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繰り返される悪夢 衝撃の真実
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間奏~ 夢章
「うわああ」
また隣の男が騒いでいるよ。勘弁してくれないか。
こっちは疲れてるんだからゆっくり寝かして欲しい。
あれ…… ここはどこだ?
「先生。先生」
助手が大声で呼びかける。
まったくうるさい。寝てるんだから静かにしてもらいたいものだ。
うん? なぜか助手は脱出しており私も外を走っている。いつの間に?
コウとルーシーが前方に。
一体何が起きた? 私が寝てる間に何が何が?
頭が混乱して現実を受け止めきれない。
突如場面が切り替わる。
「どうしたんですか。そろそろ着きますよ。支度してください」
「支度? 儀式? 帰る支度か? 」
「寝ぼけてないでほら急いで。先生のお世話は大変なんですから。
少しは協力してくださいよ。あー忙しい。忙しい」
牢の中で一体何に追われていると言うんだろう。忙しない奴だな。
ボックス席。食いかけのポッキー。うん? うん?
余計に混乱する。
確か牢の中だったような気がしたんだけど。いや逃走中だった気もする。
でものんびりとお菓子を食べていた気もしてきた。
見たところここは電車内。
そう言えば擦れるような音が聞こえた。
電車が駅に着いた?
まさかね。それでは今までのはすべて夢?
昨夜興奮して眠れなかったのが影響しているのだろう。
「なあ。ここはどこだ? 」
答えない。困ったな…… 少しは敬えよ。
いつの間にか事件を解決して帰ってる最中?
だがそれにしては犯人も動機も被害者の行方も何一つ覚えていない。
まさか寝ながら解決したとか?
しかしそれではまるで私はおっちゃんではないか。
そうすると…… 助手がその役割を演じたのか?
うーん。にわかには信じられない。
いや待てよ。首の後ろに違和感が……
ちょうどタイムリーな気もするしな。
「どうしました? 」
助手が不思議そうにこちらを見る。
私としては今の状況を説明してもらいたいのだが。
「どこへ行くつもりだ? 」
「ですからバスに乗り換えるんですよ」
「はああ? バスだと? 」
「そんな顔しないでくださいよ。これも第一村人の指示に従ったまでです」
ではまさか…… いやそんなはずはない。
「では失踪はまだ…… 」
「はい? 何のことですか? まあ大方いたずらか町おこしか何かでしょう。
困るんですよね。こっちだって忙しいんだから」
助手はため息を吐く。
「先生。さあぐずぐずせずに行きますよ。バスに乗り遅れたら辿り着けませんよ。
遅刻なんかしたら信用問題です」
どうもおかしい。まるでパラレルワールドに迷い込んだようだ。
急かす助手に聞く。
「一葉さんはどうした? 見つかったのか? 」
「誰ですかそれ。もしかして愛人ですか。先生まさか愛人を埋めたんじゃ? 」
馬鹿ななぜ私が? それに一度も会ったこともないし顔さえ知らない。
訳の分からない冗談を言う困った助手。
「では二姫さんは? 」
「はあ奥さん? 」
何を言ってるのだろう。愛人の次は奥さんときた。
「残念ながら私はまだ独身だ」
そんな名前の奥さんは今のところいない。絶賛募集中なのだが。
探偵業に理解を示す人はなかなかいない。
狙われやすいく危険と隣り合わせ。時間も不規則。
ああいい人いないかなあ……
「ちなみに聞くが三貴さんは? 」
絶句する助手。
もはや彼の想像をはるかに超えているのだろう。
でも最後にどうしてもこれだけは聞いておきたい。
「ルーシーは? 」
「どうしちゃったんですか先生? ハーレムですか? 」
本気で心配されてしまう。どうやら彼とは住む世界が違ってきてしまったのだろう。
冗談ではない。これでは本当に夢落ちではないか。
助手にもう一度聞くがやはりまだ事件どころか村にも辿り着いていないとのこと。
「一葉はどこで? 」
「さあ…… 」
もう認めるしかない。全ては夢だったのだと。そう理解した。
「さあバスが来ますよ。行きましょう」
助手はこちらのこともお構いなしに走り出す。
仕方なく何が何やら分からずについて行く。
全ては夢。
連続失踪事件は起きていない。
そう今は平和な世界。
日常だ。
まだぎりぎり都会。我々の常識の通用する範囲内。
山奥の田舎ではない。
ふう長い夢だったな。
「先生早く」
「分かった。分かった」
バスが発車。
何とか乗り遅れることなく予定のバスに。
助手が優秀だと助かる。
さすがは秘書検定を合格しただけのことはある。
さあまだ見ぬ未開の地山湖村へ。
悪夢は…… まだ……
続く
「うわああ」
また隣の男が騒いでいるよ。勘弁してくれないか。
こっちは疲れてるんだからゆっくり寝かして欲しい。
あれ…… ここはどこだ?
