320 / 394
Dead End ユ キ・サクラ (64)
しおりを挟む
気候的にもさー、死の大地で変幻自在に水を扱われると困るんだわ!
死の大地ってさ、基本的に暖かい地面で触れるとほんのりと熱を帯びてるって感じなんだよね。
でも、夜中になると冷たい風が吹く、冷たい風によって気温は下がる、そうなるとね~色々と不利になるんだよね。
長期戦になればなるほど、周囲の気温が下がっていくと兵士達の動きが鈍くなる、寒い状態で緊張を維持するのは難しい、当然、指揮も体力もごりごりと削られていく…
精神も体力も、何もかもが、寒さによってじわじわと奪われていく。
水によって、足場が悪いってだけでも相当なストレスになる、重い鎧を着た状態でのぬかるんだ大地ってのはそれだけで敵なんだよね!敵に強烈な渾身の一撃をお見舞いするには、大地の理は必須、踏み込む力が抜かるんだ大地に吸われちゃったらもう…敵に必殺の一撃は届かない…
そうなってくると考えなくてもわかる、目に見えて被害が大きくなる。
やるのなら短期決戦がベスト!なんだけどさぁ…
敵が生み出す水の量が多いと、敵を封殺するために私達が良く用いる火の連携が使えない恐れがあるんだよなぁ~。
それを見越したうえで、策を練らないといけない、私に救援を求めて、尚且つ、敵が持っている魔道具が何をしているのかっていう情報を添えてってことは、私が有効的な策を用意して駆けつけてくれることを願っているって事!
…水かぁ…
純粋な水だったら、まだ、マシなんだけど…水に変な特性を付与されてたら最悪だよね、例えば臭いとか、粘つく粘液性が高いとか、鎧を腐食させるアシッドタイプとか、水に特性を付与できるタイプだったら阿鼻叫喚!最悪の事態も想定しないといけない!
それだけじゃない、水って結構ね、質量が重たいんだよね、質量が重たい物質の塊をさ、私達が気が付かない上空にセットされて叩き落すような技法を持っていたら最悪だし、ダムを決壊したような如き勢いで濁流を産み出されてしまったら、部隊が全滅しかねない!敵がどの程度扱えれているのかってのも気になるよね。
最悪のケースばかりを考えても仕方がない!前向きに考えよう!どういう風に仕留めるか、対策も考えながら動かないと。
水だったらさ、敵事、凍らせるっていうのも一つの手だとは思うけれど…敵が生み出す水の量が常に流動的、つまり、流れる川のようになっていたら、表面の水を凍らせたところで流されてお終い。
当然、油もダメ、水と油は混ざらない、油を投げつけたところで流される。油よりも燃えやすく燃焼性の高いやつもある、あるが…被害が怖いから使えない。
土を尖らせたところで、あいつ等の毛を貫くほどの威力は無い。
風で敵が生み出す水を風圧で飛ばすってのは出来ない事も無いけれど、その風を産み出す魔道具は魔力の消費が激しい、扱う術者が持たない。
毒も水が邪魔をするから使えない。
電気は…魔道具も無ければ、扱いきれないから無理、っていうか、魔力が持たない。
ほーりーばーすとは使いたくない、ほーりーばーすとは何かしらの方法で光に熱と質量を付与して放っていると推察されているから、水で曲がる可能性があるから、下手すると周りに被害が出かねない。
八方房がりって思うじゃん?…そうでもない。
試運転はまだしていないけれど、開発している魔道具がある…切り札の一つ…決戦兵器として開発している魔道具がある。
最終決戦に備えて開発している切り札だから、敵に見られたくない!敵に、どんな性能なのかお披露目したくない!…とっておきの魔道具だけど、致し方ない…使ってみるか…
ポケットに手を入れて一枚の紙を取り出し、一つだけ、言葉を書きメイドちゃんに持たせ、研究塔に届けて欲しいと指示を出すと
