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第二章

33.確認

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何故皇子様が俺を【アベル】じゃないと認識してるのかは大体は予想出来た。
正直、この予想が当たっていて欲しく無いが。

きっと皇子様は前の記憶を知っているのだろう。

「………」

「黙っているって事は君は【アベル】じゃないって事を肯定してるって捉えて良いのかな?」

ニコリと笑う顔は少し不気味だったが、こいつの為に俺が態々教えなくてもいいだろう。

「はぁ…お好きに捉えてください」

「そうか。ではそうさせてもらうよ」

ぶっきらぼうに答えたのに、どこか満足気な顔で優雅に紅茶を飲んだのも束の間。

「では、本題に入らせてもらうね」

「本題…?」

さっさと帰って仕事したいのに面倒だな。
もう適当に聞き流してさっさと帰るか。

「君は何処かで【アベル】を見かけなかったかい」

その言葉を聞いて俺は聞き流すのを諦めた。
あんだけアベルを苦しめた癖によくもいけしゃあしゃあと遠回しに何処に居るかなんて聞けるな。

「さぁ?例え知っていても教えはしないですよ」

「ふぅん、また王族の命を下せば素直に話してくれるかな」

「ははっ、その直ぐに権力振りかざす様な態度を改めれば皇子様の【アベル】に会えるんじゃないですかね」

嘲笑うように答えれば、少しだけ歪んだ顔をした。

「そうか…やはりこういう所が駄目んだな」

素直に聞く耳持つのはいいが。
俺が何もしなくても、皇子様に散々苦しめられたエイト自身が皇子様に会いたいって言ってるんだし、いつか必ず再開するんだろうけど。

まぁ、俺が少し知りたい事を聞いてみるか。

「少し話は変わりますが、皇子様が大変溺愛していたミカはどうされたんでしょうか」

「あぁ、ミカなら王国反逆罪で捜索中だよ」

「は?」

サラリととんでもない事を言われて一瞬だけ変な顔になりそうになった。
俺は両親の説得()のおかげで打ち切りになったが、まさかミカがそこまでヤバくなってるとは。

前世も今世もアベルを殺そうとしてまで深く愛していたのにと。

そんな複雑な表情を読み取ったのか皇子はフフと優雅に笑った。

「……君は【アベル】と比べて分かりにくい事が多いいけど今のは驚いた顔したね」

「今のは誰であろうとも当然の反応ですよ」

「ふふ、今は誰にも口外してはいけなくてね。
簡単に話すと私を貶めようとしたからだよ」

あぁ、早くあの首を刎ねたいな。

そう小さな声でボソリと呟いたのを聞いて、ゾッと鳥肌がたった。
前世にアベルが死んだ後、何があってこんな怨念の篭った目で恨まれているんだろう。

「まぁ、君にちゃんと謝れて聞きたかったことも聞けたから良かったよ」

「そうですか」

「……本当はね、なりふり構わず君に【アベル】の事を協力して貰いたかったんだけど。
さっき君の表情を見たら、僕が取り返しのつかない程【アベル】傷つけたんだから君を頼らずに自分の力で探さないとって決心がついたよ」

スっとソファーから立ち、こちら側に来たと思ったら深く頭を下げられた。

「えっ!?何してるんですか!!?」

「本当に済まなかった。
君には散々迷惑を掛けてしまった事と愚か者だった僕の事を改めて謝罪させてくれ」

「……簡単には許せないですけど、今の皇子様ならきっと【アベル】も少しは話を聞いてくれるんじゃないですかね」

そう答えると、皇子様は少し泣きそうな顔をして微笑んだ。


ーーーーーーーー


こうしてとんでもないアクシデント(皇子様謝罪事件)も一旦終わり。

やっとアイツらと再会出来る事になった。

「はぁ~、数ヶ月間離れただけでこんなにも寂しいんだなぁ」

早く会いてぇなと思いながら自分の部屋に戻り、ベットに倒れ込んだ。


続く…更新頻度増やしたい
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