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Dead End ■■■■■儀式 Day 1 ( )
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警戒心を高めながら周囲に異変が無いか、神経を昂らせながら常に周囲の動きを探り、歩き続けるけれど、これといって何かがあるような感じではないわよ?異変なんてないわよ?
おかしいわね、何処をどう見ても普通の王都じゃない、何よ、警戒し過ぎじゃないの?大袈裟ね。
街を歩く人々が笑顔で溢れているとは言わないわ、でも、護身用の短剣を所持していたり、何かを警戒するような素振りも無い、裏路地が見えるタイミングで一瞬だけ視界を移して何かが待機していないか探っても誰も居ない。
何も変わらない、有り触れた日常、平穏無事じゃない、人攫い?人殺し?噂の域を出ないレベルじゃない、っふ、マリンも大袈裟ね。きっと王政の選挙戦での派閥を煽ったり、悪評を流して印象操作でもしているんでしょ?
な~んだもう、警戒して損したじゃない。手持ちの毒は多くは持ってきてないのよ?…体内に入れば即死する劇毒しか持ってきてないから多用はしたくないのよね~。
いつでも取り出せるように馬車に乗っている間に、劇毒をポケットに入れてある、でも、その必要性もなさそうなので、手をポケットから取り出してプラプラとお気楽に手を振って歩いていく。
ここはいつも通りの王都、何も変わらない王都、そうよ、私が育ってきた王都じゃない、何が変わったというの
路地裏に大きな物体が寝転がってる程度、何も変わっていないじゃない、道行く人が短剣は所持していないが何か、背中に何か、鉄の塊が入ってそうな革袋を背負っているくらい普通じゃない、何も変わっていない、みみなりがする
玄関口から、長い事、歩いて、教会に近づくと、おかしいわね?教会ってこんなにも騒がしかったかしら?思っていた以上に人が多い?どうしたのかしら?教会にこんなに人が押し掛けるなんて珍しいわね。私の記憶ではこういう騒がしい日は教会で何かある日くらいだから、炊き出しとかかしら?
そうね、その可能性が高いでしょうね、こんなにも人が大勢押し掛けるってことは、今日は炊き出しとか教会主催の何かを行っているのでしょうね。
なら、ここに居ても教会に関係する人達に接触するのは困難ね、そうなると、もう少しだけ間をおいてからもう一度、様子を見に行きましょう。奉仕活動の邪魔をするのはよくないわね
周りを見渡しても秩序が無い、叫び声も聞こえるし、怪我をした人たちが喚き散らしている、そんな喧騒…チガウワ、これはマツリ、そう、祭りの中、じっとしているのも馬鹿らしい、みみなりがする、人が騒ぎ、怪我をしている人たちが寝かせられているお祭りの最中に、忙しそうに走り回っているシスターを呼び止めるのは気が引けるわね。
そうであれば、先に、お墓参りに行きましょう、乱れた心を落ち着かせたい気持ちもあるし、日が高いうちに愛する人を綺麗にしてあげたい。
騒がしいお祭りの会場を背にして、教会の奥にある墓地に向かう。
墓地はいつも通り誰も居ない、お墓の位置は、前回に訪れたのが一年前だと言え場所は忘れない忘れることが出来ない。忘れるわけがない。
愛する人の名前が書かれた墓地の前に膝をつき、祈りの姿勢をとり、長い時間、祈りを捧げる。
祈りを捧げた後は、予め掃除をする予定だったので前もって準備してきていた、綺麗な布に水を湿らせ一年間の汚れをふき取っていく。
正式な作法であれば教会で清められた聖水を購入して、その水を用いて掃除するのが習わしだけれど、先ほどのお祭りの中、聖水をくださいなんて言えるわけもなく、ごめんなさいね。
一年ぶりとはいえ、普段から掃除がされているみたいで騎士様のお墓は汚れが少なく、直ぐに終わってしまう。
う~ん、ちらりと騒ぎのする方を見るがまだまだ、騒ぎが収まる様子はないので、一つも二つも一緒よね。翁のお墓もあるかもしれないし!
