71 / 200
ペド
しおりを挟む
エクセルの鋭い視線が刺さったまま。
「済まねえな。天使様。おら一介の商人で口が悪いですけえ」
男もエクセルの殺気に圧倒され態度を変えざるを得ない。
「どうしました? ご紹介願えないかしら。ふふふ…… 」
不気味な笑みで迫る妖精さん。怖いよ。
とんでもないものを売りつけようとしたばかりに男は窮地に立たされる。
「分かったよ。俺は知らねえが仲間にそう言うのに精通してるのがいる。
もし情報を得たいなら奴のところに行くといい」
男は仕方なしに情報を公開する。
「その方の名は? どこに住んでるの? 」
「ははは…… そこまでは教えられねえな。これ以上知りたいならさ…… 」
さすがは商売人だけあってタダでは教えてくれそうにない。
「分かった。教えてくれたら買ってあげるから」
男は交渉成立と言ってある男を紹介する。
「ありがとう。感謝するわね」
「ちょっとお客さん! 」
男はバナナの皮を定価の倍で売りつける。足元を見る喰えない男。
もちろんバナナの皮に定価はないがバナナ自体にはある。
いらないけどバナナの皮をあるだけもらうことに。
それだけの価値があると言うことだ。
一時間が過ぎ合流。お食事を済ませ例の男に会いに行く。
「そっちはどうだった? 」
「本当に夢のような時間だった。ねえハック」
ハックとアプリンは大して聞き込みもせずにただ買い物を楽しんでいたらしい。
「ああ買い物はしたぜ」
何を買ったのかと思えば絵画。小さな絵を一枚。
もう意味が分からない。
「へへへ…… アプリンが欲しいって言うからつい…… 」
甘え上手のアプリンと乗せられやすいハック。
確か二人ともお金は持っていなかったと思ったけどな。
「どうやって払ったんだハック? 」
「その…… 抜いたのさ」
手癖の悪いハックはカードを盗んだことを認めた。
「ちょっと待って! エンゼルカードならここにあるけど…… 」
さっきのバナナの皮は硬貨で買った。だから気づかなくても不思議はない。
「まさか…… ホワイトカードを使ったんじゃないでしょうね? 」
いつになく真剣なエクセル。どうしたんだろう?
「ああ白いカードだった気がする」
ホワイトカードとは一体?
「あれはモンスター専用。だから…… 」
頭を抱えるエクセル。
今のところ問題ないそうだが使用すれば手数料も上乗せされとんでもないことに。
エクセルによるとモンスターとの交渉の場でのみ使用が許されるカード。
もし安易に使おうものなら警告五枚が一気にくることになる。
そうなればすぐにでも刑務所へ。
今度はエクセルも檻に入らなければならない事態に。
どうやら警告は免れたようだが。
これ以上使わないことを条件に二人を許すそう。
さあ危険なものは仕舞うに限る。
エクセルの手にホワイトカードが戻る。
エクセルもハックを許すしかない。
いくら手癖が悪いと言ってもたかが人間に奪われたとあってはお仕置きは免れない。
「さあトラブルも解決したことだし例の男を探すわよ」
ようやく熱くなってきた。
名前をペドと言った。
「ああペドかい? 今は休憩してるよ」
「ペド。あんたら奴の知り合いかい?
だったらあんまり女の子をジロジロ見ないように言ってやってくれよ。
怖がっちゃって困るんだな」
「ペド? 名前も聞きたくないわ! 」
「ペドなら山の方に歩いて行ったよ」
ペドなる人物の評判を聞いて回る。
そこで危険極まりない要注意人物だと判明する。
「あの…… 山に行くには東に進めばいいのでしょうか? 」
「何言ってるんだおめえ! 山っつったらあの霊山だろ? ならば南に行かねば」
親切でうるさいお爺さんが杖を使って方角を示す。
とても感動したのでバナナの皮を友好の印として送る。
「何だこれ? 俺を馬鹿にしてるのか? 」
すぐに頭に血が上るお爺さんをどうにか宥めて別れる。
ありがたい協力者ではあるがもう少し冷静であると嬉しい。
「ああん? ふざけるな! 」
興奮は収まらずついに杖を右手に襲ってくる。
バイオレンス爺の覚醒だ。
堪らずに言葉の暴力に訴えることに。
【せっかちすな! 】
カードを投げつけるとお爺さんは大人しくなった。
警告①。
どこからともなく警告音が。
決して喜ばしいことではないがトラブルになる前に対処するのが冒険者たるもの。
危険を察知しての行動。
「アプリンお願い」
「ほら五分間じっとしててね」
警告を一つ消すのに五分かかる。
これは思っても見なった欠点。
もしこの間にモンスターが集団で襲い掛かりでもしたら……
考えるだけでもぞっとする。
一行は南進。
信仰のある霊山へ。
続く
「済まねえな。天使様。おら一介の商人で口が悪いですけえ」
男もエクセルの殺気に圧倒され態度を変えざるを得ない。
「どうしました? ご紹介願えないかしら。ふふふ…… 」
不気味な笑みで迫る妖精さん。怖いよ。
とんでもないものを売りつけようとしたばかりに男は窮地に立たされる。
「分かったよ。俺は知らねえが仲間にそう言うのに精通してるのがいる。
もし情報を得たいなら奴のところに行くといい」
男は仕方なしに情報を公開する。
「その方の名は? どこに住んでるの? 」
「ははは…… そこまでは教えられねえな。これ以上知りたいならさ…… 」
さすがは商売人だけあってタダでは教えてくれそうにない。
「分かった。教えてくれたら買ってあげるから」
男は交渉成立と言ってある男を紹介する。
「ありがとう。感謝するわね」
「ちょっとお客さん! 」
男はバナナの皮を定価の倍で売りつける。足元を見る喰えない男。
もちろんバナナの皮に定価はないがバナナ自体にはある。
いらないけどバナナの皮をあるだけもらうことに。
それだけの価値があると言うことだ。
一時間が過ぎ合流。お食事を済ませ例の男に会いに行く。
「そっちはどうだった? 」
「本当に夢のような時間だった。ねえハック」
ハックとアプリンは大して聞き込みもせずにただ買い物を楽しんでいたらしい。
「ああ買い物はしたぜ」
何を買ったのかと思えば絵画。小さな絵を一枚。
もう意味が分からない。
「へへへ…… アプリンが欲しいって言うからつい…… 」
甘え上手のアプリンと乗せられやすいハック。
確か二人ともお金は持っていなかったと思ったけどな。
「どうやって払ったんだハック? 」
「その…… 抜いたのさ」
手癖の悪いハックはカードを盗んだことを認めた。
「ちょっと待って! エンゼルカードならここにあるけど…… 」
さっきのバナナの皮は硬貨で買った。だから気づかなくても不思議はない。
「まさか…… ホワイトカードを使ったんじゃないでしょうね? 」
いつになく真剣なエクセル。どうしたんだろう?
「ああ白いカードだった気がする」
ホワイトカードとは一体?
「あれはモンスター専用。だから…… 」
頭を抱えるエクセル。
今のところ問題ないそうだが使用すれば手数料も上乗せされとんでもないことに。
エクセルによるとモンスターとの交渉の場でのみ使用が許されるカード。
もし安易に使おうものなら警告五枚が一気にくることになる。
そうなればすぐにでも刑務所へ。
今度はエクセルも檻に入らなければならない事態に。
どうやら警告は免れたようだが。
これ以上使わないことを条件に二人を許すそう。
さあ危険なものは仕舞うに限る。
エクセルの手にホワイトカードが戻る。
エクセルもハックを許すしかない。
いくら手癖が悪いと言ってもたかが人間に奪われたとあってはお仕置きは免れない。
「さあトラブルも解決したことだし例の男を探すわよ」
ようやく熱くなってきた。
名前をペドと言った。
「ああペドかい? 今は休憩してるよ」
「ペド。あんたら奴の知り合いかい?
だったらあんまり女の子をジロジロ見ないように言ってやってくれよ。
怖がっちゃって困るんだな」
「ペド? 名前も聞きたくないわ! 」
「ペドなら山の方に歩いて行ったよ」
ペドなる人物の評判を聞いて回る。
そこで危険極まりない要注意人物だと判明する。
「あの…… 山に行くには東に進めばいいのでしょうか? 」
「何言ってるんだおめえ! 山っつったらあの霊山だろ? ならば南に行かねば」
親切でうるさいお爺さんが杖を使って方角を示す。
とても感動したのでバナナの皮を友好の印として送る。
「何だこれ? 俺を馬鹿にしてるのか? 」
すぐに頭に血が上るお爺さんをどうにか宥めて別れる。
ありがたい協力者ではあるがもう少し冷静であると嬉しい。
「ああん? ふざけるな! 」
興奮は収まらずついに杖を右手に襲ってくる。
バイオレンス爺の覚醒だ。
堪らずに言葉の暴力に訴えることに。
【せっかちすな! 】
カードを投げつけるとお爺さんは大人しくなった。
警告①。
どこからともなく警告音が。
決して喜ばしいことではないがトラブルになる前に対処するのが冒険者たるもの。
危険を察知しての行動。
「アプリンお願い」
「ほら五分間じっとしててね」
警告を一つ消すのに五分かかる。
これは思っても見なった欠点。
もしこの間にモンスターが集団で襲い掛かりでもしたら……
考えるだけでもぞっとする。
一行は南進。
信仰のある霊山へ。
続く
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
平凡なオレは、成長チート【残機無限】を授かってダンジョン最強に! でも美少女なのだがニートの幼馴染みに、将来性目当てで言い寄られて困る……
佐々木直也
ファンタジー
交通事故で死んだオレが授かった特殊能力は──『怠け者でもラクして最強になれる、わずか3つの裏ワザ』だった。
まるで、くっそ怪しい情報商材か何かの煽り文句のようだったが、これがまったくもって本当だった。
特に、自分を無制限に複製できる【残機無限】によって、転生後、オレはとてつもない成長を遂げる。
だがそれを間近で見ていた幼馴染みは、才能の違いを感じてヤル気をなくしたらしく、怠け者で引きこもりで、学校卒業後は間違いなくニートになるであろう性格になってしまった……美少女だというのに。
しかも、将来有望なオレに「わたしを養って?」とその身を差し出してくる有様……!
ということでオレは、そんなニート幼馴染みに頭を悩ませながらも、最強の冒険者として、ダンジョン攻略もしなくちゃならなくて……まるで戦闘しながら子育てをしているような気分になり、なかなかに困った生活を送っています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる