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とある人物達が歩んできた道 ~ 6年後 ~ ③

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悪い子よね?アレを例に出すのは反則じゃない?

その人物の写真ってのが、この街に居る女将という新しいあだ名でご自分の酒場を切り盛りしている、巨躯の女性。
例外中の例外、規格という枠組みから大きく逸脱した規格外!
世界中を探しても、女性という枠組みから大きく外れた規格外だと誰しもが認めて、見てすぐに分かる!そんな非常識の塊が写っている写真を見せられたら誰でも納得するしかないし、本当に実在するのか疑った人達はこの街に招待すれば否が応でも納得するわね、元気に、ノッシノッシと我が物顔で歩いているのだから…
アレを見た後だったら姫ちゃんが幼く見えるのも、それくらい普通じゃない?って感覚になるものでしょ。

ああ、そうよ?あいつのあだ名は今は女将よ?女将って呼ばれるの本人も嬉しいみたいよ?親しみがあっていいじゃねぇかってね。
初めて彼女を見た多くの人が恐怖心を抱くことが多いけれど、今は、エプロン姿であちこち歩き回っているし、酒場で働いている姿を見て親近感を覚える人が多いみたいだから怖がられる頻度が減ったみたいなのよね。

そんなわけでね、女将が切り盛りしている酒場が砦から見て南側に新しく産まれた通称商業エリアって呼ばれる場所で開業したのよね。
姫ちゃんが見据えている未来の理想図だと、このままではこの街が普通の街みたいに発展しずらいと考えていてるみたいで、この最前線の砦を、一般的な街としての機能を向上させるために商業エリアを作ったのよ。
姫ちゃんが見据える未来っていうのが、敵との闘い、その全てが終わった、その先の未来を見据えて…この砦が破棄しても問題ないくらい平和な世の中になったらこの街がごく普通の街として機能するようにと願って作られたのは良いんだけど…

殆ど機能していないのよね…

誰も、そこで店を開こうとしないし行商の人も車が普及されつつある現状ね地方へと仕入れにいったりする仕事が減ったと悲しそうに言っていたのよね。
行商の人の仕事を奪ったのが、大型の荷物を運ぶ車が出来たからなのよ、その為、今までは行商の方達が地方をめぐって仕入れてきた品物たちが、その方達を解せずに王都に流れてくるし、王都で造られた服飾も地方に流れるようになっているし、畜産エリアで栽培している香辛料も売れ行きは好調…
この大陸全土で物流の流れが向上された影響もあってね、わざわざこっちまで、昔ながらに馬を引いて選りすぐった品物を運んで売る必要性が無くなりつつあるのよね。
それでも、地方の田舎とかにはまだまだ、交通の便が悪いから馬が必要な場所もあるから完全に需要がなくなったわけではないみたい。

それに比べてこっちは、道も舗装されているしバスという魔道車が無事に運用できているから、誰でも気軽に隣町に行けるし、手軽に王都にも遊びにいけちゃうのよね…

今までお世話になっていた行商の方も、滅多に売りにこなくなってしまったのよね…
会えなくなるのも寂しいし、行商で売り上げが成り立ちにくいのなら、ここで店を開きませんか?ってさらっと勧誘してみたら、全力でお断りされてしまったのよね~
一応、姫ちゃんも王都に古くから存在している商会に打診はしてみてはいるけれど、色好い返事は一切ないみたい。

だから、建設したてで、今もなお広がり続ける商業エリアには驚いたことに!誰もいないのよね!…ついでに住居エリアも広がり続けているわね

悲しいことにね、あのエリアは、外見だけ、ガワだけしっかりとしていて、外から見たら建物が並んでるだけって感じ?街ゆく人は誰も居ない、大きな女性を除いて…
一応ね、女将の店は大繁盛ってわけではないけれど、女将と共に駆けまわっていた引退した戦士達や、近隣の街の人が顔を出してくているみたいで需要はあるみたい。良いことね、私はあまり近寄りたくないのよね…内装云々ではなく、あの店の食事はカロリーが純粋に高い!!!お酒も美味しい!!!だって姫ちゃんが試作品としてつくってるビールとか、他では絶対に手軽に飲めない地球という私達では絶対に知りえない味道楽のメッカ!聖地!そのお酒が並んでいるのよ!!!美味しすぎるのよ!!毎日通ったら太る!!