一つ一つ膝をついては祈りを捧げ、墓地にある墓を綺麗にしていく、雑草を抜き、土を整え、墓石を綺麗に磨いていく。
墓の形は大雑把に分けると、棒のようなタイプ、石を板のように加工したタイプ、特に何も立てる事なく、床石に名前を掘るタイプって感じにわかれる。
一応、それぞれに意味があるのだけれど、私はそこまで詳しくは知らない。騎士様のお墓は石を板のように加工したタイプ。
棒のようなタイプのだと、蔦系の植物が絡みついてたりするので、長い間放置すると、掃除が面倒になりそうね。
そんなことを考えながら、棒タイプに巻き付いている植物を丁寧に解き、手持ちのナイフでカットしては一か所に集める、日当たりのいい場所に置いておけば乾燥して肥料にしやすくなる、そんな話をマリンが教えてくれた記憶がある。
なので、雑草たちも抜いては根に張り付く土を振って落として日当たりのいい場所に置いていく。
墓地にある全てのお墓を綺麗にするころには広場から声が聞こえてこなくな…らないわね?多少はましになったとはいえ、まだまだ、声がするわね、夜まで行う祭りなのかしら?
うーん、仕方がない広場に行って誰かしら手の空いている人が居ないか見て回ろうかしら。
手を洗って服に着いた土とかを払って落としてから、墓地を出る前に祈りを捧げてから、墓地を離れる。
墓地から離れる時に何か視線を感じた気がするけれど、こんなに大勢が居る場所だもの、視線の一つや二つくらいあるわよね。みみなりがする。
気にすることなく、歩いていき、広場に到着するとシスター達が大慌てで布を運んだり、お湯を沸かしたりしているので何事かと声を掛けると、どうやら病院に行けない様な身分の人達が怪我をし、それが大勢運ばれてきたって感じかしら?おかしいわね、先ほどまでお祭りをしていなかったかしら?いいえ、違うわ、お祭りはしていたわ、お祭りが終わった後みたいね、みみなりがする。
ふむ、この状況で王子に言伝を頼むなんて、出来るわけ無いわね。仕方が無いわね~、貴女たちは運が良いわね!日頃の行いの成果よ、白き月と、始祖様に感謝しなさいよ?
シスターに私があの街の医療班を取りまとめる団長であると伝えると天からの使い!!っと拝まれる。
戦場を見てみると、うん、衛生管理もくそもないわね、汚れてもいい服装をお借りできないかシスターに相談してみると、手を引かれて連れていかれた先は教会のシスター達が着替える部屋で、シスター達が普段着ている礼服と鍵付きの大きな箱まで用意してくれたので、荷物と脱いだ服を放り込み、シスターの服に身を包み、戦場に向かって駆けだす!!
一人一人の患者に必要で適切な処置をわかりやすく細分化し、素人でも如何にか出来る内容を伝えて手伝ってもらう。
服を脱がしたり、傷口を洗って消毒したり、簡単な作業を手伝ってもらう。
後、教会に保管されている薬草などがあれば全部持ってきてもらう、いちいち、保存してある場所で薬の元となる材料を探して処方するなんて時間の無駄。
その場で診察して薬の調合をする、煎じるくらいならシスターでも出来るはずなので、湿布薬くらいは作れるでっしょ!!
王都にはちょっとだけ遊びに来たくらいの感覚なのに、私は何時だって気が付くと戦場のど真ん中ってわけね。
それにしても、擦過傷に、打撲に、骨折、脱臼…乱闘でもあったの?幸いに切り傷とか火傷とか、裂傷が無いのが幸いね。
着ている服装からして、身なりは良くない、っていうことは、俗にいう貧困層の人達だと思われるから、衛生面的に宜しくない人が多いので、どんどん、お湯を沸かして洗浄を優先してもらわないとね、傷口に病魔が入り込むと後々、大変なのよね!!
脱臼をガゴンっとはめ込んでシスターに包帯で固定をお願いしたらやり方を知らないって貴女ねーって…そうよね、医療班の人じゃないわね、知らないのが当然よね、ついつい、戦場の雰囲気にここが私の職場だと勘違いしそうになっちゃうわね、お淑やかに教えていかないといけないわね。
肩部脱臼の固定方法を教えたり、鎖骨骨折の固定方法を教えたり、前腕遠位端骨折の固定方法を教えたりと、本当にこの子たちにとって今後の人生に必要な情報なのかは知らないけれど、今の現状では、私独りで全てを診て行くのは限界があるものね、診察をして、処置して包帯での固定はお願いしたいけれど、包帯がもうない!?
三角巾は?ない!?…どうなっているのっていうのは考えてはいけない事よね、ここは病院じゃない教会だもの、揃っているわけが無いのよ、なら、代用品でどうにかするべきね清潔な布なら何でもいいから準備してもらう、煮沸消毒の仕方を教えて、近所にお住いの教徒からも支援物資を貰えるように頼んできてもらう、出来れば固定するための木材が欲しいわね。
夜中になっても終わることのない途切れることのない運び込まれる患者。
医療の心得がある人物が私だけって言うのが致命的なのよね!身なりが良く無い人達を無償で見てくれるような医者は王都にはいない、っであれば、応援は期待できないってことね!何回でも徹夜してやろうじゃない!なめんじゃないわよ!何年あの街で団長勤めてると思っているのよ!先輩仕込みの何もない場所での治療方法は心得ているわよ!…先輩に倣って、この先、どうしようもなく、生きることが絶望的な人は安楽死させるっていうのも、考えないといけないのよね
幸いにも手元にはそれ用の劇毒がある…最悪の最悪は考えておかないといけないわね。
松明の輝きの下、疲労困憊で倒れていくシスター達、その状況を見かねた近隣の人達が助けに…来てくれることはない、見捨てているのだろう。
貧困層なんて助けたところで彼らに未来が無いのは普通の人達でも気が付いている事でしょうね、シスター達が必死に助けようとしても助けたところで未来がない、そんな苦労をする必要も意味も無いと、それらを助けようと汗くさく藻掻く、愚かな人たちだと、蔑んでいるのだろう。
私はなんやかんやと、夕暮れ時から参戦したので、まだまだ体力的に余裕があるけれど、事前処置を施してくれていない人達を診るとなると時間が幾らあっても足りない。
どうして、こんなにも患者が溢れているのか、そんな疑問が自然と湧いてくる、王都は安全のはずよね?どうして、こんなにも負傷者に溢れているのよ!?それも貧困層ばかり!!みみなりがする…
「先生!洗浄が終わりました!」
声を掛けられ、はっと意識が現場に戻される、声を掛けられた、次の患者の元に辿り着く…これは、もう、どうして、ど…
腹部がぱっかりと開いている、開いているって言っても鋭いナイフで刺されたとしか…場所は臍のやや上、刺された箇所を覗き込むように見るが、恐らくだけれど、深さが浅めだからまだ息があるだけで、現状この傷で、生きていることが奇跡のような状況じゃない…
【薬も、手当してやる道具も残りすくねぇ、助けたところで、そいつが苦しむ時間が延びるだけだ…なら、苦しみから解放してやるのが。人としての心意気じゃねぇのか?】
ポケットの中には人を殺す為の劇毒がある、毒の成分は神経毒、毒による痛みはなく、毒が心臓に届くと、心臓が止まり死に至る劇毒
気が付くと手はポケットの中に、自分の助けたいと、命を救いたいという思いとは裏腹に劇毒と針を取り出そうとしている
目の前には今も意識が消えそうで、だけれど、耐え難い苦痛に悶え今にも苦しみの中、絶命しそうな人が居る…救いを与えよ、捧げよ、みみなりがする
先輩の事を、あの時はなんて人なんだと、救う気が無いのが医療に携わるなんて、医療人がする行為じゃない、そんな風に軽蔑もしてしまった、でも、【選択肢として常に頭の中に入れておけ】、その言葉を心に刻み込んでいた自分がいる、とうとう、私もその罪を背負う時が訪れるなんてね…医療はまだまだ進歩していない、救えない命はある
迷うことなく、針に劇毒を仕込み、トントンっと針の頭を叩き静脈に打ち込む…
痛みで悶え苦しむ顔がゆっくりと痛みが引いていくのを感じているのか安らかなか表情になっていく、手を握り見送る姿勢に自然となってしまう。
「・・・・・」
動かしにくい唇がゆっくりと動き何かを伝えたいのだろう、声が出ていないのに伝えたい言葉が聞こえるような気がする。
この様なタイミングでいうことばはいつも
【ありがとう】
手を握り、最後まで人のぬくもりを感じながら旅立って欲しい、薬の影響で体温は感じないと知っていても、最後くらいは人の優しさと温もりの中で旅立って欲しかった。
腕から力が完全に抜けて脈が消える、彼は月の裏側に旅立ったのだ。
私達が見えない世界に、貴方の人生を知ることは無いが、今までのような苦しみはなく健やかな人生が次こそは訪れることを祈らせてください。次の世界に幸あらんことを。
涙を拭い、直ぐに立ち上がり、次の患者がいる場所へ駆け出す、少しでも多くの人を助ける!医療班の団長として!!
おかしいわね、何処をどう見ても普通の王都じゃない、何よ、警戒し過ぎじゃないの?大袈裟ね。
街を歩く人々が笑顔で溢れているとは言わないわ、でも、護身用の短剣を所持していたり、何かを警戒するような素振りも無い、裏路地が見えるタイミングで一瞬だけ視界を移して何かが待機していないか探っても誰も居ない。
何も変わらない、有り触れた日常、平穏無事じゃない、人攫い?人殺し?噂の域を出ないレベルじゃない、っふ、マリンも大袈裟ね。きっと王政の選挙戦での派閥を煽ったり、悪評を流して印象操作でもしているんでしょ?
な~んだもう、警戒して損したじゃない。手持ちの毒は多くは持ってきてないのよ?…体内に入れば即死する劇毒しか持ってきてないから多用はしたくないのよね~。
いつでも取り出せるように馬車に乗っている間に、劇毒をポケットに入れてある、でも、その必要性もなさそうなので、手をポケットから取り出してプラプラとお気楽に手を振って歩いていく。
ここはいつも通りの王都、何も変わらない王都、そうよ、私が育ってきた王都じゃない、何が変わったというの
路地裏に大きな物体が寝転がってる程度、何も変わっていないじゃない、道行く人が短剣は所持していないが何か、背中に何か、鉄の塊が入ってそうな革袋を背負っているくらい普通じゃない、何も変わっていない、みみなりがする
玄関口から、長い事、歩いて、教会に近づくと、おかしいわね?教会ってこんなにも騒がしかったかしら?思っていた以上に人が多い?どうしたのかしら?教会にこんなに人が押し掛けるなんて珍しいわね。私の記憶ではこういう騒がしい日は教会で何かある日くらいだから、炊き出しとかかしら?
そうね、その可能性が高いでしょうね、こんなにも人が大勢押し掛けるってことは、今日は炊き出しとか教会主催の何かを行っているのでしょうね。
なら、ここに居ても教会に関係する人達に接触するのは困難ね、そうなると、もう少しだけ間をおいてからもう一度、様子を見に行きましょう。奉仕活動の邪魔をするのはよくないわね
周りを見渡しても秩序が無い、叫び声も聞こえるし、怪我をした人たちが喚き散らしている、そんな喧騒…チガウワ、これはマツリ、そう、祭りの中、じっとしているのも馬鹿らしい、みみなりがする、人が騒ぎ、怪我をしている人たちが寝かせられているお祭りの最中に、忙しそうに走り回っているシスターを呼び止めるのは気が引けるわね。
そうであれば、先に、お墓参りに行きましょう、乱れた心を落ち着かせたい気持ちもあるし、日が高いうちに愛する人を綺麗にしてあげたい。
騒がしいお祭りの会場を背にして、教会の奥にある墓地に向かう。
墓地はいつも通り誰も居ない、お墓の位置は、前回に訪れたのが一年前だと言え場所は忘れない忘れることが出来ない。忘れるわけがない。
愛する人の名前が書かれた墓地の前に膝をつき、祈りの姿勢をとり、長い時間、祈りを捧げる。
祈りを捧げた後は、予め掃除をする予定だったので前もって準備してきていた、綺麗な布に水を湿らせ一年間の汚れをふき取っていく。
正式な作法であれば教会で清められた聖水を購入して、その水を用いて掃除するのが習わしだけれど、先ほどのお祭りの中、聖水をくださいなんて言えるわけもなく、ごめんなさいね。
一年ぶりとはいえ、普段から掃除がされているみたいで騎士様のお墓は汚れが少なく、直ぐに終わってしまう。
う~ん、ちらりと騒ぎのする方を見るがまだまだ、騒ぎが収まる様子はないので、一つも二つも一緒よね。翁のお墓もあるかもしれないし!
