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Dead End ユ キ・サクラ (58)

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「ああ、そうだな!誤魔化しは良くないな!好みだとも!!」
っだぁちっきしょう!真っすぐ正直に答えやがったなこんにゃろー!!!腹くくったんかこらぁ!!
「ああ、この際だ!正直言おう!どうして、父上が母上を選んだのか俺にはわからん!!」
あー!開き直りやがったな!確かにあの人の胸は控えめなのは知ってるけど!こーもストレートに言っちゃうかなー!!
「だが、安心したまえ、君だってステキなモノを持っているじゃないか、あと数年もすれば」
え?胸が強調されるような服は着ていないよ?…っは!?てっめぇ!あの時、意識が浮上してたのか!?

えろすけ!っと胸を両手で叩くが貧弱な私の攻撃は相手にダメージを負わすことが出来そうも無かった

頬を真っ赤に染めながら膨らましジト目で睨む様に見つめていると
「っはっはっは、男は誰だってロマンをそこに求めるものだよ、特に昔の男はな、丈夫な子供を産んでくれそうだと感じるからな」
俺の生きた時代は皆、胸が大きい女性がモテていたものだって嬉しそうに語っちゃってー!ふーんだ!!いーっだ!ばっかやろー!!!

はぁ…まさか、ここにきて恋の最大のライバルがお母さんってことになるとは…

「だがな、ジラさんの姿をな、夢の中でユキと共有した時に驚いたよ」
愛した妻の一人が居たから?

「違う違う、っていうか、何で妻の事を知っている?魂の同調で見えてしまったのか?なら、訂正させてもらおう、ジラさんに似ている女性は俺と同じく聖女様と白き黄金の太陽と共に奔走した人物の一人で、違う人と結婚していてな、その娘がよく俺達のところに遊びにきていて…な…ああ、そうか、その時に家族みんなで揃って絵を描く人に描いてもらった…様な気がするな…」
なんかさー、あたかも思い出したような風を装って誤魔化してないー?本当は、側室だったりするんじゃないのー?
「違う違う、当時の彼女は俺なんかが手を出して良い人じゃない、高嶺の花だったんだぞ?彼女もまた、白き黄金の太陽に名前を貰った偉大なる人物だぞ?聖女様を支え導き、世界に彼女の教えを問う為に奔走した人格者でな、その功績を称え、白き黄金の太陽が俺達と同じように名を授けたんだよ、ラジアータって名前をね…あの人は、凄い人だったよ、行動力の化身だったな…俺とは違ってな、偉大な人だったよ」
へー、ほー、ふーん?

初恋の人?って尋ねてみるとだんまりしたのはなーぜなーぜ?ねぇ?どうして黙るの?ねぇ?ねぇ??

「ああ、もう、今日の君は視線が痛いな!オジサンをからかうんじゃないぞ?まったく…ラジアータ姉さんは、他の王族の方と結婚したよ!っていっても、第5夫人?だったか?側室だったか?忘れたが、王家の方と縁を結ばれたよ」
…点と点が繋がった様な気がする。そうか、お母さんって何か特殊な雰囲気って言うか何か他と違うような気がするのは、そういうことなのかな?確認の為に今度、色々と下調べしているであろう人物からの手紙が届いたらすぐに読もう!

おほん!っと咳払いをした後
「さて、他に何か気になることはあるかな?」
逃げる為に真面目な雰囲気作り寄ってからにー!
…はぁ、まぁいいよ~っだ!自分の体が何処からどう見ても未成熟!女児に近しい見た目だって言うのは重々承知してるもん!いつか、立派な…レディに…嗚呼、そうか、レディって呼び方をするのか、ちょっとわかっちゃったな…元から姫とそれ以外って言う線引きだったのかも?何かこう距離感を感じるなぁって感じていたんだけど、他人行儀って感じがしたからか…っま!いっか!ガールじゃなくてレディだし!実際問題?私?淑女だし?立場ある女性だし?レディって言う表現は間違いじゃないし?ガールじゃないもんね!…背伸びしようと頑張っているガールの事をガール扱いすると機嫌を損ねるからレディって呼ぶっという風習があるのを知っていますけど何か?

つい、ふと思ったことが思考の渦に流されてしまっていると、にこやかに此方を見ているので、子ども扱いされているのを受け止めつつも、少しでも真面目な大人としての自分を見て欲しいので、真剣な内容で何か気になることがあるのか思い出す。

そういえば、今の研究で悩んでるっていうか、前に進めていない部分があるんだけど、そういった部分で何か閃きに繋がることもあるかもしれないし、相談してみよう、かな?

現状、研究している培養液について、上手い事、撹拌?出来ていないみたいで、水質に変化が起きないこと、とか、もしかしたら、ショートカットできる素材があるのか心当たりがあるか聞いてみると意外な反応が返ってきちゃった…

「研究資料が間違っていないか?」

…盲点だった、その発想は、無かった!!もしかしたら、始祖様が読んだ研究資料が実は、構想段階の初期段階で最終段階の資料ではないっていう可能性があるじゃん!
その事を伝えると、そうじゃない?

「その資料は外の大陸の物なのだろう?確か、外の…遠い大陸の人とは言葉が違っていた、はず?とんがり耳の人が出身地の言葉で話をしてくれた事があるのだけれど、何一つ聞き取れなかったぞ?」
始祖様が翻訳を失敗したって事?…そもそも、始祖様ってどうやって私達の言葉を理解しているのだろうか?地球の言葉を理解するのって、始祖様が丁寧に私達の言葉に直して、なおして…違う、何かしらの術で理解できるようになっている、気がする…ってことは、始祖様が翻訳を間違えていたら、意味が違うってことになる?手順が違う可能性があるってこと?

「それの入手経路を知らないが、もしも、伝える為ではなく、自身がメモとして用意していたものであれば…君ならどうする?」
メモっていうか、研究資料だと思うんだけど?…そもそも研究資料って何のために残すの?人の目のつく場所に?…後世に伝える為?共同研究している人の為?
…それらが居ない場合は、残す必要ってあるの?…ないよね?それも、一歩、たったの一歩だけ選択肢を間違えればとても危険な研究内容っていうか、危険思想と捉えられたのか知らないけれど、粛清対象になってるじゃん…
そして、魔女は少なからず自分が危険な状況だと理解していたはずだ、警告だってされているはずだ、なのに、研究を辞めていない。
何れ襲われる、何れ研究は強制的に終わりを告げる…その前提だったら私はどう動く?

世界を恨み、世界を呪い、世界を壊したいと願うのなら、ありのままに残し、誰かが悪意を持って研究を継続させることを望む
自身の研究こそ高みと考え、自分以外、誰にも理解されない崇高な願いだったら…他の誰かに研究を盗られたくない…つまりは、偽装する。

「その、渋い顔、サクラは賢いな」
ぐむぅっと眉間に皺や顎に皺を作って、研究していた相手の事を考えていなかったという、愚かな自分の頬を叩きたくなる。
研究資料が完全に翻訳されているのであれば、この魔女は性格が悪い!自分さえ理解できればそれでいいじゃない、他の事なんてどうでもいい、私だけがわかればよいっという感じで書かれていたから、ほんっと読解するのにも、時間が掛かってる!現在進行形でね!!
読解しているときもさ、これ、本当かなぁ?って常に疑問を感じながら、取り合えずやってみるかっと、思いながら魔道具を用意して実験してたけどさ…これ、虚実が混ざってるって事?相手が順序よく用意された手順に従って、答えに向かって実験を進めていくと違うものが出来上がるくらいの罠が仕込まれててもおかしくないってこと?…ぁ、私が魔女の立場ならそうする。

時間を無駄にするだけならともかく、成功して喜んだ瞬間に周囲を虚無にするための罠が仕込まれている可能性も無きにしも非ず!!

っだぁ!それくらいやってきそうな予感がする!それくらいの危険思想を持っている人物とかじゃないと、この程度!ちょっと人体を複製するような実験如きで粛清対象になるわけないか!!腑に落ちないなぁってなんか感じていたけれど、これでちょっと納得しちゃったよ!たぶん、魔女は他にも何かやらかしてるよね!これ!

「どうやら、俺が言いたいことは伝わったみたいだな」
ポンポンっと子供をあやす様に頭を撫でてくる、ぅぅ、この関係は永遠に覆せない気がしてきたなぁ…勇気くんからすると、私は未熟な果実、心揺さぶられることはないって事かなぁ…歳の差カップルだってあってもいいよね?…っていうか、勇気くんって何歳なの?精神年齢どこ?枯れ果ててるような年齢だったりする?

…お母さんがドストライクっていうのは、年齢も近いからって事だったりしない?…うわぁ、ありえそうだなーー!確かに心が重なったときに見えたあのダンディな佇まい!30後半はいってるでしょ?…娘と接している感覚じゃないのこれ?

ロマンティックな乙女心が諦めないっていう声を高らかに宣言し続ける限り!私も諦めないよ!
いつか、勇気くんが新しい生を望んで!その時に、望む肉体を精製して、ユキさんが望む体も精製して!皆で笑いあってお茶でも飲みながら過ごせる世界を目指すんだからね!!

「さて、そろそろ、ユキが夢の中で欠伸をしているのでな、今宵の夜は終わりとしよう」
優雅にベンチから立ち上がる勇気くんの腕を無意識に掴んでしまう。
離れたくないっていうのも、あるんだけど

「どうした?」
やっぱり、考えたんだけど、この広場じゃなくて地下の研究施設で直に研究を見てもらって意見を聞きたい
その事を伝えると、一瞬だけ考えた後
「そうだな、その方が良いのかもしれないな、姫様の御意思のままに…」
上品なお辞儀をした後、微笑みを浮かべながら去って行った。

後ろ姿を見送った後、彼に想いがもろバレって状態に対して気まずいっという感覚はなく、どうやって攻略してやろうかと考えてしまうくらいだった。
この程度で諦めて、心が折れるような事ないのだけれど、ちょっと意気消沈?心に傷を負ってしまったかのような、何とも言えない、もやもやとした感覚が胸の奥に残り続けている…

この感覚が長い間、尾を引くなんて思ってもなかったなぁ…

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