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Dead End 6Ⅵ6の世界(7)
しおりを挟む涙を拭い、心を落ち着かせ、心には刃を宿し、もう、人であろうと何だろうと殺す覚悟を決める、躊躇わない、模したものは傷つけれても、模してない純粋な人であろうとも
私を止めれない、人を殺す覚悟を心に消えない火を、いや、身を焦がすほどの憎悪という炎を宿す。
魂を魔力へと変換されたためか、膨大な魔力量だった、今の私の体には、かつてない程の魔力を宿しているのだと感じる。
地下に通じる通路を開け、認識阻害の術式を発動して進んでいく。
ここからは最大限の警戒で進める、敵の巣窟であり、全員が狂信者、助けはこない…至近距離に近寄られない限りどうとでもなる、なるけれど、狂信者相手だと何処まで通用するか未知数、確実に言えることは一つ、洗脳系などの精神に作用させる術式は通用しないだろうね。
狂信者が何処まで感覚を高められているのか未知数だし、認識阻害の術式を使っていたとしても何かしらの術に反応する術式が展開されている可能性もある。
出来る限り、音を殺して気配を殺して、ゆっくりと慎重に…近づいていく。
事前に術式で把握していた、人の気配を感知した場所に辿り着く…正常な人であれば異様な光景に見えるだろう、術者からすれば、ある意味完成された美のようにも感じ取れた。
大きな陣を8人の術者が囲むように膝をついて祈りを捧げている
陣から少しだけ、気持ち程度、離れた場所に一人だけ佇んでいる人が完成された美を、景色を遠巻きに見ている。
遠巻きに見ている人の姿がはっきりと視認できる距離まで近づく
あれは…うん、そうね、正装の感じからして司祭ね、あんにゃろう、自分だけは命を捧げる事も無く望みをかなえる為に高みの見物ってこと?
司祭との距離を考えればこの位置であれば襲われる心配は無さそう、祈りを捧げている人達は今の状況を中断することが出来ないと思われるから気づかれても襲われることは無さそうだけど…下手に術式で攻撃すれば干渉を起こして何が起きるかわからない、物理は正義ってことね、最悪、腕の一本くれてやるのもいいけれど、8のうち1つを砕いたところで司祭がリペアになっていそうなきもするし、一度に全員を仕留めないと厳しい、っか…
もう少しだけ近寄ろう、司祭の様子から周囲を警戒しているというよりも儀式を見守ってそうな感じがする…
陣の中央に寝かされている人が居るのは見えていたけれど、見やすい角度まで近づいたからわかったけれど、あれって、妊婦さん?
お腹が大きいようだけど、顔が見えない、でも、この状況で妊婦さんで贄に捧げられそうになっていると考えれば、ジラさん以外にあり得ない。
陣がどの様に作用されているのか把握するために魔力を可視化する魔道具を起動させ、魔力の流れを見る…
陣の中央に向かって次々と魔力が流れ込んでいっている?流れる先はジラさんのからだ…ちがう、胎児だ…胎児を触媒に?なにをしようというの?
それに、あの胎児、凄い力の波動をかんじる…あれ程の魔力を注ぎ込まれても命の息吹を感じる…死んでいない?
敵の思惑が合理的で納得するしかない、ジラさんが必要だったんじゃない、ジラさんが宿す特別な種による命(触媒)が必要だったって事か!!
削り取られた過去を見たからこそ、知っている!あの胎児がアレの子供だって言うのを!!
王族の血筋は、守られ続けている!絶対に薄れさせないように徹底的に管理されている!力の象徴である始祖様の血を…未だに色濃く残している。
この大地でこれ以上も無い力の触媒となりえる種を使って、器となる彼女に聖女の魂を宿し、始祖様と魂の部分で繋がりがある特殊な魂と特殊な種を結びつかせることによって、始祖様に最も近い触媒をその身に宿らせる。
確かにね、その触媒で在れば、王都中の人類の命を集めても壊れることが無く、術式の力によって爆ぜることが無く、安全に機能する最強の生きた魔道具ってこと…
最低最悪の下法じゃん…それに近しいことを考えたことはあるけれど、実行するには非人道的過ぎて、断念したってのに
魔力の流れとかを観察してある程度、把握できた。
陣の周りにいる8人が祈りという術式を演算するための道具として機能しているのは間違いはない。
そして遠巻きに見ている司祭はたぶん邪魔が入らないように警護する係って感じかな?微動だにしないから、与えられた役割を考えたらそれくらいしか該当しないし。
そうなると、いつ化け物に変貌するかわかったもんじゃないね。
この儀式を止めるには演算装置を壊せばすぐにでも終わる!術式の内容から見て、干渉しない術式は構築済み!この距離からでもやれ
【やめよ】
心臓が止まるかと思った…認識阻害の術式を軽々と破って耳元で何かが囁いたように聞こえたから
音がする方向に振り向けない、心臓を握られてしまったような感じがする。一番警戒していた至近距離まで近寄られてしまうという事態に陥ってしまった。
駄目だ、今は死ねない、情報を何もかも持ち帰らずに死んだら、この世界がループする、前に進まない、全てが終わる…
【見届けよ】
声に言われた通り、身動きが取れない、見届ける事しか出来ない!
