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欲深き者
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<最終章>【コウの真実】
穴を抜けると再び山湖村へ。
結局自分は惨めだった。
一葉の言いなりでもはやただの情けない人間。
ただの下僕でしかなかった。
あの女のことを思いだすと今でも反吐がでる。
あの女め。俺を随分と良いように使いやがって。
「いいの? 言い付けるわよ」
「しかし…… 」
「いいから言うことを聞きなさい」
プライドだけは高い傲慢な女。
もちろん美人だ。
自分が相手になるとも釣り合うとも思っていない。
いつかは自分が想像もできない立派な男と結婚するんだろうな。
そうなったら自分はお払い箱。
いやそれならいい方だ。一生下僕として玩具にされる。
「はいお嬢様」
結局自分はこの村を抜け出せない。一生奉仕する運命。
「いい? ゆっくり。ゆっくりよ」
細かい注文ばかりしやがって。
これで言われた通りにやるとつまらないと怒り出すから始末に負えない。
「何その顔は? 嫌なの? お父様に言い付けるわよ。それでもいいの? 」
下手に怒らせて良いことは一つもない。命令には絶対服従だ。
「うん。それでいいの。一枚ずつゆっくりと」
まったくこいつだけは許せない。こいつだけは。
「何をしてるの早くしなさい」
こちらの気持ちなど一ミリも考えないお嬢様。
人間であることさえ疑わしい。
「ふふふ…… よそ者に居場所なんてあるかしら? 」
「ほら入れて、早くしなさい」
「そこじゃない。もっと右。何度言えば分かるの? 不器用なんだから」
「ほらもう一度。いいからやるの」
「気持ちいい? 気持ちいいでしょう? 」
「その目は何? この私に逆らうつもり? 」
何度も何度。彼女の求めに応じて奉仕する日々。
もう体も心もボロボロ。限界だ。
そんな彼女の心も次第に離れだしている。
新しい男でもできたのか?
あと少し。もう少しだけ耐えればこんな仕打ちされずに済む。
毎日のように付き合わされては体がもたない。
「ではお嬢様これで」
急いで二姫の元へ。
姉妹で何を考えてやがる。
もう疲れた。相手をするのはもう限界だ。
何も気持ちよくない。何も感じない。いや不快感だけは残っている。
連日姉妹の相手をさせられる。
「姉さんはどうだった? ふふふ…… 」
また感想を聞いてきやがる。
「何も感じないさ」
「つまらない人。まあいいわこっちもお願いね」
こいつは姉に対抗するためだけに求める。
まったくどうしようもない女だ。
二姫にとって自分は姉への歪んだライバル心を満たすもの。
二姫が飽きることはない。
興味を失うこともない。
彼女が自分を捨てる時は実に簡単で一葉が自分を捨てた時。
そうすると醒めるのだ。
一葉がいらなくなったおもちゃを捨てると二姫も同じように切り捨てる。
これはこの女から直接聞いた話だ。
そうやって今までも何人もの村の男がこの姉妹の毒牙にかかった。
一葉が気に入れば二姫が隠れてちょっかいを出す。
こちらからすれば堪ったものではない。
常に基準は一葉だ。
もういいではないか自分を解放してくれないか。
そんな毎日。
「ねえ代替わりの儀式があるの知ってる? 」
「詳しくは…… それが何か? 」
「ふん。もう使えないんだから。いいわ教えてあげる」
今日の一葉は機嫌がいい。このまま大人しいと助かる。
「いいあなたの役目はこうよ」
まだこき使うつもりかよ。
これ以上自分に何をさせようって言うのか。
人使いの荒いお嬢様だぜ。
「三日三晩東の館に籠るからその間の食事と世話を頼むわ。
いいわね。私が満足するようにしっかりもてなすのよ」
「しかし確か何も食べないとの話でしたが…… 」
「いいから私の言うことを聞きなさい。これは命令よ。
ちょうどあなたの離れと私が籠る東の館は秘密の抜け穴で繋がっているの。
何という偶然かしら。これはもう利用しない手はないわね。
しっかり私のサポートを頼むわよ」
一葉の計画は完璧。
上手く行けば三日三晩何不自由なく過ごせる。
そんなつまらないことの為に自分は働くのか。
いや待てよ…… これはチャンスなのでは?
