『第一村人』殺人事件

二廻歩

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メインヒロイン? ルーシー登場

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「岩男氏は昨日の昼に亡くなったよ」

オウ イエスタデーヌーン オーマイ・ゴット

「ホントウね? ウソか? からかってはダメ」

「嘘なものか。それで岩男氏に何の用が? 」

「ウーン ウウ…… 」

訳アリなのかあまり言いたくないらしい。

まあ今すぐに知らなくてもいいか。そのうち分かるだろう。


「自己紹介がまだだったね。私はアイ。連れは私の助手。

我々は東の方で探偵をやっています。お困りのことがありましたらいつでもどうぞ。

もちろん無料で。何でも致します。アフターサービスも万全です」

ついつい癖で何でも屋みたいな紹介の仕方をしてしまう。まだまだ不慣れな探偵業。


「イースタンスラッガー」

「はああ? 野球? 」

「オウ イエー」

どうやらうまく伝わったようだ。

「イワオ イワオ」

「イワオ? 君と岩男氏はどんな関係なの? 」

「先生…… 」

私の陰に隠れて何か囁きながらもじもじしている情けない助手。

本来彼ぐらい適任な者はいないはず。だがなぜか照れている。

察するに美人…… 特に西洋系美女には弱いようでさっきから後に引っ付いている。

可愛らしいと表現したらいいのか情けないとしたらいいのか迷うところ。

ここは頑張れと応援するに留めておく。


「イワオとは直接会ったこと無いね。バット…… マザーが世話になったよ。

今回はマザーが亡くなったことを伝えるためよ。

だから遠くからわざわざこんなくそ田舎までやって来たね。以上」

まるでどこかの芸人のような厚くキレのあるジェイソン? ではなくルーシー。

「くそ田舎? ちがいまーす」

まずいまずいルーシーの片言がうつった。

その様子を助手に笑われる。

意外と大変なんだぞ。対応が難しいんだから。


「ここは西湖村。おっと違った山湖村でした」

「サンゴ? オウ、バリアリーフね」

「違う。山湖村だって」

「シンコ? 」

「ノー サンコビレッジ」

「ティンコ? 」

これ以上は危険なので適当に頷く。


「それで? 」

「この村の人誰もイワオ教えてくれないよ。ノーバディーノーズ」

「そうか。そうか。ならば協力しよう。私たちがついて行けば安心だろ」

「オウ グレート 助かりまーす 」

「良いんですか先生? 」

「どうせ暇なんだから良いのさ」

「もう。知りませんよ」

「決まりだ。イワオがいなくてもその家族に事情を伝えればいいさ」

「サンキュー ベリー ベリー マッチ ヘンタ・アイ」

名前は間違ってるが気にしない。好きなように呼べばいいさ。

困っているルーシーを放っておけず岩男の屋敷に向かうことにした。


横に並ぶのも恥ずかしいのか助手は私たちと距離をとって追いかけてくる。

その様子を家の中からじっと見つめる男の姿。太郎だ。

その眼には怒りの炎が燃えたぎっている。

誰に対するものなのか不気味な笑みを浮かべるとすぐに戸を閉める。

彼が何を考えているのか分からない。危険人物?

いや考え過ぎか。村人の反応などこんなもの。

「さあ行きましょう。こっちです」

儀式の始まりの場であり完結の場でもある大きな屋敷へ。

我々としても初めての場所。

岩男氏のこともあるので慎重に行動するべき。


「そうだ。ルーシーさんはいつからこの村に? 」

「ウーン 分からないよ」

いやいやそんなはずはないだろう。はぐらかすつもりか。

じっと見つめ反応を見る。

「オー ワタシ昨日から。ここの皆さんなぜかワタシを嫌ってるね」

閉鎖的な山奥の村ではある程度仕方ない。

だがどこまでなのかは少し気になるところ。


「ルーシーはサンセット見たの? 」

慣れたのか助手が話しかける。

彼の中でどう言った変化があったのか知らないがいい兆候だ。

まあ元々ルックスはいい。女受けもする。

軽口も叩くので慣れればグイグイ行くタイプ。

この村の観光スポットを教え距離を詰めようとしている。

「ノーまだね。レイクとサンセットがこの村の名物って聞いてるよ。

帰るまでに何とか見てみたいね」

明るく元気なルーシーとの旅に助手のみならず私も癒される。


殺気?

ようやくメインヒロインの登場かなと浮かれていると急に何かが飛んできた。


                    続く
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