BLゲーの悪役に転生したら予想外の展開でした。

7.ﾋｨ…ｺﾜｲﾖｫ

全員で生徒会室を出た後、5人は俺から1m程前で距離を取りながら何時ものキャラに戻っていた。
その行動を後方から見ながらアイツら西園寺の約束を本当に守ってんだなと改めて実感する。

それに転生した‪‪ばっかなのに、いきなり攻略キャラ達がキャラ変したり。
急に俺の家でお泊まり(自業自得)とか展開がジェットコースター並で地獄だわ。

「はぁ」

これから先の事を考えるだけで頭痛と胃痛が止まらなくて色々と辛い。
胃の部分を軽く抑えながら歩いていると、前の方からキラキラと輝く可愛いヒロインが笑いながら攻略キャラ達に近づいてくる。

「生徒会の皆さ～ん！」

うひゃ～ヒロインめっちゃ可愛いよぉ。

「さて」

この状況で悪役が攻略キャラ達と一緒にいるは流石に変だし柱に隠れよう。

緩む口元を抑えながらヒロインとの会話を覗く。

「あぁ、蛇塚さん」

「こんにちは！」

「こんにちは。
えっと…下校時間はとっくに過ぎてるけど僕達に何か用事でもあったのかな？」

「いえ、私用で学校に残っていた所に偶然生徒会の皆さんが居たのでつい声掛けちゃいました」

「そうだったんだ」

「良ければ一緒に」

帰りませんか。と言いかけていた所に南が不機嫌そうに言葉を被せる。

「はぁ…あのさぁ早く帰りたいからさっさと退いてくんね？」

「え」

「俺達急ぎの用事があるから邪魔なんだけど」

「すっ、すみません」

うるうると涙を滲みながら謝るヒロインの姿を見て滅茶苦茶胸がズキズキする。
確かに南は俺様キャラだけど実際に目の当たりにすると口調がキツすぎて見てる方も辛い。

出来ることなら、このままヒロインちゃんを庇いに行きたいけどそんな事したらゲーム展開的に絶対にヤバいのは分かってる。

「てかさ、瑛人も善人ぶってないでどうでも良い奴なんて無視しろよ」

「康太！！」

「は？本当の事だろ」

「…ごめん蛇塚さん。せっかく声掛けてくれたのありがとうね」

「いえ！こちらこそ急いでる時に声掛けてしまってすみませんでした」

頭を下げて涙を流しながらバタバタと走って行き、南は不快そうな表情で毒を吐く。

「ったく、空気ぐらい読めっつーの」

「(ﾋｨ…ｺﾜｲﾖｫ)」

好感度０に近い南のヒロインに対する態度エグ過ぎないか？？
俺も南を攻略してる時に何度もイラついた時あったけどやっぱ俺様キャラが好きじゃないと滅茶苦茶キツイだろう。

心の中で何度目かも分からない溜息をつきながら攻略キャラ達の後ろを再度歩き始める。

前で歩いている攻略キャラ達はヒロインちゃんの事で話題になっていた。

「蛇塚さん遅くまで学校残っていたのって何の用事だったのかな？」

「そりゃあ俺達と仲良くなる為の言い訳やろ」

「きっとそうでしょうね。
何時も私達に群がってくる人達と同じですよ」

「誰も俺達に群がってない隙を見て話しかけてくるなんて蛇塚さんってある意味賢いと思うなぁ」

「一見清楚に見えて中身はドス黒いで蛇塚さん」

「まぁそれはどうかは分からないけど。
さっきの康太の言い方が悪いのもあるけど急いでるのは本当だったし。康太ありがとうな」

「やっぱ万里は分かってくれるわ～」

えっ………待って？？何でヒロインちゃんがこんなに好感度低いの？？？
文化祭前くらいの頃なら大体は攻略キャラ達と多少友好関係築いて仲良く話くらいの筈なのに、凄いボロカス言われてんじゃん。

「まぁ僕達は光輝の家に行くんだし、さっきの蛇塚さんの事はどうでもいいよ」

「「「「だな(ですね)」」」」

ドウデモヨクナイヨォ？？ナカヨクシヨウヨ。

頭の中グルグルしながら歩き。
俺と攻略キャラ達は高級車で俺の家に向かった。



 
続く…。