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王位継承戦 Side-S 最終フェーズに向けて②
しおりを挟むお風呂に入ってから水分をとっていなかったし、長話をしちゃったから喉が渇いたので、水分をごくごくと飲み干した後は、ベッドで横になっていると、ドアが開く音がしたので、耳を澄ませていると、MMさんが「はぁ~疲れたねぇ~」っと小声で独り言を言いながら鎧を脱いでゴソゴソと何かをしているので、起き上がって声を掛けると
「起こしちまってすまないね」っと言いながら鎧の手入れをしている、鎧には返り血がついているけれど、この人にとっても人を殺すのは辛い事だろうに…
ごめんなさいと謝ると、
「これは返り血だけど、敵は殺してないから気にしなくてもいいさ!吹っ飛んできた敵を鎧で顔面に向かって体当たりしてやったら鼻血をふきやがって、それがこびりついただけさぁね」っと、汚れてしまった詳細を教えてくれる。
ほれっと、愛用の得物を指さすけれど、使った痕跡すらない、どうやら敵の鎮圧は全て素手で行っていたみたい。そんなことが出来るのは彼女だけだろうな。
あのような鈍器でもあり、斧でもある得物を人に向かって振り下ろして直撃でもしたらもっと血が付くよね、鎧にも得物にも…
無理をしていないか恐る恐る確認してみると、MMさんも前々から、ああいう奴らをいつかとっちめてやりたいとずっと、頭を悩まされていたみたいで念願かなってスッキリしたから、誘ってくれて大感謝って教えてくれた。
どうやら、旦那の良品を永遠に値段の取引に応じず、尚且つ、見下してくる取引先が一部いて、ああいう奴らと繋がりがあったみたい。
今回の一件によって、今後は正規の取引が増えるから、見下してくるようなやつも居なくなるし、交渉も問題なく行えれるから、この先が楽しみだとも教えてくれた。
本当にこの人は強かな人、旦那さんもいい奥さんを縁を結べたね。
他にも騎士団と縁が出来て、旦那さんが育てた良品が口に合ったのか、今後は直接の取引をしたいという新たな顧客の確保も出来たし、普段よりも街の人達と会話する機会が多かったし、自分が姫様と繋がりがあると知れ渡った影響もあって、知り合いが凄く増えたから、今後は従業員の新規確保も順調にいきそうだし、開墾開拓も手広くやれそうで、この先の未来が楽しみでしょうがないって笑顔で教えてくれた。
彼女からしても実りある数日間って感じだったんだね。
そっか、私が何か一歩でも踏み込んだ影響で色んな場所で色んな影響が出始めているんだ、地球の人がいってたっけ?
バタフライエフェクト、私のような小さな存在でも羽ばたくことで連鎖的に周りに影響を与えて、世界に新しい波を起こし、何処かで何かが変化していく。
うん、こうやって良い影響が広がって行っているのを聞くだけでも頑張ったかいがあるなって心に沁みてきちゃうね。
嬉しそうなMMさんに他に何かしたいことあるのか聞いてみると
「あることはあるねー!騎士団の連中に飯を作ってやるとな、良い笑顔で楽しそうに食べる姿を見てな、店をやるのもいいんじゃねぇかなって思っちまったんだよな、だからよ、開墾が落ち着いたら、酒もうめぇ飯も提供できるような酒場?食事処?みたいなのをしてみるのもいいさぁね~」
っと、鎧を磨きながら教えてくれたので、始動するなら全力で応援するよ!店の手伝いは出来なくても店を用意することに関しては協力できるので、これが終わったら、彼女が楽しく働けるお店を用意するのも悪くないかも!恩を返すにはちょうどいいかな。
詳しく話を聞くと、どうやら、騎士団の皆に肉を焼いたり、家でよく作っていた料理を提供していたらかなりの高評価だったので、こういう商売も性に合っているんじゃないかって肌で感じたみたい。
それに、卸しているお肉も希少部位とかは、どうしても高値になるので、売れ残ることが多くて、自分たちで食べることが多いんだけど、ずっと、同じ部位は飽きてしまうし、勿体無いってことで、その部位とご家庭では、人気のない骨周りの骨付き肉を使った料理を提供できるお店を考えてるみたい。
MMさんはお酒も好きなんだけど、今まで飲んだお酒は水みたいでもっと酔えるお酒とか口に合うお酒を探しているんだけど、なかなか無いのが寂しいっか~…ん~お酒は私も飲まないけれど、他の世界では色んなお酒があるから、それを真似て作って商売にしてもいいかも?うん、食道楽っていう新しい商売もありかも!!