8人の演算装置が崩れるように倒れる、髪の毛も真っ白となっている、そうか、臓器全てを魔力に変換しながらも演算を続けていたって事…なんて非道な。
【貴女の願う先もアレと変わらないでしょう?】
違う!私の最終的な目標はアレとは違う!命を差し出させることなんてしない!
【お母様を救う為に魂を召喚し、何かに宿す】
違う!死者を冒涜したりしない!誰かの魂を犠牲にしたりしない!
【語ってくれたではありませんか、貴女の夢を】
…かたった?…お前は、誰だ?
【私はね、貴女の夢を達成するには貴女のやり方では難しいと教えましたよね?】
…うそだ、うそだ!うそだ!!おま、お前は!!
【これ以上のお戯れは止めましょう、始まりますよ死者の国の建国です】
心臓を掴まれている様な感覚が無くなると、目の前に 奇跡/呪いが 始まりを告げる
「騎士様、私のダーリン、私のヤシオ様、私の、シヨウ様」
一人の男性が陣の中央に突如として現れ、腕から片手剣を生み出し、その剣の切っ先をジラさんの腹部へと突き刺す
悲痛なる叫び声と共に、地下の灯りが全て消える…
音も光も、何もかもが、全てが、制止した中
ゆっくりと二人に近づく、ジラさんは目を開いているが…絶命している
ジラさんの腹部を刺した男性…動く気配が無い、役割を終えたのだろう、よく見ると感情も何もない、肉体だけを生み出された舞台の装置に過ぎない
陣の外で見守っていた司祭は状況がよみ込めていないのか錯乱している。
もしかして、彼は邪魔されないように警戒していたのではなく、状況がよみ込めてない一般人だったり?
確認するために近くに行くと「我が神が我が神を殺した、私がしんじてしんじていたのはなんだ?悪魔だったのか?神ではなかったのか?」
…どうやら、悪魔信仰をしていたのは間違いなさそう。罪を背負って安らかに死になさい。
錯乱する司祭を置き去りにして私は、地下を出る。
地上に出ると、世界が終わりを告げるのだと理解するには十分すぎる状況だった
だって…
先ほど現れた男性と同じ風貌の人達が次々と地面から生み出されている…死者の国、死者しか残らない大地。
全てが終わった…悲しみが湧き上がると思っていたけれど、こまった、全てを失った私の心に宿るのは
恨みを晴らしたい一心だった
行こう、終わる世界に興味はない、興味はないけれど、これだけは晴らさせてほしい、これだけは!!
我が一族を穢し愛するお母さんを壊したヤツだけはこの手で殺さないと気が済まない…待っててねお母さん、少しだけ遊びにいってくるね…
全力で走る、鍛え上げた肉体が、肺が、悲鳴を上げようが知ったことか!走るはしる走る!!!
走っている間も、頭の中は常に混乱状態だよくそったれ!
はぁはぁはぁ…なんで、どうしてこうなった!?
王都は王都はどうなってるんだ?…くそ!王都は、平和じゃなかったのか!?敵が居ないんじゃなかったのか!?他国の侵略ってやつなのか!?
休日でのんびりしていたら、突如発生した異変に緊急招集されて姫様に言われた通り、最大限の準備をするために、師匠からプレゼントされた家宝の鎧を着て、持てるだけの武器を持って王都に向かって行軍を開始したけれど、王都の上空に見えている異変を直視することが出来なかった、何故かわからないがアレを見ると狂いそうになりそうだったから見れなかった…
今までに感じたことのない不安と恐怖を感じながらも、俺は戦士だと、あの人に鍛え上げてもらった一流の戦士だと気合を入れて、愛する家族を守る父親である!吾輩の心を強く保つ!
王都に入って感じた違和感。いや、違和感なんて生ぬるいモノじゃない!正気を保て!冷静になれ…なるんだ!
だが、おれは、わがはいは、こんなの見たことも聞いたこともない!!
人が人を殺したと思ったら、直ぐに死んだ人が生き帰り、他の生きてる人に向かって駆けだして人を殺す。
これは、なん、なんだ?俺は、何を、みせ、俺は、なにをしたらいいんだ?姫様はここに敵がいると言っていたが、敵は、王都の住人だというのか?
