104 / 109
運命 逆転した二人の関係
しおりを挟む
第一関門突破。
「もう邪魔する者は居なくなったわ。後は煮るなり焼くなり好きにしたらどう? 」
二姫の誘惑。いや挑発だろうか? 冷静に冷静に。
つまらないにことで荒立てる必要もない。
「どう言うことでしょう二姫様? ご冗談が過ぎます」
二姫は何を知っていると言うのか?
最初のターゲット。気付かれては後が厄介だ。スムーズに行くことを願う。
「ふふふ…… まだふざけるのコウ? 私にはすべてお見通し」
「またまたご冗談を。二姫様酔っておられますか? 」
とにかく否定。何を言われようと否定する。
「私を好きなようにしていいと言ったのよ。
もう館につくわ。時間がもうないんでしょう? 」
確かに怪しまれない為にもなるべく早く二姫を始末しなくてはいけない。
しかし彼女はなぜかそのことについてもうすでに感付いている。
いやただのハッタリか。またはお得意の悪ふざけか。判断がつかない。
もういい。どっちでもいい。早く解放してくれ。疲れたよ。
「さあ着きましたよ二姫様。儀式の間にお急ぎください。
準備もありますので時間がありません」
「ふふふ…… 何を言ってるの? 三日三晩やることと言ったら何もせずにただ祈り続けてるだけ。暇で暇で仕方がない。どうコウも一緒に」
またふざける。自分をからかっているのか?
まさか本当に気付かれた?
「コウ。私の命令に従えないの? 」
「二姫お嬢様。お願いですからお戯れはおよしください」
「あら随分と他人行儀ね。私とあなたの仲じゃない」
「うるさい。早くしろ」
ついついいつもの癖が出る。今夜は大事な本番。封印していたのにまったく。
「そうよ。それでいいの」
本当に我がままなお嬢様だ。
まあこれで最後なのだ。これくらいどって事ない。うんうん。我慢するか。
「それでふふふ…… お前と三貴でどこまで計画してる? 」
この女…… だが馬鹿め。いまさら気付いたところで遅い。
本来気付かない振りをするのが賢い被害者。
まあそれでも逃げ切れるものではないがな。
大声で叫ぼうが反撃しようが逃げ場など無い。
ただ大人しく殺されるんだな。積年の恨みを思いしれ。
「はて何のことだか? それよりも急ぎましょう。儀式は時間厳守です」
「あらあら三貴の話が出たら表情を変えて焦ってるんだから単純よね。
あの子とはどこまで行ったの? ふふふ…… まあいいわ。
そこに決定的証拠があるでしょう。引き延ばししても無駄よ」
相手が悪かった。これが一葉ならば何の疑いもなく誘われただろう。
だが二姫は違う。警戒心が強い。
それはひとえに二姫の頭が切れるからだ。
隠されていた凶器の数々をあっと言う間に陽の下へ。
「ここ…… これは別に…… 」
苦し紛れの言い訳も出てこない。
ただモグモグ言うしかない。
「コウ。正直に言いなさい」
「二姫様…… 」
正直に告白する気はない。
まさかあなたを殺すためですなど口が裂けても言えない。
いやこの流れで強引にやってしまうか?
