15 / 200
バニートラブル
しおりを挟む
話によるとどうやらラビットとはこの店のオーナのことらしい。
名前なのか愛称なのか暗号なのか分からないが有力情報に違いない。
ただこの男の言うことを真に受けていいか?
第一印象と直感では絶対にダメとなってるが。ここはエクセルに相談だ。
「失礼」
「待てよ! 最後に例のあれをやってくれないか」
この男一体何を言ってるんだ?
「忙しいのでこれで」
だが通してくれそうにない。
まったくこんなピンチに限ってエクセルは姿を見せないし。
薄暗いせいか入ってすぐに妖精とはぐれる。
「ほらその格好で言ってみてくれ。興奮するんだ」
もうダメだ。この変態に捕まってはしょうがない。
ここは一撃を喰らわせるか?
もちろんそれが出来ないことぐらい理解している。
「ほら言ってみな。ご注文は? 」
断わろうとするが外野が集まって来た。
「ご注文はウサギですか? 」
感情を入れずに素っ気なく。
だが逆にそれが受けてアンコールを受ける。
仕方なく二度三度繰り返し直進。
ついに奥にある怪しい部屋の前までたどり着いた。
ハアハア
ハアハア
「あらご苦労様。これをどうぞ」
エクセルがドリンクを手に近づいてきた。
「ありがとう。何だここは? 」
「あなた人気者だったわね」
遠くから見ていたとふざけたことを抜かす。
だったら止めろよな。
「ごめんなさい。こっちも忙しかったの。それに私は可愛い妖精よ。
興奮した男たちに取り囲まれたらと想像しただけでぞっとする」
おいおい…… 俺は酷い目に遭ったんだぞ? 危険な場所で一人にしやがって。
「そんな顔しない。ほらそこの鏡を見て。可愛いでしょう? 」
鏡にはバニーガールの女の子が映っていた。
これって俺? そんな馬鹿な!
「俺か? 俺なのか? おええええ! 」
もう自分が嫌になる。確かに可愛いけど俺だろ。
「その耳を着けるとあなたも知っての通りバニーガールになるの。
でもあなた自身は見えない。それは可哀想。
だから特別にこの魔法の鏡であなたに見てもらおうと用意したの 」
魔法の鏡? よくそんな都合のいいものがあるな。
「ああこれ? 名家の元悪役令嬢から処分に困って譲り受けたもの。
まさかこんな展開になるとは思わなくて空間屋で取り寄せて来た」
「それにしても早くないか? 」
「光速ですから。ここに配達してもらったって訳。ふふふ…… あなたお似合いよ」
この妖精。ふざけやがって!
「ほら怒らない。可愛い顔が台無し。
あなた素質があるみたいね。そんなに可愛くなることないんだけどな」
まあ本物の妖精には敵わないでしょうけど嫉妬しちゃう」
抜け抜けとふざけたことを。
「こいつ。いい加減にしろ! 」
警告警告!
