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とある人物達が歩んできた道 ~ 脅威を取り除く② ~
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敵が動かなくなったのを確認した後、ゆっくりと戦士の一団に向かって歩き出す。
脅威が去ったと感じている戦士の一団にどうして緊急招集を要請したのか説明をしていくと、戦士の一団も今のような状況が続くのは良くないと判断し、真剣に話を聞いている。
姫ちゃんが探してほしい物を伝えると戦士達が敵に見つかるリスクを考慮しても、放置しておくと確実に危険だと判断し敵に見つかる危険を冒してでも灯りを灯して探し始める。
私と姫ちゃんも探そうとしたけれど、装備のない人が灯りを灯して死の大地を探索するのは命を捨てるのと同じだと怒られてしまい、私達は戦士の一団に囲まれる様にその場で待機することに。
姫ちゃんに認識阻害の術式を使えば大丈夫じゃないの?っと確認すると
「時と場合によっては敵に見つかるから完全に安全じゃないし、私もお母さんも疲れたでしょ?魔力量的に」
その提案には頷くことしかできなかった、現に私の残存魔力は相当、少ないと思うもの、連日通して、魔力を消耗し過ぎな気がする…
皆には申し訳ないけれど私と姫ちゃんは座って休憩させてもらう、私達の背中には姫ちゃんの騎士第一号がしっかりと守ってくれているので死の大地で夜という条件だけれど、安心して休憩することが出来る。
休憩しながらもお互い、どうにかして敵の魔道具を探す方法を考えていると、ふと、姫ちゃんが
「あの魔道具ってさ、魔力の痕跡を見つけれたりするの?」
あの魔道具?…どの魔道具かしら?
ピンっときていない私に姫ちゃんがどうやって説明をしようかと悩みながら声を漏らしている
「ほら、えっと、あれ。魔力が、みえる、レンズの様な、あの、名前が無いと不便じゃね?…ほら、えっと」
魔力が見えるレンズの様な魔道具ってこれかしら?
姫ちゃんに何かあったときのために備えて常に携帯しているので、取り出して渡してあげると
「そうそれ!その魔道具起動してよ!」
これくらいの魔道具を起動するくらいなら問題ないわね。
魔道具を起動して姫ちゃんに覗かせてあげると
「んー、駄目だ、辺りに人がいっぱい居るから、どれが誰の魔力かわからない、区別がつかない…」
残念そうにしている、それもそうよね、人の体から魔力って微弱だけれど溢れているから敵が残した魔力の痕跡なんて小さな魔力痕だけを探し出すなんて無理よね…
「お母さん、この魔道具って貴重品?」
敵の眼球から作り出したお手製品だから、特定の敵を捕縛して、眼球に傷が無ければ作れるはずっと伝えると
「それって、貴重品って言うんだよ?ばらして構造を見ようかと思ったら、特定の敵が持つ特殊な器官から作り出した特殊な魔道具ってことだよ?もう、ちゃんとしてー」
ペシペシっと太ももを叩かないでよ。
確かに言われてみれば、そうよね、鳥型の獣って基本的に上空に居るから弓とかで叩き落すと眼球に傷がついちゃって使い物にならないって言っていたわね…
奥様が材料さえあればすぐに作れるいうものだから、ついつい、簡単に考えてしまっていたわね。
私の腕ごと魔道具を手に持ちながら、うんうん、唸りながら考えている。
姫ちゃんからいい案が出るまで私も考えるのだけれど、なかなか、上手い案が思い浮かんでこないので、少し気分を入れ替えるために何かヒントが得られないかと、閃きのきっかけづくりとして辺りを見回すと、暗闇に映る灯りは目立つわね。ついつい、視線がそちらに吸い寄せられてしまう。
探索に出ている人達の動きを見ていると時折、灯りが留まっているなと観察していたら何かと闘う音がする、恐らく灯りと、先ほどの戦闘音に引き寄せられた獣達と闘っているのだろう。
これは、早く探し出さないと姫ちゃん命名の人型が突如やってくる可能性があがってくるわね。
「うん、そうだよ、その手があった!」
姫ちゃんが急に立ち上がり私の肩を叩くので一緒に立ち上がる、言葉通りなら探し出す方法を思いついたってことよね?
「敵の足跡を見つけて、そこに魔力痕があるか見ればいいじゃん!それを辿れば、まだ魔力痕が残っていれば辿れそうじゃない?」
…足跡なら、流石に戦士の人達も探しているんじゃないの?
それを傍にいる人に確認すると「然り」と呟きながら頷かれる。
「途中で足跡が途切れていて、本来なら続く足跡を探しきれてないから困惑しているってことない?つまり、突如出てきた足跡ってことにならない?なら、その場所に濃厚な魔力痕が残っている可能性ってないかな?みんな、足跡は見れても魔力痕は見えないよね?」
確かに、普通であれば、不自然に足跡が消えていたら、敵と闘ってきた戦士の人がまず考えるのが、猿だから飛ぶ。
こいつらって飛ぶのよね…だから、こいつらの生態を知っている戦士であれば盲目的に飛んだと考えるわよね。
助走も無く軽々とかなりの距離をぴょんっと飛んできたと考えるわね、そういう考えに至ったのであれば、普通は、着地したであろう最後の足跡を見て、どの方角から向かってきたのか逆算して、飛んできたであろう方角に向かって足跡を探す為にそっちの方角に向かって歩いていくわね。
途切れた足跡、その場所に何かがある可能性を考えずに…彼らは術式や魔道具のエキスパートじゃないもの、戦士として今まで培ってきた経験を優先するわよね。
それを傍にいる姫ちゃんの騎士一号に確認してみると
「然り、俺でもそうする、あいつ等は飛んで移動することがある、特に手長タイプは、よく飛ぶ、少し遠い場所から移動して来たと考えるだろう、途切れた足跡がある場所、目に見えるものが見当たらず、何もなければ…移動する、敵の大きさからある程度の跳躍距離を俺たちは、感覚で知っているからな」
なまじ敵との闘ってきた経験が豊富にあるがゆえに…見落とすってことね。なら、決まりね
「私達を足跡が途切れた場所まで案内してもらえる?」声を掛けると、夜の中、移動する危険を考えているのか返答に悩んでいる
「危険だけど私を守ってくれる?」姫ちゃんがそっと、騎士一号の手に触れて上目遣いでお願いすると
「御意に!!」目を輝かせて鼻の穴を広げて頷くんじゃないわよ…こいつ、12歳辺りが趣味ってこと…ないわよね?
周りで待機してくれていた人達も意を決したのか決意を決めた瞳で
「付いて行きます!絶対に守って見せますよ!貴女に傷をつけてしまったらあの人に合わす顔がありませんもの…」
…皆にはバレバレだったのね、まぁ、ね、露骨にアタックしていたもの、ばれない方がおかしいわよね…
全員が目を合わせ、意志を統一するようにコクリと頷いた後、慎重に歩を進めていく。
辺り一面から戦闘音が聞こえてくる辺り、結構な数の獣が押し寄せてきている可能性が高い、少しでも油断すれば襲われるわね、皆の安全を確保するためにも早めに撤退できるように目的の物を探し出さないと…
足跡をたどる足取りは重かった、周りに敵が居ないのであれば歩を早めるのが正解だけれど、こちらの足音を聞かれて見つかるわけにはいかないので、一歩一歩が重くなる。
付いて来てくれている戦士達も鎧の擦れる音を出さないように、ゆっくりとゆっくりと、息を殺す様に密かに歩を進めていく、歩いていく…
「ここで途切れている」
何とか、敵に遭遇することが無く足跡が途切れた場所に辿り着くが、何もない、足跡が途切れた、その場所を見てみると背の小さな草が茂っている…
土の中に掘って埋め込まれているんじゃないかって淡い期待もあったけれど、違ったようね、掘り返したのであれば、掘り返した痕跡があるはずなのに、それが無い、試しに地面を触ってみても、硬さといい草の感触といい、違和感がない…
現状に絶望していると耳元で
「魔道具を起動して」
姫ちゃんに小さな声で言われたとおりに魔道具を起動するとゆっくりと覗き込んだ瞬間、口角が上がり笑みが零れ始める
「BINGO!!ここ!濃い!お母さんも見てみて」
歓びの余り、そこそこ大きな声を出して喜ぶ姫ちゃんに誘われる様に魔道具を覗き込むと…確かに魔力が色濃く残っているわね、でも、この場所には、なにも無いわよ?
「…術式に干渉するから魔力、いけそう?」
姫ちゃんが魔力の痕跡が残されている場所に手をつく、何かがあるのは間違いないのね、目を閉じて魔力を捻り出す、魔力の流れを感じる!いけるわね。限界まで姫ちゃんに注いでいくしかないわね!
四つん這い状態の姫ちゃんの首に手を当てる
「ごめんね、お母さんも限界近いのに」
四つん這いの状態でも気遣ってくれるなんてね、優しい一面もあるのよね。
「何とかするから、そちらも何とかしてよね!!」
魔力を放出して姫ちゃんに魔力を注いでいく!!魔力を捻り出し過ぎて肺が苦しい、心臓がバクバクと激しく脈打つじゃないの!!まだいけるでしょ!!
大きく何度も何度も深呼吸をして魔力を練る動作と魔力を放出する感覚を同時に行う。
魔力が姫ちゃんと繋がった瞬間に、手の先からあの眩く輝く様な笑顔が見えそうなセリフが聞こえてくる
「うん!任せて!!」
その言葉を聞いてこちらも自然と笑みが零れる、深く意識を集中して、全力で魔力を練り上げて、全力で魔力を注ぎ続ける!
