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Dead End ユUキ・サクラ (21)

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サクサクっと出来そうな実験は直ぐに思いついているので、パパっと説明して、実験するために必要な準備をするためにテキパキと動いて、小スペースを用意し、床に置いてある紙を念動力で拾い持ち上げてみる
「はい、準備出来たよー!」
勘の鋭い坊や達ならわかるよね?これからする実験はね、お姉ちゃんが目に見えない不可思議な力、念動力っと言う魔術を用いまして、床に置いてある紙を持ち上げました~。
さぁ!お兄ちゃんはこの不可思議な力を断ち切ることはできるのか?紙は天から地へと舞い落ちるのか!?実験開始!!

「この辺りで良いか?」
持ち上げた紙の上を手のひらで何度も往復して位置を確認している、最小限の力で浮かしているから力場を感じるのは、難しいんじゃないかな?
念動力は見えない力の様で実は見える、魔力を可視化する魔道具を使えば魔力の濃度でどの様に魔力が動いているのか何となく見える。見えるからと言って何をどのようにすれば抵抗できるのかは、知らない。

よくわかっていない力をよくわかっていない物質がどの様に作用するのか、内心実はすっごい楽しみだったりする。

予想としては、力場を発生している箇所に槍が通過したところで消されるとは思えれない。
何らかのの役割を与えている魔力を掻き消すことなんて出来るわけがない、魔術っという法則でコーティングされているんだから、そのコーティングされた法則に無秩序に触れ、法則を書き換え、または、かき消す、または、搔き乱す。

そんな物質をそう易々と生み出してはいけないし、扱ってはいけない。魔術に対して冒涜過ぎる。

特定のコーティングした術の法則を推察考察をしたのちに考えた手を使って乱すのならわかる。
特定の術式に対して反作用を持つ物質を事前に準備して対策を講じるっていうのもわかる。
研鑽の上に生み出そうと思えば出来る、特定の術式に対して抵抗するために術式を刻んでいるのであればわかる、そう作用するものだ。
Aっという術式をコーティングし終わるまでに違う術式でコーティングして法則を乱すっていうのもわかる。
既に発動している術式に対してコーティングを瞬時に解読して、事象の逆転を発生させて術式をキャンセルさせるのもわかる。

だが、無差別に、目標物を見定めているわけでもなく、無差別に!理解していないのに!
何も対策を講じていないのに!!そう!コーティングなんて関係ない!無視して消せる!そんな無茶苦茶!通るわけがない!!

なので、彼が試みる全ては失敗に終わるだろうっと、考えを読み取られないように仮面をかぶる。
微笑みを絶やすことなく勇気くんが指先をふよふよと紙の上を彷徨わせているとふと、紙の上から軌道を変える…む、そこを的確に?勘?それとも見えてる?たまたま?
「ん?何かあるな」
何で力場の場所が分かるの?バレにくくしていたんだけどな?ぐぬぬ。

そう、紙が浮遊していると考えると殆どの人が紙の上部をつまむ様にもっていると考える人が多いだろう。
もしくは、左右を掴んでいるんじゃないかって思う人もいるだろう
もしくは、下側をぐっとつまんでピンっと紙にテンションをかけていると考える人が多いだろう…

だが私は違う!!

私が紙を持ち上げている方法は!上から掴んでいるわけでもなく!左右を掴んでいるわけでもなく!下を掴んでいるわけでもない!ましてや糸を上部に取り付けて釣るしているわけでもない!!

中央だ…

中央に突き刺す様に念動力を刺している。そして、紙がぺらりと捲れない様にピンっと両端が立つように力場を形成している。
そう、私の人差し指から真っすぐ伸びて紙の中央にペタっとくっ付く様にして紙を持ち上げている。
そして、それを悟られないように私は両腕を組んで指先が勇気くんがいる場所から見えにくくしていた!
言われるまで種明かしをするつもりはなかった!だが…こいつ、力場を感じやがった…

「ふむ…」
力場に人差し指当てながら、まるで見えてるかのように力場をなぞる…的確に、見えるはずがないのに辿っていき、勇気くんの指先が私を指さし
「なるほど、サクラは意地悪だな、俺の初見では天井から吊り下げているのかと思ったが、君自身と繋がっているっと言うわけか」
っへ、っと悪態が口から漏れ出てしまう。
「ご明察、やるじゃん…さぁ、その力場をどうするのかな?ん?切れるのかな?何も付与していないただの棒が?」
自尊心を保つために挑発する、いくら、始祖様の術式と言えど、そこまで法則を越えた超常的な現象を易々と起こせるわけがない
「はは、小粋なジョークだな、かの…おっと、名前は言うわけにはいかない、だったな、俺と君が生み出した槍だ、不可能を可能にしてみせよう」
短剣サイズの槍を私と紙の間を叩き切る様に振り下ろす…


っは、この世に不条理は無い!!

内心、ガッツポーズを取る!なぜなら、紙は浮いたままだ!!
一瞬、力場が揺らいだような、力の流れが途絶えたような感覚がしたけれど、再度、瞬時に!繋ぎ合わせ力場を維持してくれたわ!!

…これで、わかった、あの槍はコーティングなんて関係ない、切る対象がそもそも想定している物とは違う!これはコーティングを切るんじゃない!魔力を切る!!
だが、魔力を切ったところで蛇口から流れる水を切るのと一緒!流れまではせき止めれていない!