「これを、研究塔にもって、いけば、いいんですか?」
紙の中身を見て、これって何の意味があるのか、理解はしていない様子。
それはそう、だってそれは、暗号だから、その暗号を知っているのは私と研究塔の長だけだもん。私からと、その暗号が書かれていない限り、絶対に決戦兵器等の封を解かない。
ほら急いで!っと急かすと、はいっと元気な声と共に駆け出していく。
健気に一生懸命に、時折、悪態をついたり、我儘を言う長い付き合いで妹のように感じている人、その後ろ姿を見て、明日を生きよう願おうと心に力が宿る。
私もまだまだ、皆を守るために動かないといけない、心の奥底にある決意という松明に明日を目指すという心を燃料にし火を灯すと、体の内側から力が廻ってくるように感じる。戦場へ行く覚悟が決まっていく。人は憎悪だけで動いてはいけない、憎悪だけで動くと明日を顧みなくなってしまう。私はまだこの世界で結果を残していない。
戦う覚悟が昂る作用で一歩地面を踏み、一歩地面を蹴るたびに少しずつ歩を進める速度が上がっていく。
気が付けば、急ぎ足となって、転送陣がある場所に到着していた。
転送陣の近くに待機していた戦士の一団に戦況を確認すると…想像していたよりも、人型に関しては問題なさそうな感じ?あれ?緊急事態じゃないの?
念を押す様に確認すると、緊急事態なのは間違いなく、敵を倒せれる人がいなく、人型を倒せれる程の強者が、違う現場での対応に追われているのね。
魔道具持ちが現れた現場に居るのが、まだ、人型討伐経験のない騎士部隊。
成程、指示通り、倒そうとせず、様子を伺いつつ、指示を請うたわけね!優秀じゃん!
必死に、懸命に、敵を食い止めているって状況で被害が出るのは時間の問題って、わけね、うんうん、状況判断能力が高い人がいるね。
誰がその部隊にいるのか確認すると、納得、逃げの一手、危険察知能力に関しては、非常に秀でている。流石!王族の隠し子こと、オリンくん!彼ならギリギリのラインを見極めてくれるから、被害は出て無さそう!なら、少しだけ此方もゆとりがありそう!経験が豊富じゃない部隊が対応していたら直ぐにでも出撃しようと思ったけれど、何とかなりそうかな。
オリンくんを信じて、此方も万全の状況で出撃する為に、魔道具の準備が整うまで、他の戦場の状況を確認する…
嫌な流れだと感じる。例えるなら、将棋で言うと、敵が角と飛車と前に出してきて、尚且つ、後ろには金と銀、更には桂馬も攻撃できる位置に配置されているって感じ!…いや、違うか、敵からすると馬鹿みたいに強い歩兵かもね…角と飛車はもっと奥で不敵な笑みでも浮かべながら様子見てるんだろうなぁ…いうなれば二回行動できる歩が前列同時に攻めてきているって感じかな?しかも無限湧きするタイプ…
どの部隊がどの敵と闘っているのか、内容を聞けば聞くほど、的確な配置だと思う…敵側がね…
要所要所、的確に此方の戦力を見定めた敵の配置、少しでも油断すれば根こそぎ持っていかれそうな布陣、その一手として投じられた魔道具持ちの人型
この布陣、この状況…考えられるのが、私達側の強い駒を引き釣り出して視線を釘付けにするために長期戦用を目的として投入された魔道具持ち人型と見ていいんじゃないかな?っていうか、私ならそうするん、だけど…報告に上がっている内容だとそうでも、ないのか?それとも、想定外な状況なのか?敵からすると強い駒だと思って配置したが、思っていた以上に戦果を出せていないって感じかな?
もう一度考える。
敵からすると、一筋縄ではいかない手ごわい敵を惹きつける布陣を展開して、私達の防衛ラインに絶対的な何処かしら、手薄になる場所が出来るのを待っている?
