この潜水艦に乗るのは俺たちが初めて? 」
「いえ随分昔に太郎さんを乗せました。それから最近ですと弁蔵さんを」
「弁蔵さん? そんな話あったっけ? 」
「ちなみに弁蔵さんの仲間が勝手に乙様の元へ押しかけ一騒動お越しまして。
もうこりごりと言うことで陸との交流を避け閉ざしていたところです。
あなた方はそれ以来のお客様です」
ツルの話では三組目の客らしい。

「まさかそれは青いタヌキのような? 」
「違います。人間ですよ」
うーんいまいち話について行けない。
爺さんに相談しようとするもノコタンと別のことに夢中。

「なあ爺さんあれ珍しいな。何て魚だ? 」
「そうじゃの。おかしな顔をしておる。浮袋まで出ておるぞ。確かあれは…… 」
「食えるのか? 」
「一応な。ただ癖がある。別の魚を勧めるがな」
ノコタンと爺さんはお気楽にお魚鑑賞。
どれが食えるか。どれが美味いかをノコタンにレクチャーする爺さん。
俺もツルも聞き入る。意外にも爺さんは物知りらしい。

「ご主人様そろそろ海底に着きますよ」
「うわ! ストップ! 」
アトリの一言がなければそのまま海底に突っ込むところだった。
一瞬で海の藻屑となっただろう。
「ふう危なかった。乙様にはご内密に。ではこちらです」
二人の話に聞き入りいつの間にか海底に。焦る様子のツル。
「儂らの仲ではないか。一度や二度の失敗気にするでない。フォフォフォ…… 」
馴れ馴れしい爺。相手の弱みを握り満足そう。

ついに乙様のいる海底王国へ到着。熱烈に歓迎を受ける。
「ようこそお越しになりました」
海底の女神たちが出迎える。
さすがは海底の女神だけあり皆大変美しい。ツルの話では永遠に年を取らないと。

「おお…… 世話になったそうだな? 」
亀のツルさんが仕える乙様が姿を見せた。
「いえそれほどでも…… 」
大歓迎を受ける。
「子供たちにいじめられたところを助けたとかで…… 」
大変美しい海底の女神。その中でも一際輝いて見えるのがこの乙様だ。
乙様はこの海底王国を統べる者だとか。
「それは別の方です。現在は少子高齢化もありそんな悪ガキ集まって来ません」
「ではあのおかしな妖術を使う…… 」
「仲間でもありません。我々は迷い人です」
「そうか。ではゆっくりしていくが良い」
気の済むまでここに居ていいそう。

うん…… どの女神様が良いかな?
選び放題で逆にやり辛い。適当に選んでくれないかな。
「よーし行くぞ! ははは…… 」
きゃああ!
初日からすでにエンジン全開。
海底の女神たちと戯れる。良い身分だぜ。へへへ……
爺さんもハメを外して大騒ぎ。
賑やか好きのノコタンも踊り狂う。
俺だって負けてないぞ……

チラッとアトリを見ると寂しそうな表情を浮かべる。
ごめんよアトリ。でもこれも友好の証。
大歓迎してくれた手前断り辛い。今日一日だけさ。
爺さんはどうか知らないが俺はそう言うの得意じゃないんだ。
だから最後までご主人様を信じて欲しい。
だがいくら心で訴えかけても伝えなければアトリの不安は消えない。
分かってるんだけどどうしても相手のペースに持って行かれてしまう。
もう自分が自分でないようだ。
そんな目をしないでくれアトリ。アトリ!

「ほらよそ見は禁止ですよゲン様」
へへへ…… 仕方ないな。ここはいっそのことアトリも誘ってしまえばいい。
「どうしたアトリお前も遊ぼう? 」
もう人間だろうとシカだろうとロボットだろう関係ない。
楽しければいい。この際朝まで踊り明かしてしまおう。

「ご主人様! 目的をお忘れですか? 」
「目的…… そう言えばあったような」
「まさかアンさんへの告白をお忘れではありませんよね? 」
真面目なアトリは戻るように懇願する。
もう少し遊んでも良い気もするがな。
「アトリ。せっかくの歓迎を無下に断れないだろ? 」
「ご主人様! 見損ないましたご主人様! 」
あーあ怒っちゃたかな。まあいいや。

アトリの監視もあり一週間後我に返る。

               続く
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