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Dead End 6Ⅵ6の世界(1)
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子守唄を唄いながら…お腹をいたわり、絶対に危険な目に合わないように細心の注意をしながら日々を過ごす。
だって、外は物騒だから、外には出ない、出たくない、出るわけにはいかない。
教会の中にある私の部屋で子守唄を唄いながら本を読んで日々を過ごすの。うふふ
そとはきらい
ダーリンがね ドアを叩いて 安全だよって 迎えに来てくれるまで そとに そとに… でたく ない
だからね、ひま、そう、うん、暇だから、だからね、何もすることが無いのはそれはそれで辛いの、だからね、アンバーにお願いして何か本が無いか教えてもらったの。
最初、アンバーが持ってくる本がね、ほんっと!ツマラナイ本だったから、こんなどうでもいい意味のない本なんて読んでてもつまらないの!だからね、難しい本が無いのか何度も何度も声を掛けたらね
持ってきてくれたの、私が望む本を…やっぱりアンバーは私の望みがわかってくれる。
私達、イラツゲの名前を冠する、聖女の血筋は総じて術式について聡い
だから、こういった類の本の方が読んでいて楽しいわね…
アンバーったら、この手の類の本を持っているなんてしっかりと勉強していて偉いわねって思ったのに、あの子ったら
【この本は絶対に誰にも見せてはいけませんからね?】
だなんて念を押す様に言うのよ?もう、けち臭いんだから…
まぁでも、しょうがないわよね、魔術の本って凄く高いから、ね?あの子の少ないお給金じゃ、辛いわよね。
教皇様もいい加減、あの子に役職をあげては如何かしら?
お小遣いが少ないからあんな、けち臭い事を言うんだわ!どうにか出来ないかしら?…うん!
そう!そうよ、私が推薦すれば教皇様と言えども、しっかりと実績もあるし敬虔に頑張り続けるアンバーを見習いから卒業させて、上の役職に、いけるのではなくて?
うん、そうよね、何時までも見習いなんてかわいそうだもの、あんなに、あん、な…おおきいの だから いつまでも 幼名 で よぶのは…
そう、いえば、教皇様は…どちらに?あれ?きょう、こう?いた、かしら?…ああ、そうじゃない病で亡くなられたのだったわ、ね?
突如聞こえてくる不可思議な耳鳴りの奥にある声が私に色々と教えてくれる、世間的なことから、今も読んでる魔術書の詳しい内容まで
いろいろと おしえて くれる
そのかわり ちょうあいの みこの ちからを おしえてほしい?
むりよ、いまのわたしでは
どうしてか、わからないけれど感じられないもの…説明できないわ。
始祖様との繋がりが感じ取れなくなり、パニックになりそうになるのを落ち着かせるためにお腹を撫でながら子守唄をうたう…はやく だーりんに あいたいなぁ…
歌を歌っているとドアがノックされる、この優しく相手を気遣うようなノックの仕方はアンバーね!
「いつも丁寧にありがとうね、アンバー、入ってきてもいいわよ?」
ドアの向こうに声を掛けると、ほら、やっぱりアンバーじゃないの
「聖女様、お体の方は如何ですか?」
アンバーが白いお花を持ってきて中に入ってくる、あら~私もそのお花好きなのよ…
私達、イラツゲ、その始まりの花…月来香のお花…
白き黄金の太陽が私達の事をそう呼んだことから、私達は…イラツゲという名前を得た。
「もう、心配し過ぎよ、あれからちゃ~んと、歩く練習もしているし、ご飯も食べてます~」
お腹を摩りながらここ数日、しっかりと健康的に生きてきたというと
「それは、何よりです、お体に障らないようにお気を付けくださいね?」
何時ものように微笑みながら机の上にある花瓶に花をいれてくれる、綺麗な花…真っ白で…本当に私達みたい…
飾ってくれた花を見つめていると物欲しそうな顔で此方を見ているのでおいでおいでと手招きをするとゆっくりと近づいてくるので
「アンバーったら、何時までも子供ね、頭を撫でて欲しいのかしら?」
そっとアンバーの頭を撫でてあげると嬉しそうにしている
「イラツゲ様も、何時までもお変わりが無いように感じますよ?私の事をずっと子ども扱いするじゃないですか」
そう言われてもねぇ?嬉しそうにするからつい、そうしたくなってしまうのよね~…んー…ん?