手薄になったところに長期戦用で運用可能な強い駒を配置して、私達の切り札的な強い駒をおびき寄せて…拮抗状態、ないしは、攻めていける状況を作って、じわじわと前線を上げていく。
ある程度、敵が用意している本陣を目的の場所まで進ませることが出来たら…私なら、何かしらの一手を打つ。
自爆タイプを大量投入でも良いし、純粋な駒として能力が高い、熊・虎・猿を一気に突入させれば、私達が展開している部隊を瓦解させることができる。
つまり、敵の作戦の流れ通りに進められてしまうと、私達は王手まであと少しって状況まで追い詰められているってこと。私達が負ける可能性が高いってわけ、ね。
人型と接敵した、オリンくんが即座に状況判断し、適切なタイミングでこの状況を街に…私に知らせてくれてよかった。
この状況を判断する人物がオリンくんではなく、武勇を求めて欲を出す人物だったら、確実に一手遅れるところだった。
敵からすれば攻めの一手、私達からすれば、守りの一手を選ぶのが定石だろう。だが、守ってばかりではじり貧となるのは目に見えている悪手だ。
私はその選択肢は捨てている。攻めの一手を既に選んでいる。この流れを断ち切るためには、私達は起死回生の一手を打つべきって考えるべき!
今から使う決戦用に開発しておいた魔道具の試運転に持ってこいって研究者としては、実験できるっていう喜びを感じちゃうけれど!
指揮官としては、正直に言うとお披露目はしたくないんだけどね!敵に見られるってことは対策を講じられる可能性があるからね!つっても、理想通りに最終段階にまで、この魔道具を開発改良できたら敵からすれば対策なんて、どう足掻いても出来るはずがないがな!
不敵な笑みを薄っすらと浮かべながらも、現場にいる戦士達に指示を出していく。
前線にいる各部署、各部隊に新兵器を投入すると伝令は飛ばしている。伝令内容もシンプルに敵をあるポイントに向かって引き付けたり誘導する様にってね。
指示を出し終えた後は、もう一度、現状、確認されている敵達の数を頭に入れ、魔道具からぶっぱなす素材の数が足りているのか大雑把に計算する。
思考超加速を使って念入りに何重にも策を巡らせればいいんだけど、あれは全てにおいて体への負担が強いから、なるべく使いたくない。
…うん。問題は無さそう、予想できる範囲での問題はね、敵の魔道具の内容も、最悪の想定から大きく外れている、ぶっちゃけると、なんだ雑魚かって感じがする。
現状、各部隊が闘っていて把握している範囲の敵、数に種類、情報通りであれば、全てを一点に向かって集めてくれれば、ぶっぱなしても問題ない量はある、思う。
問題は…魔道具に装着する為の後付けの筒…こっちの方が、連続起動に耐えきれるかなって、感じかな?かなり頑丈に作っているし、魔道具が生み出す風の力を利用して筒に飛ばす素材が当たらない様に工夫は凝らしているけれども、完全にまもれる構造ではない。
耐久テストって、何時したっけ?…直近だと一切していないんじゃないかな?っとなると、設計段階で完全に机上の空論状態で作成した状態のままってことになるんだよなぁっと一抹の不安を感じてしまうが、この頭脳が導き出した計算が大きく狂っているとは思えない!思いたくない!きっと大丈夫!!
