BLゲーの悪役に転生したら予想外の展開でした。

たら

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11.許せなくなった

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【ーーーside】

突如バチッと弾かれたかの様に目が覚めた。

「は??なぜ俺はリビングに居るんだ?」

呆然としながら再度周りを見渡すが、どう見ても自分のマンションだった。

おかしい。さっき迄、学園に居たはずなのに。

多少混乱する頭で何とか今日の事を思い返そうとしたが。

「確か何時も通りに学園を過ごした後、あのクソ野郎に嫌がらせをしていた筈だが」

何故こっから先の記憶が無いんだ?
それに、視界の端に5つの紅茶カップが目に映り、頭に血が上ってきた。

「まさか、俺がアイツらを家に呼んだのか?」

ガッと口元を抑え、荒くなる呼吸と怒りで震える体を何とか制御した。
取り敢えず状況を確認する為に1度紅茶を持ってリビングから出よう。

「くそっ、無駄に重い」

この俺が何故アイツらの為にこんなに重いトレーを持たなくてはいけないんだ!
それだけでイラつくのに。俺が徹底して避けていた筈のアイツらを家に呼んだかも理解が出来ない。

この気分最悪の状況であいつらの笑顔なんて見たら怒りが抑えられなくなる自信しかないから多少不安だ。

ーーーーーー

腕をプルプルさせながらキッチンのドアを開き、1度深呼吸してアイツらの居るリビングに着いた。 

重かったトレーを机に乗せた瞬間。

「おかえり光輝♡」

ブチッ。

「…あぁ」

俺に『あんなこと』しといて今更甘い声と幸せそうな瑛人の笑顔を見てしまい、ほぼ条件反射で微笑みながら紅茶をぶっかけた。

「えっ…」

当然びしょ濡れの瑛人は困惑していた。
いい気味だなと内心嘲笑いつつ早く俺の前から消えろと思った。

「お前のその笑顔が俺の癪に障るから笑うな」

「こ…光輝」

「こっ光ちゃん??」

焦りながら口を開いた化け狐の声が聞こえて冷めた目で見つめる。
俺がコイツらを『許せなくなった』現状を最初に作ったゴミ野郎だったからだ。

「は?ゴミが俺に話し掛けてくるな。
あぁ…心根からゴミの匂いがしてくせぇからお前もこのカスと同じくぶっかけてやるよ」

バシャッ。

「こっ光ちゃ「お前はあんな事しといて普段俺の前で平然な顔してるけど当然怒れねぇ立場だよな?」

「ヒュッ」

真っ青になって震える紅葉の姿を見て段々と頭が冴えていくと同時に普段では見れないであろう哀れな姿を目にしても全然怒りが静まらない。

やり場のない怒りだけが湧いて出てきて不愉快だ。

「ちっ、ソファが濡れて最悪だ。
何でこの俺が学園の秘密場所以外で時間を割いてまでお前らと会話しなきゃいけねぇんだよ!!」

あぁ、此奴らが同じ空間に居るだけでイライラが止まらない。

「クソがっ!!」

衝動的に机に置いたトレーごと地面に落としてカップを叩き割った。

瑛人と紅葉は濡れたままゴメンなさいと小さく呟いて震えていた。
今更謝ったって許すわけないのにな。

視界にチラリとソファーの端で青ざめながら呆然としている3人が写った。

「そこで怯えて震えてる塵共には興味ねぇよ」

コイツらは元々カスとゴミに唆された奴らだし。
まぁ、やった事に関しては所詮2人と同罪だがな。

はぁと深いため息を吐きながら頭の中で早くコイツらを家から追い出そうと考えていると。

「光くん??なんでそんな酷い事言うの!!」

「そうだぞ!さっきまでは普通だったのに」

「……はぁ?キメェ幻覚でも見たんだろ」

てか、さっき迄って何だ?
俺がこいつらの前で普通だったって可笑しな話だろ。

「おい、さっき迄って」

そう聞き出そうと、次の言葉を紡ごうとしようとした瞬間。

「………あ?」

突然バチッと閃光が走り視界が真っ暗になった。



続く…
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