「そう、いえば、貴方って子供のころは良く私の事を、名前で呼んでくれていたけれど、最近はずっと役職名で呼ぶのね」
そうなのよね~、なんでかしら?私が始祖様から頂いた名前を、いつのころから呼んでくれなくなったのかしら?
何時頃からなのか思い出そうとしてもおもいだせない…
覚えていそうな張本人は罰が悪そうな顔をしている
はっは~ん、この子ったら物覚えが悪いからって
「私の名前を忘れちゃったの?」
ポンポンっと頭を叩くと勢いよく顔を上げ
「忘れるわけじゃないじゃないですか!コスモス様!!」
何よーちゃんと覚えているんじゃない…そうよ、私の名前はコスモス…始祖様から頂いたお名前、この世界にはないお花の名前…
コスモスもね色んな色があるみたいだけど、私はピンク色のコスモスだって…
始祖様を感じれないのは寂しいけれど、しかたが な い わよね、 あれ? おかしいわね、 ど、どうし、て…
わたしは、ちょうあいのみこ あ、れ? どうして、 しそさまの かごを かんじ とれ・・・それはこの体が私の体では、いったぁぃ…
頭痛がする
これ以上考えるのを辞めよう
「だ、大丈夫ですか?」
私が頭を押さえて苦しそうな顔をしているから心配かけてしまったわね
「大丈夫、ちょっと頭が痛かっただけよ、相変わらず心配性なんだから、貴方は知っているでしょう?私達は短命なの、よ?」
あ、れ?そうじゃない、わたしたちは ながく いきられ ない
でも、かがみにうつる わたしの すがたは
どうみても
20をこえ
「イラツゲ様!?」
急にガクンっと上半身が崩れるのを何とか支え切れたが…やはり、精神に異常をきたしているのでしょうね。
そっと彼女を椅子の背もたれへと優しく体重を移す、お腹の子供に悪影響が無ければ良いのだが…
そっと、膝掛をかけてから、部屋を出る
何がきっかけで彼女の心が砕けるのかわからない、俺ではどうしようもない、俺では…
自分自身の不甲斐なさに殴りつけたくなる衝動を抱えながら、イラツゲ様から離れていく、この様な感情を抱いた状態で彼女の傍にいれない。
逃げるように祈りの間に顔を出すと
珍しい客が祈りを捧げている…そう、いえば、彼は此度の王位継承戦を持ってその地位を退位されたのでしたね。
元王国最強の騎士に声を掛けると
「し、さいさま?」
目が空虚のように虚ろだった…
そうか、貴方ほどの戦士であれば自分が殺した相手が何か察しているのですね、そして、守るべき人物をその手にかけてしまったという罪から逃れたくなり、救いを求めるように自然とここに足を運ばれたのでしょうか?
私の顔を見てはっとしたのか、焦点の合わない目に光が宿り
「よかった、お会いしたかったのです」
懺悔ですか?聞きたくありませんが、まぁいいでしょう、貴方も我が同胞に加わる可能性がありますからね。最強の手駒があるとこちらとしても嬉しいですからね。
何用かとお声を掛けると、どうやら、ピーカの行方を捜してあちらこちらを彷徨っている様ですね…
自分が何を切ったのか、認めたくないのですね。
ふん、下らん、お前もまた魂が見えぬ愚者か、そのような下劣なる劣った生き物、同志に加える気にはなれんな、去れ。
ストレートに罵ってやりたくなるが、その様な行動は司祭として間違っている、全てが終わるまでは毒は吐けぬ…
司祭らしく笑顔で私も行方を捜しているのですが一向に足取りを掴めていないのです、もし見つけることが出来ましたらお声を掛けてくださいと諭す様に返事を返してから、穏やかに教会から愚者を追い出す。
彼が答えに辿り着けることは一生無いでしょうね、己が感じた違和感を認めない限りね…
唯一の目撃者である侍女に関しては何も問題ない、あの日、彼女は完全に気が狂い、狂いきった末に、あの騎士の傍で自決していた…
もしかしたら、恋仲だったのかもしれませんね、どうでもいいので、気にしていませんがね、二人とも仲良く贄となってもらいましたので、今頃、何処かで寄り添っているでしょう。
祈りの間から教会の大きな門を潜り外に出ると同志諸君が贄を運んでくれているのが見えるので、私も作業に戻るとしましょう・・・
作業に戻ろうと踵を返すと、祈りの間にどうでもいい信者たちが祈り捧げに吸い寄せられるように近寄っていく…
ようこそ、血染めの教会へ、貴方達の祈りを願いを吸いましょう、我が神が、この大地に降臨する迄、祈りを続けてくださいね…
お腹が動いたような気がして、ふと、目が覚めてしまう。
部屋の中は真っ暗で何も見えない、ゆっくりと手探りで立ち上がり、カーテンを開けて月の光を部屋の中に招き入れる
月の灯りのお陰でランタンが何処にあるのか見えたので、ランタンに火を灯してカーテンを閉める…
喉が渇いたので、何か飲み物でも飲もうかと重い体を引きずるように歩く
休憩室でお湯を沸かしていると、地下でアンバーの気配を感じたので、紅茶を淹れたポット片手に、地下へと向かう。
きっと、今もお仕事頑張っているのですもの、ねぎらいの言葉くらいかけてもいいわよね?
