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とある人物達が歩んできた道 ~ 今後の予定 ~ ②
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食事の変化で言うと、この辺りでは珍しい海鮮料理がたまーに、食べれるようになったのよ。
魚が好きな南の方出身の戦士の皆さんから凄く好評なのよね、食堂のおば…お姉さんなんて、調理したことのない食材ばっかりでどうやったらいいのか届けられた時は悩んでその地方出身の人が居ないか探して調理方法を相談していたわね。
それでも、調理方法がわからない食材も届くことがあるからって、どうしたら美味しく食べれるのか知ってる人が居ないか、姫ちゃんに相談したみたいなのよね。
姫ちゃんとしても、味道楽っていうのを実現したいみたいで最近は美食に目覚めているのかどうせなら美味しく食べたいみたいで、取引で地方に出かけた時に領主とか貴族の方が推薦する料理人を紹介してもらって、料理をご教授出来ないかお願いしているみたい。
偶に承諾してくれる心優しい料理人の方を持て成しながら、この街までご足労を願って、地方でとれる様々な食材の基本的な扱い方をレクチャーしてもらってたりするのよね、お陰様で、食堂のお姉さんも料理の腕が上達したみたいで、この街でも地方でしか食べられない食材を扱った色んな料理が出るようになったの、だけれど、一部では不満が出たりもしているのよね、苦手な味や料理が増えたとか、昔の方が良かったとかね。
そんな我儘がこの大地で聞けるなんてね、時代の変化にひしひしと感じるわね、その様な不平不満を聞いた先輩が呆れていたわね、あの人からしたら食べれるだけでも幸せだった時代の人よ?そんな不満が出ることに心底驚いていたわね。
その先輩でも、これはきついって食べ物が出てくるのを密かに楽しみにしているのよね。あちこちで不評だった気持ち悪い見た目で人の手のような形をしている貝?も美味しそうに食べていたのよね。あの人が食べれないものってあるのかしら?
それにね、この街は何時だって人手不足で、食堂も例外に漏れずなのよ。
常に料理人や調理補助の人材を探しているから、様々な場所で勤めている料理人の方達に話を振るのだけれど…色好い返事は一度も無いのよ。
何処の人も、この大地での長期滞在は、どんなに頭を下げられようともご免こうむりたいみたいね。
至極当然の理由で断られるから、無理な勧誘も出来ないのよ、命の方が大事だからってね、誰だって自分の命は大事よね。
これでも、昔に比べたら大層安全になったのよ?
とはいえ、何が起こるかわからない場所だもの、家族と離れ離れになって遠い大地で死ぬかもしれない、そんなのをご家族が許してくれるわけも無し。
こればっかりは仕方が無いわよ誰だって家族の傍で生きたいわよね。
姫ちゃんが密かに目標としている、死の街と比喩されるこの街を、第二の王都と言われるくらい人口を増やして立派な街にする、その目標の為には絶対的に人が足りていないのよね。
コーヒーを飲みながらここ数年の変化などを色々と思い返していれば、徐々に寝ぼけていた思考も、はっきりと目が覚めていくのを感じる。
さてっと、姫ちゃんが起きてくるまでの間、仕事をしましょうかしらっと
カップを置いて机の上にある資料を手に取り、今後、用意しないといけない素材が書かれている資料に目を通していく。
数年前から何処か未開の大地や、他の大陸などで、生息していないか探し続けている。見たことも、聞いた事も無い素材の名前や特徴を見てふと思い出す。
2年ほど前だったかしら?見慣れぬ騎士の一団がこの街にやってきたのよね。
彼らが着用している鎧を見た時、王都の意匠が代替えしたのかしら?ってくらい、見慣れぬ鎧のデザインでびっくりしたわね。
見慣れぬ鎧を着用している騎士達が、この街に進軍してきてもいざこざなど一切なくこの街に足を踏み入れる許可が出たのも、ちゃんと正式な手続きの下、この街の更に先にある大地へ踏み入れるという申請をしっかりとしていたから、血気盛んな私達の戦士達も笑顔で迎え入れることが出来たのよ。
手続きも何もなく進撃してきたら戦争になるでしょうね…なんやかんやで、長年この街で頑張り続けている騎士達も戦士達も、この場所を大切に思ってくれているもの。
見慣れぬ騎士が街にやってきたものだから、現場は、少々混乱したりはしたけどね。
あれは、何処所属の騎士団なのかとかね…
視界が悪すぎる兜、前だけしか見えなくない?
全身を覆い隠すほどの金属鎧、可動域が狭すぎるし、歩くたびに音が鳴り響くけど、敵が寄ってくるわよ?
武器も両手剣ばっかし、槌や斧が無いと敵の骨を砕きにくくないかしら?
盾を持っている人も少ないし、どうやって重量級の突進攻撃を受け止めたり逸らしたりするのかしら?
その風貌を見た、戦士達が色んな憶測を話し合っていたりと話題性はたっぷりだったわね。新しい発見があればそれはそれで、私達の戦力が強化されることになるのだから、新鮮味があるのは良い事よね。
事前に渡された申請書の内容には
【騎士団がそちらの死の大地へ挑む為に遠征する、手出し、助言、同行などは一切合切不要】って、書かれていたから当然、私達は一切手を貸さなかったわよ?
気になっている何処の騎士団なのかって、記載が無かったから、当日になってやってきた騎士団の姿を見るまでは、てっきり王都の騎士団か、地方領主の騎士団とかの遠征訓練かと思っていたのよね。
そんなわけで、申請書の内容通りに私達は一切の手助け無しっという条件の下、見知らぬ騎士達が死の大地へ遠征に向かって行ったのよ。
どれくらいの実力なのか戦士の皆も楽しみに見張り台から覗き込んでいたのだけれど…
予想外の結果だったわね、序盤も序盤で、ボッコボコに大敗して帰ってきたのよ。
雰囲気も初々しい感じではなく、隊列も乱れることなく統率されていて、指揮官も踏ん反り返っている様な感じでもなく、猛者の雰囲気を纏っていたのに、散々な結果だったのよ。
その情けない姿を見た戦士達も、あいつら、新兵じゃないよな?連携も取れているし、弱すぎないか?って不思議そうに首を捻っていたわね。
それには、私も不思議に思うわけよ、何の意図があるのかわからない不可思議な出来事が過去にもあったのか、この街で一番の古株である先輩だったら知ってるかも?
日常的な話題ついでに、話題を出してみたら、先輩も多少、心当たりがあるみたいで知ってることを教えてくれたのは良いけれど、何の意図があるのかつかめなかったのよねー。
なんでも、この大地で起きた出来事が記されている歴史書には、時折、騎士団が死の大地に挑んでは負けて帰ってくるっという伝統的な行事があるみたい。
無駄に怪我だけして帰ってくるほど、この大陸にいる騎士達って数に余裕があるのかしら?足りてるのかしら?
でも、見慣れぬ鎧だから、王都の騎士団では無いわ、よね?近くで顔をじっくりと見たわけじゃないから、知り合いがいたかどうかわからなかったのよね。
王都の騎士団じゃなかったら、何処の騎士団?地方領主のお抱え騎士団とか、かしら?武勇伝を作るために?
そうね、騎士団と言えど戦う相手が居なかったら武勲を挙げようがないものね、盗賊団なんて姫ちゃん達が壊滅させちゃったから、目に見える悪ってなると、この先にしかいないものね。
自分たちの力量を確かめる為の遠征訓練って考えだったら、私達が同行してはいけないってのも納得よね、実力試しとかだったら自分達だけで何処までいけるか試したいものよね。
一応自分なりに納得できる材料を並べてみたけれど、やっぱり、納得が出来ない。
歯と歯の間に何かが挟まった様な気持ち悪さに耐え切れず、ちょうど街に帰ってきている姫ちゃんに話を聞きに行こう。
この一団の思惑を姫ちゃんなら知っているのか確認してみたら、申請書を受け取ったのは姫ちゃんだったのね。
それだったら、此度の進軍になんの意図があるのか、把握してそうだったら、好奇心の塊である姫ちゃんが確認してないわけがないのよね。
主な理由が、武勇伝作り、話題作りっていうか、記念?的な部分もあるみたい、だから私の予想は一部正解だったみたい、なんだけど。
驚いたのが、見慣れぬ騎士達の正体よ!