決断できない。どうしても悩んでしまう。
「ふふふ…… 儀式に使うとでも言うのかしら? 」
いつものように嫌らしい笑みを浮かべる二姫。
「コウ。言い逃れできると思ってるの? 」
「いえ、その…… これは…… 」
「すべてお見通しよ。あなたの計画は分かってるんだから」
有無を言わせない。
認めさせるまで睨み続ける。
「あなた達の計画ぐらい見破れないでどうするの? 」
「あなた達? 」
「ええ。三貴も協力してるんでしょう? 聞いたんだから」
ハッタリだろうか? まさか三貴が言った? あり得ない。
凶器が光る。
素早くナイフを取る。
もう躊躇しない。
もう演技だってしない。
「コウ。止めなさい。そのナイフを置くの。ほらゆっくり。いい? 」
二姫の命令は本来絶対だ。だがここでは立場が逆転している。
「うるさい。お前は死ぬんだ」
「ふふふ…… 落ち着きなさいコウ」
懸命の説得。それはそうだろう。
絶体絶命なのだからな。
今は説得など諦めて命乞いをする時。
もちろんいくら喚こうが叫ぼうが土下座しようが無意味だ。
計画通りこの世界から消えてもらう。
そしてこの館から消失してもらう。
二姫お嬢様。それが逃れられない定めなのですよ。
続く
「もう邪魔する者は居なくなったわ。後は煮るなり焼くなり好きにしたらどう? 」
二姫の誘惑。いや挑発だろうか? 冷静に冷静に。
つまらないにことで荒立てる必要もない。
「どう言うことでしょう二姫様? ご冗談が過ぎます」
二姫は何を知っていると言うのか?
最初のターゲット。気付かれては後が厄介だ。スムーズに行くことを願う。
「ふふふ…… まだふざけるのコウ? 私にはすべてお見通し」
「またまたご冗談を。二姫様酔っておられますか? 」
とにかく否定。何を言われようと否定する。
「私を好きなようにしていいと言ったのよ。
もう館につくわ。時間がもうないんでしょう? 」
確かに怪しまれない為にもなるべく早く二姫を始末しなくてはいけない。
しかし彼女はなぜかそのことについてもうすでに感付いている。
いやただのハッタリか。またはお得意の悪ふざけか。判断がつかない。
もういい。どっちでもいい。早く解放してくれ。疲れたよ。
「さあ着きましたよ二姫様。儀式の間にお急ぎください。
準備もありますので時間がありません」
「ふふふ…… 何を言ってるの? 三日三晩やることと言ったら何もせずにただ祈り続けてるだけ。暇で暇で仕方がない。どうコウも一緒に」
またふざける。自分をからかっているのか?
まさか本当に気付かれた?
「コウ。私の命令に従えないの? 」
「二姫お嬢様。お願いですからお戯れはおよしください」
「あら随分と他人行儀ね。私とあなたの仲じゃない」
「うるさい。早くしろ」
ついついいつもの癖が出る。今夜は大事な本番。封印していたのにまったく。
「そうよ。それでいいの」
本当に我がままなお嬢様だ。
まあこれで最後なのだ。これくらいどって事ない。うんうん。我慢するか。
「それでふふふ…… お前と三貴でどこまで計画してる? 」
この女…… だが馬鹿め。いまさら気付いたところで遅い。
本来気付かない振りをするのが賢い被害者。
まあそれでも逃げ切れるものではないがな。
大声で叫ぼうが反撃しようが逃げ場など無い。
ただ大人しく殺されるんだな。積年の恨みを思いしれ。
「はて何のことだか? それよりも急ぎましょう。儀式は時間厳守です」
「あらあら三貴の話が出たら表情を変えて焦ってるんだから単純よね。
あの子とはどこまで行ったの? ふふふ…… まあいいわ。
そこに決定的証拠があるでしょう。引き延ばししても無駄よ」
相手が悪かった。これが一葉ならば何の疑いもなく誘われただろう。
だが二姫は違う。警戒心が強い。
それはひとえに二姫の頭が切れるからだ。
隠されていた凶器の数々をあっと言う間に陽の下へ。
「ここ…… これは別に…… 」
苦し紛れの言い訳も出てこない。
ただモグモグ言うしかない。
「コウ。正直に言いなさい」
「二姫様…… 」
正直に告白する気はない。
まさかあなたを殺すためですなど口が裂けても言えない。
いやこの流れで強引にやってしまうか?