一つ一つ膝をついては祈りを捧げ、墓地にある墓を綺麗にしていく、雑草を抜き、土を整え、墓石を綺麗に磨いていく。
墓の形は大雑把に分けると、棒のようなタイプ、石を板のように加工したタイプ、特に何も立てる事なく、床石に名前を掘るタイプって感じにわかれる。
一応、それぞれに意味があるのだけれど、私はそこまで詳しくは知らない。騎士様のお墓は石を板のように加工したタイプ。
棒のようなタイプのだと、蔦系の植物が絡みついてたりするので、長い間放置すると、掃除が面倒になりそうね。
そんなことを考えながら、棒タイプに巻き付いている植物を丁寧に解き、手持ちのナイフでカットしては一か所に集める、日当たりのいい場所に置いておけば乾燥して肥料にしやすくなる、そんな話をマリンが教えてくれた記憶がある。
なので、雑草たちも抜いては根に張り付く土を振って落として日当たりのいい場所に置いていく。
墓地にある全てのお墓を綺麗にするころには広場から声が聞こえてこなくな…らないわね?多少はましになったとはいえ、まだまだ、声がするわね、夜まで行う祭りなのかしら?
うーん、仕方がない広場に行って誰かしら手の空いている人が居ないか見て回ろうかしら。
手を洗って服に着いた土とかを払って落としてから、墓地を出る前に祈りを捧げてから、墓地を離れる。
墓地から離れる時に何か視線を感じた気がするけれど、こんなに大勢が居る場所だもの、視線の一つや二つくらいあるわよね。みみなりがする。
気にすることなく、歩いていき、広場に到着するとシスター達が大慌てで布を運んだり、お湯を沸かしたりしているので何事かと声を掛けると、どうやら病院に行けない様な身分の人達が怪我をし、それが大勢運ばれてきたって感じかしら?おかしいわね、先ほどまでお祭りをしていなかったかしら?いいえ、違うわ、お祭りはしていたわ、お祭りが終わった後みたいね、みみなりがする。
ふむ、この状況で王子に言伝を頼むなんて、出来るわけ無いわね。仕方が無いわね~、貴女たちは運が良いわね!日頃の行いの成果よ、白き月と、始祖様に感謝しなさいよ?
シスターに私があの街の医療班を取りまとめる団長であると伝えると天からの使い!!っと拝まれる。
戦場を見てみると、うん、衛生管理もくそもないわね、汚れてもいい服装をお借りできないかシスターに相談してみると、手を引かれて連れていかれた先は教会のシスター達が着替える部屋で、シスター達が普段着ている礼服と鍵付きの大きな箱まで用意してくれたので、荷物と脱いだ服を放り込み、シスターの服に身を包み、戦場に向かって駆けだす!!
一人一人の患者に必要で適切な処置をわかりやすく細分化し、素人でも如何にか出来る内容を伝えて手伝ってもらう。
服を脱がしたり、傷口を洗って消毒したり、簡単な作業を手伝ってもらう。
後、教会に保管されている薬草などがあれば全部持ってきてもらう、いちいち、保存してある場所で薬の元となる材料を探して処方するなんて時間の無駄。
その場で診察して薬の調合をする、煎じるくらいならシスターでも出来るはずなので、湿布薬くらいは作れるでっしょ!!
王都にはちょっとだけ遊びに来たくらいの感覚なのに、私は何時だって気が付くと戦場のど真ん中ってわけね。
それにしても、擦過傷に、打撲に、骨折、脱臼…乱闘でもあったの?幸いに切り傷とか火傷とか、裂傷が無いのが幸いね。
着ている服装からして、身なりは良くない、っていうことは、俗にいう貧困層の人達だと思われるから、衛生面的に宜しくない人が多いので、どんどん、お湯を沸かして洗浄を優先してもらわないとね、傷口に病魔が入り込むと後々、大変なのよね!!
脱臼をガゴンっとはめ込んでシスターに包帯で固定をお願いしたらやり方を知らないって貴女ねーって…そうよね、医療班の人じゃないわね、知らないのが当然よね、ついつい、戦場の雰囲気にここが私の職場だと勘違いしそうになっちゃうわね、お淑やかに教えていかないといけないわね。
肩部脱臼の固定方法を教えたり、鎖骨骨折の固定方法を教えたり、前腕遠位端骨折の固定方法を教えたりと、本当にこの子たちにとって今後の人生に必要な情報なのかは知らないけれど、今の現状では、私独りで全てを診て行くのは限界があるものね、診察をして、処置して包帯での固定はお願いしたいけれど、包帯がもうない!?