まさか、他の大陸にある他国の騎士達が、武勇伝の為に挑戦しにきたのよ。
どうして命知らずに挑むのか、その事情を知る姫ちゃんが詳しく教えてくれた。
王都は他の大陸にある国々から少なからず金銭などの援助をしてもらっている。援助理由としては
【死の大地から湧き出る人類の敵を抑え込んでいる】
敵が漏れ出ないように前線基地を設け、この大陸から敵が溢れ出ないように闘い続けている、その砦を維持するっていう名目。
他の大陸からすれば、自国をあの脅威から守ってもらっている引け目があるってことなのね。
その為の援助金、自国に災害が襲来する方がお金が必要になるものね、あの程度の力量しかない騎士団だと、死の大地の獣が襲撃してきたら、壊滅的被害を被ることになるわけで、脅威を排除したとしても、失われた命に建物、それらを再建するほうが莫大な費用が必要ってことよね。
他の大陸からすれば、その援助金が本当に必要なのか?脅威が本当に脅威たりえるのか確認の為に、武勇伝がてら、国家予算を割くに値するものなのか見定めにくるってことね。
確かにね、自国の戦力で何処まで戦えれるのか知ることは大事よね、書類だけだと、実感が湧かないものだし、脅威に長年晒されていなかったら忘れてしまうモノよね。
遠征部隊を組んで現地の人達に頼らずに何処までいけるのか肌で実感するには必要よ。だから、定期的に挑む、伝統行事ってわけなのね。
見知らぬ騎士団の実力が、どの程度なのか話のタネにでもなるかと何処まで頑張れるのか観察していたら、肩透かしも良いところ、直ぐに撤退してきた理由も納得よね。
脅威がどの程度のモノなのかある程度、肌で感じたいだけだったら、この程度でも十分なのね。本気で死の大地を攻略したい、人類を救いたいって使命に燃えているわけじゃないってことね。結論ただの観光って感じ?
姫ちゃんも前回はどの程度まで、頑張れたのか、見知らぬ騎士団の上役の方に記録を見せて貰ったら、前回も今回も似たような感じ、直ぐに負けて帰ってくるまでが伝統行事の流れって、感じなのね。
一応、前回に挑んだ騎士団や、此度の騎士団が残した肌で感じた感想なども見せてもらったみたい、中身を聞くと予想通り完全に度胸試しだったわ…
敵の殺意殺気を全身に浴びながら足を震わせながらも一歩前に進めた自分を褒めたいって書かれていたのよね。その程度で褒められるって…うーんって首を傾けてしまいそうになるわね。
遠征に挑んだ騎士団の人数は10名ほどの少数精鋭スタイルで長期滞在用の装備や準備を一切持っていなかった、つまりは鼻っから奥地に踏み込むつもりはなかったって事よ、戦士達があいつらは直ぐに撤退して帰ってくるだろうって予想していた通りだったってわけね。
何処までいけるのか楽しみにしていたのに、人型どころか、そこら辺にいる鹿クラスの雑魚に蹴散らされて帰ってきたのよね。
その情けない姿を見てちょっと、納得しちゃったわね、鹿程度に10人も居て勝てないようじゃ、他国からしたら死の大地の獣が相当な脅威に、災害になるのでしょうね。
この出来事を通して、思い出しちゃったのよね。
学生だった頃に座学で産業とかを学んでいた時に、産業の規模を考えると、王都って、どうやって維持してるのだろうか?って不思議に思っていたのよね、まさかね…
そういう背景もあったのだと知らなかったわ…授業でも取り上げて欲しい話題じゃない?
そうすれば、王都の人達はこの街で頑張る人達を蔑んだり、哀れみの目で見ることは無かったのかと、一瞬考えてしまったが…
連れてこられる人の多くが犯罪者に、人身御供のように生贄として各町から排出されてきたって背景が長年続いたのだと考えれば、致し方ないわね。
そういった負の遺産を撤廃してクリーンなイメージを持ってもらいたいものね、このイメージがある限り、私達の街に人が集まることは無いのでしょうね。
そんな事を姫ちゃんと話していたら興味深い話も聞かせてもらったわね。
他国で、こんなことがあったのだと交易の時とかに話題の一環で教えてもらったみたいで、他の大陸にも、ごくごくまれに、100年に一度とか、それくらい稀に、死の大地の獣が流れ着いて厄災・災害の如く手のつけようが無いほどに暴れ回るって話を聞かせてもらったみたい。
その時の貴重な記録を見せてもらったみたいで、一つの村?街?が壊滅して近隣の領地から討伐隊を組んで倒したみたい、たった一匹の獣にそこまで?
討伐隊を組んで、街が壊滅する規模っていったら、私達の経験上、人型クラスの敵が流れ着いたのかしらね?って、思ってたら、普通の熊タイプでびっくりよ…
まぁ人型を除けば脅威と言えば脅威の獣よ?危険な相手だっていうのは、間違いないのよね。鹿とかに比べたら熊タイプは純粋にタフさと破壊力が段違いだものね。
ベテランさんが言うには骨が硬いし、筋肉は分厚い、片手剣じゃどうにもできない、槍だと急所を狙い定めて一撃で決めないと、こちらが危険になることが多いので慣れていないのであれば一人で戦うのはお勧めされない。
歴戦の猛者である戦士部隊でも、基本的に手慣れていないのであれば最低でも三人体制で取り組まないと、此方が怪我をしてしまう相手なのよね。
そう、熊タイプと言えど、慣れない騎士部隊でも5人いれば何とかなる相手よ?
どうして、そんなに他の大陸の人は弱いのか、疑問が湧いてきたので姫ちゃんに質問したのよ。
そしたらね、他の大陸の人達は私達みたいにあんな鉄の塊みたいな重たい武器を片手で軽々と扱えれないし、魔力も殆ど持っていない、持っていることは持っているけれど、私達よりも薄く、出力も弱い。
その為、誰でも扱えれるような兵器を開発しようと奮闘しているが、結果は伴っていないみたいで、新しい発見が無いか常にアンテナを張っていたら、私達のすむ大陸の技術が急激に発展したのを驚いていて、その技術力を欲しがっている。
けれど、技術を手にすることが出来ずに悩んでるってことね、それもそうよ。
突如急激に発展した技術力の全てが姫ちゃん由来だもの、この大陸の多くの技術者が指示されたとおりに研究生産などの作業しているだけだから、根本的に全ての仕組みを完全に理解している人はいない。
居たとしても姫ちゃんを崇拝しているくらい尊敬しているので絶対に他国に流れない。
つまり、他国が求めている技術=姫ちゃんって図式、姫ちゃんの全てが欲しいって言っているのと同じなのよね…姫ちゃんを勧誘する為の材料って何があるのかしら?
