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8.重苦しい不快感
しおりを挟むあれから攻略キャラ達と防弾か暗殺の為か窓の外が真っ黒で見えない高級車に揺られ、不安を抱えたまま西園寺の家に着いた。
車が止まり九条様が楽しげに話す。
「あ、光輝の家に着いたね!」
「そうだな」
そっけなく返事をして車を降りようとすると。
「降りる時気おつけて」
最推しの九条様に微笑みナチュナルイケメン紳士エスコートされて心の中では尊いあまり顔面がぐしゃあってなりかけたが現実は真顔のままだ。
さて、どんな家なんだろうと見上げると。
そこには馬鹿でかい高層マンションが立っていた。
「………え?」
あれ?なんか思ってたのと違う??
ヒロインが攻略キャラ達の家にお邪魔する時のスチルは洋風か和風の馬鹿デカい屋敷だった。
西園寺の家もどうせ一緒だろって勝手に思ってたけど。
「光輝さん??」
困惑に満ちた表情で呆然としていた俺を三枝は心配そうにくるくる俺の周りを回っていた。
「…っ(ワンコかよ!!可愛いなおい!)」
普段真面目で無口な奴がこんな可愛い行動するとかギャップ萌え過ぎて優勝だわ。
「何でもない」
「え、でも」
「煩い。さっさと家に行くぞ」
これ以上心配させられないから強引に手を握り黙らせると顔を真っ赤にしていた。
何故かズルいと怒っている他の攻略キャラ達を置いてさっさと自分の家に入った。
ーーーーーーーーー
お前だけズルいから早く手を離せとギャンギャンと野犬みたいに煩いからエレベーターに乗り込む時に外した。
「せっかく光輝さんに手を握って頂けたのに…」
「あんま調子乗んなや?手ぇ切り落とすぞ」
「はっ、笑わせないで下さい」
おい急にバトル開始すんな。
顔は涼しげだけどめっちゃ気まずいんだぞ??
「まぁまぁ!2人とも落ち着けって。
光は煩わしいのが嫌いなんだからさ」
流石は兄属性の荒木だ。
西園寺の事をよく分かってるな。
「………」
あのぉ…ずっと気になってんだけどさぁ。
九条様と南は何でお互い無言で睨み合ってんだよ!!
もっと朱雀と三枝みたい言い合いしろよぉ!?
心の中でツッコミを入れていると最上階に着いた。
やっと降りれるとエレベーターを降りた瞬間。
一気にズンっと鉛のような重い感情に支配される。
「(はっ!?なんだ…この重苦しい不快感は??)」
心が無意識に悲しくて寂しくて胸が締め付けられるような痛みを感じる。
なんでこんな気持ちになるのかは分からないけど、西園寺に何かあったんだろうか??
まぁ、とりあえず家に入ろう。
きっと攻略キャラ達の家みたいに使用人は少ないだろうけど執事とかメイドさん居るんだろうな~♪
俺は期待に胸を躍らせながら玄関の扉を開いた。
……続く
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