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Dead End 6Ⅵ6の■■(3)

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今すぐにでも王城に駆けだし、アレの顔面をこの世から跡形もなく殴りつけたくなるが、この状況下、どんな理由を持っても素直に通してくれるとは思えないし面会させてくれるとは思えれない明確な証拠でも無い限りアレを断罪できぬ…
俺ではアレに辿り着けない、法を犯すしか方法が無い…っは、俺は馬鹿か?

この状況下でも正しくあろうとする自分を嘲笑ってしまいたくなる、俺は、私は、何のために聖職者になったのです?俺はイラツゲ様さえ傍にいればいい。

なら、正しくあろうとする必要なぞ、皆無ではありませんか、闇染まればよい、相手が法を守らないのであれば此方も守る道理はない、王族が勝手に決めた法なんぞ犯せばいいのですよ、法というくだらない物よりもイラツゲ様の方が大事なのは間違いないでしょう。何を躊躇う?何を躊躇する?

我ら信徒を集めれば不可能なぞ無い、彼女を救うためならば、その他全てが犠牲になろうことなぞ、些細な問題ではありませんか。

王城に忍び込むことに何も抵抗は感じない、なら、次に必要なのは、決まっている。
力だ、圧倒的力が必要だ…

圧倒的力、王族だろうと王城を警護する騎士だろうが圧倒的力によって滅ぼしてしまえばいい、それを為す術なら俺は持ちえている。

意識を教会の地下へと向ける、本来であれば神をこの大地に降臨させるための祭壇ではあるが…
魔術書を読み漁った知識の中にこの祭壇には他の使い道があるのだと知っている…だがそれを発動してしまうと集めた贄が、かといって神を降ろすには…まだ時期としては早い、早い足りていないのだよ贄が…だが、俺にはもう残された手段はない…


なら、答えは一つか、儀式を用いて、神を…降ろせばいい、この身に、後は神にイラツゲ様を救っていただけるように願えば。


イラツゲ様がいない世界に俺は興味が無い、なら答えは、覚悟は決まっている、さぁいこう、不完全かもしれない、失敗に終わるかもしれない、だが俺が出来る手段はこれしか残されていない。祭壇へ向かう為に立ち上がるために、机に手を置き体を起こす、一歩前に進もうとした瞬間、手に何かが触れる


聖書が手に触れた


その考えを改めなさいと、自分を大切にしなさいとイラツゲ様が声を掛けてくれたような気がした。
幼き日々をイラツゲ様と共に傍にいて俺と共に過ごしてきた聖書、イラツゲ様の教え全てがそこにある…
その瞬間、己の破滅しか考えれない思考が一気にクリアになる
そうではないか、仮に儀式用いて俺が俺でなくなり、この大地全てが焦土と化した後に


イラツゲ様は、それを許すのだろうか?…


許すはずが無い、俺の知る限りイラツゲ様がその様なことを望むはずがない…きっとイラツゲ様は俺に刃を向けるだろう。愚か者だと聖職者としてあるまじき行為だと断罪するだろう…
思い出せ、自暴自棄になるな。俺の望みはイラツゲ様と共に歩むこと、彼女の意志を無碍には出来ない、してはいけない、彼女の意志を尊き教えとして崇め伝えていくのが俺の…望みじゃないか。聖女様と共に人生を歩むことこそ我が願い!

…やはり冷静に考えれば考えるほど、今の段階ではどう足掻いても、神を降ろせない。今までの苦労が徒労に終わる。
こればかりは許されざる行為となる我ら同志が黙っているわけがない…足りないのだよ、まだまだ供物が足りていない。俺があの時、教会に転がってきた供物全てを捧げていればまだ、可能性は…いや、それでも足りていないだろう。
俺の身ごときを捧げたところでそれらすべてを補えるとは思えれない、儀式は未完で終わり、失敗の果てに、俺が死ぬ、そして我らが同志の計画が崩れ暴徒となる、そうなれば、イラツゲ様の御身にも危険が及ぶ…短絡的な破滅的願望は捨てよ!

