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塞がれた出口

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宝箱発見。
得意のピッキングで華麗に宝箱を開けて見せるハック。
「おいこっちにもお宝があるぞ! 」
取りつかれた哀れな冒険者ハック。
合計で三つの宝箱が隠されていた。

すべてを空け中身を確認するが残念ながらゴミだと分かる。
【ぶっ飛ばすぞ! 】が三枚。
売るどころか買い取ってくれさえしない厄介な品物。
いらないんですけど……

「おいこれを見てみろよ! 」
ハックが新たに大きな宝箱を発見。
これは危険な香りがする。さすがのハックもためらってる様子。
モンスターが飛び出す可能性が非常に高い。
ここは悩みどころ。大きな宝箱には大量の金銀財宝が。
レアカードだってあるかもしれない。
でも厄介なモンスターに捕まれば全滅の恐れもある。
ここは慎重に冷静に。
「ほらハック行くわよ! 」
「へい。しょうがねえな」
俺たちは再び出口を探し始めた。

トントン
トントン
出口どころか入口。即ち穴と言う穴がない。まるで塞がれてしまったかのよう。
いやああ!
アプリンは狭く暗いジメジメした場所にもう耐えられないと喚く。
「落ち着いて! 今すぐ見つけるから待っててくれ」
ダンジョンはさほど深くも広くもないはず。

地図とにらめっこの妖精さん。
俺たちも今はふざけてられない。絶体絶命のピンチ。
なぜ入口が塞がったのか? 俺たちはどうやってこの中へ入ったのか?
少し前の記憶さえあやふやになっていく。

うわああ! 
エクセルがあることに気づいた。
「どうした? 」
「地図が違ってる…… まるで変化したみたい」
エクセルがおかしなことを言いだす。
「まさか本気か? 」
「ええ恐らく。さっきまでと全然違う」
考えられるのはこの地図がいい加減だということ。あるいは……
「俺たちどうするばいい? 」
「落ち着いて。地図を鵜呑みにすれば馬鹿を見ることになる」
そんなこと言ったって…… ダンジョンで迷えば一生外に出れないかもしれない。
地図もなしにどうやってこの難局を乗り越える気なのか?

「ほら壁をよく見て! 触ってみて! 」
隠し扉がないか感触で確かめるがそう簡単に見つかるものではない。
新たな出口を求めてダンジョン内を歩き回るが手掛かりなし。
このダンジョンは一定時間を越えれば変化するタイプ。
俺たちにはもうどうすることも出来ない。お手上げ状態。
それでも何とかしなければならない。
さあどうする? どうすればいい?

アン! 俺は今から行くからな! 
旅の目標を再確認することでどうにか理性を保つ。
静かなエクセルに悲観するアプリンと気にしないマイペースのハック。
まずは出口を探すこと。入口まで塞がってしまった。

一難去ってまだ一難。
どうしてこうなった?
俺たちはまるで生物かのように変化するダンジョンにより動きを封じ込められた。
そして最悪なことに入り口が突然消えてしまった。
これは悪意ある者の意志なのかそれとも偶然?
ただ偶然にはあまりに不自然な点が多い。

「ハックはどう思う? 」
ここはリーダーとして落ち着くように促し最善策を探る。
冷静に考えればあるはずない脱出法を編み出さなければならない。
このダンジョンの変化がいつ起こるのかも分かってない状態。
ずっと出入り口が出現するのを待つのはあまりに危険な賭け。
だが他に方法がないのも事実。ここは一番経験のあるハックに助言を求める。
「任せろよゲン! 俺が何とかしてやるって」
何の根拠もなくいい加減なことばかり。
「もっと具体的に! 何も考えてないんだろう? 」
つい強く当たってしまう。
ハックは馬鹿だから……  しかもこんな時に格好つけようと必死。
いつものことだけど。ただダンジョン攻略にはプラス? マイナス? 

「ねえあそこ見て! 」
仲間割れしてる間もエクセルは地図とにらめっこ。
「どうした見つかったのか出口? 」
「たぶんこの辺りに隠し扉があるはず」
「やった! 」
興奮してハックが突っ込む。
「そっちじゃない! 反対でしょう! 」
「へへへ…… 悪い悪い」
世話の焼けるハックを置いて先に進む。

隠し扉は余計に真っ暗。
百メートルは歩かされたところで行き止まり。
ただの無数に広がる放置された坑道の一つらしい。
「クソ! 無駄足だったか…… 」
もうダメだ。

「いやああ! 」
その時アプリンの悲鳴が響き渡る。


                 続く
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