不安によって少し手のひらに汗が滲み出てくるのを感じ、ついつい、スカートのポケットに入れてあるハンカチを取り出して汗を拭ってしまう。
皆に不安を感じてることを気取られない様に何時だって気丈に振舞っている、どんなプレッシャーの中だろうと私が要だという事を忘れてはいけない、心を全ての人が望む最上の姫に向けて切り替えていると声がかかる。
「姫様!準備整いました!」
声を掛けられた方向に視線を向けてコクリと頷く、さぁ、出撃…敵にこれ以上好き勝手にさせないよ。
不安を感じるのは実験をしていないから、机上の空論、私が考えた構造に間違いはない、開発している魔道具の耐久力をたぶんじゃない、弱気になるな。
素材的にこの程度は耐えれるだろう、心を研ぎ澄ませ、ココは戦場だ、例え耐久力が想定よりも弱くても、予備はある。問題はない。
「出撃するよ!転移陣起動して!」っと、声を出すと、私と共に出撃する親衛隊二人が応!っと、周囲の空気を震わせるように声を出す。
その衝撃は、近くにいる私の肌を通り抜け心臓にまで届くと言わんばかりだった。
人型に対しての殺意が込められているとても良いと感じる気迫が伝わってくる。
いいじゃん、その気迫に呼応して私の思考も完全に敵を殲滅する為に容赦なく冷酷な思考へと切り替えることが出来る。
冷酷な思考へと切り替わっていく最中、再生され続けていく、数多くの悲しき出来事、忘れるわけにはいかない恨み…幾度なく殺され続けてきた怨讐…
思い出せ、あれらがどれ程迄の人類を殺してきたのか、思い出せ、あれらが、私達に対して何をしてきたのか!
あいつらは、存在するだけで悪だ…恨みつらみ…山ほど、倍にして返しても返しきれない程に憎悪は募る一方…誰もお前たちは許しはしない断罪し尽くすまで私は止まらない
恨み辛みが足先から頭のてっ辺まで染まっていくのを感じる、滾る殺意のみで動くと視界が狭くなる。少し調整しないといけない、熱くもあり冷酷もあれ。
過去の恨みつらみだけじゃない、忘れるな希望を掴む為でもあることを…気迫を込めるのは、油断してはいけない相手だから、純粋に…相手が脅威だから。
魔道具持ちの人型だ、相性が悪い魔道具を持たされていてそうな感じだが、魔道具を持っている事には変わりはない…魔道具持ちの人型が出てくると誰かしら、人が死ぬっというジンクスがこの街にはこびりついている。努々忘れるな、魔道具は危険だと。
死の大地ってさ、基本的に暖かい地面で触れるとほんのりと熱を帯びてるって感じなんだよね。
でも、夜中になると冷たい風が吹く、冷たい風によって気温は下がる、そうなるとね~色々と不利になるんだよね。
長期戦になればなるほど、周囲の気温が下がっていくと兵士達の動きが鈍くなる、寒い状態で緊張を維持するのは難しい、当然、指揮も体力もごりごりと削られていく…
精神も体力も、何もかもが、寒さによってじわじわと奪われていく。
水によって、足場が悪いってだけでも相当なストレスになる、重い鎧を着た状態でのぬかるんだ大地ってのはそれだけで敵なんだよね!敵に強烈な渾身の一撃をお見舞いするには、大地の理は必須、踏み込む力が抜かるんだ大地に吸われちゃったらもう…敵に必殺の一撃は届かない…
そうなってくると考えなくてもわかる、目に見えて被害が大きくなる。
やるのなら短期決戦がベスト!なんだけどさぁ…
敵が生み出す水の量が多いと、敵を封殺するために私達が良く用いる火の連携が使えない恐れがあるんだよなぁ~。
それを見越したうえで、策を練らないといけない、私に救援を求めて、尚且つ、敵が持っている魔道具が何をしているのかっていう情報を添えてってことは、私が有効的な策を用意して駆けつけてくれることを願っているって事!
…水かぁ…
純粋な水だったら、まだ、マシなんだけど…水に変な特性を付与されてたら最悪だよね、例えば臭いとか、粘つく粘液性が高いとか、鎧を腐食させるアシッドタイプとか、水に特性を付与できるタイプだったら阿鼻叫喚!最悪の事態も想定しないといけない!
