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残酷な真実 嫉妬竜の最後 

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第二世界終盤。 第三世界へ通じる橋の上で。
レアアイテム【愛の言霊】によりドラゴンは姿を消した。
恐らく消滅したと思われる。
巻き込まれたアンが再び動き出した。
軽傷で済んだらしい。急いで第三世界へ抜ける。
こうしてどうにかアンは生還を果たす。
俺たちも後を追って橋の奥へ。

「もしかして…… 」
冷静になったハックがドラゴンの正体に気づいたらしい。
だがアプリンの圧力で口を閉じる。
アプリンには弱いハック。
「おい正体って何だよ? ハック! アプリン! 」
「知らない方が良いこともあるの。あなたはよくやった」
まるでエクセルが話し掛けるかのように元気づける。
だがそれは逆に俺を不安にさせる。
一人だけ仲間外れ? それはないよ。
俺がこの隊のリーダーじゃないか。知る権利はあるだろ?

「おいそれはないよ。なあハック」
ハックから攻める。だが口を噤んだまま。
ドラゴンの正体など消滅した今どうでもいい。
どうでもいいが気になる点がいくつかある。
まずなぜドラゴンが出現したか?
俺たちはこの橋の番人だとばかり思っていた。
だがそれはおかしい。第二世界と第三世界の間には門番がいる。
それはアンたちを見れば分かること。
彼らがいる以上番人を置く意味はない。そもそもが開かれた世界のはず。
ここを通るのは俺たちみたいな異人集団だけではない。
二つの世界にはそれなりに交流があるはずだ。
ドラゴンなどいたらオチオチ橋を渡れやしない。
ドラゴンの存在が意味不明になっている。

それからドラゴンの反応だ。
アプリンの言う通り俺の叫びに反応した気がする。
それも一度ではない。言葉を理解していた。
そして何と言っても二人が隠そうとしてるところが怪しい。

「アプリン? 」
「残酷な真実もあるってことね」
いつの間にかアプリンが仕切っている。まるでエクセルのように。
「分からないよアプリン! 」
グチグチ言うものだからアプリンが怒りだす。
「いいから! これ以上は聞かないで! 」
余裕がなくなったのか酷く動揺している。俺のせい?

「アプリン? 一体どう言うこと? 」
「ごめんなさいゲンちゃん。これ以上は私の口からは言えない。あまりに可哀想」
「俺が? それでも何も知らないよりマシだ。お願いだ正直に頼む! 」
アプリンは折れそう。ハックは単純。だから命令に忠実。
何を言っても話してはくれないだろう。でもアプリンはそうも行かない。
感情豊かな分だけ隙が生まれやすい。

「ダメだってゲンちゃん。これは…… 」
「アプリンお願いだ! リーダーの命令は絶対のはずだぞ? ほら早く! 」
「分かったわゲンちゃん。いえリーダ。落ち着いてよく聞いてね。
あなたはアンさんじゃなくて間違ってサブヒロインのモンスターに告白したの。
たぶん彼女も喜んでると思う。さあ行きましょう」
突き放す。何を言ってるのか分からないよアプリン?
「彼女? モンスターってドラゴンだろ? 」
もう訳が分からない。

「行こうぜゲン! 第三世界へ」
ハックが格好つける。
「ああ…… 」
何一つ理解出来なかったがまあいか。ドラゴンだもんな。
「ほらリーダーしっかりして! 」
二人に励まされながら第三世界へ。橋の終着点へ。

「ああ君たち。今日はもうお終い。第三世界には入れるがこれ以上は進めないよ」
第三世界の門番に止められてしまう。
「俺たち急いでるんだ! アンが! アンが! 」
ダメだ。ちっとも聞いてくれやしない。
果たしてアンが俺たちに気づいたかは疑問。誰かが助けたと思ってるだろうが。
俺の叫びが届いたかは微妙。だからこそすぐにアンに会い愛の告白をすべきなのに。
邪魔が入る。

「規則ですから。ワガママを言わないでください。お仕置きされますよ」
そう言って俺たちを寝床へ連れて行く。
これでアン探しは明日の朝からとなりそうだ。

俺たちも疲れた。もう眠いしな。
仕方なく文句を言うこともなく寝ることに。
第三世界は明日以降にお預け。
アンへの告白も遅れてしまう。このままでは見失うことに。
それにレアアイテムの【愛の言霊】も使って品切れ。

さあどうするかな? 悩みが尽きず疲れているのに眠ることさえ出来ない。


                  続く
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