地下へとゆっくりとゆっくりと歩を進めていく、アンバーったらこんな秘密基地を作ってしまって、きょうこうさまがみたら…みた…まぁいいか…
ドアを開けて、中に入っていくとアンバーが重そうな赤い液体が入った桶をある場所に注いでいる
「お仕事ごくろーさま、あんばー、あ、違ったわね、大きくなってお名前を頂いたのでしたわね、いけないいけない、オニキスさん、休憩にしましょう」
オニキスという呼び名が聞こえたのか、直ぐに駆け寄ってきて持って来た紅茶を受け取って手を引いてくれる、大きくなっても優しいのね貴方は…
案内された場所には机と色々な本が置かれている、本のタイトルを見ると何度か読んだことのある魔術に関する本ね、偉いわね~オニキスもしっかりと勉強をしているのね。
その本に書かれている内容を思い出してつい、声を漏らしてしまう。
「早く、会いたいわね」
その声にオニキスは少々、眉をひそめてしまったけれど、会いたいものは会いたいわよ、会えないのはわかっていても…でも、可能性があるのでしょう?
「わかっているわよ、オニキス、あの人を月の裏側から連れ戻してくれるように貴方達が尽力を尽くしていることに感謝しかないわ…私も彼の子を宿していなかったら手を貸すのだけれどね」
お腹を撫でながら彼らが私達の為に奮闘していることを労う言葉をかけると驚いた表情をしている…おかしなことをいったかしら?
普段から感謝の言葉はしっかりと口にする方ですわよ?
「ぇ、ええ!そ、そうですね、早く儀式に必要な準備を終え、は、早く再会したいですよね」
慌てふためながら落ち着きを取り戻そうと用意した紅茶を飲んでいる
「ええ、そうですとも、産まれてくる子供にお父さんが傍に居ないのは悲しいでしょう?」
何気なく発した言葉によってオニキスの落ち着きが更になくなっている、目を開き瞳孔が開き、視線が彷徨い続ける、何処を見ているのかわからない…
「…ぃ、イラツゲ様は」
私を役職名で呼ぼうとしたので睨みながらオニキスの口に人差し指を当てると
「も、申し訳ありません、こ、コスモス様…」
しっかりと名前で呼んでくれたので頭を撫でて褒める
「ぁ、あの、コスモス様は、その、えっと、や、やしお」
睨みつけるようにオニキスを見つめると
「も、もうしわけあ、ありません、し、シヨウ様でしたね」
うんうん、ダーリンが家族にだけ許した名前を気安く呼ぶなよ?殺すわよ?
「シヨウ様が死んだ、のは、ど、どう、し」
嗚呼、嫌だわー忘れたの?
溢れ出る殺気を感じたのかオニキスの全身が震えだす
「決まってるでしょ?ダーリンを殺したのは、センコウでしょ?なに?忘れたの?忘れたなんて言わないわよね?そこまで薄情だったの?殺すわよ?」
「めめめめ、めっそうも、滅相もございません!あ、あれは我らが打ち倒す敵です!わ、忘れるなんて、そん、そんなことありませんよ」
慌てる辺り怪しいけれど、頑張り続ける貴方だから特別に許して上げる、その辺のどうでもいい奴だったら今すぐにでも殺していたわよ?
にっこりと笑顔であんばー、おっと、オニキスの頭を撫でてからゆっくりと立ち上がると慌ててオニキスも立ち上がり手を差し伸べてくれる
優しいのね…
何処に向かうのか、不思議そうにしているので
「貴方に紅茶を届けに来ただけだもの、お仕事の邪魔をしては申し訳ないでしょう?」
何処に向かうのか地下の入り口を指さしながら歩き始めると共に入り口まで歩いてくれる。
入り口まで付き添ってくれたことに感謝の言葉をプレゼントして、ゆっくりと手を離し、ここからは独りでも帰れるのでお仕事頑張ってねと一声かけてから地下から出ていく。
だって、外は物騒だから、外には出ない、出たくない、出るわけにはいかない。
教会の中にある私の部屋で子守唄を唄いながら本を読んで日々を過ごすの。うふふ
そとはきらい
ダーリンがね ドアを叩いて 安全だよって 迎えに来てくれるまで そとに そとに… でたく ない
だからね、ひま、そう、うん、暇だから、だからね、何もすることが無いのはそれはそれで辛いの、だからね、アンバーにお願いして何か本が無いか教えてもらったの。
最初、アンバーが持ってくる本がね、ほんっと!ツマラナイ本だったから、こんなどうでもいい意味のない本なんて読んでてもつまらないの!だからね、難しい本が無いのか何度も何度も声を掛けたらね
持ってきてくれたの、私が望む本を…やっぱりアンバーは私の望みがわかってくれる。
私達、イラツゲの名前を冠する、聖女の血筋は総じて術式について聡い
だから、こういった類の本の方が読んでいて楽しいわね…
アンバーったら、この手の類の本を持っているなんてしっかりと勉強していて偉いわねって思ったのに、あの子ったら
【この本は絶対に誰にも見せてはいけませんからね?】
だなんて念を押す様に言うのよ?もう、けち臭いんだから…
まぁでも、しょうがないわよね、魔術の本って凄く高いから、ね?あの子の少ないお給金じゃ、辛いわよね。
教皇様もいい加減、あの子に役職をあげては如何かしら?
お小遣いが少ないからあんな、けち臭い事を言うんだわ!どうにか出来ないかしら?…うん!
そう!そうよ、私が推薦すれば教皇様と言えども、しっかりと実績もあるし敬虔に頑張り続けるアンバーを見習いから卒業させて、上の役職に、いけるのではなくて?
うん、そうよね、何時までも見習いなんてかわいそうだもの、あんなに、あん、な…おおきいの だから いつまでも 幼名 で よぶのは…
そう、いえば、教皇様は…どちらに?あれ?きょう、こう?いた、かしら?…ああ、そうじゃない病で亡くなられたのだったわ、ね?
突如聞こえてくる不可思議な耳鳴りの奥にある声が私に色々と教えてくれる、世間的なことから、今も読んでる魔術書の詳しい内容まで
いろいろと おしえて くれる
そのかわり ちょうあいの みこの ちからを おしえてほしい?
むりよ、いまのわたしでは
どうしてか、わからないけれど感じられないもの…説明できないわ。
始祖様との繋がりが感じ取れなくなり、パニックになりそうになるのを落ち着かせるためにお腹を撫でながら子守唄をうたう…はやく だーりんに あいたいなぁ…
歌を歌っているとドアがノックされる、この優しく相手を気遣うようなノックの仕方はアンバーね!
「いつも丁寧にありがとうね、アンバー、入ってきてもいいわよ?」
ドアの向こうに声を掛けると、ほら、やっぱりアンバーじゃないの
「聖女様、お体の方は如何ですか?」
アンバーが白いお花を持ってきて中に入ってくる、あら~私もそのお花好きなのよ…
私達、イラツゲ、その始まりの花…月来香のお花…
白き黄金の太陽が私達の事をそう呼んだことから、私達は…イラツゲという名前を得た。
「もう、心配し過ぎよ、あれからちゃ~んと、歩く練習もしているし、ご飯も食べてます~」
お腹を摩りながらここ数日、しっかりと健康的に生きてきたというと
「それは、何よりです、お体に障らないようにお気を付けくださいね?」
何時ものように微笑みながら机の上にある花瓶に花をいれてくれる、綺麗な花…真っ白で…本当に私達みたい…
飾ってくれた花を見つめていると物欲しそうな顔で此方を見ているのでおいでおいでと手招きをするとゆっくりと近づいてくるので
「アンバーったら、何時までも子供ね、頭を撫でて欲しいのかしら?」
そっとアンバーの頭を撫でてあげると嬉しそうにしている
「イラツゲ様も、何時までもお変わりが無いように感じますよ?私の事をずっと子ども扱いするじゃないですか」
そう言われてもねぇ?嬉しそうにするからつい、そうしたくなってしまうのよね~…んー…ん?