財力は、この大陸で一番持っている、お金では動かないでしょうね。かといって、男の人を誘うのであれば常套手段、あっち方面での誘惑とかはできないし、この街から離れるイメージがわかないわね。
姫ちゃんも数多くの、色んな人と交易を重ねて向こうの事情などの話を聞いて他の大陸がどの程度、知識があって戦力があるのか凡その推測が出来たみたい。
一部の大陸を除いては大体、似たり寄ったりの軍事力、技術力。現時点で此方を脅かすような脅威はない。なので、他の大陸の人達が突如、この大地へ攻め入ったりなどの、人類同士での争いに発展することはなさそうね。一部を除いては…
その一部の大陸が、厄介なのよね。姫ちゃんも詳しくは知らない技術を保有していて、それでいて距離が近い。
船で5時間もあれば到着する程に近い大陸なのよね?…つまりは、私達の大陸から亡命して根付いた人達がいる可能性もある、向こうの大陸から来た人が此方の人と繋がり子を生し、子を故郷に密かに送り返した…その可能性があるからか、その厄介な大国に住む人たちは私達に近しい程に強い人達がいる、らしい。
攻めてくる可能性だけを考えれば、その大陸にある大国だけは要警戒ってことね。
そんな警戒しないといけない場所だけれど、姫ちゃん的には、いずれ、可能であれば海を渡って大国にある未知の技術体系に触れてみたいって言ってたわね。
そういう世界旅行が実現できるくらい、平和な時代が来ればいいわね。
魚が好きな南の方出身の戦士の皆さんから凄く好評なのよね、食堂のおば…お姉さんなんて、調理したことのない食材ばっかりでどうやったらいいのか届けられた時は悩んでその地方出身の人が居ないか探して調理方法を相談していたわね。
それでも、調理方法がわからない食材も届くことがあるからって、どうしたら美味しく食べれるのか知ってる人が居ないか、姫ちゃんに相談したみたいなのよね。
姫ちゃんとしても、味道楽っていうのを実現したいみたいで最近は美食に目覚めているのかどうせなら美味しく食べたいみたいで、取引で地方に出かけた時に領主とか貴族の方が推薦する料理人を紹介してもらって、料理をご教授出来ないかお願いしているみたい。
偶に承諾してくれる心優しい料理人の方を持て成しながら、この街までご足労を願って、地方でとれる様々な食材の基本的な扱い方をレクチャーしてもらってたりするのよね、お陰様で、食堂のお姉さんも料理の腕が上達したみたいで、この街でも地方でしか食べられない食材を扱った色んな料理が出るようになったの、だけれど、一部では不満が出たりもしているのよね、苦手な味や料理が増えたとか、昔の方が良かったとかね。
そんな我儘がこの大地で聞けるなんてね、時代の変化にひしひしと感じるわね、その様な不平不満を聞いた先輩が呆れていたわね、あの人からしたら食べれるだけでも幸せだった時代の人よ?そんな不満が出ることに心底驚いていたわね。
その先輩でも、これはきついって食べ物が出てくるのを密かに楽しみにしているのよね。あちこちで不評だった気持ち悪い見た目で人の手のような形をしている貝?も美味しそうに食べていたのよね。あの人が食べれないものってあるのかしら?
それにね、この街は何時だって人手不足で、食堂も例外に漏れずなのよ。
常に料理人や調理補助の人材を探しているから、様々な場所で勤めている料理人の方達に話を振るのだけれど…色好い返事は一度も無いのよ。
何処の人も、この大地での長期滞在は、どんなに頭を下げられようともご免こうむりたいみたいね。
至極当然の理由で断られるから、無理な勧誘も出来ないのよ、命の方が大事だからってね、誰だって自分の命は大事よね。
これでも、昔に比べたら大層安全になったのよ?
とはいえ、何が起こるかわからない場所だもの、家族と離れ離れになって遠い大地で死ぬかもしれない、そんなのをご家族が許してくれるわけも無し。
こればっかりは仕方が無いわよ誰だって家族の傍で生きたいわよね。
姫ちゃんが密かに目標としている、死の街と比喩されるこの街を、第二の王都と言われるくらい人口を増やして立派な街にする、その目標の為には絶対的に人が足りていないのよね。
コーヒーを飲みながらここ数年の変化などを色々と思い返していれば、徐々に寝ぼけていた思考も、はっきりと目が覚めていくのを感じる。
さてっと、姫ちゃんが起きてくるまでの間、仕事をしましょうかしらっと
カップを置いて机の上にある資料を手に取り、今後、用意しないといけない素材が書かれている資料に目を通していく。
数年前から何処か未開の大地や、他の大陸などで、生息していないか探し続けている。見たことも、聞いた事も無い素材の名前や特徴を見てふと思い出す。
2年ほど前だったかしら?見慣れぬ騎士の一団がこの街にやってきたのよね。
彼らが着用している鎧を見た時、王都の意匠が代替えしたのかしら?ってくらい、見慣れぬ鎧のデザインでびっくりしたわね。
見慣れぬ鎧を着用している騎士達が、この街に進軍してきてもいざこざなど一切なくこの街に足を踏み入れる許可が出たのも、ちゃんと正式な手続きの下、この街の更に先にある大地へ踏み入れるという申請をしっかりとしていたから、血気盛んな私達の戦士達も笑顔で迎え入れることが出来たのよ。
手続きも何もなく進撃してきたら戦争になるでしょうね…なんやかんやで、長年この街で頑張り続けている騎士達も戦士達も、この場所を大切に思ってくれているもの。
見慣れぬ騎士が街にやってきたものだから、現場は、少々混乱したりはしたけどね。
あれは、何処所属の騎士団なのかとかね…
視界が悪すぎる兜、前だけしか見えなくない?
全身を覆い隠すほどの金属鎧、可動域が狭すぎるし、歩くたびに音が鳴り響くけど、敵が寄ってくるわよ?
武器も両手剣ばっかし、槌や斧が無いと敵の骨を砕きにくくないかしら?
盾を持っている人も少ないし、どうやって重量級の突進攻撃を受け止めたり逸らしたりするのかしら?
その風貌を見た、戦士達が色んな憶測を話し合っていたりと話題性はたっぷりだったわね。新しい発見があればそれはそれで、私達の戦力が強化されることになるのだから、新鮮味があるのは良い事よね。
事前に渡された申請書の内容には
【騎士団がそちらの死の大地へ挑む為に遠征する、手出し、助言、同行などは一切合切不要】って、書かれていたから当然、私達は一切手を貸さなかったわよ?
気になっている何処の騎士団なのかって、記載が無かったから、当日になってやってきた騎士団の姿を見るまでは、てっきり王都の騎士団か、地方領主の騎士団とかの遠征訓練かと思っていたのよね。
そんなわけで、申請書の内容通りに私達は一切の手助け無しっという条件の下、見知らぬ騎士達が死の大地へ遠征に向かって行ったのよ。
どれくらいの実力なのか戦士の皆も楽しみに見張り台から覗き込んでいたのだけれど…
予想外の結果だったわね、序盤も序盤で、ボッコボコに大敗して帰ってきたのよ。
雰囲気も初々しい感じではなく、隊列も乱れることなく統率されていて、指揮官も踏ん反り返っている様な感じでもなく、猛者の雰囲気を纏っていたのに、散々な結果だったのよ。
その情けない姿を見た戦士達も、あいつら、新兵じゃないよな?連携も取れているし、弱すぎないか?って不思議そうに首を捻っていたわね。
それには、私も不思議に思うわけよ、何の意図があるのかわからない不可思議な出来事が過去にもあったのか、この街で一番の古株である先輩だったら知ってるかも?
日常的な話題ついでに、話題を出してみたら、先輩も多少、心当たりがあるみたいで知ってることを教えてくれたのは良いけれど、何の意図があるのかつかめなかったのよねー。
なんでも、この大地で起きた出来事が記されている歴史書には、時折、騎士団が死の大地に挑んでは負けて帰ってくるっという伝統的な行事があるみたい。
無駄に怪我だけして帰ってくるほど、この大陸にいる騎士達って数に余裕があるのかしら?足りてるのかしら?
でも、見慣れぬ鎧だから、王都の騎士団では無いわ、よね?近くで顔をじっくりと見たわけじゃないから、知り合いがいたかどうかわからなかったのよね。
王都の騎士団じゃなかったら、何処の騎士団?地方領主のお抱え騎士団とか、かしら?武勇伝を作るために?
そうね、騎士団と言えど戦う相手が居なかったら武勲を挙げようがないものね、盗賊団なんて姫ちゃん達が壊滅させちゃったから、目に見える悪ってなると、この先にしかいないものね。
自分たちの力量を確かめる為の遠征訓練って考えだったら、私達が同行してはいけないってのも納得よね、実力試しとかだったら自分達だけで何処までいけるか試したいものよね。
一応自分なりに納得できる材料を並べてみたけれど、やっぱり、納得が出来ない。
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この一団の思惑を姫ちゃんなら知っているのか確認してみたら、申請書を受け取ったのは姫ちゃんだったのね。
それだったら、此度の進軍になんの意図があるのか、把握してそうだったら、好奇心の塊である姫ちゃんが確認してないわけがないのよね。
主な理由が、武勇伝作り、話題作りっていうか、記念?的な部分もあるみたい、だから私の予想は一部正解だったみたい、なんだけど。
驚いたのが、見慣れぬ騎士達の正体よ!
まさか、他の大陸にある他国の騎士達が、武勇伝の為に挑戦しにきたのよ。
どうして命知らずに挑むのか、その事情を知る姫ちゃんが詳しく教えてくれた。
王都は他の大陸にある国々から少なからず金銭などの援助をしてもらっている。援助理由としては
【死の大地から湧き出る人類の敵を抑え込んでいる】
敵が漏れ出ないように前線基地を設け、この大陸から敵が溢れ出ないように闘い続けている、その砦を維持するっていう名目。
他の大陸からすれば、自国をあの脅威から守ってもらっている引け目があるってことなのね。
その為の援助金、自国に災害が襲来する方がお金が必要になるものね、あの程度の力量しかない騎士団だと、死の大地の獣が襲撃してきたら、壊滅的被害を被ることになるわけで、脅威を排除したとしても、失われた命に建物、それらを再建するほうが莫大な費用が必要ってことよね。
他の大陸からすれば、その援助金が本当に必要なのか?脅威が本当に脅威たりえるのか確認の為に、武勇伝がてら、国家予算を割くに値するものなのか見定めにくるってことね。
確かにね、自国の戦力で何処まで戦えれるのか知ることは大事よね、書類だけだと、実感が湧かないものだし、脅威に長年晒されていなかったら忘れてしまうモノよね。
遠征部隊を組んで現地の人達に頼らずに何処までいけるのか肌で実感するには必要よ。だから、定期的に挑む、伝統行事ってわけなのね。
見知らぬ騎士団の実力が、どの程度なのか話のタネにでもなるかと何処まで頑張れるのか観察していたら、肩透かしも良いところ、直ぐに撤退してきた理由も納得よね。
脅威がどの程度のモノなのかある程度、肌で感じたいだけだったら、この程度でも十分なのね。本気で死の大地を攻略したい、人類を救いたいって使命に燃えているわけじゃないってことね。結論ただの観光って感じ?
姫ちゃんも前回はどの程度まで、頑張れたのか、見知らぬ騎士団の上役の方に記録を見せて貰ったら、前回も今回も似たような感じ、直ぐに負けて帰ってくるまでが伝統行事の流れって、感じなのね。
一応、前回に挑んだ騎士団や、此度の騎士団が残した肌で感じた感想なども見せてもらったみたい、中身を聞くと予想通り完全に度胸試しだったわ…
敵の殺意殺気を全身に浴びながら足を震わせながらも一歩前に進めた自分を褒めたいって書かれていたのよね。その程度で褒められるって…うーんって首を傾けてしまいそうになるわね。
遠征に挑んだ騎士団の人数は10名ほどの少数精鋭スタイルで長期滞在用の装備や準備を一切持っていなかった、つまりは鼻っから奥地に踏み込むつもりはなかったって事よ、戦士達があいつらは直ぐに撤退して帰ってくるだろうって予想していた通りだったってわけね。
何処までいけるのか楽しみにしていたのに、人型どころか、そこら辺にいる鹿クラスの雑魚に蹴散らされて帰ってきたのよね。
その情けない姿を見てちょっと、納得しちゃったわね、鹿程度に10人も居て勝てないようじゃ、他国からしたら死の大地の獣が相当な脅威に、災害になるのでしょうね。
この出来事を通して、思い出しちゃったのよね。
学生だった頃に座学で産業とかを学んでいた時に、産業の規模を考えると、王都って、どうやって維持してるのだろうか?って不思議に思っていたのよね、まさかね…
そういう背景もあったのだと知らなかったわ…授業でも取り上げて欲しい話題じゃない?