その後も、鎧の手入れをしながら、いろんな話を聞かせてもらった、お母さんとの出会いとか、戦士長がどんな人だったのか、そして、密かに恋心を抱いていたって言うことも教えてくれた、戦士長は罪づくりな人だな~。
ベテランさんの事も何気に可愛がっていたみたいだけど、最近は何処となくエロに貪欲になっている姿勢に呆れてあまり関わっていないんだって…
その奥様の家系が王都で品物を卸すときのお得意様だから、たまに会っていることがあるので、特に変わりはないし、ベテランさんが何か不祥事をしたかどうか知っていたら教えてあげたりもしていたみたい…え?あの人何かしでかしたの?ぁ、浮気?ぁー…ぁぁーー…聞かないでおこう。
鎧の手入れも終わったので、ひとっ風呂浴びて寝るみたいだから、私もベッドで横になって寝よう。
明日は大仕事だからね~…大勢の前で話すだけ!だけどねー。
…思い起こすと、色んな出来事があったね、医療班の皆ともっともっと仲良くなれたし、病棟の医者たち全員から質問攻めにもあったし、研究所とコネクションもしっかりと結べたし、王都騎士団の人達も良好な関係を築けたし、貧困層に平民達とも信頼関係を築けたし、貴族の人達とも対等かそれ以上の存在として縁も結べたし、教会のシスター達とも仲良くなれたし、音楽祭をするときに遊びにきてねって誘われちゃったしね。
…何か忘れている様な?
…あ!忘れてた!司祭様がちらちらと私を見ていたけれど、あれから、時間を作ってあげれて無かったなー、しょうがない、明日にでも時間を作ってあげようかな。
遠目で見ても穏やかな表情をしていたし、憑き物が落ちたような気がする!だって、シスター達がね、前みたいに張り詰めた空気が無くなって話しかけやすいってシスター達から教えてもらっているから、たぶんだけど、悪魔信仰からはきっちりと足を洗ったんだと思う。そうなると、話したいことなんてそれの報告だと思うんだけどな?…ついでに、貴重な資料とか全部もらおっと♪何かに応用できるっしょ!封印術式みたいにね!
封印術式と言えば…未来の私はどうやって封印術式を編み出したのかな?たぶん、幾重にも重なる未来からの情報の果てに辿り着いたんだろうな、そう考えると今の私は何度目の私なんだろう?詳細を思い出せないのが辛い、だけどさ、死んだときの苦しみを知らない分、明日という希望を持てるのかな?死の経緯を知ってしまったら、明日という絶望になっていたんじゃないかな?
幾重にも奇跡が重なって今の私があるのだと信じている、その奇跡の果てに私は人類を救うのだと信じたいけれど…幾重にも死んだ私達がそれについては答えを提示してくれない、勝ち筋を教えてくれない…その理由は単純、私はいつも一手遅く、あれらに敗北しているから…
私が非道になれば勝ち筋はあるのか?答えはNo、非道であろうが正道であろうが、負ける時は負ける。
問題は私が後何回、過去に思念を飛ばせれるのか?答えは未知数…始祖様の加護がある限り私は過去に思念を飛ばせれる。
だとすれば、私の精神性ってことだね、私の心が限界を迎えない限り可能性はあるってことだね。
なら、私は折れない!何があろうと折れてたまるもんか!絶対に折れてやんない!!例え敵に喰われても消化されるまでに次の一手を打つ!街全てを滅ぼされようが何を犠牲にしてでも次の一手を打つ!私は絶対に折れない!何度でも、何度でも、思念を飛ばして、いつか、いつか絶対に!人類が前に向かって歩いて行ける世界へとたどり着いて見せる!!!こんな場所で躓いてらんないんだから!!