「そう、いえば、貴方って子供のころは良く私の事を、名前で呼んでくれていたけれど、最近はずっと役職名で呼ぶのね」
そうなのよね~、なんでかしら?私が始祖様から頂いた名前を、いつのころから呼んでくれなくなったのかしら?
何時頃からなのか思い出そうとしてもおもいだせない…
覚えていそうな張本人は罰が悪そうな顔をしている
はっは~ん、この子ったら物覚えが悪いからって
「私の名前を忘れちゃったの?」
ポンポンっと頭を叩くと勢いよく顔を上げ
「忘れるわけじゃないじゃないですか!コスモス様!!」
何よーちゃんと覚えているんじゃない…そうよ、私の名前はコスモス…始祖様から頂いたお名前、この世界にはないお花の名前…
コスモスもね色んな色があるみたいだけど、私はピンク色のコスモスだって…
始祖様を感じれないのは寂しいけれど、しかたが な い わよね、 あれ? おかしいわね、 ど、どうし、て…
わたしは、ちょうあいのみこ あ、れ? どうして、 しそさまの かごを かんじ とれ・・・それはこの体が私の体では、いったぁぃ…
頭痛がする
これ以上考えるのを辞めよう
「だ、大丈夫ですか?」
私が頭を押さえて苦しそうな顔をしているから心配かけてしまったわね
「大丈夫、ちょっと頭が痛かっただけよ、相変わらず心配性なんだから、貴方は知っているでしょう?私達は短命なの、よ?」
あ、れ?そうじゃない、わたしたちは ながく いきられ ない
でも、かがみにうつる わたしの すがたは
どうみても
20をこえ
「イラツゲ様!?」
急にガクンっと上半身が崩れるのを何とか支え切れたが…やはり、精神に異常をきたしているのでしょうね。
そっと彼女を椅子の背もたれへと優しく体重を移す、お腹の子供に悪影響が無ければ良いのだが…
そっと、膝掛をかけてから、部屋を出る
何がきっかけで彼女の心が砕けるのかわからない、俺ではどうしようもない、俺では…
自分自身の不甲斐なさに殴りつけたくなる衝動を抱えながら、イラツゲ様から離れていく、この様な感情を抱いた状態で彼女の傍にいれない。
逃げるように祈りの間に顔を出すと
珍しい客が祈りを捧げている…そう、いえば、彼は此度の王位継承戦を持ってその地位を退位されたのでしたね。
元王国最強の騎士に声を掛けると
「し、さいさま?」
目が空虚のように虚ろだった…
そうか、貴方ほどの戦士であれば自分が殺した相手が何か察しているのですね、そして、守るべき人物をその手にかけてしまったという罪から逃れたくなり、救いを求めるように自然とここに足を運ばれたのでしょうか?
私の顔を見てはっとしたのか、焦点の合わない目に光が宿り
「よかった、お会いしたかったのです」
懺悔ですか?聞きたくありませんが、まぁいいでしょう、貴方も我が同胞に加わる可能性がありますからね。最強の手駒があるとこちらとしても嬉しいですからね。
何用かとお声を掛けると、どうやら、ピーカの行方を捜してあちらこちらを彷徨っている様ですね…
自分が何を切ったのか、認めたくないのですね。
ふん、下らん、お前もまた魂が見えぬ愚者か、そのような下劣なる劣った生き物、同志に加える気にはなれんな、去れ。
ストレートに罵ってやりたくなるが、その様な行動は司祭として間違っている、全てが終わるまでは毒は吐けぬ…
司祭らしく笑顔で私も行方を捜しているのですが一向に足取りを掴めていないのです、もし見つけることが出来ましたらお声を掛けてくださいと諭す様に返事を返してから、穏やかに教会から愚者を追い出す。
彼が答えに辿り着けることは一生無いでしょうね、己が感じた違和感を認めない限りね…
唯一の目撃者である侍女に関しては何も問題ない、あの日、彼女は完全に気が狂い、狂いきった末に、あの騎士の傍で自決していた…
もしかしたら、恋仲だったのかもしれませんね、どうでもいいので、気にしていませんがね、二人とも仲良く贄となってもらいましたので、今頃、何処かで寄り添っているでしょう。
祈りの間から教会の大きな門を潜り外に出ると同志諸君が贄を運んでくれているのが見えるので、私も作業に戻るとしましょう・・・
作業に戻ろうと踵を返すと、祈りの間にどうでもいい信者たちが祈り捧げに吸い寄せられるように近寄っていく…
ようこそ、血染めの教会へ、貴方達の祈りを願いを吸いましょう、我が神が、この大地に降臨する迄、祈りを続けてくださいね…
お腹が動いたような気がして、ふと、目が覚めてしまう。
部屋の中は真っ暗で何も見えない、ゆっくりと手探りで立ち上がり、カーテンを開けて月の光を部屋の中に招き入れる
月の灯りのお陰でランタンが何処にあるのか見えたので、ランタンに火を灯してカーテンを閉める…
喉が渇いたので、何か飲み物でも飲もうかと重い体を引きずるように歩く
休憩室でお湯を沸かしていると、地下でアンバーの気配を感じたので、紅茶を淹れたポット片手に、地下へと向かう。
きっと、今もお仕事頑張っているのですもの、ねぎらいの言葉くらいかけてもいいわよね?