不思議ね、あの時は魔力が空っぽで取り出すことが出来ないと限界だと感じていたのに、今もそれに近いような感覚に近づいて行っているってわかっているのに…
自然と恐怖を感じない、焦るような感覚も無い、ここで意識が途切れても、きっと、この子なら何とかしてくれると心の底から信じれるから、先を考えずに動けなくなるという事態が発生しても問題ないと、心の底から感じれるわね!…現在地が、あの時と違って、街から近いってのもあるけどね。
でも、あの時の私が命を引き換えに魔力を変換する方法を知っていれば躊躇ずに騎士様に命をあげたわよ…残り僅かな魔力をね…
でも、たぶん、間に合わなかった、敵を攻撃する前に私の命を捧げていれば、もしかしたら、騎士様の命はつながっていたかもしれないわね。
私は何時だって、何か行動をするのが一歩踏み込むのが、足を進めるのが…遅いのね…
次は、そうはさせない!そうはならないように!明日を見据える力を能力をつけていくわよ!同じ轍は二度と踏まないわよ!!!
今にも魔力切れで膝を折って、地面に倒れそうになる、限界まで歯を食いしばって耐える!!
魔力を練りすぎて肝臓辺りが熱くなってきているのが感じ取れるし、肺も熱くなってきてるような気がする!!!肺炎かな?って勘違いするくらい、熱く感じるわね!!
心臓だって鼓動する音が耳まで聞こえてくるくらい、バックンバックン一定のリズムで激しく踊り狂いながら歌ってるわよ!!!
まだなの?…さすがに、もう、きつ…いしきが、と、とぶ・・・・わけにはいかないのよぉ!!んぎっぎぎぎぎぎぎっぎいぎ
歯をガチガチと震わせながらも耐えていると
「おらぁ!解除をぉぉぉ!!!!」
姫ちゃんが叫んだ瞬間、目の前に今まで無かった、触ってもそんな感触も無かった、今まで土だと草だと思っていた場所に突如大きな魔法陣の様なものが出てくる。
嗚呼、よかった…みつか…
ふっと、力が抜けてガクっとその場に膝をついて姫ちゃんと同じように四つん這いになる
ちらりと横で同じように四つん這いになっている汗だくの姫ちゃんと目が合う
「さっすが、お母さん、頼りになる!!」
にこやかに晴れ晴れとした笑顔で褒めてくれるじゃない…頼りになるのは貴女の方よ…
その笑顔を見た瞬間にぱたりとその場に倒れ込む…ごめん、少しだけ、意識を落とさせて…げんかいよ…
話し声が聞こえてくるので、ゆっくりと目を開ける、ぼんやりと映る世界には坊やが周りから責められている?あいつったら何をしたのよったく…世話が焼けるわね。
寝ぼけながらもゆっくりと立ち上がって坊やを取り囲む集団に近づいていく
「大勢で誰かを責め立てるのは褒められたものじゃないわよ?戦士の部を取り仕切る彼の言い分をしっかりと聞きなさい」
集団の輪の中に入っていきながら、常識を問う様に会話に割って入ると
「ぇ?お母さん、そっち側の肩を持つの?正気?」
・・・・これは、やらかしたかもしれないわね、寝ぼけながら本能のままに動いたのが良くないわね、姫ちゃんの一言と嘘だろお前っていう表情で一気に目が覚めたわ…
「ごめん、実は…話を聞いてないのよ、ただ、ぼ…えっと、こいつが周りから責められてるように見えちゃってつい、ね?…自然な流れで状況説明してよ」
姫ちゃんにだけ聞こえるように囁いたあと、コンコンっと坊やの鎧をノックしながら、話の腰を折ってしまって申し訳ないっと、謝ると姫ちゃんが「おさらいしましょう!現場の熱が熱くなるのは良くない、冷静になろう?」周りを宥める様に自然な流れで状況を説明してくれる
どうやら、魔道具を見つけたのはいいのだけれど、対となる魔道具を回収しないと、この魔道具に向かって敵が転送される可能性が高いため危険な道具は破棄するのが正解と周りが姫ちゃんを責め立てる
けれども、姫ちゃんからすると現物を絶対に持って帰りたい!と必死に必要なものだと説明し持って帰る許可を勝ち取ろうと必死に説得している
だけれども、大多数の戦士達が危険な魔道具であれば燃やして使えなくするのが良いと判断し、終いには判断を決定づける為に多数決をとり、燃やす方針で可決されてしまった。
けれども、今後、この街で敵と闘うためには必須と言える魔道具だから絶対に燃やしたくないと姫ちゃんが必死に魔道具を守るように抱きしめた結果
坊やから驚きの提案をされてしまい、そのせいでより一層、もめてしまっている状況みたい、何を言ったのかって?
「この魔道具を使えば飛べるんだろ?対の魔道具の場所へと、なら、俺を飛ばせ、命がけで対となる魔道具を持ち帰る、持ち帰るのが不可能だと判断したら死ぬ前に燃やす、それでどうだ?」
確かに現状、戦士の一団の中でも一番生存確率が高いのは坊やだけれども、裏を返せば、今の街での最大戦力は坊やなのよ?それを失うリスクを考慮しろ!っと、周りが坊やを攻めていて、姫ちゃんもそれをするくらいなら燃やす!っと手のひらを返したところなのね…
坊やも頑固な部分が出てきちゃって絶対に自分が言ったことを遂行するっと息巻いている、その最中に私が話の腰を折っちゃったのね…しかも坊やの肩を持つような言い方で、立場ある人物が坊やの考えに賛同するように、推薦しちゃったように聞こえちゃったのよね?…ぁ、これはやらかしたわね、寝ぼけてたとはいえ、私の幹部としての立場、そんな権力のある人間が言っていい言葉じゃなかったわね。
戦士の部、医療の部、その二つの幹部が作戦を推奨するなんて…多数決なんて跳ね除けるほどの権力になるのよ、この街だと…
「街のルールだ、幹部が二人も、俺が提唱した作戦を実行すると、言っている、文句は受け付けない、いいな?」
この一言で完全に後戻りが出来なくなり、ちらりと視線を姫ちゃんに向けると、頬を膨らませて…がっつりと睨んでくるじゃないの…私だってこんな、人身御供の様な話をしているなんて知らなかったのよぉ…うっかり物の、後先考えないお母さんの失態を睨まないでぇぇぇ…
仕方がないわね、私も腹を括りましょう。
「そうね、なら、私も行くわ、貴方独りに死という名の責任を負わすわけにはいかないじゃない」
幹部として発言の責任は取るわよ、まったく、因果な物ね…口は禍の元っか、その通りだわ
私の提案を聞いた姫ちゃんがすかさず声を挟んでくる
「無理だよ、全員の魔力を繋げても送れるのはたぶん一人だけだから、お母さんを送ったところで死ぬ未来しか無いから、送るなら、その…」
途中で途切れるけれど、何を言いたいのか、伝わったわ、片道切符、お一人様ってことね、行の馬車に乗れるのは一人だけ、帰りの馬車は無く、歩いて帰るしかないのね、そして、一人で歩いて帰れるのはどっち?私?坊や?決まってるわね、坊やの方が可能性は高いわよ。私なんて敵と遭遇した時点で死よ…装備が何もない物…
なら、坊やが帰還できる可能性が高い方法を探りましょう。
「この魔道具は、何処に繋がっているのか、姫ちゃんはわかりそう?」
まずは、何処に転送されるのかってことね、近い場所なら後日、準備をして出発すればいいのよ。
現状、手に入った魔道具は、起動不可の状態に封印してしまえば、危険性は減るはずよね?
戦士の一団が地図を広げてくれるので最低限の灯りでを灯して姫ちゃんに尋ねると
凡その場所を教えてくれるけど…近場じゃないのね、ここから歩くとなると1日は最低限欲しいわね。
街からだと休憩を挟んだりする時間も考慮しないとね、そうなると、夜は安全に過ごす為に息を潜めるから動けないと想定して、1日半、つまり往復三日の旅ね。
姫ちゃんにそのことを提案すると
「封印術式で封印しちゃうと敵側がそれを察知して魔道具を破棄する恐れがあるから、対となる魔道具を手に入れることが出来なくなる、だから、これを解析したとしても、使用できなくなる、それをするなら、手放すつもりで燃やす方がいい」
冷静に状況判断しその後に起こりえる一番、可能性の高い最悪のシナリオを説明してくれるから助かるわね。
なら、私の案は却下として、他に何かいい考えがあるかしら?ちらりと姫ちゃんを見ると様子がおかしいわね。
姫ちゃんが何かを言いたいけれど言えないみたい表情をしている。
何か思いついているけれど言えないってことは、そういう時は、きっと…非道な方針ね…
小声で最善の策を考えたのよね?教えてもらえる?っと、耳元で言うと、辛そうな顔で服をぎゅっと掴みながら苦しそうな声で
「べ、べてらんさんが、飛んだ後に私がさっきまで使っていた認識阻害の術式で敵に発見されにくい状況にして、転送するのが一番だと、思っちゃいました…」
確かに言われてみれば、その手があるじゃない!安全性も私達が経験しているから問題ないと思うし、良い策じゃないの?どうして言い淀んでいるの?
周りもそれなら、問題なさそうだし、こいつなら隠密行動も得意だし、あの術式が共にあるのだったら生存率が跳ね上がるからいけるんじゃねぇか?っと皆の顔が驚きと共に希望があるのだと嬉しそうな顔をしている。
希望の話なら言い淀むのは可笑しい、何か言い淀む内容があるわよね?…そもそも、術式は誰が発動させるのよ?まさか
「貴女も現地に飛ばないといけないってわけじゃないわよね?」
その一言にその場にいる全員があっと、気が付く、坊やが複雑そうな術式を扱えるわけがないと…
こいつは、脳みそ全てが、筋肉で出来ている、そう感じるくらい…学が無い…絶望的に、術式に無縁な存在であると…
脅威が去ったと感じている戦士の一団にどうして緊急招集を要請したのか説明をしていくと、戦士の一団も今のような状況が続くのは良くないと判断し、真剣に話を聞いている。
姫ちゃんが探してほしい物を伝えると戦士達が敵に見つかるリスクを考慮しても、放置しておくと確実に危険だと判断し敵に見つかる危険を冒してでも灯りを灯して探し始める。
私と姫ちゃんも探そうとしたけれど、装備のない人が灯りを灯して死の大地を探索するのは命を捨てるのと同じだと怒られてしまい、私達は戦士の一団に囲まれる様にその場で待機することに。
姫ちゃんに認識阻害の術式を使えば大丈夫じゃないの?っと確認すると
「時と場合によっては敵に見つかるから完全に安全じゃないし、私もお母さんも疲れたでしょ?魔力量的に」
その提案には頷くことしかできなかった、現に私の残存魔力は相当、少ないと思うもの、連日通して、魔力を消耗し過ぎな気がする…
皆には申し訳ないけれど私と姫ちゃんは座って休憩させてもらう、私達の背中には姫ちゃんの騎士第一号がしっかりと守ってくれているので死の大地で夜という条件だけれど、安心して休憩することが出来る。
休憩しながらもお互い、どうにかして敵の魔道具を探す方法を考えていると、ふと、姫ちゃんが
「あの魔道具ってさ、魔力の痕跡を見つけれたりするの?」
あの魔道具?…どの魔道具かしら?
ピンっときていない私に姫ちゃんがどうやって説明をしようかと悩みながら声を漏らしている
「ほら、えっと、あれ。魔力が、みえる、レンズの様な、あの、名前が無いと不便じゃね?…ほら、えっと」
魔力が見えるレンズの様な魔道具ってこれかしら?
姫ちゃんに何かあったときのために備えて常に携帯しているので、取り出して渡してあげると
「そうそれ!その魔道具起動してよ!」
これくらいの魔道具を起動するくらいなら問題ないわね。
魔道具を起動して姫ちゃんに覗かせてあげると
「んー、駄目だ、辺りに人がいっぱい居るから、どれが誰の魔力かわからない、区別がつかない…」
残念そうにしている、それもそうよね、人の体から魔力って微弱だけれど溢れているから敵が残した魔力の痕跡なんて小さな魔力痕だけを探し出すなんて無理よね…
「お母さん、この魔道具って貴重品?」
敵の眼球から作り出したお手製品だから、特定の敵を捕縛して、眼球に傷が無ければ作れるはずっと伝えると
「それって、貴重品って言うんだよ?ばらして構造を見ようかと思ったら、特定の敵が持つ特殊な器官から作り出した特殊な魔道具ってことだよ?もう、ちゃんとしてー」
ペシペシっと太ももを叩かないでよ。
確かに言われてみれば、そうよね、鳥型の獣って基本的に上空に居るから弓とかで叩き落すと眼球に傷がついちゃって使い物にならないって言っていたわね…
奥様が材料さえあればすぐに作れるいうものだから、ついつい、簡単に考えてしまっていたわね。
私の腕ごと魔道具を手に持ちながら、うんうん、唸りながら考えている。
姫ちゃんからいい案が出るまで私も考えるのだけれど、なかなか、上手い案が思い浮かんでこないので、少し気分を入れ替えるために何かヒントが得られないかと、閃きのきっかけづくりとして辺りを見回すと、暗闇に映る灯りは目立つわね。ついつい、視線がそちらに吸い寄せられてしまう。
探索に出ている人達の動きを見ていると時折、灯りが留まっているなと観察していたら何かと闘う音がする、恐らく灯りと、先ほどの戦闘音に引き寄せられた獣達と闘っているのだろう。
これは、早く探し出さないと姫ちゃん命名の人型が突如やってくる可能性があがってくるわね。
「うん、そうだよ、その手があった!」
姫ちゃんが急に立ち上がり私の肩を叩くので一緒に立ち上がる、言葉通りなら探し出す方法を思いついたってことよね?
「敵の足跡を見つけて、そこに魔力痕があるか見ればいいじゃん!それを辿れば、まだ魔力痕が残っていれば辿れそうじゃない?」
…足跡なら、流石に戦士の人達も探しているんじゃないの?
それを傍にいる人に確認すると「然り」と呟きながら頷かれる。
「途中で足跡が途切れていて、本来なら続く足跡を探しきれてないから困惑しているってことない?つまり、突如出てきた足跡ってことにならない?なら、その場所に濃厚な魔力痕が残っている可能性ってないかな?みんな、足跡は見れても魔力痕は見えないよね?」
確かに、普通であれば、不自然に足跡が消えていたら、敵と闘ってきた戦士の人がまず考えるのが、猿だから飛ぶ。
こいつらって飛ぶのよね…だから、こいつらの生態を知っている戦士であれば盲目的に飛んだと考えるわよね。
助走も無く軽々とかなりの距離をぴょんっと飛んできたと考えるわね、そういう考えに至ったのであれば、普通は、着地したであろう最後の足跡を見て、どの方角から向かってきたのか逆算して、飛んできたであろう方角に向かって足跡を探す為にそっちの方角に向かって歩いていくわね。
途切れた足跡、その場所に何かがある可能性を考えずに…彼らは術式や魔道具のエキスパートじゃないもの、戦士として今まで培ってきた経験を優先するわよね。
それを傍にいる姫ちゃんの騎士一号に確認してみると
「然り、俺でもそうする、あいつ等は飛んで移動することがある、特に手長タイプは、よく飛ぶ、少し遠い場所から移動して来たと考えるだろう、途切れた足跡がある場所、目に見えるものが見当たらず、何もなければ…移動する、敵の大きさからある程度の跳躍距離を俺たちは、感覚で知っているからな」
なまじ敵との闘ってきた経験が豊富にあるがゆえに…見落とすってことね。なら、決まりね
「私達を足跡が途切れた場所まで案内してもらえる?」声を掛けると、夜の中、移動する危険を考えているのか返答に悩んでいる
「危険だけど私を守ってくれる?」姫ちゃんがそっと、騎士一号の手に触れて上目遣いでお願いすると
「御意に!!」目を輝かせて鼻の穴を広げて頷くんじゃないわよ…こいつ、12歳辺りが趣味ってこと…ないわよね?
周りで待機してくれていた人達も意を決したのか決意を決めた瞳で
「付いて行きます!絶対に守って見せますよ!貴女に傷をつけてしまったらあの人に合わす顔がありませんもの…」
…皆にはバレバレだったのね、まぁ、ね、露骨にアタックしていたもの、ばれない方がおかしいわよね…
全員が目を合わせ、意志を統一するようにコクリと頷いた後、慎重に歩を進めていく。
辺り一面から戦闘音が聞こえてくる辺り、結構な数の獣が押し寄せてきている可能性が高い、少しでも油断すれば襲われるわね、皆の安全を確保するためにも早めに撤退できるように目的の物を探し出さないと…
足跡をたどる足取りは重かった、周りに敵が居ないのであれば歩を早めるのが正解だけれど、こちらの足音を聞かれて見つかるわけにはいかないので、一歩一歩が重くなる。
付いて来てくれている戦士達も鎧の擦れる音を出さないように、ゆっくりとゆっくりと、息を殺す様に密かに歩を進めていく、歩いていく…
「ここで途切れている」
何とか、敵に遭遇することが無く足跡が途切れた場所に辿り着くが、何もない、足跡が途切れた、その場所を見てみると背の小さな草が茂っている…
土の中に掘って埋め込まれているんじゃないかって淡い期待もあったけれど、違ったようね、掘り返したのであれば、掘り返した痕跡があるはずなのに、それが無い、試しに地面を触ってみても、硬さといい草の感触といい、違和感がない…
現状に絶望していると耳元で
「魔道具を起動して」
姫ちゃんに小さな声で言われたとおりに魔道具を起動するとゆっくりと覗き込んだ瞬間、口角が上がり笑みが零れ始める
「BINGO!!ここ!濃い!お母さんも見てみて」
歓びの余り、そこそこ大きな声を出して喜ぶ姫ちゃんに誘われる様に魔道具を覗き込むと…確かに魔力が色濃く残っているわね、でも、この場所には、なにも無いわよ?
「…術式に干渉するから魔力、いけそう?」
姫ちゃんが魔力の痕跡が残されている場所に手をつく、何かがあるのは間違いないのね、目を閉じて魔力を捻り出す、魔力の流れを感じる!いけるわね。限界まで姫ちゃんに注いでいくしかないわね!
四つん這い状態の姫ちゃんの首に手を当てる
「ごめんね、お母さんも限界近いのに」
四つん這いの状態でも気遣ってくれるなんてね、優しい一面もあるのよね。
「何とかするから、そちらも何とかしてよね!!」
魔力を放出して姫ちゃんに魔力を注いでいく!!魔力を捻り出し過ぎて肺が苦しい、心臓がバクバクと激しく脈打つじゃないの!!まだいけるでしょ!!
大きく何度も何度も深呼吸をして魔力を練る動作と魔力を放出する感覚を同時に行う。
魔力が姫ちゃんと繋がった瞬間に、手の先からあの眩く輝く様な笑顔が見えそうなセリフが聞こえてくる
「うん!任せて!!」
その言葉を聞いてこちらも自然と笑みが零れる、深く意識を集中して、全力で魔力を練り上げて、全力で魔力を注ぎ続ける!
不思議ね、あの時は魔力が空っぽで取り出すことが出来ないと限界だと感じていたのに、今もそれに近いような感覚に近づいて行っているってわかっているのに…
自然と恐怖を感じない、焦るような感覚も無い、ここで意識が途切れても、きっと、この子なら何とかしてくれると心の底から信じれるから、先を考えずに動けなくなるという事態が発生しても問題ないと、心の底から感じれるわね!…現在地が、あの時と違って、街から近いってのもあるけどね。
でも、あの時の私が命を引き換えに魔力を変換する方法を知っていれば躊躇ずに騎士様に命をあげたわよ…残り僅かな魔力をね…
でも、たぶん、間に合わなかった、敵を攻撃する前に私の命を捧げていれば、もしかしたら、騎士様の命はつながっていたかもしれないわね。
私は何時だって、何か行動をするのが一歩踏み込むのが、足を進めるのが…遅いのね…
次は、そうはさせない!そうはならないように!明日を見据える力を能力をつけていくわよ!同じ轍は二度と踏まないわよ!!!
今にも魔力切れで膝を折って、地面に倒れそうになる、限界まで歯を食いしばって耐える!!
魔力を練りすぎて肝臓辺りが熱くなってきているのが感じ取れるし、肺も熱くなってきてるような気がする!!!肺炎かな?って勘違いするくらい、熱く感じるわね!!
心臓だって鼓動する音が耳まで聞こえてくるくらい、バックンバックン一定のリズムで激しく踊り狂いながら歌ってるわよ!!!
まだなの?…さすがに、もう、きつ…いしきが、と、とぶ・・・・わけにはいかないのよぉ!!んぎっぎぎぎぎぎぎっぎいぎ
歯をガチガチと震わせながらも耐えていると
「おらぁ!解除をぉぉぉ!!!!」
姫ちゃんが叫んだ瞬間、目の前に今まで無かった、触ってもそんな感触も無かった、今まで土だと草だと思っていた場所に突如大きな魔法陣の様なものが出てくる。
嗚呼、よかった…みつか…
ふっと、力が抜けてガクっとその場に膝をついて姫ちゃんと同じように四つん這いになる
ちらりと横で同じように四つん這いになっている汗だくの姫ちゃんと目が合う
「さっすが、お母さん、頼りになる!!」
にこやかに晴れ晴れとした笑顔で褒めてくれるじゃない…頼りになるのは貴女の方よ…
その笑顔を見た瞬間にぱたりとその場に倒れ込む…ごめん、少しだけ、意識を落とさせて…げんかいよ…
話し声が聞こえてくるので、ゆっくりと目を開ける、ぼんやりと映る世界には坊やが周りから責められている?あいつったら何をしたのよったく…世話が焼けるわね。
寝ぼけながらもゆっくりと立ち上がって坊やを取り囲む集団に近づいていく
「大勢で誰かを責め立てるのは褒められたものじゃないわよ?戦士の部を取り仕切る彼の言い分をしっかりと聞きなさい」
集団の輪の中に入っていきながら、常識を問う様に会話に割って入ると
「ぇ?お母さん、そっち側の肩を持つの?正気?」
・・・・これは、やらかしたかもしれないわね、寝ぼけながら本能のままに動いたのが良くないわね、姫ちゃんの一言と嘘だろお前っていう表情で一気に目が覚めたわ…
「ごめん、実は…話を聞いてないのよ、ただ、ぼ…えっと、こいつが周りから責められてるように見えちゃってつい、ね?…自然な流れで状況説明してよ」
姫ちゃんにだけ聞こえるように囁いたあと、コンコンっと坊やの鎧をノックしながら、話の腰を折ってしまって申し訳ないっと、謝ると姫ちゃんが「おさらいしましょう!現場の熱が熱くなるのは良くない、冷静になろう?」周りを宥める様に自然な流れで状況を説明してくれる
どうやら、魔道具を見つけたのはいいのだけれど、対となる魔道具を回収しないと、この魔道具に向かって敵が転送される可能性が高いため危険な道具は破棄するのが正解と周りが姫ちゃんを責め立てる
けれども、姫ちゃんからすると現物を絶対に持って帰りたい!と必死に必要なものだと説明し持って帰る許可を勝ち取ろうと必死に説得している
だけれども、大多数の戦士達が危険な魔道具であれば燃やして使えなくするのが良いと判断し、終いには判断を決定づける為に多数決をとり、燃やす方針で可決されてしまった。
けれども、今後、この街で敵と闘うためには必須と言える魔道具だから絶対に燃やしたくないと姫ちゃんが必死に魔道具を守るように抱きしめた結果
坊やから驚きの提案をされてしまい、そのせいでより一層、もめてしまっている状況みたい、何を言ったのかって?
「この魔道具を使えば飛べるんだろ?対の魔道具の場所へと、なら、俺を飛ばせ、命がけで対となる魔道具を持ち帰る、持ち帰るのが不可能だと判断したら死ぬ前に燃やす、それでどうだ?」
確かに現状、戦士の一団の中でも一番生存確率が高いのは坊やだけれども、裏を返せば、今の街での最大戦力は坊やなのよ?それを失うリスクを考慮しろ!っと、周りが坊やを攻めていて、姫ちゃんもそれをするくらいなら燃やす!っと手のひらを返したところなのね…
坊やも頑固な部分が出てきちゃって絶対に自分が言ったことを遂行するっと息巻いている、その最中に私が話の腰を折っちゃったのね…しかも坊やの肩を持つような言い方で、立場ある人物が坊やの考えに賛同するように、推薦しちゃったように聞こえちゃったのよね?…ぁ、これはやらかしたわね、寝ぼけてたとはいえ、私の幹部としての立場、そんな権力のある人間が言っていい言葉じゃなかったわね。
戦士の部、医療の部、その二つの幹部が作戦を推奨するなんて…多数決なんて跳ね除けるほどの権力になるのよ、この街だと…
「街のルールだ、幹部が二人も、俺が提唱した作戦を実行すると、言っている、文句は受け付けない、いいな?」
この一言で完全に後戻りが出来なくなり、ちらりと視線を姫ちゃんに向けると、頬を膨らませて…がっつりと睨んでくるじゃないの…私だってこんな、人身御供の様な話をしているなんて知らなかったのよぉ…うっかり物の、後先考えないお母さんの失態を睨まないでぇぇぇ…
仕方がないわね、私も腹を括りましょう。
「そうね、なら、私も行くわ、貴方独りに死という名の責任を負わすわけにはいかないじゃない」
幹部として発言の責任は取るわよ、まったく、因果な物ね…口は禍の元っか、その通りだわ
私の提案を聞いた姫ちゃんがすかさず声を挟んでくる
「無理だよ、全員の魔力を繋げても送れるのはたぶん一人だけだから、お母さんを送ったところで死ぬ未来しか無いから、送るなら、その…」
途中で途切れるけれど、何を言いたいのか、伝わったわ、片道切符、お一人様ってことね、行の馬車に乗れるのは一人だけ、帰りの馬車は無く、歩いて帰るしかないのね、そして、一人で歩いて帰れるのはどっち?私?坊や?決まってるわね、坊やの方が可能性は高いわよ。私なんて敵と遭遇した時点で死よ…装備が何もない物…
なら、坊やが帰還できる可能性が高い方法を探りましょう。
「この魔道具は、何処に繋がっているのか、姫ちゃんはわかりそう?」
まずは、何処に転送されるのかってことね、近い場所なら後日、準備をして出発すればいいのよ。
現状、手に入った魔道具は、起動不可の状態に封印してしまえば、危険性は減るはずよね?
戦士の一団が地図を広げてくれるので最低限の灯りでを灯して姫ちゃんに尋ねると
凡その場所を教えてくれるけど…近場じゃないのね、ここから歩くとなると1日は最低限欲しいわね。
街からだと休憩を挟んだりする時間も考慮しないとね、そうなると、夜は安全に過ごす為に息を潜めるから動けないと想定して、1日半、つまり往復三日の旅ね。
姫ちゃんにそのことを提案すると
「封印術式で封印しちゃうと敵側がそれを察知して魔道具を破棄する恐れがあるから、対となる魔道具を手に入れることが出来なくなる、だから、これを解析したとしても、使用できなくなる、それをするなら、手放すつもりで燃やす方がいい」
冷静に状況判断しその後に起こりえる一番、可能性の高い最悪のシナリオを説明してくれるから助かるわね。
なら、私の案は却下として、他に何かいい考えがあるかしら?ちらりと姫ちゃんを見ると様子がおかしいわね。
姫ちゃんが何かを言いたいけれど言えないみたい表情をしている。
何か思いついているけれど言えないってことは、そういう時は、きっと…非道な方針ね…
小声で最善の策を考えたのよね?教えてもらえる?っと、耳元で言うと、辛そうな顔で服をぎゅっと掴みながら苦しそうな声で
「べ、べてらんさんが、飛んだ後に私がさっきまで使っていた認識阻害の術式で敵に発見されにくい状況にして、転送するのが一番だと、思っちゃいました…」
確かに言われてみれば、その手があるじゃない!安全性も私達が経験しているから問題ないと思うし、良い策じゃないの?どうして言い淀んでいるの?
周りもそれなら、問題なさそうだし、こいつなら隠密行動も得意だし、あの術式が共にあるのだったら生存率が跳ね上がるからいけるんじゃねぇか?っと皆の顔が驚きと共に希望があるのだと嬉しそうな顔をしている。
希望の話なら言い淀むのは可笑しい、何か言い淀む内容があるわよね?…そもそも、術式は誰が発動させるのよ?まさか
「貴女も現地に飛ばないといけないってわけじゃないわよね?」
その一言にその場にいる全員があっと、気が付く、坊やが複雑そうな術式を扱えるわけがないと…
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