パンっと頬を強く叩き慌てふためく情けない己に喝をいれる。

冷静になれ、熱く燃え滾る衝動のみで動くな、彼女を救う手段を探せ、まだ、神は俺を見捨ててはいない、可能性を探れ、俺に何が出来る?おれになにが
深く思考を巡らせようとすると大きな声が後ろから聞こえる

「兄さん!?どうしたんだ!?」

…懐かしい呼び名ですね、愚劣なる弟よ
俺の傍に弟が駆け寄り、何か違和感を感じたのか辺りを見回している、愚劣なる弟では痕跡が消されたことに気が付きようがないでしょうね。
私だからこそ知り得れる、この状況を愚劣なる弟にわかりやすく簡潔に伝える

我らの愛する彼女が攫われたのだと

違和感と予感を感じていたのだろう、先にその答えに到達していた物からの考えたくない答えを知ってしまった瞬間、絶望を感じたのか、この様な状況を生み出してしまった胃自分が許せないのか震えている…愚劣なる弟の瞳孔は開き、感情が溢れ出ようとしているのか口を震わせている。
内から溢れ出ようとしている感情が抑えきれなくなってきているのだろう目にはうっすらと涙が、いや、涙が溢れ出ている。衝動を抑えきれずに机に何度も何度も頭をぶつけている。俺も同じような行動をしていたので、特にその行動を止める気にはなれない、好きにしろ。

その行いは俺も通ったからな、理解できるさ…
湧き上がる怒りを飼いならし、最善の一手を考えれる様に成れば、成長したと認めても良いだろうが、難しいだろうな。
踵を返して外に出る為にドアに向かおうとする弟を呼び止めるが冷静になれずに大きな声で返事をかえしてくる
「なんで、なんでアンタは落ち着いてるんだ!大切な人じゃないのか!!」
振り向いた際に見えた表情があいつの心境を物語っている、眉間に皺がより目じりが上がり、顎に皺が出来るほどの表情に全身を震えさせ握る拳からは爪が皮膚を割いたのか血が出ている…その全てから怒りが伝わってくる。

俺に怒りを向けるな、俺だって怒りに身を任せてどうにかなるのだったらそうしているさ。
だがな、怒りに身を任せて己の全てを炉心に捧げ全てを呪い呪詛によって王都を滅ぼしても…彼女はそれを望みはしない、それだけで彼女を救えるのなら今すぐにでもするさ、だけどな、それでは彼女を真に救えたとはいえない。

目の前にいる愚者はそれがわからない、わからないのは当然だけどな、俺がその様な手段を手札として持っているとは思っていもいないだろうからな。
弟を落ち着かせるために現場に感じた違和感から感じ取った答えを伝える、何故俺が行動を起こさないのかその理由に納得したのか怒りを抑え込んでいく。
今の状況なら話し合いをしても問題はなさそうだ、外に無駄に飛び出すのを辞めて冷静に敵の所在を推測し出来うる限りの戦力や協力者を募って行動を起こす方が良いと話し合う、のだが…感情が高ぶりすぎていて俺も冷静に先を見据えることが出来ない。

表面上は、お互い落ち着いたように見えているが、お互いこの状況によって極限レベルまでストレスが膨張してしまっているのか、お互いの会話が嚙み合わないし何処か間違っているのか正しいのだろうか判断がつかない…一向に具体的な内容にまとまらず、話が進まない。

この状況がさらに苛立ってしまう。今にも暴れ出したいほどの怒りを感じている両者では頭に血が上りすぎて何も良い案が浮かばないのだろう…
この状況が続くことによって苛立ちもすれば焦りも生まれてくる…
今、この瞬間もイラツゲ様に何かよろしくないことが迫っているのではという、想像したくないあの手この手が迫ってると想像してしまったら最後…怒りという感情が天元突破しそうで今すぐにでも無策で飛び出してしまいそうになる。
絶対にしてはいけない衝動的行動を落ち着かせるために、弟を見るが弟も同じ状況なのか時折、顔が真っ赤に染まり怒りを抑えきれないのか何度も何度も地面を踏むように蹴っている。

