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ペド

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エクセルの鋭い視線が刺さったまま。
「済まねえな。天使様。おら一介の商人で口が悪いですけえ」
男もエクセルの殺気に圧倒され態度を変えざるを得ない。
「どうしました? ご紹介願えないかしら。ふふふ…… 」
不気味な笑みで迫る妖精さん。怖いよ。
とんでもないものを売りつけようとしたばかりに男は窮地に立たされる。

「分かったよ。俺は知らねえが仲間にそう言うのに精通してるのがいる。
もし情報を得たいなら奴のところに行くといい」
男は仕方なしに情報を公開する。
「その方の名は? どこに住んでるの? 」
「ははは…… そこまでは教えられねえな。これ以上知りたいならさ…… 」
さすがは商売人だけあってタダでは教えてくれそうにない。
「分かった。教えてくれたら買ってあげるから」
男は交渉成立と言ってある男を紹介する。

「ありがとう。感謝するわね」
「ちょっとお客さん! 」
男はバナナの皮を定価の倍で売りつける。足元を見る喰えない男。
もちろんバナナの皮に定価はないがバナナ自体にはある。
いらないけどバナナの皮をあるだけもらうことに。
それだけの価値があると言うことだ。

一時間が過ぎ合流。お食事を済ませ例の男に会いに行く。
「そっちはどうだった? 」
「本当に夢のような時間だった。ねえハック」
ハックとアプリンは大して聞き込みもせずにただ買い物を楽しんでいたらしい。
「ああ買い物はしたぜ」
何を買ったのかと思えば絵画。小さな絵を一枚。
もう意味が分からない。

「へへへ…… アプリンが欲しいって言うからつい…… 」
甘え上手のアプリンと乗せられやすいハック。
確か二人ともお金は持っていなかったと思ったけどな。
「どうやって払ったんだハック? 」
「その…… 抜いたのさ」
手癖の悪いハックはカードを盗んだことを認めた。

「ちょっと待って! エンゼルカードならここにあるけど…… 」
さっきのバナナの皮は硬貨で買った。だから気づかなくても不思議はない。
「まさか…… ホワイトカードを使ったんじゃないでしょうね? 」
いつになく真剣なエクセル。どうしたんだろう?
「ああ白いカードだった気がする」
ホワイトカードとは一体?
「あれはモンスター専用。だから…… 」
頭を抱えるエクセル。

今のところ問題ないそうだが使用すれば手数料も上乗せされとんでもないことに。
エクセルによるとモンスターとの交渉の場でのみ使用が許されるカード。
もし安易に使おうものなら警告五枚が一気にくることになる。
そうなればすぐにでも刑務所へ。
今度はエクセルも檻に入らなければならない事態に。
どうやら警告は免れたようだが。

これ以上使わないことを条件に二人を許すそう。
さあ危険なものは仕舞うに限る。
エクセルの手にホワイトカードが戻る。
エクセルもハックを許すしかない。
いくら手癖が悪いと言ってもたかが人間に奪われたとあってはお仕置きは免れない。

「さあトラブルも解決したことだし例の男を探すわよ」
ようやく熱くなってきた。

名前をペドと言った。
「ああペドかい? 今は休憩してるよ」
「ペド。あんたら奴の知り合いかい? 
だったらあんまり女の子をジロジロ見ないように言ってやってくれよ。
怖がっちゃって困るんだな」
「ペド? 名前も聞きたくないわ! 」
「ペドなら山の方に歩いて行ったよ」
ペドなる人物の評判を聞いて回る。
そこで危険極まりない要注意人物だと判明する。

「あの…… 山に行くには東に進めばいいのでしょうか? 」
「何言ってるんだおめえ! 山っつったらあの霊山だろ? ならば南に行かねば」
親切でうるさいお爺さんが杖を使って方角を示す。
とても感動したのでバナナの皮を友好の印として送る。
「何だこれ? 俺を馬鹿にしてるのか? 」
すぐに頭に血が上るお爺さんをどうにか宥めて別れる。
ありがたい協力者ではあるがもう少し冷静であると嬉しい。
「ああん? ふざけるな! 」
興奮は収まらずついに杖を右手に襲ってくる。
バイオレンス爺の覚醒だ。
堪らずに言葉の暴力に訴えることに。

【せっかちすな! 】
カードを投げつけるとお爺さんは大人しくなった。
警告①。
どこからともなく警告音が。
決して喜ばしいことではないがトラブルになる前に対処するのが冒険者たるもの。
危険を察知しての行動。

「アプリンお願い」
「ほら五分間じっとしててね」
警告を一つ消すのに五分かかる。
これは思っても見なった欠点。
もしこの間にモンスターが集団で襲い掛かりでもしたら……
考えるだけでもぞっとする。

一行は南進。
信仰のある霊山へ。

                   続く
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