「先生。先生」
助手が大声で呼びかける。
まったくうるさい。寝てるんだから静かにしてもらいたいものだ。
うん? なぜか助手は脱出しており私も外を走っている。いつの間に?
コウとルーシーが前方に。
一体何が起きた? 私が寝てる間に何が何が?
頭が混乱して現実を受け止めきれない。
突如場面が切り替わる。
「どうしたんですか。そろそろ着きますよ。支度してください」
「支度? 儀式? 帰る支度か? 」
「寝ぼけてないでほら急いで。先生のお世話は大変なんですから。
少しは協力してくださいよ。あー忙しい。忙しい」
牢の中で一体何に追われていると言うんだろう。忙しない奴だな。
ボックス席。食いかけのポッキー。うん? うん?
余計に混乱する。
確か牢の中だったような気がしたんだけど。いや逃走中だった気もする。
でものんびりとお菓子を食べていた気もしてきた。
見たところここは電車内。
そう言えば擦れるような音が聞こえた。
電車が駅に着いた?
まさかね。それでは今までのはすべて夢?
昨夜興奮して眠れなかったのが影響しているのだろう。
「なあ。ここはどこだ? 」
答えない。困ったな…… 少しは敬えよ。
いつの間にか事件を解決して帰ってる最中?
だがそれにしては犯人も動機も被害者の行方も何一つ覚えていない。
まさか寝ながら解決したとか?
しかしそれではまるで私はおっちゃんではないか。
そうすると…… 助手がその役割を演じたのか?
うーん。にわかには信じられない。
いや待てよ。首の後ろに違和感が……
ちょうどタイムリーな気もするしな。
「どうしました? 」
助手が不思議そうにこちらを見る。
私としては今の状況を説明してもらいたいのだが。
「どこへ行くつもりだ? 」
「ですからバスに乗り換えるんですよ」
「はああ? バスだと? 」
「そんな顔しないでくださいよ。これも第一村人の指示に従ったまでです」
ではまさか…… いやそんなはずはない。
「では失踪はまだ…… 」
「はい? 何のことですか? まあ大方いたずらか町おこしか何かでしょう。
困るんですよね。こっちだって忙しいんだから」
助手はため息を吐く。
「先生。さあぐずぐずせずに行きますよ。バスに乗り遅れたら辿り着けませんよ。
遅刻なんかしたら信用問題です」
どうもおかしい。まるでパラレルワールドに迷い込んだようだ。
急かす助手に聞く。
「一葉さんはどうした? 見つかったのか? 」
「誰ですかそれ。もしかして愛人ですか。先生まさか愛人を埋めたんじゃ? 」
馬鹿ななぜ私が? それに一度も会ったこともないし顔さえ知らない。
訳の分からない冗談を言う困った助手。
「では二姫さんは? 」
「はあ奥さん? 」
何を言ってるのだろう。愛人の次は奥さんときた。
「残念ながら私はまだ独身だ」
そんな名前の奥さんは今のところいない。絶賛募集中なのだが。
探偵業に理解を示す人はなかなかいない。
狙われやすいく危険と隣り合わせ。時間も不規則。
ああいい人いないかなあ……
「ちなみに聞くが三貴さんは? 」
絶句する助手。
もはや彼の想像をはるかに超えているのだろう。
でも最後にどうしてもこれだけは聞いておきたい。
「ルーシーは? 」
「どうしちゃったんですか先生? ハーレムですか? 」
本気で心配されてしまう。どうやら彼とは住む世界が違ってきてしまったのだろう。
冗談ではない。これでは本当に夢落ちではないか。
助手にもう一度聞くがやはりまだ事件どころか村にも辿り着いていないとのこと。
「一葉はどこで? 」
「さあ…… 」
もう認めるしかない。全ては夢だったのだと。そう理解した。
「さあバスが来ますよ。行きましょう」
助手はこちらのこともお構いなしに走り出す。
仕方なく何が何やら分からずについて行く。
全ては夢。
連続失踪事件は起きていない。
そう今は平和な世界。
日常だ。
まだぎりぎり都会。我々の常識の通用する範囲内。
山奥の田舎ではない。
ふう長い夢だったな。
「先生早く」
「分かった。分かった」
バスが発車。
何とか乗り遅れることなく予定のバスに。
助手が優秀だと助かる。
さすがは秘書検定を合格しただけのことはある。
さあまだ見ぬ未開の地山湖村へ。
悪夢は…… まだ……
続く
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