幸いなのがお互いがお互いに向かって怒りをぶつけるように罵倒しないのが救いだろう。

「裏口周りを全てチェックしてきました、周りの方達に不審な人達の目撃情報が無いかも確認してきました」
弟を警護するための騎士が気を利かせてくれたのか声を掛けてくる…そういえば、姿が見え無かったな、基本的にどうでもよすぎて存在そのものに興味が無さ過ぎて気が付かなかったな、そんな、彼も彼なりに自らの意志を持って即座に動いていてくれていたのであれば、貴方も我が同志へとなりえることがあるのでしょうね。
そんな彼が彼なりに調べた内容を淡々と報告を述べてくれるのはありがたいのだが…

裏口から人が出た痕跡はない…ここまで徹底的に痕跡を消している人物が足跡を残すなんて初歩的な部分を忘れるわけがない、聞くだけ無駄じゃないですかね?

何か重い物を持って運べば足跡が地面に残るのに残っていないが、その代わり、土が何かにならされた後のような痕跡が残っている、つまりは隠蔽したんじゃないかな?って、程度の痕跡、よく観察しないとわからない内容に多少は心得があるようですね。
普段と比べて裏口の土の様子に違和感を感じたのであれば正解ですよ、綺麗に整っているってこと自体がおかしい、裏口の土なんて荒れ放題ですからね、
裏口から出て、証拠を消す為に綺麗にならしていったというのは確実ってことですね。

近隣からの不審者の目撃情報が無い、だけど、事前に口封じをされている可能性もあるので鵜呑みには出来ない。
非道な手段をとるアレに関係する組織で在れば、口封じに平民の命ぐらい奪っていく、その闇を知る人であれば我が身可愛さに何も言うことはないでしょう。
聞くだけ無駄ですよ…

総合的な情報を纏めると手際が良すぎる、素人が出来る内容では無さ過ぎる、特殊な訓練を積んできた特殊部隊としか考えられない…王都でその様な部隊を飼いならせそうなのはアレしか考えられない!!…王族は死すべし、滅ぶべし!!私から、俺から、教会から!!どれだけ、どれだけを、奪えば、奪えばぁぁぁぁぁぁぁぁぅぐぎぎぎっぎぎぎぎいぎぎ

王族が私達にしてきた恨み辛みが押し寄せてくる、先人達の悲しみが俺の体に纏わりついてくる!心の奥底から湧き上がる怒りによって全身の血管が裂けそうな程、力が入ってしまう。

俺が湧き上がる感情によって狂いそうになっている間、愚劣なる弟でも流石に騎士からの報告を耳にして俺が疑った人物しか出来ないのだと、俺の答えが間違っていないのだと心の底から理解していっているのでしょうね、顔が真っ赤になったり青ざめたりしていますからね。
ここまでの用意周到さに、その辺の有象無象が金目当てで事を起こしたのではとう薄い可能性を考えていたのだろうけれど、完全にそれは無いと表情から感じ取れますよ声に出さなくても通じ合えますからね…声に出すことは王族批判となりえるから出せないのもわかりますよ。恨みという熱が籠った視線の先が王城の方角の時点でね…

愚かな弟が声に出せないという背景がある、今の状況でも悩むなぞ愚かな…そんなものは取っ払って貰わないといけない、戦い抜く覚悟を、全てを捨ててでもという孤立無援になろうとも戦い抜くという意思を確認しておくべきですね…さぁ、最終確認と行きましょうか…
声に心を乗せる、お前の返答に間違いは一切許されないという心を乗せて語り掛ける
「ピーカよ…俺はな、どうしても疑いの目をもって見てしまうのだが、この件、王族が関与している可能性があるな?」
この質問に、弟は声に出すことなく静かに頷く辺り、敵が誰なのかほぼ決まった様なものだな…なら、短絡的な考えとして攻め入るか?王城に…
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