どうして、味を知ってるのかって?試作品とかご馳走になったことがあるから、料理の味については絶品だと知ってるのよ。
新しいお酒が出来たら姫ちゃんが持ってきてくれるから当然、試飲しているから知ってるのよね…その絶品と希少なお酒が唯一手軽に食べれる場所ってことなのよね。
知る人ぞ知る名店って感じかしら?

姫ちゃん的には、いつか絶対に商業エリアも住居エリアも機能するようにしたいみたいだけれど…
この街が危険なのは変わりないわけで、全ての脅威を無くさないと、どうしようもないと思うのよね。その為に予め準備をしているって段階かしらね?
私としては、あの余りある予算を把握しているから、予算なんて気にしなくてもいいんじゃない?って思っているし、姫ちゃんが言うにはお金は天下の回り物ってたから、一人で溜め込まないで、少しでも何処かでお金を使わないといけないのかしら?って感じ。

なのでまぁ、私達はあのエリアは姫ちゃんの道楽として受け止めているわけよ、土地も余ってるし。

隣町の人や、姫ちゃんの事を詳しく知らない人から見たら、きっとあのエリアは誰も住んでいない機能していない無意味なものとして認識されている悲しい状況なのよね。

ほんっと、女将が店を出したいって言ってくれたのが幸いしたわね。
女将って実は、前々から個人的に店を出してみたいって願望があったみたいなのよね、姫ちゃんも漸くこのエリアが機能するって、ことで大喜びで店に必要な設備全部整えてプレゼントしたのよね。
女将からしたら、自分から店を出してみたいって、打診したのに全部用意してくれるとは思っていなかったみたいで易々とうけとれねぇよって恐縮してたけど、事情をしる私達からすれば、甘んじて受け取って?って感じ。

姫ちゃん個人的にも、色々と無理難題を女将に押し付けたりするから、幾度となくお世話になっているのよね。
護衛任務も気軽に受けてくれるし、時折、私達の戦士や騎士達の稽古にも付き合ってもらっているのよね。ベテランさんだけじゃ手が足りなくなってきているのよ
それに大きな魔道具を運ぶ時とかも率先して手伝ってくれているから、女将が居ないともっと大変だったことが山ほどあるのよ。

女将個人だけじゃなく、畜産エリアを管理する従業員一同には、度重なる無茶ぶりをしてきているから…

それらすべての恩義が数えきれないほどあるみたいなのよね…例にも漏れず私もその一人なのよ…
少なからずどころか、薬の原材料とカで大きく迷惑をかけてきているのよね、それにね、恩義ってだけじゃなく、一応、その、ね?ほら…一応あいつは私の友人でもあるわけじゃない?ならさ、友人がしたいこと、やりたいことは…純粋に応援してあげたいものよね。

律儀な性格をしている女将のやつからしたら、店舗に必要な設備のお金は自分で出すからって何度も遠慮していたけれど、あの程度の金額…
後でこっそりと、姫ちゃんからしたらお小遣いレベルだから安心していいわよって声を掛けてあげたわよ、ぇぇ、本当に、お小遣いレベルなのよ…
店舗に必要な魔道具も設備も全部此方側で生産しているものだから、テストケース?って感じで使用感を報告してもらえばペイ出来るってさらっと言っていたから、これもまた商売のタネなのでしょうね。だから、本気で気にすることないのよ。

慌てふためいて、何処から搔き集めたのかわからない金貨が入った袋を持ちながら訝しんでいる女将を思い出してしまったわね、懐かしいモノよね…
時の流れによって、私達の周りの人達も色々と変化してきたものよね…立派になっていくし、自分の夢を実現していくし、勤めを果たして引退して王都でゆったりと老後を堪能している人もいるし、エロの権化と化した人もいるし…


私は。空っぽになった私は、後は何がしたいのだろうか?


そうなのよね、姫ちゃんは十二分に成長したし、仕事量を考えると私が頑張らないといけないのはわかるけれど、正直、欲が無く忠誠心が強い人が居れば私の業務を受け持つ人って探せば居ると思うのよね…だから、私が、ずっと傍にいる必要も、ないんじゃないかなって思うのよね…なら、私がしたいことって…ほかに何か、あるのかしら?