それだけじゃない、水って結構ね、質量が重たいんだよね、質量が重たい物質の塊をさ、私達が気が付かない上空にセットされて叩き落すような技法を持っていたら最悪だし、ダムを決壊したような如き勢いで濁流を産み出されてしまったら、部隊が全滅しかねない!敵がどの程度扱えれているのかってのも気になるよね。
最悪のケースばかりを考えても仕方がない!前向きに考えよう!どういう風に仕留めるか、対策も考えながら動かないと。
水だったらさ、敵事、凍らせるっていうのも一つの手だとは思うけれど…敵が生み出す水の量が常に流動的、つまり、流れる川のようになっていたら、表面の水を凍らせたところで流されてお終い。
当然、油もダメ、水と油は混ざらない、油を投げつけたところで流される。油よりも燃えやすく燃焼性の高いやつもある、あるが…被害が怖いから使えない。
土を尖らせたところで、あいつ等の毛を貫くほどの威力は無い。
風で敵が生み出す水を風圧で飛ばすってのは出来ない事も無いけれど、その風を産み出す魔道具は魔力の消費が激しい、扱う術者が持たない。
毒も水が邪魔をするから使えない。
電気は…魔道具も無ければ、扱いきれないから無理、っていうか、魔力が持たない。
ほーりーばーすとは使いたくない、ほーりーばーすとは何かしらの方法で光に熱と質量を付与して放っていると推察されているから、水で曲がる可能性があるから、下手すると周りに被害が出かねない。
八方房がりって思うじゃん?…そうでもない。
試運転はまだしていないけれど、開発している魔道具がある…切り札の一つ…決戦兵器として開発している魔道具がある。
最終決戦に備えて開発している切り札だから、敵に見られたくない!敵に、どんな性能なのかお披露目したくない!…とっておきの魔道具だけど、致し方ない…使ってみるか…
ポケットに手を入れて一枚の紙を取り出し、一つだけ、言葉を書きメイドちゃんに持たせ、研究塔に届けて欲しいと指示を出すと
「これを、研究塔にもって、いけば、いいんですか?」
紙の中身を見て、これって何の意味があるのか、理解はしていない様子。
それはそう、だってそれは、暗号だから、その暗号を知っているのは私と研究塔の長だけだもん。私からと、その暗号が書かれていない限り、絶対に決戦兵器等の封を解かない。
ほら急いで!っと急かすと、はいっと元気な声と共に駆け出していく。
健気に一生懸命に、時折、悪態をついたり、我儘を言う長い付き合いで妹のように感じている人、その後ろ姿を見て、明日を生きよう願おうと心に力が宿る。
私もまだまだ、皆を守るために動かないといけない、心の奥底にある決意という松明に明日を目指すという心を燃料にし火を灯すと、体の内側から力が廻ってくるように感じる。戦場へ行く覚悟が決まっていく。人は憎悪だけで動いてはいけない、憎悪だけで動くと明日を顧みなくなってしまう。私はまだこの世界で結果を残していない。
戦う覚悟が昂る作用で一歩地面を踏み、一歩地面を蹴るたびに少しずつ歩を進める速度が上がっていく。
気が付けば、急ぎ足となって、転送陣がある場所に到着していた。
転送陣の近くに待機していた戦士の一団に戦況を確認すると…想像していたよりも、人型に関しては問題なさそうな感じ?あれ?緊急事態じゃないの?
念を押す様に確認すると、緊急事態なのは間違いなく、敵を倒せれる人がいなく、人型を倒せれる程の強者が、違う現場での対応に追われているのね。
魔道具持ちが現れた現場に居るのが、まだ、人型討伐経験のない騎士部隊。
成程、指示通り、倒そうとせず、様子を伺いつつ、指示を請うたわけね!優秀じゃん!
必死に、懸命に、敵を食い止めているって状況で被害が出るのは時間の問題って、わけね、うんうん、状況判断能力が高い人がいるね。
誰がその部隊にいるのか確認すると、納得、逃げの一手、危険察知能力に関しては、非常に秀でている。流石!王族の隠し子こと、オリンくん!彼ならギリギリのラインを見極めてくれるから、被害は出て無さそう!なら、少しだけ此方もゆとりがありそう!経験が豊富じゃない部隊が対応していたら直ぐにでも出撃しようと思ったけれど、何とかなりそうかな。
オリンくんを信じて、此方も万全の状況で出撃する為に、魔道具の準備が整うまで、他の戦場の状況を確認する…
嫌な流れだと感じる。例えるなら、将棋で言うと、敵が角と飛車と前に出してきて、尚且つ、後ろには金と銀、更には桂馬も攻撃できる位置に配置されているって感じ!…いや、違うか、敵からすると馬鹿みたいに強い歩兵かもね…角と飛車はもっと奥で不敵な笑みでも浮かべながら様子見てるんだろうなぁ…いうなれば二回行動できる歩が前列同時に攻めてきているって感じかな?しかも無限湧きするタイプ…
どの部隊がどの敵と闘っているのか、内容を聞けば聞くほど、的確な配置だと思う…敵側がね…
要所要所、的確に此方の戦力を見定めた敵の配置、少しでも油断すれば根こそぎ持っていかれそうな布陣、その一手として投じられた魔道具持ちの人型
この布陣、この状況…考えられるのが、私達側の強い駒を引き釣り出して視線を釘付けにするために長期戦用を目的として投入された魔道具持ち人型と見ていいんじゃないかな?っていうか、私ならそうするん、だけど…報告に上がっている内容だとそうでも、ないのか?それとも、想定外な状況なのか?敵からすると強い駒だと思って配置したが、思っていた以上に戦果を出せていないって感じかな?
もう一度考える。
敵からすると、一筋縄ではいかない手ごわい敵を惹きつける布陣を展開して、私達の防衛ラインに絶対的な何処かしら、手薄になる場所が出来るのを待っている?
手薄になったところに長期戦用で運用可能な強い駒を配置して、私達の切り札的な強い駒をおびき寄せて…拮抗状態、ないしは、攻めていける状況を作って、じわじわと前線を上げていく。
ある程度、敵が用意している本陣を目的の場所まで進ませることが出来たら…私なら、何かしらの一手を打つ。
自爆タイプを大量投入でも良いし、純粋な駒として能力が高い、熊・虎・猿を一気に突入させれば、私達が展開している部隊を瓦解させることができる。
つまり、敵の作戦の流れ通りに進められてしまうと、私達は王手まであと少しって状況まで追い詰められているってこと。私達が負ける可能性が高いってわけ、ね。
人型と接敵した、オリンくんが即座に状況判断し、適切なタイミングでこの状況を街に…私に知らせてくれてよかった。
この状況を判断する人物がオリンくんではなく、武勇を求めて欲を出す人物だったら、確実に一手遅れるところだった。
敵からすれば攻めの一手、私達からすれば、守りの一手を選ぶのが定石だろう。だが、守ってばかりではじり貧となるのは目に見えている悪手だ。
私はその選択肢は捨てている。攻めの一手を既に選んでいる。この流れを断ち切るためには、私達は起死回生の一手を打つべきって考えるべき!
今から使う決戦用に開発しておいた魔道具の試運転に持ってこいって研究者としては、実験できるっていう喜びを感じちゃうけれど!
指揮官としては、正直に言うとお披露目はしたくないんだけどね!敵に見られるってことは対策を講じられる可能性があるからね!つっても、理想通りに最終段階にまで、この魔道具を開発改良できたら敵からすれば対策なんて、どう足掻いても出来るはずがないがな!
不敵な笑みを薄っすらと浮かべながらも、現場にいる戦士達に指示を出していく。
前線にいる各部署、各部隊に新兵器を投入すると伝令は飛ばしている。伝令内容もシンプルに敵をあるポイントに向かって引き付けたり誘導する様にってね。
指示を出し終えた後は、もう一度、現状、確認されている敵達の数を頭に入れ、魔道具からぶっぱなす素材の数が足りているのか大雑把に計算する。
思考超加速を使って念入りに何重にも策を巡らせればいいんだけど、あれは全てにおいて体への負担が強いから、なるべく使いたくない。
…うん。問題は無さそう、予想できる範囲での問題はね、敵の魔道具の内容も、最悪の想定から大きく外れている、ぶっちゃけると、なんだ雑魚かって感じがする。
現状、各部隊が闘っていて把握している範囲の敵、数に種類、情報通りであれば、全てを一点に向かって集めてくれれば、ぶっぱなしても問題ない量はある、思う。
問題は…魔道具に装着する為の後付けの筒…こっちの方が、連続起動に耐えきれるかなって、感じかな?かなり頑丈に作っているし、魔道具が生み出す風の力を利用して筒に飛ばす素材が当たらない様に工夫は凝らしているけれども、完全にまもれる構造ではない。
耐久テストって、何時したっけ?…直近だと一切していないんじゃないかな?っとなると、設計段階で完全に机上の空論状態で作成した状態のままってことになるんだよなぁっと一抹の不安を感じてしまうが、この頭脳が導き出した計算が大きく狂っているとは思えない!思いたくない!きっと大丈夫!!
不安によって少し手のひらに汗が滲み出てくるのを感じ、ついつい、スカートのポケットに入れてあるハンカチを取り出して汗を拭ってしまう。
皆に不安を感じてることを気取られない様に何時だって気丈に振舞っている、どんなプレッシャーの中だろうと私が要だという事を忘れてはいけない、心を全ての人が望む最上の姫に向けて切り替えていると声がかかる。
「姫様!準備整いました!」
声を掛けられた方向に視線を向けてコクリと頷く、さぁ、出撃…敵にこれ以上好き勝手にさせないよ。
不安を感じるのは実験をしていないから、机上の空論、私が考えた構造に間違いはない、開発している魔道具の耐久力をたぶんじゃない、弱気になるな。
素材的にこの程度は耐えれるだろう、心を研ぎ澄ませ、ココは戦場だ、例え耐久力が想定よりも弱くても、予備はある。問題はない。
「出撃するよ!転移陣起動して!」っと、声を出すと、私と共に出撃する親衛隊二人が応!っと、周囲の空気を震わせるように声を出す。
その衝撃は、近くにいる私の肌を通り抜け心臓にまで届くと言わんばかりだった。
人型に対しての殺意が込められているとても良いと感じる気迫が伝わってくる。
いいじゃん、その気迫に呼応して私の思考も完全に敵を殲滅する為に容赦なく冷酷な思考へと切り替えることが出来る。
冷酷な思考へと切り替わっていく最中、再生され続けていく、数多くの悲しき出来事、忘れるわけにはいかない恨み…幾度なく殺され続けてきた怨讐…
思い出せ、あれらがどれ程迄の人類を殺してきたのか、思い出せ、あれらが、私達に対して何をしてきたのか!
あいつらは、存在するだけで悪だ…恨みつらみ…山ほど、倍にして返しても返しきれない程に憎悪は募る一方…誰もお前たちは許しはしない断罪し尽くすまで私は止まらない
恨み辛みが足先から頭のてっ辺まで染まっていくのを感じる、滾る殺意のみで動くと視界が狭くなる。少し調整しないといけない、熱くもあり冷酷もあれ。
過去の恨みつらみだけじゃない、忘れるな希望を掴む為でもあることを…気迫を込めるのは、油断してはいけない相手だから、純粋に…相手が脅威だから。
魔道具持ちの人型だ、相性が悪い魔道具を持たされていてそうな感じだが、魔道具を持っている事には変わりはない…魔道具持ちの人型が出てくると誰かしら、人が死ぬっというジンクスがこの街にはこびりついている。努々忘れるな、魔道具は危険だと。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
箱庭から始まる俺の地獄(ヘル) ~今日から地獄生物の飼育員ってマジっすか!?~
白那 又太
ファンタジー
とあるアパートの一室に住む安楽 喜一郎は仕事に忙殺されるあまり、癒しを求めてペットを購入した。ところがそのペットの様子がどうもおかしい。
日々成長していくペットに少し違和感を感じながらも(比較的)平和な毎日を過ごしていた喜一郎。
ところがある日その平和は地獄からの使者、魔王デボラ様によって粉々に打ち砕かれるのであった。
目指すは地獄の楽園ってなんじゃそりゃ!