この機会を見逃す手はない。
ここは慎重に計画を進める必要がある。
一葉に悟られずに協力する振りをしてどうするかな?
楽しくなってきた。
もちろん妄想だけで実際に動く気はない。
いつも思い描いている殺害方法から新しいやり方に変えるだけ。
妄想ならば誰も傷つかない。誰にも気づかれない。
二姫の誘惑。
「言っておくけど今度のチャンスを逃せばあなたはもうお終いよ」
「ふん。言ってろ」
「当主があの一葉になればこの家もこの村もお終いよ」
「うるさい。それがどうした? 俺には関係ない話だ」
「これはお導きだと思わないの。もしよければ協力してもいいのよ」
「お前一体何が狙いだ? 」
「あなたには関係ないでしょう」
「胡散臭いんだよ」
「三貴にも危険が及ぶかもね。それでもいいの? 」
「三貴…… 俺にどうしろと? 」
「まあ今は楽しみましょう」
「まったくこれだから嫌なんだ」
姉妹は俺をいたぶると言う意味でよく似ている。
だが二姫とは対等。
俺の態度を咎めることもなくむしろ楽しんでいる。
彼女にも一葉に隠れて手を出してる負い目もあるのだろう。
俺が一葉に報告すれば二姫はただでは済まない。だから強い態度に出れる。
もちろん一葉だって薄々は気づいているだろうが。
姉妹を比べれば一葉よりは二姫の方がましだ。
もちろん両方ともどうしようもないクズだがな。
「さあ早く。焦らさないの」
「分かったよ」
まったくロクな人間じゃないなこいつら。本当に苦労するぜ。
続く
穴を抜けると再び山湖村へ。
結局自分は惨めだった。
一葉の言いなりでもはやただの情けない人間。
ただの下僕でしかなかった。
あの女のことを思いだすと今でも反吐がでる。
あの女め。俺を随分と良いように使いやがって。
「いいの? 言い付けるわよ」
「しかし…… 」
「いいから言うことを聞きなさい」
プライドだけは高い傲慢な女。
もちろん美人だ。
自分が相手になるとも釣り合うとも思っていない。
いつかは自分が想像もできない立派な男と結婚するんだろうな。
そうなったら自分はお払い箱。
いやそれならいい方だ。一生下僕として玩具にされる。
「はいお嬢様」
結局自分はこの村を抜け出せない。一生奉仕する運命。
「いい? ゆっくり。ゆっくりよ」
細かい注文ばかりしやがって。
これで言われた通りにやるとつまらないと怒り出すから始末に負えない。
「何その顔は? 嫌なの? お父様に言い付けるわよ。それでもいいの? 」
下手に怒らせて良いことは一つもない。命令には絶対服従だ。
「うん。それでいいの。一枚ずつゆっくりと」
まったくこいつだけは許せない。こいつだけは。
「何をしてるの早くしなさい」
こちらの気持ちなど一ミリも考えないお嬢様。
人間であることさえ疑わしい。
「ふふふ…… よそ者に居場所なんてあるかしら? 」
「ほら入れて、早くしなさい」
「そこじゃない。もっと右。何度言えば分かるの? 不器用なんだから」
「ほらもう一度。いいからやるの」
「気持ちいい? 気持ちいいでしょう? 」
「その目は何? この私に逆らうつもり? 」
何度も何度。彼女の求めに応じて奉仕する日々。
もう体も心もボロボロ。限界だ。
そんな彼女の心も次第に離れだしている。
新しい男でもできたのか?