そんな事を考えながら、ぽけ~っと心の休息をとっていると先輩が奥様と一緒にジョギングをしている姿が見える、もうそんな時間なのね…そろそろ寝るとしますか。

今から寝るのかって?そう、なのよ!
最近っていうか、もうずっとよ!仕事が忙しすぎて徹夜あけなのよこちとらぁ!!この年齢で徹夜はしんどいのよ、お肌が荒れるのよ…

私も封印術式を体に施している影響もあって見た目は年を…重ねているような感じもなく未だに20代半ばって、くらいの麗しい人目をひく美しさよ?昔と比べて変わった点、変化した部分ってのは…

…お腹を触ってみる…考えないでおきましょう…

そうね!変化は!…あまりないのよ?
でもね、あちこちが確実に衰えているのは実感している日々ね…魔力も昔ほど練れなくなってきているし、筋肉も昔ほど無いわね、今姫ちゃんを抱っこして死の大地を駆け抜けろって言われたら出来る自信が無いわね…
魔力が昔ほど練れないとはいえ、姫ちゃんに魔力を渡すことは問題なく出来ているわよ、魔力譲渡法は比較的、簡易にできるように術式も構築されてきているし練習方法も確立できているから会得するための難易度は昔に比べてかなり下がったわね。
だから、試験的な意味合いと実地訓練的な意味合いも含めて、医療班の皆からも定期的に魔力を受け取っているのよ私が、だから魔力に関しては問題ないかな?

私達は馴れているけれど、当然のように獣共からの進攻進撃会敵、何時だって死の危険は付きまとっている荒事は、しょっちゅう起きているわよ?
でもね、想定以上に、この街が機能してきているみたいで、人型が魔道具持ちでもない限り、滅多なことが無い限り姫ちゃんが前線迄、出張ることがなくなったのよね。
姫ちゃんの手が空いているときは解析班と共に動いているからまったく活躍していないわけじゃないわよ?術式部隊にも指導しているし、ちゃんと外交官や街の発展だけじゃなく、色んな場所で活躍してるから、新人達からすると憧れの人で話しかけづらいみたいね…私を含めてね。

戦士達も騎士達も大きく成長したものだから、多少の人型くらいなら、各々の部隊が完璧に連携して闘っている間に、解析班が動いて敵の特徴を導き出して最適解を伝える。
その一連の流れによってこちらの部隊に大きな損傷も被害も無くきっちりと仕留めてくれているのよね。怪我は全くしないわけじゃないわよ?医療班も大活躍しているわよ、私だってたまに外で働いている時があるわよ?

今となっては、一部の戦士や、騎士達に良き経験を積ませたいからって理由で常に巡回して対処できそうないい経験地となる人型を探しているくらいよ…

でもね、昨今、どうしてかわからないけれど、敵の攻撃がいやらしく狡賢くなっていっているのよね。
幻覚に麻痺に、毒に…未来姫ちゃんが用意してくれたレジストポーション?水薬?そのレシピが無かったら対処できなかったことも数多くあったわね。
厄介なことに人型が持って来た魔道具じゃなくて何処にでもいるような敵が突如それらを扱うようになったのが狡猾なのよね!

それらの対処をする為にも医療班も同様に研鑽を積みに積んできたおかげで、優秀なスタッフが数多く育ってきている、お陰様で優秀過ぎて王都で開業したら即繁盛間違いなしの素晴らしさよ。なのでまぁ、医療班としては概ね。特に。問題なし…表面上わね…

問題があるとすれば、まとめ役の私があんまり現場に顔を出していないってことかな?先輩も引退してもおかしくないご年齢になっているのにかかわらず!今も元気に現場に出て最新の医療知識をしっかりと勉強して、若手に教えながらも、頑張って医療班全体を支えてくれている…一部では怖がられているのは、仕方が無いわよ。怒ると怖いのは変わらずよ。
新人達からすれば先輩が医療班の代表だと思っている人が多いのも仕方が無いのよ。

私が滅多に、顔を出せないのならさっさと、次の医療班団長を任命しないといけないってのは、重々承知しているし問題だとわかっているのだけれど…
…いないのよ、次の担い手が。
昔みたいにほいほいと代替えが出来ないし、先輩に団長の座を返す事も出来なくなってしまったのよ…

団長に就任するための最低条件として、浸透水式を扱えれるっていう高いハードルが生まれちゃったのよね…

ここが、本当にネックで幾ら医療の知識があっても、素晴らしい知識を持っていても、新しい技術を習得できたとしても、浸透水式が扱えれないと技術継承が途絶える恐れがあるからってことで、団長として任命出来ないのよ、団長になるとしたら絶対必須技能、最低条件として定められちゃったのよね…

だから、次の成り手が本当にいないのよ…あの技術って才能無いと扱えれないっぽいのよね。

問題は何時だって山積み…はぁ、頑張らないとね、少し仮眠を取りましょう…
タンブラーの中身をぐいっと飲み干して自室に戻る…黄色い朝日を背中に浴びながら…


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