三角巾は?ない!?…どうなっているのっていうのは考えてはいけない事よね、ここは病院じゃない教会だもの、揃っているわけが無いのよ、なら、代用品でどうにかするべきね清潔な布なら何でもいいから準備してもらう、煮沸消毒の仕方を教えて、近所にお住いの教徒からも支援物資を貰えるように頼んできてもらう、出来れば固定するための木材が欲しいわね。
夜中になっても終わることのない途切れることのない運び込まれる患者。
医療の心得がある人物が私だけって言うのが致命的なのよね!身なりが良く無い人達を無償で見てくれるような医者は王都にはいない、っであれば、応援は期待できないってことね!何回でも徹夜してやろうじゃない!なめんじゃないわよ!何年あの街で団長勤めてると思っているのよ!先輩仕込みの何もない場所での治療方法は心得ているわよ!…先輩に倣って、この先、どうしようもなく、生きることが絶望的な人は安楽死させるっていうのも、考えないといけないのよね
幸いにも手元にはそれ用の劇毒がある…最悪の最悪は考えておかないといけないわね。
松明の輝きの下、疲労困憊で倒れていくシスター達、その状況を見かねた近隣の人達が助けに…来てくれることはない、見捨てているのだろう。
貧困層なんて助けたところで彼らに未来が無いのは普通の人達でも気が付いている事でしょうね、シスター達が必死に助けようとしても助けたところで未来がない、そんな苦労をする必要も意味も無いと、それらを助けようと汗くさく藻掻く、愚かな人たちだと、蔑んでいるのだろう。
私はなんやかんやと、夕暮れ時から参戦したので、まだまだ体力的に余裕があるけれど、事前処置を施してくれていない人達を診るとなると時間が幾らあっても足りない。
どうして、こんなにも患者が溢れているのか、そんな疑問が自然と湧いてくる、王都は安全のはずよね?どうして、こんなにも負傷者に溢れているのよ!?それも貧困層ばかり!!みみなりがする…
「先生!洗浄が終わりました!」
声を掛けられ、はっと意識が現場に戻される、声を掛けられた、次の患者の元に辿り着く…これは、もう、どうして、ど…
腹部がぱっかりと開いている、開いているって言っても鋭いナイフで刺されたとしか…場所は臍のやや上、刺された箇所を覗き込むように見るが、恐らくだけれど、深さが浅めだからまだ息があるだけで、現状この傷で、生きていることが奇跡のような状況じゃない…
【薬も、手当してやる道具も残りすくねぇ、助けたところで、そいつが苦しむ時間が延びるだけだ…なら、苦しみから解放してやるのが。人としての心意気じゃねぇのか?】
ポケットの中には人を殺す為の劇毒がある、毒の成分は神経毒、毒による痛みはなく、毒が心臓に届くと、心臓が止まり死に至る劇毒
気が付くと手はポケットの中に、自分の助けたいと、命を救いたいという思いとは裏腹に劇毒と針を取り出そうとしている
目の前には今も意識が消えそうで、だけれど、耐え難い苦痛に悶え今にも苦しみの中、絶命しそうな人が居る…救いを与えよ、捧げよ、みみなりがする
先輩の事を、あの時はなんて人なんだと、救う気が無いのが医療に携わるなんて、医療人がする行為じゃない、そんな風に軽蔑もしてしまった、でも、【選択肢として常に頭の中に入れておけ】、その言葉を心に刻み込んでいた自分がいる、とうとう、私もその罪を背負う時が訪れるなんてね…医療はまだまだ進歩していない、救えない命はある
迷うことなく、針に劇毒を仕込み、トントンっと針の頭を叩き静脈に打ち込む…
痛みで悶え苦しむ顔がゆっくりと痛みが引いていくのを感じているのか安らかなか表情になっていく、手を握り見送る姿勢に自然となってしまう。
「・・・・・」
動かしにくい唇がゆっくりと動き何かを伝えたいのだろう、声が出ていないのに伝えたい言葉が聞こえるような気がする。
この様なタイミングでいうことばはいつも
【ありがとう】
手を握り、最後まで人のぬくもりを感じながら旅立って欲しい、薬の影響で体温は感じないと知っていても、最後くらいは人の優しさと温もりの中で旅立って欲しかった。
腕から力が完全に抜けて脈が消える、彼は月の裏側に旅立ったのだ。
私達が見えない世界に、貴方の人生を知ることは無いが、今までのような苦しみはなく健やかな人生が次こそは訪れることを祈らせてください。次の世界に幸あらんことを。
涙を拭い、直ぐに立ち上がり、次の患者がいる場所へ駆け出す、少しでも多くの人を助ける!医療班の団長として!!
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