言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

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お別れだね…… アトリ 

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頼みの綱のスターフィッシュ号は島到着後にバラバラに。
仕方なく島探索をするもここも前の島同様に無人島であった。
さあどうする? 再びいかだを作るか。助けを待つか。
考えるまでもないか。来るかも分からない助けよりもいかだにすべてを懸けよう。
判断をするのもリーダーの役目。

そんな時だった。爺さんの症状が悪化する。
「儂じゃ。儂。待ってくれ。頼む! 」
もう現実と妄想の区別がついてない。
しかもアトリにまで見放されてしまう。
俺も爺になったらこうなるんだろうな? 絶望する未来が見える。
だがこのままここで一生を過ごせばそんなつまらない未来もあり得ない。

二人が見放した爺さん。俺は義理堅いのでお世話をすることに。
それにしてもいつになったらアンに会えるのか。
もう遠くの昔に思えてくる今日この頃であった。
そんな風に思い出に浸っていると爺さんが騒ぎ出す。
夜にやられるよりマシだがそれでもうるさくて敵わない。

「おーい! おーい! 」
海に手を振って叫んでいる。
ああ…… ここまで来たか。これはもう末期だな。
もう正気に戻ることはないだろう。前からこんなもんだった気もするが。
随分前からその兆候が表れていた。
崖から飛び降りようとしたのもその一つだろう。
老人性のあれだ。幻覚が見えるのもレミー。
長い漂流生活で一気に悪化したのだろう。
残念だよ。リーダーとして何もしてやれなかった。

爺さんが完全に狂う。一名脱落。
決してサバイバル対決してる訳でもないのだが。
次は恐らくノコタンだろうな。疲れてそうだったもんな。
爺さんは老人性のものだとしてノコタンは現実に絶え切れずにかな?
俺はアトリの手助けがあり己を見失うことはないだろう。
アンに会って告白すると言う夢を叶える為にもここから抜け出さなくてならない。

「おいゲン。爺さんがおかしくなったみたいだな」
驚きもなくただ淡々と爺の様子を見守るノコタン。
いつものこととは言え慣れ過ぎだ。
仕方ない面倒だが俺が連れ戻すか。

「おーい! おーい! こっちじゃ。こっち! 」
必死に呼びかけるが人などいやしない。
当然だ。ここは誰も来ることのない隔絶された島なのだから。
しかも無人島だから人がいるはずがない。
島がいくらあっても人がいなければただの自然。ある意味地獄かな?

手を振り続ける爺。もう今日も遅い。天候が悪化する前に引き戻すべきだろう。
爺の手を引いて連れ帰る。今日も抵抗するんだろうな。
「何をする! 助けを求めてると言うのに。邪魔をするでない! 」
あれおかしいな? いつもよりまともだ。しっかりしている。
いつもと違う。変な感じ。何度も期待したが常に爺の妄想だった。
だから結局ここを脱出出来ないのだ。

「ほら爺さんいい加減にしろ! 」
「うん? 儂は今交渉の真っ最中じゃ。口出しするでない! 」
誰と交渉してるんだ? まさか宇宙人?
交渉役にちょうど良いと仲間に引き入れたが結局あまり役に立たなかった。
「おーい! おーい! 助けてくれ! 」
うん? もしかして本当に誰かいるのか? そう言えば音がするような気も。
だが太陽の反射のせいで前がよく見えないんだよな。

「イエー! 」
ハイテンションの男二人組をようやく捉える。
どうやら嘘でも幻でもなかったようだ。
爺さんは間違ってなかった。正常だったのだ。
俺はもちろん最後の最後まで信じてたよ。

ようやく救われると思ったが今度は言葉が通じない。
俺たち四人の中で唯一言葉が通じるのは元気を取り戻した爺さんのみ。
爺さんを交渉役に無人島からの脱出を試みる。
暗くなり波も高くなり天候も悪化しそうなので明日にすることに。
どうにか無理矢理奴らの船に乗せてもらう約束を取り付ける。
これで無人島ともお別れだ。

翌朝。
船は出発。慣れ親しんだ無人島にお別れ。
これで助かる。俺たちは助かったんだ。
仲間と喜びを分かち合う。
チーム・スターフィッシュは脱出成功?

だが俺たちを無視してお目当ての場所へ向かう非常識な奴ら。
「おいそれはないじゃろ? 人のいるところまで送る約束は? 」
「へへへ…… カモーン! 」
「来るか誘ってます。大変楽しいところだそうです」
俺は奴らの言葉はさっぱりだがアトリは多少分かるらしい。
さすがは最新型のロボットだけある。
「ご主人様。彼らは我々を夢の世界へご招待したいそうですよ」
爺さんもそうだがアトリもイマイチ信用ならないんだよな。
あーあエクセルでもいてくれたら。


                 続く
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