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とある人物達が歩んできた道 ~ 今後の予定 ~ ⑦

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駄目ね、いつになっても私の中では姫ちゃんは12歳の、あの頃のままって感じがしちゃうのよね。大人として認めている部分もあれば、何時までも子供として甘えて欲しいって部分も、あるのね。母親って不思議なものね。

「…お母さんさ」
声を掛けられるけれど、私が磨き上げた立派な胸のせいで下を向いたとしても姫ちゃんの表情が見えない、けれど、声の感じからして真剣身があるわね。他にも、何かもんだ
「太った?」
こめかみ辺りをぐっと親指で押し込みグリグリとねじる
「いたいいたい、ごめんごめんなさい!」
こら、暴れるなっての、まったく、タップするために人の胸を下から叩くんじゃないっての
「うー…だってぇ、下からふと上を見上げたらお母さんの顔が全く見えないんだもん、前からだっけ?」
きっと、前からよ…たぶんね。
こめかみを撫でてあげながら、最近、太った疑惑を私自身もひしひしと感じている日々を送っているので、何とも言えない気分になる…
運動しなきゃいけないわね、年を重ねると痩せにくいというよりも運動しようって気分にならないのよ。
「そっか、まえ、からか…あー、前からで思い出したけどさー、私ってさ、少しは大きくなったよね?」
そうね、身長がすこーし伸びたじゃない、胸も…気持ち…大きくなったと思う、わよ?今度、身体測定でもする?
「うー…やっぱり封印術式の影響ってバカに出来ない、お母様はもっと身長もあったし、胸も大きかったー!私もそうなりたいー!」
その話が真実であれば、姫ちゃんは昔から発育が悪かったって事かしら?身長も高くて、胸も大きい人って12のころから既にその頭角を現していることが多いモノよ?姫ちゃんの体型から見ても、そう成長するとは思えないのよね。お父様に似たんじゃないの?って言う言葉は絶対に言えないのよね、姫ちゃんってお父様の事、本気で毛嫌いしてそうなのよ。
それか…姫ちゃんの成長を何かしらの方法で遅らせて、長生きさせようとしていたって可能性もあるのかしら?姫ちゃんのお母様ですもの、術式に聡いのかもしれないものね。
「あー…でもいいや、お母さんみたいにスタイル良かったら今以上に、見合いの申し出とか結婚を前提としたお付き合いをってやつが増えるからいいや、いらない!!今のままでいい!」
あら~嬉しいことを言ってくれる半面、貴女の将来が不安になる言葉ねー
「姫ちゃんは、結婚したくないの?」
「ぇ?…いらない」
即答するじゃないの、少しは考えなさいよ、それに、そのいらないはどのいらないよ?子供が要らない?男が要らない?
「子供は無理だもん、封印術式の影響で子供は無理、永遠に大きくならない胎児なんて、駄目だよ…」
嗚呼、そ、そっか、そうよね…どんな反応があるのかわからないし、封印術式を解除すれば姫ちゃんは…
「なら、人工受精の技術を使って私が貴女の子供を産んであげるわよ?」
「やだ!代理出産なんてやぁだ!お母さんは誰のモノにもなってほしくない!そう決めたの!あいつらにも渡したくない!」
人工授精だからそういった行為はしないわよ?浸透水式を扱えば、それほど難しくなくできるでしょ?…ぁ、あーそういう意味もあるのかしら?誰のって部分ね。そうよね、誰のって切っても切れない部分があるわね。
なら…姫ちゃんが好きになった男性だったらいいんじゃないの?姫ちゃんの為ならお母さん、子供を代理出産することなんて…経験ないけれど頑張るわよ?
「…そもそも、貴女って誰か男の人を好きになったことあるの?」
聞かれたくない質問だったのか、ピタリと声が止まったと思ったら、お腹にぐっと圧が加わってくるのを感じる…言いたくないのかおでこをお腹にくっつけてきたわね。
っとなれば、探るのであれば直球はダメね。
「質問を変えるわね、誰でも良いから男性を思い浮かべて」
「…うん、思い浮かべたよ」
声の感じからして好感触の相手では無さそうだけれど、誰を想像しているのかしら?この街の男性かしら?
「その人とキスは出来る?」「無理!ハゲデブ親父なんて無理!!気持ち悪い!」
…誰を想像したのよ…巻き付く様に回した手でお腹周りをつままないの…
「ハゲデブ親父じゃなくて、そうね、例えば、ベテランのやつは?」
「え。やだよ、気持ち悪い」
あら、即答なのね、ベテランのやつは見た目は悪くないのよ?ガキだけど…エロスの権化だけど…すぐ、後輩に手を出そうとするダメなやつだけど、見た目は悪くないのよ?
「そうね、なら、姫ちゃん的に誰だったらキスをしてもいいと思えれる人はいる?」
「ぇ?…ぇぇー?…空想的な、武勇伝的な、その」
あーもうすぐ逃げようとするわね!
そういえばこの子って英雄譚好きだったわねー、絵本大好きだったわね~…子供らしいところが多いのよね~、そういう部分が見た目と重なって誤認しちゃうのよね。
「ダメよ!現実で今まで会ってきた人!」
「っぐ…そう、なると…始祖様だったらいいよ」
…会ったことないでしょ!
「会ったことないけれどお顔は知ってる!美青年だもん!!」
かー!この子ったらもしかしなくても、ものすっごく理想が高い?めちゃくちゃ面食い!?嗚呼、そういえば美意識すっごい高かったわねー…
普段からも、っていうか、昔からね、お洋服はお気に入りしか着たがらないし、お風呂とか部屋とかも美術館かってくらい、置く物とかにこだわりが凄いのよ!
すっごい綺麗にしたがる!

美意識たかかったわーそうだったわー…

私もねー、始祖様の絵画を一度拝見したことがあるから、美青年だっていうのは知ってるわよ?
そりゃ、始祖様と比べたら、誰もいないわよね~…挫けちゃだめよ!この子の未来の為にも恋や愛は知ってほしいじゃない?
「もう少し絞る!今でも会える人で!」
「ぅ、ぐ…ぇぇー?いない、かなー?」
この子に恋だとか愛だとか、男女の関係だとかは、永遠と理解を示す日はこないのかもしれないわね…

私の人生観として…それでいいのだろうか?…良くない、良くないわよね。

せめて、キスをしてもいいと思えれる条件だけでも把握しておきたいわね…
それさえわかれば、この子の趣味趣向が把握できるから、それに近しい人が居れば…傍にいることによって、ゆっくりと自分の中に湧き上がる感情を理解する日がくるという希望を持ってもいいわよね?

押し付けみたいになるかもしれないけれど、私は恋を知って…

愛をしって…

その先を知ることが出来た…

女性として、いいえ、人として新しい何かを得る経験として必要な気がするのよね、何かに恋して…毎日がその瞬間を求めて恋い焦がれるっという経験ってね、人生に必要だと思うの。

うん!もう少し探ろう!この子のためよ!押し付けみたいな気がしない事も無いけれど!あと個人的な興味本位も否定できないわね!

「質問ばかりでごめんね、綺麗な人だったらキスできるの?」
「ぇ…ぁ…うん、キスだよね?きす…うん、そうだね、至近距離に顔があって接触しても嫌悪感が出ないってなら、うん、むさ苦しい嫌悪感が走る人じゃないって意味での綺麗な人だったら…たぶん、いける!」
…ぁぁー、その様な前提を、がっつりと前置きされてしまうと、この先の質問に意味があるのかわからなくなってきちゃったわねー…
「ベテランと女将だったら…どっちとキスできる?」
取り合えず男性と男性みたいな女性どっちをとるのか?
「…無理、ぁ、でも、女将、だったら…いや、うん、無理!」
女性だから男性だからっていう部分ではなく本気の本気で見た目かぁ…
「こむす…メイドと私だったら?」
なら、女性or女性だったら?
「メイドちゃんは無理かなー、綺麗だけど、あの子って性格悪い部分もあるから根に持たれそう、あとくされ無しだったら大丈夫!お母さんはOK!何も問題ないかな?家族だもん、妹たちもじゃれつくとき顔面近くにいたし、問題ないよ?弟たちはやだ!なんか邪心を感じるからやだ!」
うん、もうこれ以上の説明は要らないわね、この子…造形的な意味合いで、女が好きなんじゃないの?もしくは性的行為に嫌悪感を抱くか…そのどちらかじゃない?

そうなると中性よりの美男子が好みってことになるけれど…

それらを侍らせるようなことがあれば、闇が深い豪族みたいになるわね。
貴族の噂というか歴史ではそういった衆道を好んだ領主が居たというのは耳にしたことがあるのよね…

それに近しいものを感じるわね…

でも、それが幸せだというのならとめれ…ないわね。
富に権力を持って歪んだのではなく心の底から幸福だと昔から自覚がある条件だったらそれはもう、魂が求めているものだから、否定するわけにはいかないわね。

後は、家族で在ろうとも醜い人はNGなのでしょうね…美意識が高いのか、男性のビジュアルに嫌悪感を抱く様だし、相手を選ぶわねーこのこー
「もう、質問終わり?」
下から私の胸をペチペチと叩くんじゃないわよ

そうね、これ以上、この手の質問は無いわね、こら、お腹をつまむな!つまむ、ぅな!太ってない!!
頭皮のつむじをぐりぐりと指先で押し込む
「ごめ、ごめんなさい!お母さんって何気に力強いから指先の力強いからいたいー」
抓まれていた下っ腹の堕肉が解放される…本気で運動頑張らないといけないわね、食事も計算しないと…
「そうね、何気ない意味のない質問だったけれど、これでお終いよ」
頭から手を離すと起き上ってこっちをじっと見てくる…まさか、顔もむくんでたりする?
「うん!お母さんだったらキスできる!」
にぱっと笑った後、自室で仕事しないといけないから、それじゃぁね!っと素早く走り去っていった。

あの無邪気な感じ…色恋に関しては精神年齢はまだまだ子供ね、子供同士がじゃれあうような、その程度の感覚みたいね。
甘酸っぱいものでもなく、相手を恋い焦がれて求めるものでもない。

あの子に施した封印術式によって肉体の成長が遅くなるという影響から、精神年齢も先に進まないのかもしれない…もしくは、私は経験しているから…わかる。

未来からの別人に近い何かが突如、心と記憶に居座る、そしてゆっくりと混ざっていく…その人が得た経験と共に。
もしかしたら、未来姫ちゃんが死ぬまでに生きてきた世界は、色恋とかそういうものに関心を持てれるほど余裕が無かったのかもしれない。

今の私達がここまで、心を通わすことが出来るのも、未来姫ちゃんが用意してくれた情報があるから、だからこそ、なのよね。
その極限の状況を幾度となく味わってきた彼女の心と感情も姫ちゃんの中にあるのだとすれば…いや、だからこそ救いは必要よね?

あの子にとって救いとは?あの子にとって生きる意味とは?

あの子が明日を目指す理由って何なのかしら?
過去では、お母様にもう一度会いたいみたいなことを言っていたけれど、今はどうなのかしら?新しい、目標とか目的とか見つけてたりするのかしら?

…っふ、その質問は、今の私にも刺さる質問よね。自分がきかれたくない内容を相手に尋ねるのは、ちょっと、辛いわね。
私も、未来に何を望んでいるのか、わからないもの…

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