大したスキルも無い! チートも無い! あるのは理不尽と不条理だけ!
箱庭から始まる俺の地獄(ヘル)どうぞお楽しみください。
【本作は小説家になろう様、カクヨム様でも同時更新中です】
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~
BIRD
ファンタジー
【転生者モチ編あらすじ】
異世界を再現したテーマパーク・プルミエタウンで働いていた兼業漫画家の俺。
原稿を仕上げた後、床で寝落ちた相方をベッドに引きずり上げて一緒に眠っていたら、本物の異世界に転移してしまった。
初めての異世界転移で容姿が変わり、日本での名前と姿は記憶から消えている。
転移先は前世で暮らした世界で、俺と相方の前世は双子だった。
前世の記憶は無いのに、時折感じる不安と哀しみ。
相方は眠っているだけなのに、何故か毎晩生存確認してしまう。
その原因は、相方の前世にあるような?
「ニンゲン」によって一度滅びた世界。
二足歩行の猫たちが文明を築いている時代。
それを見守る千年の寿命をもつ「世界樹の民」。
双子の勇者の転生者たちの物語です。
現世は親友、前世は双子の兄弟、2人の関係の変化と、異世界生活を書きました。
画像は作者が遊んでいるネトゲで作成したキャラや、石垣島の風景を使ったりしています。
AI生成した画像も合成に使うことがあります。
編集ソフトは全てフォトショップ使用です。
得られるスコア収益は「島猫たちのエピソード」と同じく、保護猫たちのために使わせて頂きます。
2024.4.19 モチ編スタート
5.14 モチ編完結。
5.15 イオ編スタート。
5.31 イオ編完結。
8.1 ファンタジー大賞エントリーに伴い、加筆開始
8.21 前世編開始
9.14 前世編完結
9.15 イオ視点のエピソード開始
9.20 イオ視点のエピソード完結
9.21 翔が書いた物語開始
【完結】暁の荒野
Lesewolf
ファンタジー
少女は、実姉のように慕うレイスに戦闘を習い、普通ではない集団で普通ではない生活を送っていた。
いつしか周囲は朱から白銀染まった。
西暦1950年、大戦後の混乱が続く世界。
スイスの旧都市シュタイン・アム・ラインで、フローリストの見習いとして忙しい日々を送っている赤毛の女性マリア。
謎が多くも頼りになる女性、ティニアに感謝しつつ、懸命に生きようとする人々と関わっていく。その様を穏やかだと感じれば感じるほど、かつての少女マリアは普通ではない自問自答を始めてしまうのだ。
Nolaノベル様、アルファポリス様にて投稿しております。執筆はNola(エディタツール)です。
Nolaノベル様、カクヨム様、アルファポリス様の順番で投稿しております。
キャラクターイラスト:はちれお様
=====
別で投稿している「暁の草原」と連動しています。
どちらから読んでいただいても、どちらかだけ読んでいただいても、問題ないように書く予定でおります。読むかどうかはお任せですので、おいて行かれているキャラクターの気持ちを知りたい方はどちらかだけ読んでもらえたらいいかなと思います。
面倒な方は「暁の荒野」からどうぞ!
※「暁の草原」、「暁の荒野」共に残酷描写がございます。ご注意ください。
=====
この物語はフィクションであり、実在の人物、国、団体等とは関係ありません。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる