『第一村人』殺人事件

二廻歩

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運命 逆転した二人の関係

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第一関門突破。

「もう邪魔する者は居なくなったわ。後は煮るなり焼くなり好きにしたらどう? 」

二姫の誘惑。いや挑発だろうか? 冷静に冷静に。

つまらないにことで荒立てる必要もない。

「どう言うことでしょう二姫様? ご冗談が過ぎます」

二姫は何を知っていると言うのか?

最初のターゲット。気付かれては後が厄介だ。スムーズに行くことを願う。

「ふふふ…… まだふざけるのコウ? 私にはすべてお見通し」

「またまたご冗談を。二姫様酔っておられますか? 」

とにかく否定。何を言われようと否定する。

「私を好きなようにしていいと言ったのよ。

もう館につくわ。時間がもうないんでしょう? 」

確かに怪しまれない為にもなるべく早く二姫を始末しなくてはいけない。

しかし彼女はなぜかそのことについてもうすでに感付いている。

いやただのハッタリか。またはお得意の悪ふざけか。判断がつかない。

もういい。どっちでもいい。早く解放してくれ。疲れたよ。


「さあ着きましたよ二姫様。儀式の間にお急ぎください。
準備もありますので時間がありません」

「ふふふ…… 何を言ってるの? 三日三晩やることと言ったら何もせずにただ祈り続けてるだけ。暇で暇で仕方がない。どうコウも一緒に」

またふざける。自分をからかっているのか?

まさか本当に気付かれた?

「コウ。私の命令に従えないの? 」

「二姫お嬢様。お願いですからお戯れはおよしください」

「あら随分と他人行儀ね。私とあなたの仲じゃない」

「うるさい。早くしろ」

ついついいつもの癖が出る。今夜は大事な本番。封印していたのにまったく。

「そうよ。それでいいの」

本当に我がままなお嬢様だ。

まあこれで最後なのだ。これくらいどって事ない。うんうん。我慢するか。


「それでふふふ…… お前と三貴でどこまで計画してる? 」

この女…… だが馬鹿め。いまさら気付いたところで遅い。

本来気付かない振りをするのが賢い被害者。

まあそれでも逃げ切れるものではないがな。

大声で叫ぼうが反撃しようが逃げ場など無い。

ただ大人しく殺されるんだな。積年の恨みを思いしれ。

「はて何のことだか? それよりも急ぎましょう。儀式は時間厳守です」

「あらあら三貴の話が出たら表情を変えて焦ってるんだから単純よね。

あの子とはどこまで行ったの? ふふふ…… まあいいわ。

そこに決定的証拠があるでしょう。引き延ばししても無駄よ」

相手が悪かった。これが一葉ならば何の疑いもなく誘われただろう。

だが二姫は違う。警戒心が強い。

それはひとえに二姫の頭が切れるからだ。


隠されていた凶器の数々をあっと言う間に陽の下へ。

「ここ…… これは別に…… 」

苦し紛れの言い訳も出てこない。

ただモグモグ言うしかない。

「コウ。正直に言いなさい」

「二姫様…… 」

正直に告白する気はない。

まさかあなたを殺すためですなど口が裂けても言えない。

いやこの流れで強引にやってしまうか?

決断できない。どうしても悩んでしまう。


「ふふふ…… 儀式に使うとでも言うのかしら? 」

いつものように嫌らしい笑みを浮かべる二姫。

「コウ。言い逃れできると思ってるの? 」

「いえ、その…… これは…… 」

「すべてお見通しよ。あなたの計画は分かってるんだから」

有無を言わせない。

認めさせるまで睨み続ける。

「あなた達の計画ぐらい見破れないでどうするの? 」

「あなた達? 」

「ええ。三貴も協力してるんでしょう? 聞いたんだから」

ハッタリだろうか? まさか三貴が言った? あり得ない。


凶器が光る。

素早くナイフを取る。

もう躊躇しない。

もう演技だってしない。

「コウ。止めなさい。そのナイフを置くの。ほらゆっくり。いい? 」

二姫の命令は本来絶対だ。だがここでは立場が逆転している。

「うるさい。お前は死ぬんだ」

「ふふふ…… 落ち着きなさいコウ」

懸命の説得。それはそうだろう。

絶体絶命なのだからな。

今は説得など諦めて命乞いをする時。

もちろんいくら喚こうが叫ぼうが土下座しようが無意味だ。

計画通りこの世界から消えてもらう。

そしてこの館から消失してもらう。

二姫お嬢様。それが逃れられない定めなのですよ。

              続く
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