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君思うことなかれ
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一枚。
桜の花びら。
最後の一枚が落ち風に舞う。
独りぼっちの僕。
あれから三十分は経った。
ヨシノさんはどうしたのだろう?
忘れたのか? 怒って帰ってしまったのか?
いやまさか……
三十分。もう三十分だ。
長い。長すぎる。
どんなにかかっても三十分はあり得ない。
どうしたのだろう?
取り残された?
急に不安が押し寄せてくる。
心を保てない。冷静でいられない。
ヨシノ先輩!
ヨシノさーん!
一向に戻ってこない彼女。
何かあったのか?
そうだ。そうに違いない!
僕はなんてバカなんだ。
彼女に何かあった。
トラブルに見舞われた。
だから戻ってこれない。
それしか合理的な説明がつかない。
トイレを見る。
そして桜を見る。
もう一枚もない。全て落ちてしまった。
来年また……
いや、それも五分五分だ。
半分の木は切り倒されるのだから。
桜に来年はない。
僕らにも来年どころか……
いや考え過ぎだろう。
しかし帰ってこないのはやはりおかしい。
頭が混乱する。もうパニック寸前。
今すぐにでもトイレに行き、中を調べたい。
だがさすがに女子トイレに入っていいものか。
迷いがある。
できたら誰かに見てもらうのがいい。
しかしこの辺りに人はいない。
それはそうだろう。
こんな寒い夜遅くに誰が好き好んで公園に。
いくらライトアップされているとはいえ近づくものか。
ではやはりここは……
ああやっぱりダメだ。待つ以外に方法はない。
ライトアップもそろそろ終了の時刻。
消えれば完全な闇。
彼女を探し出すなど不可能。
ライトアップされている今のうちに。
いやダメだ。
待つんだ。待つしかない。
僕には待つことしかできない。
たとえ彼女が戻ってこなくても待ち続ける。そう決めたんだ。
ヨシノ先輩!
ヨシノさーん!
早く!
早く戻ってきて!
願いが届いて欲しい。
どうか!
五分が経過した。
もう彼女はトイレにいない。
帰ってしまった。
いや元から存在して無かったのではないか。
ヨシノなどと言う人物は初めからいなかった。
もういいんだ。
これ以上。
どうか。
もういい。
見てこよう。
いや待てよ?
ダメだ。
誰かに頼む。
お願いだ。
決め切れずに時間だけが過ぎていく。
よしトイレまで行こう。
そして呼びかけよう。
反応があればいる。
反応が無ければいない。
単純じゃないか。
何も僕が中まで入る必要もない。
まったく自分は何て愚かなんだ。
よし行こう!
行くぞ!
ダメだ!
怖い! どうしようもなく怖い。
いないことが受け入れられない。
もうどうしようもない。
待つのだ。
待とう。
待つのは慣れている。
夜中になろうと。
明日までだっていい。
講義は休まざるを得ないが仕方がない。
よし待つぞ!
待ち続ける。
続く
桜の花びら。
最後の一枚が落ち風に舞う。
独りぼっちの僕。
あれから三十分は経った。
ヨシノさんはどうしたのだろう?
忘れたのか? 怒って帰ってしまったのか?
いやまさか……
三十分。もう三十分だ。
長い。長すぎる。
どんなにかかっても三十分はあり得ない。
どうしたのだろう?
取り残された?
急に不安が押し寄せてくる。
心を保てない。冷静でいられない。
ヨシノ先輩!
ヨシノさーん!
一向に戻ってこない彼女。
何かあったのか?
そうだ。そうに違いない!
僕はなんてバカなんだ。
彼女に何かあった。
トラブルに見舞われた。
だから戻ってこれない。
それしか合理的な説明がつかない。
トイレを見る。
そして桜を見る。
もう一枚もない。全て落ちてしまった。
来年また……
いや、それも五分五分だ。
半分の木は切り倒されるのだから。
桜に来年はない。
僕らにも来年どころか……
いや考え過ぎだろう。
しかし帰ってこないのはやはりおかしい。
頭が混乱する。もうパニック寸前。
今すぐにでもトイレに行き、中を調べたい。
だがさすがに女子トイレに入っていいものか。
迷いがある。
できたら誰かに見てもらうのがいい。
しかしこの辺りに人はいない。
それはそうだろう。
こんな寒い夜遅くに誰が好き好んで公園に。
いくらライトアップされているとはいえ近づくものか。
ではやはりここは……
ああやっぱりダメだ。待つ以外に方法はない。
ライトアップもそろそろ終了の時刻。
消えれば完全な闇。
彼女を探し出すなど不可能。
ライトアップされている今のうちに。
いやダメだ。
待つんだ。待つしかない。
僕には待つことしかできない。
たとえ彼女が戻ってこなくても待ち続ける。そう決めたんだ。
ヨシノ先輩!
ヨシノさーん!
早く!
早く戻ってきて!
願いが届いて欲しい。
どうか!
五分が経過した。
もう彼女はトイレにいない。
帰ってしまった。
いや元から存在して無かったのではないか。
ヨシノなどと言う人物は初めからいなかった。
もういいんだ。
これ以上。
どうか。
もういい。
見てこよう。
いや待てよ?
ダメだ。
誰かに頼む。
お願いだ。
決め切れずに時間だけが過ぎていく。
よしトイレまで行こう。
そして呼びかけよう。
反応があればいる。
反応が無ければいない。
単純じゃないか。
何も僕が中まで入る必要もない。
まったく自分は何て愚かなんだ。
よし行こう!
行くぞ!
ダメだ!
怖い! どうしようもなく怖い。
いないことが受け入れられない。
もうどうしようもない。
待つのだ。
待とう。
待つのは慣れている。
夜中になろうと。
明日までだっていい。
講義は休まざるを得ないが仕方がない。
よし待つぞ!
待ち続ける。
続く
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