言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

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バニートラブル

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話によるとどうやらラビットとはこの店のオーナのことらしい。
名前なのか愛称なのか暗号なのか分からないが有力情報に違いない。
ただこの男の言うことを真に受けていいか?
第一印象と直感では絶対にダメとなってるが。ここはエクセルに相談だ。

「失礼」
「待てよ! 最後に例のあれをやってくれないか」
この男一体何を言ってるんだ?
「忙しいのでこれで」
だが通してくれそうにない。
まったくこんなピンチに限ってエクセルは姿を見せないし。
薄暗いせいか入ってすぐに妖精とはぐれる。
「ほらその格好で言ってみてくれ。興奮するんだ」
もうダメだ。この変態に捕まってはしょうがない。
ここは一撃を喰らわせるか?
もちろんそれが出来ないことぐらい理解している。


「ほら言ってみな。ご注文は? 」
断わろうとするが外野が集まって来た。
「ご注文はウサギですか? 」
感情を入れずに素っ気なく。
だが逆にそれが受けてアンコールを受ける。
仕方なく二度三度繰り返し直進。
ついに奥にある怪しい部屋の前までたどり着いた。

ハアハア
ハアハア
「あらご苦労様。これをどうぞ」
エクセルがドリンクを手に近づいてきた。
「ありがとう。何だここは? 」
「あなた人気者だったわね」
遠くから見ていたとふざけたことを抜かす。
だったら止めろよな。

「ごめんなさい。こっちも忙しかったの。それに私は可愛い妖精よ。
興奮した男たちに取り囲まれたらと想像しただけでぞっとする」
おいおい…… 俺は酷い目に遭ったんだぞ? 危険な場所で一人にしやがって。
「そんな顔しない。ほらそこの鏡を見て。可愛いでしょう? 」 
鏡にはバニーガールの女の子が映っていた。
これって俺? そんな馬鹿な!
「俺か? 俺なのか? おええええ! 」
もう自分が嫌になる。確かに可愛いけど俺だろ。

「その耳を着けるとあなたも知っての通りバニーガールになるの。
でもあなた自身は見えない。それは可哀想。
だから特別にこの魔法の鏡であなたに見てもらおうと用意したの 」
魔法の鏡? よくそんな都合のいいものがあるな。
「ああこれ? 名家の元悪役令嬢から処分に困って譲り受けたもの。
まさかこんな展開になるとは思わなくて空間屋で取り寄せて来た」
「それにしても早くないか? 」
「光速ですから。ここに配達してもらったって訳。ふふふ…… あなたお似合いよ」
この妖精。ふざけやがって!

「ほら怒らない。可愛い顔が台無し。
あなた素質があるみたいね。そんなに可愛くなることないんだけどな」
まあ本物の妖精には敵わないでしょうけど嫉妬しちゃう」
抜け抜けとふざけたことを。
「こいつ。いい加減にしろ! 」

警告警告!
どこからともなく聞こえる警告音。

累積④

あと一枚で強制的に刑務所に収容されるのでお気を付けください。
律儀に教えてくれた。

「あと一枚か。これはまずいな」
「大丈夫だって。累積はこの第一エリアのお話。第二エリアには持ち越さないから」
妖精の話では第一エリアとそのフィールドや地域から影響を受ける。
新たな世界に行けば真っ白に戻るそう。
だから恐らくこの第一エリアで目的のウサギを見つければ即解決。
それまで気をつけてればいい。

「何だこれ? 」
足元に薬の袋が。
「これは? 」
「精神を落ち着かせる安定剤みたいなもの。
これで言葉の暴力もなくなり平和な世界が保たれる。
ただ一日しか効果がない。そこは気をつける必要があるわ」
「安定剤? 」
「さっそく実験してみましょうか? 」
無理矢理薬を飲まされる。
「おいおい止めろって! 」
「田舎者! 早く故郷に帰りな! 」
暴言だが妖精は免除されている。
それだけ訓練されているとも言えるが。
「はい。帰ります」
「ふふふ…… 駄目だって帰っちゃ。でもコントロール出来てるみたい」
妖精の悪ふざけに付き合わされてイライラ。
「はい、嬉しいです」
「そうだ。まだ使うから耳は捨てないでね」
パンの耳かよ。

「ちょっとさっきからうるさいわね! 」
部屋の前で騒いでいたので夢師が飛び出して来た。
「もうお客さん? だったら早く入って来なさいよ! 」
どうやら機嫌がよくないらしい。
朝の星座占いが最悪だったと嘆く。

「ああどっち? この冴えない子ね。分かったわ」
「よろしくお願いします」
所狭しと壺が置かれている。
さすがは夢師。
「興味ある? その小さいのならお買い得よ」
三千万ドッドと値札が付いてる。
うわあ…… 嫌だな。

「それであんたの夢を教えな」
さっそく話を聞いてもらうことに。
「えっと…… アンと結婚して幸せな家庭を築きたいです」
「ああん? 」
駄目だ。これでは納得してくれない。
「それから村の娘をとっかえひっかえしてハーレムを…… 」
「何だって? 」
駄目だ。お気に召さないようだ。ここはもっと激しく。
「海賊王に…… 」
「ははは! 海賊王には七つの球を集めなくちゃね」
意外と真面目に答えてくれる。

「そうじゃなくて。今日見た夢だろ! 」
最初からそう言えよな。恥ずかしいなまったく。
アンとの結婚以外は冗談なんだからさ。

                 続く
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