地下へとゆっくりとゆっくりと歩を進めていく、アンバーったらこんな秘密基地を作ってしまって、きょうこうさまがみたら…みた…まぁいいか…
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オニキスという呼び名が聞こえたのか、直ぐに駆け寄ってきて持って来た紅茶を受け取って手を引いてくれる、大きくなっても優しいのね貴方は…
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「早く、会いたいわね」
その声にオニキスは少々、眉をひそめてしまったけれど、会いたいものは会いたいわよ、会えないのはわかっていても…でも、可能性があるのでしょう?
「わかっているわよ、オニキス、あの人を月の裏側から連れ戻してくれるように貴方達が尽力を尽くしていることに感謝しかないわ…私も彼の子を宿していなかったら手を貸すのだけれどね」
お腹を撫でながら彼らが私達の為に奮闘していることを労う言葉をかけると驚いた表情をしている…おかしなことをいったかしら?
普段から感謝の言葉はしっかりと口にする方ですわよ?
「ぇ、ええ!そ、そうですね、早く儀式に必要な準備を終え、は、早く再会したいですよね」
慌てふためながら落ち着きを取り戻そうと用意した紅茶を飲んでいる
「ええ、そうですとも、産まれてくる子供にお父さんが傍に居ないのは悲しいでしょう?」
何気なく発した言葉によってオニキスの落ち着きが更になくなっている、目を開き瞳孔が開き、視線が彷徨い続ける、何処を見ているのかわからない…
「…ぃ、イラツゲ様は」
私を役職名で呼ぼうとしたので睨みながらオニキスの口に人差し指を当てると
「も、申し訳ありません、こ、コスモス様…」
しっかりと名前で呼んでくれたので頭を撫でて褒める
「ぁ、あの、コスモス様は、その、えっと、や、やしお」
睨みつけるようにオニキスを見つめると
「も、もうしわけあ、ありません、し、シヨウ様でしたね」
うんうん、ダーリンが家族にだけ許した名前を気安く呼ぶなよ?殺すわよ?
「シヨウ様が死んだ、のは、ど、どう、し」
嗚呼、嫌だわー忘れたの?
溢れ出る殺気を感じたのかオニキスの全身が震えだす
「決まってるでしょ?ダーリンを殺したのは、センコウでしょ?なに?忘れたの?忘れたなんて言わないわよね?そこまで薄情だったの?殺すわよ?」
「めめめめ、めっそうも、滅相もございません!あ、あれは我らが打ち倒す敵です!わ、忘れるなんて、そん、そんなことありませんよ」
慌てる辺り怪しいけれど、頑張り続ける貴方だから特別に許して上げる、その辺のどうでもいい奴だったら今すぐにでも殺していたわよ?
にっこりと笑顔であんばー、おっと、オニキスの頭を撫でてからゆっくりと立ち上がると慌ててオニキスも立ち上がり手を差し伸べてくれる
優しいのね…
何処に向かうのか、不思議そうにしているので
「貴方に紅茶を届けに来ただけだもの、お仕事の邪魔をしては申し訳ないでしょう?」
何処に向かうのか地下の入り口を指さしながら歩き始めると共に入り口まで歩いてくれる。
入り口まで付き添ってくれたことに感謝の言葉をプレゼントして、ゆっくりと手を離し、ここからは独りでも帰れるのでお仕事頑張ってねと一声かけてから地下から出ていく。
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