あと少し。もう少しだけ耐えればこんな仕打ちされずに済む。
毎日のように付き合わされては体がもたない。
「ではお嬢様これで」
急いで二姫の元へ。
姉妹で何を考えてやがる。
もう疲れた。相手をするのはもう限界だ。
何も気持ちよくない。何も感じない。いや不快感だけは残っている。
連日姉妹の相手をさせられる。
「姉さんはどうだった? ふふふ…… 」
また感想を聞いてきやがる。
「何も感じないさ」
「つまらない人。まあいいわこっちもお願いね」
こいつは姉に対抗するためだけに求める。
まったくどうしようもない女だ。
二姫にとって自分は姉への歪んだライバル心を満たすもの。
二姫が飽きることはない。
興味を失うこともない。
彼女が自分を捨てる時は実に簡単で一葉が自分を捨てた時。
そうすると醒めるのだ。
一葉がいらなくなったおもちゃを捨てると二姫も同じように切り捨てる。
これはこの女から直接聞いた話だ。
そうやって今までも何人もの村の男がこの姉妹の毒牙にかかった。
一葉が気に入れば二姫が隠れてちょっかいを出す。
こちらからすれば堪ったものではない。
常に基準は一葉だ。
もういいではないか自分を解放してくれないか。
そんな毎日。
「ねえ代替わりの儀式があるの知ってる? 」
「詳しくは…… それが何か? 」
「ふん。もう使えないんだから。いいわ教えてあげる」
今日の一葉は機嫌がいい。このまま大人しいと助かる。
「いいあなたの役目はこうよ」
まだこき使うつもりかよ。
これ以上自分に何をさせようって言うのか。
人使いの荒いお嬢様だぜ。
「三日三晩東の館に籠るからその間の食事と世話を頼むわ。
いいわね。私が満足するようにしっかりもてなすのよ」
「しかし確か何も食べないとの話でしたが…… 」
「いいから私の言うことを聞きなさい。これは命令よ。
ちょうどあなたの離れと私が籠る東の館は秘密の抜け穴で繋がっているの。
何という偶然かしら。これはもう利用しない手はないわね。
しっかり私のサポートを頼むわよ」
一葉の計画は完璧。
上手く行けば三日三晩何不自由なく過ごせる。
そんなつまらないことの為に自分は働くのか。
いや待てよ…… これはチャンスなのでは?
この機会を見逃す手はない。
ここは慎重に計画を進める必要がある。
一葉に悟られずに協力する振りをしてどうするかな?
楽しくなってきた。
もちろん妄想だけで実際に動く気はない。
いつも思い描いている殺害方法から新しいやり方に変えるだけ。
妄想ならば誰も傷つかない。誰にも気づかれない。
二姫の誘惑。
「言っておくけど今度のチャンスを逃せばあなたはもうお終いよ」
「ふん。言ってろ」
「当主があの一葉になればこの家もこの村もお終いよ」
「うるさい。それがどうした? 俺には関係ない話だ」
「これはお導きだと思わないの。もしよければ協力してもいいのよ」
「お前一体何が狙いだ? 」
「あなたには関係ないでしょう」
「胡散臭いんだよ」
「三貴にも危険が及ぶかもね。それでもいいの? 」
「三貴…… 俺にどうしろと? 」
「まあ今は楽しみましょう」
「まったくこれだから嫌なんだ」
姉妹は俺をいたぶると言う意味でよく似ている。
だが二姫とは対等。
俺の態度を咎めることもなくむしろ楽しんでいる。
彼女にも一葉に隠れて手を出してる負い目もあるのだろう。
俺が一葉に報告すれば二姫はただでは済まない。だから強い態度に出れる。
もちろん一葉だって薄々は気づいているだろうが。
姉妹を比べれば一葉よりは二姫の方がましだ。
もちろん両方ともどうしようもないクズだがな。
「さあ早く。焦らさないの」
「分かったよ」
まったくロクな人間じゃないなこいつら。本当に苦労するぜ。
続く
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