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チーム・スターフィッシュ

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アトリによる厳正な審査の結果俺がリーダーに選ばれた。
それでもまだ引き下がらない諦めの悪い者が一名。
「ちょっと待ってよ! 私のは普通でしょう? 爺さんもそう思うでしょう? 」
「儂に聞かれてもの…… 」
困惑気味の爺さん。

「どちらかと言うとご馳走じゃない! 何で負けるのゲン? 」
ノコタンはまだ納得いってない様子。気持ちも分かるがここは抑えて欲しい。
「アニーサは今の我々には非常に危険と判断しました。あなたは三位です」
アトリが事実をそのまま述べる。容赦がない。ノコタップを思いやることはない。
もちろんこれでいい。アトリが厳正な審査をしたのだから。
感情に流されないように常に冷静だ。

「だったら儂は二位か? 」
考えれば分かることをいちいち聞くなよな爺さん。
だから詰めが甘いと言われるんだ。
間抜けにも獲物を奪われてしまったじゃないか。
これだから爺と言われるんだ。
チームの足だけは引っ張んないで欲しいな。

「はい。あまりに見た目がよろしくないので減点の対象となりました」
「ならば奴だって! カエルだぞ? カエル! 」
不満気味の爺さん。よっぽど自信でもあったのかな。まさか冗談だろ?
アトリはきちんと選んでくれた。俺に見る目があると言うことだ。
俺を優遇してるとかでは決してない。

「ではご主人様のリーダーに文句ありませんね? 」
「ふん良かろう。好きにするが良い。しかし横暴は許さんぞ」
釘を刺すがそれはあんただって。
「まあいいや。私もリーダーって柄じゃないしな」
二人とも納得してくれた。
これでようやく一歩前進。
「さっそくチーム名も決めようと思う。それで…… 」
「儂は…… 追跡者がいいかのう」
「それなら逆にエスケーパーにしたら」
リーダーの話を最後まで聞かずに勝手に決めようとする。決めるのは俺だろうが。
まったく勝手に意見を述べるんじゃない。
さあ何がいいかな……
明日までに決めればいいよな。

翌日。
チーム・スターフィッシュ。
我々を導いた夢占い師のオンボロ船から取ってみた。

メンバー紹介。

リーダー    源右衛門   アン捜索に力を注ぐ。
副リーダー   バグ爺さん  マタギでガンマン。交渉役を担う。
ゲストヒロイン ノコタン   臭いに敏感。シカ耳を披露。
サブヒロイン  アトリ    案内役。ご主人様に絶対服従。

以下四名出陣。
案内役のアトリが前に。
しかしせっかちな爺さんが追い抜き結局爺さんが先頭に。
続けて負けず嫌いなノコタン。仕方なく二番手を譲る。
続いてアトリ。一番後ろを任せされたのが俺。
一番遅いので文句も言えないがリーダーが一番後ろとはあり得ない。
後方から攻撃されたら終わってしまうではないか。
リーダーは真ん中辺りでどっしり構えるべき。

「なあアトリ。こっちで本当にいいの? 」
「さあ…… 初めてくるところですから」
アトリには頼れない。だが爺さんでは信用ならない訳で。
どうしたらいいのだろう?

結局俺たちは漂流し流れ着いた島でどう脱出するか迷っている。
食糧探しは三日もすればお手のもの。
問題は食糧と水を手にいかに早く脱出するか。
それには少なくてもこの島のことをもっと知る必要がある。
その上で脱出用の船を作る。

漂流してかれこれ一週間近くが過ぎた。
ハハハ……
アハハハ…… 
笑いが溢れるストレスフルな世界。
理想とも言える世界だろうか。
「ははは…… 虚しいの」
お爺さんが脱落。
「大丈夫だって。まだ一週間。そのうち助けが来るよ」
ノコタンはポジティブだ。前と大差がない生活と気にしてない様子。
「二人ともそれよりもアトリを手伝ってやってくれよ」
「ヘイヘイ。リーダー」
二人がほぼ同時に返事をする。

アトリにはボートを作ってもらっている。
だがロボットとは思えない不器用さで完成には一年かかりそう。
しかもそれが上手く行く保証は特にない。
だから爺さんは落ち込んでいる。
「バグ爺さん。年の功なんだから作れるでしょう? 」
「儂は無理じゃ! 銃と獲物しか知らない。船は作れん! 」
そう言って泣き出す始末。一番役に立ちそうなのにな。
「バクじゃから。儂はバク爺さん。他を当たってくれ! 」
だからと言ってノコタンだって無理だ。
当然不器用な俺は無理。
ここに来てやはりアトリに頼らざるを得ない。
だがそのアトリも手間取っておる。
そもそも材料集めに苦労している。
あーあパックがいれば簡単に解決するんだろうな。


                 続く
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