目の前に広がる不可思議な現象に心が乱され、何も考えることが出来ない、その時に姫様の言葉を思い出す
【大事な人を守れ】
その言葉にはっとする、そうだ、何が起こるかわからないから自由に動けと姫様はいっていた!なら、俺が、吾輩がすることを考えろ!
この状況だとすれば、愛する妻は?娘は!?家族は!?…不甲斐ないのはわかっているのだが、この様な天変地異!俺のような知恵無き戦士ではどうしようもない!姫様に任せて俺は、愛する家族を守る!!
混乱した現場なんてどうでもいい!!明確に敵が誰かもわからない状況、共に行動して来た戦士達も気が付けば各々勝手に動き出している…
今更、呼び止めて統率なんて取れない取りようが無い!粉砕姫である先輩も気が付けば見当たらない…
なら、俺だって自分の為に好き勝手動いてもいいだろう!言い訳は出来た!俺も姫様の命令を守るだけだ!!…お願いだ、生きていてくれ!
正門付近から全力で走る、何処に潜んでいるかもわからない敵かどうか一瞬で判断するのは難しい敵に警戒するのは時間を無駄にする!
だから、混乱していようがなんだろうが!俺のすることを一つに定める!
正門から遠い位置にある貴族が住まうエリアに向かって駆けだす
道中に湧き上がり此方に突撃して振り切れない、魑魅魍魎共は首を跳ねてしまえば動かないので苦楽を共にしてきた我が得物によって喉元を突いては薙ぎ払う様に捨てる。
ながい、ながい、とてもながい道のりを、永遠に届かないと感じてしまう長い距離を、得物を的確に動かして迫りくる敵を殲滅しながら進んでいく。
数多くの敵を殺し、振り切り、あと少しで目的のエリアに到達するころに今までとは規模が違う異変がおきる
ふと、音が消え、光が消え、全ての生き物の気配が消えたように感じた、上空にある目はいつまでもこちらを見据えているのだと思っていたが、先ほどの音も光も消えた瞬間に上空からの視線が感じ取れない、消えた?
この異変がもしかしたら解決の糸口なのではないかという淡い希望が湧いてくる…!!!
もしかしたら、姫様が敵の何かを打ち破ってくれたのかもしれない、それなら、今後、敵が増えることはないだろう!沸々と希望が湧いてくる。
異変を感じてから、貴族エリアに入るまでの間、敵に遭遇しなかった!姫様が敵の策を封じてくれたのだろう!
もう少しで愛する家族がいる屋敷だ!よかった、愛する我が妻であればあの程度の敵に後れを取るとは思えない!対人戦においては最強だと吾輩は感じている!信じているぞ!我が妻を倒せれるのは、し、しょう…くら、いしか…
屋敷に辿り着き、門を潜り、妻であれば戦いやすい場所を選ぶはず、そうなると中庭で家族と共に戦っているだろうと思っていた、その予想は当たっていた
だけど、この光景は予想していなかった…
中庭に転がっているのは愛する妻の、娘の、義父の…首が無い死体だけだった…
お、おれは、ま、まにあわなかったのか?判断を誤ったのか?つ、妻がこんな簡単にしぬというのか?あい、とうが妻の愛刀が折れている、た、闘った痕跡はある、だが、この折られ方、妻の愛用する武具の弱点を知り尽くしたような…こんな芸当が出来るのは王都でも相当な腕前の人物だけだろう…なら、誰が?だれがおれのつまをあいするかぞくのいのちをうばった?
街を徘徊していたような意識なき化け物がこの様な芸当が出来るはずがない!!混乱に乗じて王都の騎士が妻を、愛する家族を奪った!何処のドイツだ!!ぶちころしてやる!!!
近くで足音が聞こえた、怒りに震える体は直ぐに動き出した、何も考えず真っすぐに、妻を、愛する家族をその手にかけた外道を殺しに…
外道の背中が見えた、手には愛する家族を自慢げに髪をもってぶら下げる様に持っていた。
混乱に乗じて悪逆非道を行う外道には裁きを!!!
不意打ち上等!人ならざる獣に礼儀作法なぞ無い!
渾身の突きを敵の脇腹目掛けて突き出すと、眼前に愛する家族の顔が飛んでくる、とっさに槍を放し全てを落とさないように抱えようと両の手を伸ばす愛する家族を抱きしめた瞬間、ふと、視線を前に向けると片手剣を振り下ろすてきのすがたがみえた
「し、ししょう?せ、せんしちょ」
俺の物語はここで終わりを告げた…
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