決断できない。どうしても悩んでしまう。
「ふふふ…… 儀式に使うとでも言うのかしら? 」
いつものように嫌らしい笑みを浮かべる二姫。
「コウ。言い逃れできると思ってるの? 」
「いえ、その…… これは…… 」
「すべてお見通しよ。あなたの計画は分かってるんだから」
有無を言わせない。
認めさせるまで睨み続ける。
「あなた達の計画ぐらい見破れないでどうするの? 」
「あなた達? 」
「ええ。三貴も協力してるんでしょう? 聞いたんだから」
ハッタリだろうか? まさか三貴が言った? あり得ない。
凶器が光る。
素早くナイフを取る。
もう躊躇しない。
もう演技だってしない。
「コウ。止めなさい。そのナイフを置くの。ほらゆっくり。いい? 」
二姫の命令は本来絶対だ。だがここでは立場が逆転している。
「うるさい。お前は死ぬんだ」
「ふふふ…… 落ち着きなさいコウ」
懸命の説得。それはそうだろう。
絶体絶命なのだからな。
今は説得など諦めて命乞いをする時。
もちろんいくら喚こうが叫ぼうが土下座しようが無意味だ。
計画通りこの世界から消えてもらう。
そしてこの館から消失してもらう。
二姫お嬢様。それが逃れられない定めなのですよ。
続く
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
彩霞堂
綾瀬 りょう
ミステリー
無くした記憶がたどり着く喫茶店「彩霞堂」。
記憶を無くした一人の少女がたどりつき、店主との会話で消し去りたかった記憶を思い出す。
以前ネットにも出していたことがある作品です。
高校時代に描いて、とても思い入れがあります!!
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
三部作予定なので、そこまで書ききれるよう、頑張りたいです!!!!
瞳に潜む村
山口テトラ
ミステリー
人口千五百人以下の三角村。
過去に様々な事故、事件が起きた村にはやはり何かしらの祟りという名の呪いは存在するのかも知れない。
この村で起きた奇妙な事件を記憶喪失の青年、桜は遭遇して自分の記憶と対峙するのだった。
(同級生+アイドル÷未成年)×オッサン≠いちゃらぶ
まみ夜
キャラ文芸
様々な分野の専門家、様々な年齢を集め、それぞれ一芸をもっている学生が講師も務めて教え合う教育特区の学園へ出向した五十歳オッサンが、十七歳現役アイドルと同級生に。
【ご注意ください】
※物語のキーワードとして、摂食障害が出てきます
※ヒロインの少女には、ストーカー気質があります
※主人公はいい年してるくせに、ぐちぐち悩みます
第二巻(ホラー風味)は現在、更新休止中です。
続きが気になる方は、お気に入り登録をされると再開が通知されて便利かと思います。
表紙イラストはAI作成です。
(セミロング女性アイドルが彼氏の腕を抱く 茶色ブレザー制服 アニメ)
線路と暗闇の狭間にて
にのまえ龍一
ミステリー
将来の夢について、未だロクなもの一つ抱けていない女子高生、尾上なち。高校生活二年目も終わりに差し掛かる二月の中旬、登下校用の電車に揺られ、いつも通り帰路に着こうとしていた。ところがその日、なちの乗っていた電車は線路を外れ、雨混じりの暗闇へと転落してしまう。
都心から離れた山間部、しかも夜間であったために救助は絶望的という状況の中、無惨にひしゃげた車内で生き残ったのはたった一人、なちだった。幾度も正気を失いそうになりながらも、暗闇の中車内に散らかり横たわる老若男女の遺体と共に、なちは車内から脱出する方法を模索し始める。
なちが電車に搭乗する少し前、彼女は青田駅のホームにて同じ高校の男子生徒『女乃愛人』の〈声〉を聞き、後に転落した車両の中で白猫に姿を変えた彼と対面する。さらに車両内には金と銀のオッドアイをした喋るが鳴かない黒猫『オズ』も現れ、戸惑うなちに淡々とこう告げる―――ここは〝夢〟の中だ、助かりたければオレについて来い、と。
果たしてなちは〝夢〟から抜け出し、あるべき場所へと戻れるのだろうか。そして、彼女は自らの意思で夢を描き出すことができるのか。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる