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Dead End ユ キ・サクラ (2)

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余りにも別人過ぎる雰囲気を感じ、目の前にいる人物が洗脳されているか、もしくは姿を真似られている別人であると判断し、直ぐに臨戦態勢に入ろうとするが
「はい、ストップ!警戒態勢になろうとしない!ほんっと猫みたいにコロコロ変わるね君は!」
「貴方こそ!誰だ!猫って言うのはごく一部の貴族が飼っている生き物だ!この大陸においそれと手軽に触れれる生き物じゃない!ユキさんは畜産エリアの付近に居たのは知っている!そのエリアに猫はいない!!ユキさんの知らない知識に経験!姿を変貌させる術式でも使ってるのかな?」
直ぐに相手には、此方が何をしようとしたのか気取られ静止される…のなら口には口!相手は、ぼろを出している!このまま、敵のミスを突いて隙を見せた瞬間に意識を刈り取ってやる!
「…ぁ、そうなのか、確かに、ユキの記憶の中に猫はいないわ…失敗したな、動物が好きなユキだったら猫に首ったけだと思ってたからつい…そうか、時の流れは残酷だな」
ほぅら尻尾をだした!警戒をといたな!いますぐに

「はい!だからストップだって!爪をしまえ!まったく!今日日の猫は危険だな!喉を鳴らして腹を見せろとは言わないが、直ぐに攻撃するのはやめないか」
術式を発動しようとしたが、発動する前に霧散した!?ジャミングされた!?こんな技術…この世界にない!!こいつは…こいつがもつ技術系統は!!!

この世界由来のモノではない!つまりは、敵…獣共の先兵ってことじゃない!動けば動くほどボロがでる!!!

だったらもう、術者として今の状況に余裕なんて無い!持てるもの全てを使う!思考超加速を使う!残魔力なんて関係ない!先兵にここまで侵入されている時点で敵が押し寄せてくる!!持てる全てをここで使う!私は何時だって一手遅い!詰みになる前に動く!!

「だからストップって言ってるじゃないか!聞き分けのないレディだ!」
思考超加速を発動しようと瞬間、敵に抱き着かれてしまう、この状態で魔力を過度に消費するわけにはいかない、超加速のプロセスを一時中断して、攻撃術式を組み上げる、前に、殺られる!?

死を覚悟した瞬間…頭をポンポンっと叩かれ撫でられる…癇癪を起した子供をあやすように…敵意は何も伝わってこない、そもそも、最初っから殺気なんてなかった、私の早とちりだとでも言いたいの?

「おーよしよし、まったく、ほんっと猫みたいだな、魚でも用意しとけば良かったって言いたいのか?っての…落ち着いたかレディ?」
「ねぇ、そのレディって下に見てない?私の方が年上じゃないの?それとも、貴方は本当に誰なの?どうして、ユキさんの体を模しているの?」
抱きしめられながらも、意識を寵愛の加護へ向ける、敵の情報を少しでも過去へ飛ばす為に、どの様な殺され方をしたとしてもかまわない、お前たちの勝手を許すほど私は甘くない。
死を覚悟して術式を組もうとすると
「落ち着いたみたいだし、離れるぞ」
ぱっと体を話し、少し距離を取る…やっぱり敵意はない
「さて、先の質問だが、俺は、嘘偽りは一切言わない、信じるかどうかはレディ次第ってことだ…いいな?」
俺はって部分が引っかかるなぁ…なに?私は嘘偽りばかりだっていいたいの?
「俺は、俺は確かにユキだ…父からは勇気ある人という意味でつけられた、家名はギナヤ…間違いはない。何の因果か、わからないけど、俺はユキだ」
…嘘偽りじゃないってことは本当にユキさん?雰囲気が違い過ぎるのに信用しろってこと?そんな虫のいい話がある?下法の中に肉体を乗っ取る術なんて山ほどあった…敵の先兵であればその技術形態を会得していてもおかしくはない。
「そう睨むな、レディの考えていることはわかる、証明する術が他に何があるって言うんだっての…困ったなぁ、俺の全てを言うとなるとそっちの方が絵空事にしか聞こえねぇんだよなぁ…」
どうしたらいい?っと逆にこちらに質問を向けてくるけれど、言われてみればそれはそうだよね、証明する術が無ければ、どう足掻いても信じてもらえない、ユキさんしか知らないことなんて言われても、私がそれを知らないし、敵はユキさんの情報を知っている…
「だろ?証言する術も無ければ、俺の言葉を証明する術も無いんだ、俺の事を信じる以外にないも無いんだ、だから、信じてくれとしか言いようが無いんだ、賢いレディならわかるだろ?俺の言わんとすることが」
話せば話すほど、貴方が狡猾で賢そうだっていうのが伝わってくるんだよなぁ!術式にも精通しているし、敵意が無いってだけで、時間を稼いでるだけのような気がするんですけど?
「時間稼ぎとか敵と内通している…とかはないぞ!」
何で一瞬、視線が泳いだのかなぁ!?やっぱり敵と内通してるんじゃん!!頭の中で術式を組み上げようとすると
「だからよせって!爪を出すな!俺にも事情があるんだ!深い深い事情があるんだって!爆式の術式を組み上げるな!こら!まったく…同じ白い髪だってのに、どうして…こうも野蛮なのかなー見た目だけか?そっくりなのは」
頭の中で組み上げていく術式に干渉されて先ほどと同じく霧散されてしまう…この人、相当できる…これ以上術式を組み上げる速度を上げると暴発する恐れがあるし…

心臓がドクンと跳ねる…

目の前にいる人物が私よりも術式について理解も深く、扱いも上手い…
私よりも格上かもしれないという今まで感じたことのない感情が私の中で生まれるのが分かる。
今まで感じたことのない感情が何かなんて、今はどうでもいい!目の前の事に集中しないと

思考をもう一度、敵と闘うために意識を向けると
「…む!?まて…ぁーレディ、済まない、これ以上は時間が無い」突如、焦った様な感じを出すけれど…
ぇ?何急に?作戦でも始まったの
「警戒するのは至極当然、極めて不満を感じるだろうが、俺の時間はここ迄だ、済まない、本当はちゃんと自分の部屋に戻る予定だったのだが、レディだったら上手い事、誤魔化せるだろ?姫様は賢いからな、噓八百、上手い事してくれよ?」
手を振ると静かに目を閉じる…?と、同時に展開されていた空間術式がふっと、消える?
「…ん?ぁ、れ?ひめ、さま?」
ユキさん?が、目を開けて声を出すけれど、聞こえてくる声といい、雰囲気と言い、これは、私が知っているユキさんの雰囲気?ぇ?どういうこと?
「…あれ?わたし、えふんえふん、ぼ、僕はどうしてここにいるのですか?」
…ってことは、体はユキさんの体で、ユキさんの体を…何処かから、遠隔で操作していたっとか?…っていうか、ちょっとまって、この状況をどうにかしないといけないの私?っは!?っぇ?ちょ、ちょっと待って!?こんな夜更けに男と女がいるっていう状況を投げやりな感じで任せてきたのアイツ!?うっそでしょ!?
「ユキさん、落ち着いて聞いて欲しいの」
寝ぼけているのかぽけ~っとしているユキさんに声を掛けると、やっぱり寝ぼけているのか、ふわふわとした雰囲気…うーん、ほんっと、素の状態だと、女性にしか見えない。
頭が混乱しちゃうから、ユキさんと関わるの苦手なんだよなぁ~…
「っふぁ!?…はぁい…」
今にも眠ってしまいそうなユキさん…ほんっと、さっきまで相対していた人と雰囲気が違い過ぎる
「ユキさんが外に向かって歩いていくのが偶々見えたから、何をしているのか私も近寄っただけなの、夜更けの散歩でもしていたの?」
「…さんぽ?んー、ぁー、そうかも、牛でも脱走したっけなー、なんだっけ?」
まだ寝ぼけている状態なので、ユキさんの手を握って連れて行こうとすると抵抗されることなくのたのたと、寝ぼけながら付いてくる…
この感覚、覚えがあるなぁ…確か、うん、実家に居た時に、夜中に妹に起こされたんだよね、トイレに行きたいから付いて来て欲しいってお願いされた状況に似てるな~…

ユキさんって、ほんっと、妹みたいに感じるんだよな~、男だよね?この人…変な魔眼も持ってるし、そのせいで、お母さんもユキさんに関しては、甘々だし…
いや、お母さんだけじゃない、街の人達全員がユキさんに甘いんだよなぁー
私は寵愛の加護があるから、そういったモノ全てからある程度の耐性があるから平気だけど、油断すると、甘やかしたくなるんだよね…っは!?今もそうじゃん!!
なんで、私が手を引いて部屋に案内しようとしてるの!?威厳ある態度で部屋に帰還命令だせばいいじゃん!!

ったはー、今更、威厳だして命令するなんて無理だよな~…なんで、私がこんなことしてるの?

手のかかる妹を連れて歩きながら、先ほどの異常な一連の流れを思い返してみるが、何一つわかったことはなかった…
いや、何一つじゃない、一つは…ユキさんはいつの間にか敵の先兵に何かされてしまっている可能性があるってことだよね

この状況を誰かに相談したほうがいいのかもしれないが、ユキさんの魔眼の影響で正常な判断が出来る人がいない。
困った、こういう時にお母さんの中にいる叔母様の知識が頼りになったりするのに、今は頼れない…

悪魔信仰をしていた人がこの街に残した資料だけどさ、ある程度は確保したけれど、何個かは燃やされちゃったんだよなぁ…
だから、私も敵が持っている術式、その全てを知りえているわけじゃないんだよね~
敵が持っている知識を色濃く残しているのが叔母様だから、こういう時に、こっそりとお母さんが寝ている間に色々と相談してくれたりしてたんだけど…

今回ばかりは相談できないなぁ…

ただでさえ、ユキさんの話題となると熱が入っちゃって止めるの大変なんだもんなぁ、魔眼の影響抜きでダーリンの子供は私の子供!って、なっちゃって止めるの大変だもん…

…まって、今の状況、叔母様に見られたら要らぬ誤解を生みそうじゃない?

変なことを想像すると背筋がぞくりと冷たく感じてしまう…
お願いだからみんな寝ていてね!認識阻害の術式は展開しているけれど!叔母様だったらこの程度の術式本気を出されると見破ってきちゃうんだよね!!

今の状況に既視感が無いか考えるが、何も出てこない…
あー、これまた、未来からの情報が無いってことはさー、私が一番未来に進んでるってことだよね?ぁーぅー、がんばろー…

そう、今まで何とかやってこれているのも未来から突如飛来する様にもたらされる情報。
その情報を何とか繋ぎ合わせて、今起きている出来事が未来でも起きたのか探し出して、似たような状況があれば、どの様なことが起きたのか未来からの飛び飛びの情報から推測する様に考えて、対処していくんだけど…
ユキさんに関する情報が何もないんだよね、ってことは、思考超加速を使っても探し出せそうもない、よね?見落としてがあるかもしれないけれど。
今の状況は既視感が無いし、知らないんだと、思う。

ってことはやっぱり、魔眼に対して何かしらの対処方法を探しておくべきってことだよね?始祖様の知識の中に魔眼に対抗するための術式は残されているけれど…これをどうやって全員に施すのってことだよね?全員が全員、常にその術式を展開しとけって?無理だよ…複雑すぎる。
魔道具を作ったところで、起動し続けるのも皆の魔力を減らし続けちゃうから大変だし…直接目に施すにしても目にメスなんていれれないよ!

うへー、これ、どうしたらいいんだろう?肉体を傷つけないで術式を埋め込む方法なんて、私、知らないよ?

そんな事を考えていると、ユキさんと、王家の隠し子、オリン君…って言っても、偽名なんだけどね、音楽が好きだからヴァイオリンって言う楽器から名前を貰って名付けたんだよね、それに、オリンって名前だったらちょうど、王都でも有り触れた名前だから丁度良かった。
ってわけで、相部屋の前に到着したのでユキさんに部屋で寝なさいっと声を掛けると甘えた声でうんっと頷いた後、部屋の中に入っていく…

ううむ、ユキさんてどうして、こんなにも可愛らしいのだろうか?年下の妹って感じがして守ってあげないといけない感情が湧き上がってくる…
っは!?これが魔眼の影響なのかな?それとも、肩肘張らない素の状態だと、天然であんな感じなのだろうか?

だとすると…相当なたらしじゃない?あの人…
見た目も王都中探しても、誰もが褒め称えるほどの美形だし、あんな感じで甘えてきたら大概の人、おちるよ?恋の迷路に…

ただの美形だったらいいんだけど、困ったことに始祖様に瓜二つなんだよねー、来た当初はもう少しひょろっとして細かったけれど、この街を長年支え続けてくれた偉大なる戦士長の愛弟子、通称ベテランさん、名前はカジカさん、家名はまだ名乗ることが許されていないんだっけ?どっちだっけ?まぁいいや、そのベテランさんに徹底的に鍛えられて今ではがっしり…って感じではないけれど、それなりに筋肉質になってて、より一層、始祖様に似てるんだよなぁ…

始祖様が描かれた絵画を見たことのある人だったら一発でひれ伏すほどに似てるから、今の状態で王都の貴族街を歩かせたらパニックが起きそうだよね…
絶対に!王族に合わせないに気を付けよう…血筋もギナヤ家は王族の家系だし、王位継承権持ってるんだよね…はぁ、何でこんな爆弾を二人も抱えないといけないの?めんどくせーなぁもう!…って、メンドクサイで思い出した!!

ユキさんの処遇どうしよう…
敵と何かしらの因縁があるのだとすれば、敵の先兵がユキさんの内部に潜んでるのだとすれば…
取り敢えず、オリン君に監視してもらうのが一番かなー?いやーでも、どうして監視しないといけないのか理由が無い!!
ってことは、頼みようが無い!同じ王家の血筋だから見張っててなんて、理由にならないし!オリン君も、彼の事を平民として接しているみたいだから、藪蛇を突きたくない!!

うわー、もう、仕事が増えたー、誰かに任せれない内容の仕事がふえたぁ!!術式の研究する時間が削られたぁ!!

廊下をぺたぺたと裸足で歩く音を出しながら、肩を落と、自室へと向かって歩いていく。
部屋に戻ると、直ぐにベッドで横になりたかったが、汚れた足のままベッドで横になると、華頂ちゃん…おっと、この名前で呼ぶと嫌がるんだった、メイドちゃんに怒られちゃうし、夜中に裸足で歩いていたってお母さんに告げ口されるとメンドクサイ事態になるから、はぁ…
面倒だけど、お湯を沸かして足を洗ってから寝ないと…

あーもー!めんどーぃ!!次に出てきたらぜってーとっちめてやるんだから!覚えてなさいよー!!名無しのごんべー!!ユキさんの名前を語る不届き者めー!!

足を洗いながらも、初めて味わう感情が自分よりも秀でた人に久しぶりに良いようにやられてしまったことへの屈辱なのか、それとも、別の感情なのか、この私は判断がつかなかった…

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