どこからともなく聞こえる警告音。
累積④
あと一枚で強制的に刑務所に収容されるのでお気を付けください。
律儀に教えてくれた。
「あと一枚か。これはまずいな」
「大丈夫だって。累積はこの第一エリアのお話。第二エリアには持ち越さないから」
妖精の話では第一エリアとそのフィールドや地域から影響を受ける。
新たな世界に行けば真っ白に戻るそう。
だから恐らくこの第一エリアで目的のウサギを見つければ即解決。
それまで気をつけてればいい。
「何だこれ? 」
足元に薬の袋が。
「これは? 」
「精神を落ち着かせる安定剤みたいなもの。
これで言葉の暴力もなくなり平和な世界が保たれる。
ただ一日しか効果がない。そこは気をつける必要があるわ」
「安定剤? 」
「さっそく実験してみましょうか? 」
無理矢理薬を飲まされる。
「おいおい止めろって! 」
「田舎者! 早く故郷に帰りな! 」
暴言だが妖精は免除されている。
それだけ訓練されているとも言えるが。
「はい。帰ります」
「ふふふ…… 駄目だって帰っちゃ。でもコントロール出来てるみたい」
妖精の悪ふざけに付き合わされてイライラ。
「はい、嬉しいです」
「そうだ。まだ使うから耳は捨てないでね」
パンの耳かよ。
「ちょっとさっきからうるさいわね! 」
部屋の前で騒いでいたので夢師が飛び出して来た。
「もうお客さん? だったら早く入って来なさいよ! 」
どうやら機嫌がよくないらしい。
朝の星座占いが最悪だったと嘆く。
「ああどっち? この冴えない子ね。分かったわ」
「よろしくお願いします」
所狭しと壺が置かれている。
さすがは夢師。
「興味ある? その小さいのならお買い得よ」
三千万ドッドと値札が付いてる。
うわあ…… 嫌だな。
「それであんたの夢を教えな」
さっそく話を聞いてもらうことに。
「えっと…… アンと結婚して幸せな家庭を築きたいです」
「ああん? 」
駄目だ。これでは納得してくれない。
「それから村の娘をとっかえひっかえしてハーレムを…… 」
「何だって? 」
駄目だ。お気に召さないようだ。ここはもっと激しく。
「海賊王に…… 」
「ははは! 海賊王には七つの球を集めなくちゃね」
意外と真面目に答えてくれる。
「そうじゃなくて。今日見た夢だろ! 」
最初からそう言えよな。恥ずかしいなまったく。
アンとの結婚以外は冗談なんだからさ。
続く
名前なのか愛称なのか暗号なのか分からないが有力情報に違いない。
ただこの男の言うことを真に受けていいか?
第一印象と直感では絶対にダメとなってるが。ここはエクセルに相談だ。
「失礼」
「待てよ! 最後に例のあれをやってくれないか」
この男一体何を言ってるんだ?
「忙しいのでこれで」
だが通してくれそうにない。
まったくこんなピンチに限ってエクセルは姿を見せないし。
薄暗いせいか入ってすぐに妖精とはぐれる。
「ほらその格好で言ってみてくれ。興奮するんだ」
もうダメだ。この変態に捕まってはしょうがない。
ここは一撃を喰らわせるか?
もちろんそれが出来ないことぐらい理解している。
「ほら言ってみな。ご注文は? 」
断わろうとするが外野が集まって来た。
「ご注文はウサギですか? 」
感情を入れずに素っ気なく。
だが逆にそれが受けてアンコールを受ける。
仕方なく二度三度繰り返し直進。
ついに奥にある怪しい部屋の前までたどり着いた。
ハアハア
ハアハア
「あらご苦労様。これをどうぞ」
エクセルがドリンクを手に近づいてきた。
「ありがとう。何だここは? 」
「あなた人気者だったわね」
遠くから見ていたとふざけたことを抜かす。
だったら止めろよな。
「ごめんなさい。こっちも忙しかったの。それに私は可愛い妖精よ。
興奮した男たちに取り囲まれたらと想像しただけでぞっとする」
おいおい…… 俺は酷い目に遭ったんだぞ? 危険な場所で一人にしやがって。
「そんな顔しない。ほらそこの鏡を見て。可愛いでしょう? 」
鏡にはバニーガールの女の子が映っていた。
これって俺? そんな馬鹿な!
「俺か? 俺なのか? おええええ! 」
もう自分が嫌になる。確かに可愛いけど俺だろ。
「その耳を着けるとあなたも知っての通りバニーガールになるの。
でもあなた自身は見えない。それは可哀想。
だから特別にこの魔法の鏡であなたに見てもらおうと用意したの 」
魔法の鏡? よくそんな都合のいいものがあるな。
「ああこれ? 名家の元悪役令嬢から処分に困って譲り受けたもの。
まさかこんな展開になるとは思わなくて空間屋で取り寄せて来た」
「それにしても早くないか? 」
「光速ですから。ここに配達してもらったって訳。ふふふ…… あなたお似合いよ」
この妖精。ふざけやがって!