そうすれば、王都の人達はこの街で頑張る人達を蔑んだり、哀れみの目で見ることは無かったのかと、一瞬考えてしまったが…
連れてこられる人の多くが犯罪者に、人身御供のように生贄として各町から排出されてきたって背景が長年続いたのだと考えれば、致し方ないわね。
そういった負の遺産を撤廃してクリーンなイメージを持ってもらいたいものね、このイメージがある限り、私達の街に人が集まることは無いのでしょうね。
そんな事を姫ちゃんと話していたら興味深い話も聞かせてもらったわね。
他国で、こんなことがあったのだと交易の時とかに話題の一環で教えてもらったみたいで、他の大陸にも、ごくごくまれに、100年に一度とか、それくらい稀に、死の大地の獣が流れ着いて厄災・災害の如く手のつけようが無いほどに暴れ回るって話を聞かせてもらったみたい。
その時の貴重な記録を見せてもらったみたいで、一つの村?街?が壊滅して近隣の領地から討伐隊を組んで倒したみたい、たった一匹の獣にそこまで?
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歴戦の猛者である戦士部隊でも、基本的に手慣れていないのであれば最低でも三人体制で取り組まないと、此方が怪我をしてしまう相手なのよね。
そう、熊タイプと言えど、慣れない騎士部隊でも5人いれば何とかなる相手よ?
どうして、そんなに他の大陸の人は弱いのか、疑問が湧いてきたので姫ちゃんに質問したのよ。
そしたらね、他の大陸の人達は私達みたいにあんな鉄の塊みたいな重たい武器を片手で軽々と扱えれないし、魔力も殆ど持っていない、持っていることは持っているけれど、私達よりも薄く、出力も弱い。
その為、誰でも扱えれるような兵器を開発しようと奮闘しているが、結果は伴っていないみたいで、新しい発見が無いか常にアンテナを張っていたら、私達のすむ大陸の技術が急激に発展したのを驚いていて、その技術力を欲しがっている。
けれど、技術を手にすることが出来ずに悩んでるってことね、それもそうよ。
突如急激に発展した技術力の全てが姫ちゃん由来だもの、この大陸の多くの技術者が指示されたとおりに研究生産などの作業しているだけだから、根本的に全ての仕組みを完全に理解している人はいない。
居たとしても姫ちゃんを崇拝しているくらい尊敬しているので絶対に他国に流れない。
つまり、他国が求めている技術=姫ちゃんって図式、姫ちゃんの全てが欲しいって言っているのと同じなのよね…姫ちゃんを勧誘する為の材料って何があるのかしら?
財力は、この大陸で一番持っている、お金では動かないでしょうね。かといって、男の人を誘うのであれば常套手段、あっち方面での誘惑とかはできないし、この街から離れるイメージがわかないわね。
姫ちゃんも数多くの、色んな人と交易を重ねて向こうの事情などの話を聞いて他の大陸がどの程度、知識があって戦力があるのか凡その推測が出来たみたい。
一部の大陸を除いては大体、似たり寄ったりの軍事力、技術力。現時点で此方を脅かすような脅威はない。なので、他の大陸の人達が突如、この大地へ攻め入ったりなどの、人類同士での争いに発展することはなさそうね。一部を除いては…
その一部の大陸が、厄介なのよね。姫ちゃんも詳しくは知らない技術を保有していて、それでいて距離が近い。
船で5時間もあれば到着する程に近い大陸なのよね?…つまりは、私達の大陸から亡命して根付いた人達がいる可能性もある、向こうの大陸から来た人が此方の人と繋がり子を生し、子を故郷に密かに送り返した…その可能性があるからか、その厄介な大国に住む人たちは私達に近しい程に強い人達がいる、らしい。
攻めてくる可能性だけを考えれば、その大陸にある大国だけは要警戒ってことね。
そんな警戒しないといけない場所だけれど、姫ちゃん的には、いずれ、可能であれば海を渡って大国にある未知の技術体系に触れてみたいって言ってたわね。
そういう世界旅行が実現できるくらい、平和な時代が来ればいいわね。
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両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。


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※エブリスタさんでも投稿しています

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