前世悪役令息だった平凡な俺はまた前世に戻り今度は恋せず生き残りたい。

第一章

10.隠れ家に行きます

皇子様を殴った瞬間に貴族達は騒いでいた。

「なっ、ぼっ僕を殴ったな！！」

ガシッと胸ぐらを掴むと情けない声をだす。
早口で低い声を出しながら睨むと泣きそうになっていた。

「てめぇが浮気したくせに淫乱ってなんだよ」

「ひっ、おっお前こそソイツらと浮気してるんだろ！！このアバズレが！！」

バキッ

『キャー！！うわぁ！！』

「てめぇが俺の仲間にガタガタと汚ぇ言葉吐いてんじゃねぇぞクソが、大体てめぇが連れきたゴミが勝手に騒いでこんな状況になってんだよ。どう責任とんだあ"ぁ"？」

「しっ知らない！！僕は知らないからな」

「もう1回殴ってやろうか？」

「ひぃぃ」

すると傍観していたミカが胸ぐらを掴んでいた俺の腕を掴んで止めに入る。

「やっ止めてください！！変わりに僕が謝りますから！！」

俺はコイツの顔を見た瞬間に更に怒りが止まらなくなり思いっきり横腹を足蹴りした。

「てめぇ舐めてんのか」

「うわぁぁん痛いよぉ」

「俺が居るの分かってて馬鹿なコイツと入場して来て挙句の果てには逆ギレして泣いて喚いて問題起こしておめぇらクソ迷惑なんだよ。」

ガンっとまたミカの腹を蹴って皇子様の股間を思いっきり蹴り飛ばした。
皇子様は悶絶してミカは泣き叫ぶ。

やっと頭が冷静になってきて俺はやってしまったと後悔した。
チラリ3人を見るとアークは過去を思い出したのか強ばって震えていて2人はキラキラした顔で俺を見ていた。
取り敢えず倒れてる2人にお辞儀して周りの貴族達にもお辞儀をした。

「こちらの事情で騒がしくしてしまい申し訳ございませんでした！私は退場致しますので皆様はパーティーを続けて下さい」

ニコリ笑うと貴族達は苦笑いしながらパーティーを続けた。
俺は最後に悶絶している皇子様の頭を掴んで顔を上げさせる。

「今度、俺の事アバズレとか淫乱って言ったらてめぇのソレ潰すから覚えてろよ」

ガンッと思いっ切り地面に叩きつけてから3人を連れて外に出る。

「はぁ……つい頭にきて止められなかった」

「済まない、アベルが怖すぎて過去を思い出して止められなかった。」

「僕は当然だと思ったから止めなかったよ」

「我もだ。それにしてもさっきのアベルは美しくて敵に回したら恐ろしいと思う程素敵だったぞ」

「出来るなら止めて欲しかったですけどね」

ガラガラ、キキィー。

「お迎えに上がりました」

目の前に俺の家の馬車が来ていた。
えっ？連絡してねぇのになんで来てんだ。

「さっき我が護衛の奴に迎えを頼んでおいた」

「ありがとうケイン。でも当分家に帰れないと思うからどっかで泊まるわ」 

そう伝えるとエリックは何かを思い出したかのような顔をして提案してきた。

「なら僕達3人の隠れ家でしばらく過ごすのはどうかな？」

「「あー」」

「は？お前ら隠れ家なんて作ってたのかよ」

「そういえば使用人達に設備のことを任せて以来全く来てなかったしな」

「互いに忙しくて全然集まらなかったからな」

「僕はアベルのお世話したいし久しぶりに行くけど2人は来る？」

「「行くに決まってるだろ」」

「はい決定。アベルも早く乗って！」

「あっあぁ」

4人で馬車に乗り込み、隠れ家の付近の場所を御者に言ってそのまま3人の隠れ家に向かった。

取り敢えず着いたらゆっくり休みたい。