私の勝ち!!

「…なるほど、これは…面白い!!」
グっと拳を握りしめ吠えているけれどさ、紙は落ちていないよ?
「これが、見えるはずのないモノを切るっという感覚なのだな…俺はまた、一つ新たな境地を得ることが出来た」
ぁ、感触とか、手ごたえとか、あった感じかこれ?そっか…私と同じで揺らいだような途絶えたような感覚と一緒でちゃんと伝わってんだな、ってちょ、ま!?
「!!」
っどわぁ!?こ、こらぁ!?れ、連撃はや、やめろよぉ!!

握りこぶしを握っていたかと思った瞬間に、綺麗な太刀筋で槍を振る。その姿はまさに舞のようだった。
私程の動体視力を持っていなかったら見逃していたね…

「ふむ、上下切り替えし、斜め振り下ろしからの斜め振り上げ通称V字切り、そこから振り上げた力を振り下ろす力を使い、足を地面から外しての縦軸での回転切り、全てに手応えがあった、感じ取れた…」
そうだろうね!その連撃は対処不可だったよ!っくそぅ
床に落ちた紙を恨めしそうに見つめてしまう。負けるつもりなんて一片すらないってのにぃ!!ぐぎぎ…
「…感覚掴んだでしょ?舞の時は初手に比べて確実に切られた感覚が強かった」
「わかるのか!…そうだとも、初断ちで得た感覚を…本当に感覚なのだが、こうしたらいいんじゃないかってイメージしながら連続で振って見たら、想像以上の手ごたえに、心酔しそうな程、心地よかった…」
そうなんだよねー。
ただ連続で切られたくらいなら魔力を太く流し続ければ問題ないんだけど、切られた箇所が何かしらの流れが発生しているのか魔力を伸ばそうとしても、切られた箇所から前へ魔力を伸ばせれなかった…切られた箇所が封じられて前へ行かせない様に抑えつけられる様な?引っかかるっと言う感覚では無かった、切られた箇所から魔力が消えていくような感覚だった…

しっかりと切断されたってこういう感覚なのだろう。
これなら、何かしらの術式によって洗脳されている、または、接続されていて意のままに操られている人を助けることが出来る。
それも、リスクなしに…洗脳系統は下手に解除しようとすると洗脳されている人の脳にストレスがかかりすぎてミスっちゃうと廃人になったりするし、接続されて操られている場合は下手に解除しようとすると解除しようとする術者が逆に乗っ取られたり、去り際に操っている人物の息の根を止めていったりする場合がある。

そのリスクを考えなくていいなんて、なんて、ご都合主義だ事!!術式に対してなんて冒涜!!
…対術者として、いざっていうときの切り札として最強すぎる。魔力の流れを断つっという事は、遠隔起動させる術式と術者がパスを繋げていたとしても、そのパスを切ってしまえば遠隔軌道を防げる。
槍と言う形状として投擲も有効的だと考えると、集団術式、儀式、祭壇、それらの魔力を集積する箇所に投擲すれば一撃で野望を阻止することが出来る…
失念していたよ、これを扱う人物が、どんな敵と闘ってきたのかってことを…
嗚呼、そうか、そうじゃんか、私達と違って始祖様が闘う相手っというのは…

くそったれな罠だらけの本を書いた人物、何処の世界、何処の星に住んでいるのかわからない、討伐されたであろう魔女という存在
とある世界線で…この前線基地、ううん、私達の街、その地下、今私がいる地下研究施設…その隣にある、悪魔崇拝していたやつらが使おうとしていた儀式用の陣
人の道から外れた者たち、人では太刀打ちできない超常なる存在達、きっと、始祖様はそういった脅威と闘い続けている、討伐対象、粛清対象と見なされた者たちを討伐するための得物…


…そうだよね…討伐対象は”人”も含まれているってこと、”粛清されるぞ”…何処で聞いた言葉だったかな?忘れちゃったや。

始祖様が持つべき得物だもの、特異なモノ、超常なるモノ、得体のしれないモノ…当然だ、私が知らない理解できないモノ共と闘う戦士
それが、始祖様だものね…これくらいの不条理…私の尺度で決めつけているだけ、世界は広い、私が知らないものは幾万、ううん、数えきれないほどある。
固定概念なんてくそくらえってね!!かぁ!たまんねぇ!!こういうの!こういうのが楽しい!!

全身が震える、私の常識を覆すものに出会うたびに心が躍る!
それが、私の愛する術式に関する物であればある程!!私の心は!心臓は!脳は!

とぶ!!


『なんていうか、姫様…』
「良い事じゃないか、楽しいっていうのは良い事だ、あの表情を見てごらん」
『うん、今まで見たことがない程に輝いている』
「…あれは、輝いているっていうよりも、快楽によって湧き上がってくる衝動を堪能しているっというのだ」
『…?両腕で自分を抱きしめる様に巻き付けて何処を見ているのかわからない、視線を天井に向けているのがそういうことなの?』
「表現の方法は人それぞれだよ、いつか、ユキもわかる日がくるよ…そうだな、ユキは人を好きになることが多い、その想いが通じ合ったときに、わかるかもな」
『そっか…そっか…なんとなく、わかった、かも?』


外野からの声何て届かなくなるほどに私の心は昂っていく。嗚呼、もっと、もっと…深い深い術式の空へと旅立ちたい…


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