言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

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エクセルの意外な一面

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第三世界へ。
洞窟を抜け宿と反対方向に進み橋を越えればそこは第三世界。
ただ誰も通り抜けた者は居ないと言う。
「それでも行くと言うなら止めないけどね。どうする? 好きにしな」
おばさんは俺たちに選択を迫る。

「行くに決まってるじゃないか! なあ皆? 」
「ゲンに賛成! 」
「私もゲンちゃんに乗った」
「分かった。私もそれでいい。では明日は第三世界を目指しましょう」
リーダーは俺なんだけど結局エクセルがまとめてしまう。
不満がないこともないが仕方ないか。
情けないリーダーを助けるのが彼女の役目。

「第三世界に行くなら私の姉を紹介するわ」
第三世界か…… うーん想像もつかない世界。
「お姉さんは詳しいんですか? 」
エクセルの気分が優れないのでアプリンが代わりを務める。
「ああ姉は予知能力があったらしいんだ。幼い頃から大人しい人でね。
そんな彼女は何でもよく言い当てていた。
それで第三世界では人の相談に乗ってるそう。若い頃は有名な夢師だったよ。
今はただ民の為に尽してるみたいだね。
あなたたちが第三世界に行って迷うようなことがあれば姉に相談するといい。
行き方と地図を渡すから時間があったら寄って行ってね」
自慢の姉なのだろう。生き生きと話すその姿からは当初の偏屈さは見られない。

「どうするエクセル? 」
「もう遅いしお言葉に甘えましょう」
あれ今その話じゃないんだけどな…… まあいいや。
ふうとにかく一晩お世話になることに。

好きなところを使っていいと言うので二組に分かれる。
うーん! やっぱり気になって眠れない。
第三世界のこともアンの行方も気になるが一番はエクセルが大人しいこと。
叱られるよりはよっぽどマシだけどさ。何かいつもと違うんだよね。
このままだと寝不足になっちまうよ俺。
隣のハックは相変わらずイビキを掻いて気持ち良さそうだ。
悩みがないらしい。
それにしてもハックは何で俺に着いてきたんだ?
面白そうだからと…… 面白いと言うよりヘビーな旅になって来たが。
俺も昔から大冒険の夢を見ていたから似た様なものなんだけどさ……
つい無意識に仲間を疑ってしまう。

ギャア! ギャア!
ギャア! ギャア!
どこからか化け物の叫び声が。まさかハックじゃないよな? 
とにかく外に出て見るか。
暗い…… 田舎の夜は暗い。言の葉村も似た様なもの。
街灯一つなくては果てしない闇の世界が続くことになる。
エクセルのライトニングでもあればいいんだが……
「どうしたのゲン? 眠れないの? 」
そんな風に優しく語りかけるのはエクセル…… あれアプリンじゃないや。
アプリンかと思ったらエクセルが姿を見せた。
光り輝く妖精。これが本来の姿?

「反省した? 」
しかしすぐに元のエクセルに戻った。
「なあ化け物の声がしなかったか? 気になってさ」
「怖いの? きっと聞き違いでしょう」
「そうかな…… 」
「気のせいでしょう。ゲンは心配し過ぎよ。余計なことばかり考えてないの! 」
「分かってるんだけどさ…… エクセルはここで何をしてたんだよ? 」
それとなく聞いてみる。
「あなたこそどうして? 」
「いやその…… だから化け物みたいな声がして」
「化け物? 夢でも見てたんじゃないの。汗を掻いちゃってもう。ふふふ…… 」
あれいつものエクセルじゃない。なぜか優しい女の子。
二百を超えたおばあちゃんだけどね。

「ゲンったらもう。ふふふ…… 」
笑うがなぜか悲しそうだ。
優しさは悲しみを隠しているから?
真夜中の妖精さんが憂いを帯び妙に色っぽい。

「お前本当にエクセルなのか? 」
「ふふふ…… 違うの? 」
「発光してるのはライトニングだろうがいつもと雰囲気が違うんだよな」
「綺麗? 」
はあ? 何を言ってやがるんだこいつは。妖精のくせに生意気な。
だが俺ももうガキじゃない。
「ああ綺麗だよ」
「そう…… 私ねもう限界なの」
いつも明るいと言うか怖いのに今は暗いと言うか素直だ。
「うん? どう言うこと? 」
限界とは一体? 疲れたとか眠いとかそう言うこと?

「ごめんなさい。私が案内出来るのは第二世界まで。
第三世界からは別の妖精が引き継ぐから心配しないでね」
元気がなかったのはこう言うことか。らしくないじゃないか。
「ほらもう寝ましょう。恐らく明日にはお別れ」
エクセルによって現実を思い知らされる。
長い間一緒に旅をした仲間と突然のお別れ。
まさかそんなこと。嫌だ。俺は認めない。

呆然としたままでどうやって部屋に戻ったのか覚えてない。


                  続く
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