言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

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消えたエクセル

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翌日。
チームパイソンズは元気よく出発とは行きそうにない。
エクセルは無口で俺も上の空。
「どうしたんだよゲン? 」
ハックが心配するが今は俺に構ってる時じゃない。
エクセルだ。エクセルを失っては俺は生きていけない。
どうしても昨夜のことが頭から離れずにいる。
俺はどうすればいいんだ? 運命なのか?

ははは…… 考え過ぎだ。運命なんて大げさな話ではなく案内役が交代するだけ。
そう考えれば少しは冷静にもなれるかな。まさかここに来て落とし穴があるとは。
エクセルとは最後まで一緒にいたかった。
案内役のエクセルと言えば聞こえはいいが実際のところは監視係だったのだろう。
俺たちよその国からやって来た異人の監視が主な仕事とも言える。
エクセルはきちんとその役割を果たしたのだろうか?
俺がどうにか出来るようなことでもないしな。

「何でもない。大丈夫だって」
「本当かよ? 」
「ゲンちゃんやっぱり元気ないよ」
アプリンはハックよりは理解してるようだ。
このことを二人に漏らしていいいものか…… 悩むな。

さあ出発だ。
昨日苦戦した洞窟へ。
「ちょっと待ちな! 追いかけるんだろ? だったらこれを持って行きな! 」
一宿一飯の恩義も果たせずに逆にお土産までもらう。
恥ずかしい。俺は何て情けないんだ。
「ありがとうございます」
「いいかい。第三世界に行ったら姉を訪ねるんだよ。きっと役に立つからさ」
こうして旅立ったのだが……

洞窟。
「それは何だ? 」
「脱出用のアイテムって言ってたけど…… 」
説明を受けたアプリンもよく分からないらしい。
怪しげな箱を開けてみることに。
モクモクと煙が充満する。
「うわああ! 逃げろ! 」
「待って! 出口をイメージして! 」
アプリンに言われるまま念じる。
「出口だ! 出口に案内しろ! 」
「もう静かに。心で叫ぶの! 」
エクセルが我慢できずに叱り飛ばす。
「お前もな! 」
「イメージ出来ないぜこれじゃあ」
ハックも戸惑ってる様子。
「ほらイメージ! 」
いつの間にかアプリンが仕切る。
うわあああ! もうダメ……
煙に包まれあっと言う間に意識を失う。


ウギャアア!
ギャアアア!
奇怪な叫び声で目が覚める。
あれ…… 俺たちどうしてこんなところへ?
眩しい。陽の光に目が眩む。
ここは出口? 
見覚えがある。うんこれで橋に行ければ第三世界。
恐らくアンたち流浪の民も新たな住処を求めて橋の方へ向かったはずだ。
とりあえず皆を起こす。

「ハック! ハック! 起きろって! 」
「ああ寝ちまった。あれ着いたの? 楽ちんだな」
「だから起きろって! 」
寝ぼけてるので叩き起こす。ちょっと手荒だったかな。まあハックなら良いだろう。
ハックの隣では眠り姫が可愛らしい寝息を立てる。
大丈夫。アプリンに問題はなさそうだ。
せっかくだが今はロマンチックな気分に浸れない。
アプリンを起こしエクセルを探す。

あと一人。なぜか姿を見せないエクセル。
「エクセルったらどうしたんだろう? 」
「さあ…… 眠いよ俺」
アプリンが心配してる。ハックはまだ寝ぼけてる状態。

「たぶんもう姿を見せないと思うよ」
エクセルは役目を終え妖精の世界に戻ったのだろう。
「おい! ゲン何か知ってるのか? 隠すなよ仲間だろ! 」
いつになく真剣なハックが迫る。
確かにエクセルの助けなしでは今後の旅が厳しいものになるのは間違いない。
「大丈夫。第三世界に行けば代わりの妖精がいる」
冷たいがこれも運命。仕方ないんだ。
「何だそれなら安心だ。まあお前も気を落とすなよな」
俺よりも冷静なハックに逆に励まされる。

「よし行こう! 恐らく南に進めばいい。そこに例の橋があるはずだから」
アンを求め旅をしてきた。今エクセルを失おうとしている。
残念だがこれもこの世界のルール。従わなければ罰を受ける。
まだ第二世界だと言うのに姿を見せないエクセル。最後の挨拶は敵わなかった。
仕方がない前を向こう。エクセルを犠牲にして前に、第三世界を進むしかない。
それが冒険者の務め。
俺たちの目的はアンを探し求めることなのだから。

だがしかし俺たちはこの後もっと辛い決断をしなければならない瞬間が訪れる。
それは後になって分かることだが。

                  続く
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