そして、いつかきっと、始祖様に敵の大元がいる世界を見つけて教えてあげるんだから!それが、私達が彼から授けてもらった事への少ない恩返しだよね…
うん、全てが終わってからでいいよね?お母様…お母様にもう一度会うのは、全てが終わってからでもいいですよね?それまで、待っててね。お母様…
お母様と始祖様に祈りを捧げ乍ら、胎児のポーズで眠りにつく
その日の夜は久しぶりにお母様の夢をみた、それだけじゃない、長らく感じなかった始祖様の世界と繋がっている感覚がする、やっぱり日本はいいなぁ、四季が色々あって、世界が綺麗…私のなまえも始祖様がつけ…てくれ、…日本の名前を…
【起きなさい!!】
お母さんの目覚ましで目を覚ます、MMさんは既に設営の準備で外に出ている
身支度を終えた後は、屋敷の人に挨拶がてらリビングに顔を出すと、挨拶しずらい雰囲気だった・・・
だって、お母さん連合と筆頭騎士様がすんごい、いちゃついてるんだもん…
見なかったことにして一旦引き返し、使用人の方に事情を説明して食事を運んでもらって使用人の部屋でご飯を食べることに
私がご飯を食べていると使用人の方達も避難するように集まって一緒にご飯を食べることになった。
やっぱり、皆もあの光景は目に毒…おっと、気を遣うからしょうがないよね。
あれが、世にいうハーレムってやつなんだろうね…王族でもあそこ迄、モテないよね?すっげぇ、人間力なんだろうなぁ、魅力の塊ってやつ?
そんなことを使用人の方達と会話していたら、時間になるので馬車係の人が呼びに来てくれるので馬車に乗り込もうとすると、耳だけこちらを気にするようにしている心配性な子がいたので、前に出て、顔を抱きしめてあげると満足したのか上機嫌で私を運んでくれた。
教会の前に行くと、壇上がしっかりと組み上がっていて、前よりもより豪華に彩られている。
それだけじゃない、今回騒ぎになるのを見越して既に、王都騎士団達が周りをしっかりと警備しているし、何故か屋台まで出ている辺り、ちょっとしたお祭りみたいになってる。
日本で言うところの盆踊り会場に近いかも…
集まった皆も屋台を楽しむようにしているし、待ち時間の間、壇上は使われないのかと思っていたら、壇上ではシスター達が教会の教えに基づいた劇をしているし、うん、これはもうお祭りだ。
だって、劇の中に司祭様も楽しそうに参加している、モノローグを担当していてびっくり、お茶目な部分もあるんだね。
待合室として提供してもらっている教会のバックヤードに入ると、末席が分厚いマントを着て正装してお付きの方に身だしなみを整えてもらっていた。
馬子にも衣裳ってからかうのが正解なのかもしれないけれど、正装した姿を見た私の率直な感想は様になっているって感じちゃったから、からかえないかな。
挨拶をして、時間が来るまで座ってゆっくりとさせてもらおうかと思ったら、続々とシスター達が部屋に入ってきて、私を着替えさせようとするんだけど?ぇ?私も着替えるの?うーん、めんどくさいけれど仕方がないよね、晴れ舞台だものね。
シスター達が用意してくれたのは、聖女様をモチーフとした真っ白な衣装…白き月をイメージしてってことだね。
黄金の太陽は白き月を守るための鎧だからね、私が聖女モチーフの晴れ舞台用の立派な服を着て、その隣に立つ人は本来であれば黄金の鎧を着るのが正解なんだろうけれど、末席が着るのは普通の王族としての衣装。
うんうん、そうだよねーその太陽と月をモチーフにしてセットにしちゃうと私と末席が結婚するみたいになっちゃうもんね、末席としてはそれは絶対に避けるべき内容だもんね、いい加減諦めて欲しいけどね~お母さんはなびかないよ?
まぁ、追う事で幸せを感じる人もいるって教えてもらったから、それもありなのかもね。
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