「ほら怒らない。可愛い顔が台無し。
あなた素質があるみたいね。そんなに可愛くなることないんだけどな」
まあ本物の妖精には敵わないでしょうけど嫉妬しちゃう」
抜け抜けとふざけたことを。
「こいつ。いい加減にしろ! 」
警告警告!
どこからともなく聞こえる警告音。
累積④
あと一枚で強制的に刑務所に収容されるのでお気を付けください。
律儀に教えてくれた。
「あと一枚か。これはまずいな」
「大丈夫だって。累積はこの第一エリアのお話。第二エリアには持ち越さないから」
妖精の話では第一エリアとそのフィールドや地域から影響を受ける。
新たな世界に行けば真っ白に戻るそう。
だから恐らくこの第一エリアで目的のウサギを見つければ即解決。
それまで気をつけてればいい。
「何だこれ? 」
足元に薬の袋が。
「これは? 」
「精神を落ち着かせる安定剤みたいなもの。
これで言葉の暴力もなくなり平和な世界が保たれる。
ただ一日しか効果がない。そこは気をつける必要があるわ」
「安定剤? 」
「さっそく実験してみましょうか? 」
無理矢理薬を飲まされる。
「おいおい止めろって! 」
「田舎者! 早く故郷に帰りな! 」
暴言だが妖精は免除されている。
それだけ訓練されているとも言えるが。
「はい。帰ります」
「ふふふ…… 駄目だって帰っちゃ。でもコントロール出来てるみたい」
妖精の悪ふざけに付き合わされてイライラ。
「はい、嬉しいです」
「そうだ。まだ使うから耳は捨てないでね」
パンの耳かよ。
「ちょっとさっきからうるさいわね! 」
部屋の前で騒いでいたので夢師が飛び出して来た。
「もうお客さん? だったら早く入って来なさいよ! 」
どうやら機嫌がよくないらしい。
朝の星座占いが最悪だったと嘆く。
「ああどっち? この冴えない子ね。分かったわ」
「よろしくお願いします」
所狭しと壺が置かれている。
さすがは夢師。
「興味ある? その小さいのならお買い得よ」
三千万ドッドと値札が付いてる。
うわあ…… 嫌だな。
「それであんたの夢を教えな」
さっそく話を聞いてもらうことに。
「えっと…… アンと結婚して幸せな家庭を築きたいです」
「ああん? 」
駄目だ。これでは納得してくれない。
「それから村の娘をとっかえひっかえしてハーレムを…… 」
「何だって? 」
駄目だ。お気に召さないようだ。ここはもっと激しく。
「海賊王に…… 」
「ははは! 海賊王には七つの球を集めなくちゃね」
意外と真面目に答えてくれる。
「そうじゃなくて。今日見た夢だろ! 」
最初からそう言えよな。恥ずかしいなまったく。
アンとの結婚以外は冗談なんだからさ。
続く
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?
澤檸檬
ファンタジー
旧題 努力=結果
異世界の神の勝手によって異世界に転移することになった倉野。
実際に異世界で確認した常識と自分に与えられた能力が全く違うことに少しずつ気付く。
異世界の住人はレベルアップによってステータスが上がっていくようだったが、倉野にだけレベルが存在せず、行動を繰り返すことによってスキルを習得するシステムが採用されていた。
そのスキル習得システムと異世界の常識の差が倉野を最強の人間へと押し上げていく。
だが、倉野はその能力を活かして英雄になろうだとか、悪用しようだとかそういった上昇志向を見せるわけでもなく、第二の人生と割り切ってファンタジーな世界を旅することにした。
最強を隠して異世界を巡る倉野。各地での出会いと別れ、冒険と楽しみ。元居た世界にはない刺激が倉野の第二の人生を彩っていく。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる