131 / 394
とある人物達が歩んできた道 ~ 人によって見る角度は違う ~
しおりを挟む
「お母さん起きて、ねぇ、起きて」
ゆさゆさと揺らされる感覚で目が覚める、視界から得られる情報で理解する、珍しく姫ちゃんが起こしてくれたのだと、ベッドから起き上がるように地面に手をつくと…硬い…
どうして、ベッドがこんなに硬いのだろうか?
不思議に感じつつも、寝ぼけながらベッドを見ると、何か文字が書かれている…
なんでだろうと上半身を起こすと腹筋とか背筋とかが少し悲鳴を上げるように痛みが走るので、その痛みをもって記憶が読み起こされ、いったい私の体に何があったのかを思い出す。
そうだった、痛みが強すぎて姫ちゃんに回復するための陣を書いてもらって、その陣に魔力を流して…傷ついた筋肉を回復させていた…のよね?
それで、確か、たしか?記憶をたどっていくと、うん、陣の上でじっとしていたら痛みが引いて寝てしまったのかも、しれないわね。
いや、状況証拠的にも、かもじゃないわね、寝ちゃっていたのよね。
硬い床から起き上がると体の至る所から、あちこちから、バキバキと音が鳴る、そりゃ、体も痛くなるわよね、まぁ、元々痛かったけどね!
上半身を起こして、珍しくモーニングコールをしてくれた姫ちゃんにお礼のハグをして「起こしてくれてありがとう」優しく頭を撫でてから体を離して起き上がる
起き上ってぐぐっと背筋を伸ばす様に、伸びをして、無理をさせた筋肉たちを呼び起こす為に、軽くストレッチをし、視線を時計に向けて、時刻を確認する。
確かに昼を過ぎているわね、お腹は…減ってきているがそれよりも…気になるわね
ストレッチしていると、ほのかに、いいえ、確実にかおってくる…
悲しいかな、体臭っというか汗臭いわね…姫ちゃんも、その状況を理解してるのかお風呂セット片手に私の準備が終わるのを待っている。
きちんと、お風呂後の着替えである、お洋服をしっかりと準備するのはとても、えらいわよ?だけれどね、流石に、今の恰好で外に出ないわよね?
姫ちゃんの恰好を見るが、寝起きというか、寝るときと変わっていない。
そう、ネグリジェのままで、当然、スケスケで下着が見えている、そんな服装で外に出ないわよね?
ストレッチを終えて、私も仕度をしないとね、きっと私が仕度をしている間に着替えるわよね。うん、流石にね?ねぇ?
部屋の奥に引っ込んで、お風呂セットの準備をして、ネグリジェから普段着に着替えて、姫ちゃんも着替えが終わったのかを見ると…着替えておらず。
私の準備が終わったのを確認した後は躊躇う様子もなく、そのままの姿で、姫ちゃんは何も考えずにドアを開けようとするので、ドアを開けきる前に一声かけて制止させ、服を着替えさせると「別にーいいじゃーん、誰もみてないよー」見てなくてもダメ!女性として最低限のエチケットというか、自分を守る為というか、淑女としての嗜みをもちなさい!と叱ると膨れっ面でぶーぶー文句言いながら普段着に着替える。
姫ちゃんの姿で欲情する人がいるかもしれないのだから、こういった純な部分というか、男を意識しないという精神、思考を変えていかないといけないわね。
お風呂から出た後は、食堂に出向くのだけど、おばちゃ、もといお姉さんが食堂におらず、食堂には大きく紙が張り出されている
【昨日の宴で心身ともに疲労困憊です、今日はお休みをいただきます、食事は昨日に仕込んでおいたシチューがありますので、各自、温めて食べてください】
大きく文字が書かれ張り出されている、失礼して厨房の中にはいって見ると、コンロの上に鍋が置かれており、キッチンの中にあるテーブルの上には何個も鍋が並んでいるので、コンロに火をつけシチューを温める。
私が厨房に入っていくのを見て姫ちゃんも中に入ってきたと思ったら自由気ままに行動するわね、保冷庫を開けたり、調理道具を見て回っている。
こういう場所は物珍しいのかな?料理に興味があるのかしら?普段は、おばちゃんがいるから中に入ると怒られそうだから中にはいれないものね。
そんなことをぼんやりと考えながらシチューに熱を加えていく、幸いにも私達が食堂に来る前に誰か来ていたみたいでシチューもほんのりと暖かったので温めなおすのにさほど時間はかからなかった。
二人分のシチューを器に入れて、テーブルまで運んで、厨房の中を探検している冒険家を呼び、少々遅めのお昼ご飯を食べる。
嗚呼、体を使いまくった後の食事って染みるわねぇ…
お互い、お腹が空いていたのか黙々とシチューを食べていく、少々、物足りないけれど、昨日の宴会で食べた量を考えると、うん、食べ過ぎるのはよくないわね!
姫ちゃんはよそった量で満足っというか、ちょっと多かったみたいで少し残していたわね、この子って小食なのかしら?痩せているのは純粋に小食だから?…かもしれないわね。
美味しくシチューを頂いた後は、一旦、部屋に戻ってこの後に控えている仕事の為に仕度をする。
道中で、料理に興味があるの?っと聞いてみると「え?料理?したくないよ?なんで?」っと、私の質問が間違っているのだと言わんばかりに否定されてしまう、なら、なんであんなに隈なく厨房をチェックしていたの?
姫ちゃんは何か少し悩んだ様子でいると、私の質問をした意味を理解したのか
「ああ!そういうこと?違うよー。料理に興味があるんじゃなくてどんな道具を使っていて、改良できそうな部分はあるかな~って見てただけだよ!」
どうして、厨房の中を見て回っていたのかという、私の疑問に気が付いてくれたみたいで答えを返してくれる。
そっか、料理じゃなくて、設備とかそっち方面で興味があったのね、そうねぇ、厨房が便利になれば、おばちゃんも嬉しいと思うし、いいことよね。
部屋に戻った後は午後に待っている作業の為に汚れてもいい服に着替える、最悪、汚れて使い物にならなくなってもいい服に着替えるのだけれど、姫ちゃんはそういう服を持っていないので、私の服を貸してあげたのだけれど、ぶっかぶかで困惑した表情で此方を見つめてくる、申し訳ないけれど、その状態が可愛くもあり、おかしくもあり、笑ってしまった。
そんな私を見た姫ちゃんが頬を膨らませながら、いつか、お母さんみたいに大きくなるもんっとすねていた。
ええ、そうね、貴女もいつか、貴女だけがもつ特別製のゆっくりと進む、時計の針。それが、進んでお母様の様に綺麗な女性になるわよ。なってもらうわよ。
作業場に向かう間、姫ちゃんはいつか予算が出来たら、こういう時の為の服装を皆に支給できるようにするんだから!っと息巻いていた。
急遽、昨日まで予定していたスケジュールを変更して、腐ってしまったら困る解析とかできなくなるので、新鮮?半日以上経過しているので新鮮では無いか?傷も少なく状態がいい敵の解体と、解析を行いましょう!!
現場に到着すると、既に、研究塔の一員が集合していて、各々データを取っている。
ここまで状態のいい二足歩行のサンプルは非常に珍しいので全員が興奮しながら手を見たり、毛を見たり、目や口の中を見たりと、現状で調べれることを徹底的に調べている。
因みに体液も貴重なサンプルとなるので突き刺さった槍はそのままで、放置されている、迂闊に抜いちゃうと出て行っちゃうからね。
姫ちゃんに何から調べようかと伝えると、桶の中に入った透明なようで白く濁った液体を見ている。
これってどこの部分?唾液?っと聞かれたのだけれど、私自身も敵の構造を完璧に把握しているわけじゃないのよね
ちょうど、研究塔の主である奥様が視界に入ったので声を掛けて呼び寄せ、これが何なのか教えてもらうと
「槍から滴ってくる液体を昨晩から貯めておいたもので、今はもう液体が流れてこないから、採取するには逆さづりしないとね~、お察しの通りだよ。私達で言うところの血液よ」
血液、赤くないのよね、確かに、あの時、遠征先で見た敵の体液は白く濁っていた、二足歩行以外も同じような体液だけど、ここまで透明度は高くなかったから唾液と言われれば納得できるけど、血液なのね。もしかして、二足歩行とそれ以外は純度が違うとか、成分の違いが、あるのかもしれないわね。
ぼんやりと姫ちゃんを眺めて考えていたら、唐突に姫ちゃんが何を想ったのか、液体に指をつける、貴女…好奇心の塊なの?躊躇いなく指をつっこんだわね…敵の血液っていう説明、聞いていたよね?
指を液体につけながらじっとしているので、同じようにしゃがみ込み、液体を見た後、ちらりと姫ちゃんを見る…
表情がよめない?真顔?無表情にもほどがないかしら?
満足したのか、すっと、敵の血液と言われている液体から指を離した後、その場で考え込む、先ほどと違って、今は、目には輝きが宿っているし、眉をひそめているので感情があるように見える、先ほどの無表情なのはどういうことなのだろうか?偶々?偶然?後で何を想っていたのか聞いてみるのもいいわね。
それにしても、しっかりと考え込むのね。何か新発見でもあったのだろうか?それとも、気になる何かがあったのかしら?…液体に?
唐突に、私の手を掴んだと思ったら、こちらに何も言わずに、桶の中に指を漬けられる!?ぇ!?何をするのこの子は!?桶から手を抜こうとしてもがっしりと腕を掴まれている、つまり、液体から出すなという意図よね?何かしらの意図があるのだろうけど、一言でいいから確認なり、相談なりしてちょうだいよ…
これって敵の体液よ?普通に考えたら、というか、誰だって、出来ることなら触れたくないものじゃない?
指から伝わってくる感触はただ、ひんやりとしているってだけで、何がしたいのだろうか?血液に比べて粘度は低そうな気がするくらいしかわからないわね。
困惑している私を放置しといて、すぐに姫ちゃんの指も桶にある液体につける…何がしたいの?この子はっと思った瞬間、不思議な感覚がするって言うか、ぇ?声がした?
振り返るが後ろには誰もいない、おかしい、確実に声が聞こえたような気がしたんだけど?それも、聞き覚えのある声、姫ちゃんの声よね?
何処から声が聞こえたのか、ただの空耳だったのか、不思議な感覚が残っている状態で再度、姫ちゃんを見つめると、また、声が聞こえる、でも姫ちゃんの口は動いていない?
だけど、今度は、はっきりと聞こえる?無表情なまま固まっている姫ちゃんから声が聞こえる?どういうこと?
聞こえていたら、頭を撫でて?言われたとおりに、液体に浸かっていない方の手で姫ちゃんの頭を撫でると、私の手と自分の手を液体から離すと
「うっわ、なにこれ、すっごぉ…」
無表情だった姫ちゃんの顔が突如、驚いた表情に変わったと思ったら突如満面の笑みを浮かべ、笑顔が溢れ出ている
何が凄かったのだろうか?っていうか、貴女さっきまで、どうやって言葉を出していたの?唇も動いていないし、喉も動いていなかったわよね?
「ねぇねぇ!お母さん、この液体の特性しってたの!?これ、すっごいすごいよ!こんな液体がこの世にあるなんて知らなかった!!」
どうして、ここまで興奮しているのかわからなかったが、興奮している姫ちゃんの説明をきくと
この液体は魔力の流れが非常によく、魔力を通して自身の意識すら液体を通して伝えることが出来る、とのこと…
意志を伝える?そんなもの、声を出せばいいじゃないの?何が凄いのか私には、今一つ分からなかったが姫ちゃんなら何かしら有効な、有益なものなのだろう。
先ほど、空耳のように聞こえた声、実は、魔力を介して、伝えたいことを同じ液体に触れている私に向けて試験的に飛ばしてみたらしっかりと伝わった、最初は出力?の加減がわからなかったので、小さな声、まるで空耳の様に声だったけれど、私の反応を見て出力を変えてみたら、しっかりと聞こえているのだと判断が出来たっていうけど、これまた、難しそうなのをさらっとやってのけたってことね。
私も同じようにできるのかチャレンジさせてもらう、姫ちゃんの言うとおりにすると思った以上に簡単に出来たのだけれど、そもそも、感覚が狂いそうになるわよ。
だって、姫ちゃんと繋がったと思ったら、姫ちゃんを通して姫ちゃんが見ている世界まで見えた、桶に無表情で指を入れている私が見えたのよ!
驚きの感覚を姫ちゃんに、そのままダイレクトに伝えると煩かったのか眉をひそめて私の手を桶から取り出して、繋がっている感覚が切られる
いきなり切られてしまったので、感覚の切り替えが変な感じになる、自身の視界に戻った瞬間に頭痛と眩暈がする。
「お母さん、声が大きい!頭痛くなった!」「急に、桶から指を出さないでよ!頭痛くなるじゃない!」
同時にお互いの感じたことを文句として言葉に出すと、お互い頭痛がしたのでお相子だねっと笑いあって許しあった。
姫ちゃんに私が感じたことをもう一度、声に出して言うと
「私は視界まで到達できなかった、声を届けるだけで精一杯だったのに、お母さんって過去にこういった意識が抜けるというか飛ばす感覚を知っているのかな?」
そんな経験ないと思うけれど、病巣が経験している可能性があるのかもね…
騒いでいる私達が気になったのか奥様が近くに様子を見に来たので、試してみた結果を伝えると新発見に驚き目を輝かせていた。
体験したいと!言われたので、体験してもらう。
魔力を使うので、姫ちゃんの魔力を消費させるわけにはいかない、そうなると選択肢は一つよね、私と繋がってもらいましょう!さっきは姫ちゃんが声が大きいって言っていたから、感覚的にというかもう、完全に感覚なのよね、先ほどよりも気持ち、魔力を少なめにして声を掛けてみますかね。
先ほどよりお気持ち、魔力を少なくして、声を届ける、うん、しっかりと繋がっているわね、視界も見えているから、声は届いている筈よね?
声が届いたのか、非情に驚いた表情で桶から指を離すものだから、急に繋がったものが切れるような感覚に脳が痛みを感じるのと同時に、過去に似たようなことをやっぱり経験していたみたいで、二度目ともなると脳がこれに近しい感覚が何なのか思い出せてくれる。
思い出したこれ、肉塊君だ!肉塊君と繋がったときと同じような感覚じゃない。あるわ、思いっきり似たような感覚、経験してるわ…
まさか、こんな場所であなたと繋がった経験が生きるなんて思ってもいなかったわ、ありがとう肉塊君、あなたのおかげで私も気が付かないうちに新しい感覚に目覚めていたのね。
頭の痛みが引いたころ合いに奥様が今度は奥様から私に繋がって見たいと言われたので、頷いて先ほどと同じように指を付けてみる。
奥様が姫ちゃんの助言通りに頑張ってみるが、私に言葉が届くことは無かった…
その後は悔しかったのか、研究塔のメンバー全員を呼び集め、奥様が感じた経験を体験してもらう為に一人一人、繋げて声を届けてみると、全員が同じ反応をされると困るので驚いてもいきなり指を抜かないでと伝えているので、脳にダメージを負うことなく体験してもらった。
何度も繋げてみてわかったのだが、これ、深く潜ろうと思えば潜れそうな感覚がある、相手の思考を読めてしまう可能性がありそうで、ちょっと危険な気がするわね。
その後は、誰か一人でも私や姫ちゃんがしたようなことが出来るのか試してもらうが
誰も出来なかった
不思議体験をしたのに、自分達もそれが出来るのだと、してみたいと全員が思っているのに!できなかったのがよっぽど悔しかったのか、何度も何度も、トライしている。
恐らく、これが出来るのは魔力を放出して、放出した後に魔力を操作した経験の有無が関わっているような気がするわね。後は、肉塊君との経験…
そうね、後、考えられるのが、他の人と違う、絶対にしたことが無いと思われるのが、肉塊君と繋がったことかしら?なら、全員が肉塊君と繋がる、つまり、使い魔の精製を体験すれば出来る可能性がある?…しかし、リスクがあるわね。
肉塊君の技術は提供する気にはなれない、あれは、危険な術式だと感じるし、何よりも出どころを詰められてしまったら、言い逃れが出来ない程、前例がない術式ですものね、開示するのであれば、段階を踏んで、何度も失敗を繰り返して到達したみたいな感じで行くべきね。
技能訓練の一環としてね、まぁ、必要であれば、ね?危険思想の持主じゃない限り、これって必要ではないと思うし、開示する必要はないと思うのよね。
その事を姫ちゃんに相談したいので、姫ちゃんの手を取って、自然に離れる為に桶の中にある液体に夢中になっている研究塔のメンバーに、私達は敵のサンプルを観察するわねと声を掛けてから、距離を離し、誰もいないのを確認した後、姫ちゃんに相談する。
肉塊君との経験を伝えると驚いた表情で、そんな経験してるのずるいと!お腹をぺしぺしと叩かれてしまった、あれ?私、言ってなかったっけ?…伝えていない気がするわね。
姫ちゃんが言うにはあの液体には他にも使い道がありそうなので、是非とも保存しておきたいという提案を受けたので、奥様にその事を伝えると「
もちろんだよ!!!今まで気が付かないで捨てちゃってのが悔やまれるぅぅう!!!」悔しそうな顔で地団駄を踏んでいる…この人って年齢のわりに、ほんっと動きが幼い時があるわね。まぁ愛嬌があっていいのだけれど、先輩はどこに惚れたのだろうか?…こういう無邪気なところかしら?男の人の好みって不思議ね十人いれば十人、全員が好みが違うっていうものね…エロスにしか興味がない人は別よ?あれって、女性だったら誰でもいいでしょ?
奥様にも頼まれたので、血抜きの作業をしましょうかね。
近くで待機している力作業担当の戦士に血抜きの手伝いを願い出て、手の空いたスタッフ全員で血抜きの準備をする。
準備が整ったので、血抜きを開始する、やり方はどの獣でも同じで、大きな大きな桶を用意して、血抜きする対象を、滑車などを使って吊るす、状態で言えば逆さ刷りね。
吊った後に、首を落として血を抜くのだけれど、パワータイプの大きな巨体を吊るすのは皆も初めての経験みたいで、非常に困難を極めた。
滑車台一つでは壊れると姫ちゃんから提案を受けて、急遽滑車台を4台用意して、均等に重みが伝わるように姫ちゃんが計算し配置してくれた。
準備が整ったら、研究塔にいる全員で綱引きの要領でひもを引っ張り、なんとか、吊るし上げると、戦士の人に槍を抜いてもらい、首を落としてもらって、血を抜いていく。
逆さ釣りにしてしまえば、後は紐を縛っておけば、時間と共に血が抜け落ちる、血が抜け落ちるまでの間は、解体解析が出来ないので、今日の解析作業は終了となる。
空いた時間で本来予定していた魔石の改良をすることになるのだが、奥様から提案を受ける、二足歩行の殆どが魔石を保有しているのでここまで状態がいいのであれば、魔石の状態もいいので、こいつから魔石を取り出してから一緒に解析解体して、構造を把握してより良い物を作りましょうと提案されたので、魔石の改良は中止となった。
なので、研究塔でする作業は無くなったので、どうしようかと姫ちゃんに話しかけようとしたら財務を担当している人が通り過ぎて行ったので姫ちゃんにあの人がお金の管理をしている人だよっと、伝えると慌てて駆け出して財務の人に声を掛ける。
あら?何か用事があったのかしら?
財務の人も突如、聞きなれない幼い声に驚きながらも立ち止まり、姫ちゃんの姿を見て、納得した表情をしている。
そういえば、ここに幼い女の子がいたんだったよねっという、うんうんっと朗らかな表情で姫ちゃんを見ているけれど…違うわよね?あなたそっちの人じゃないわよね?
遠目で見ながら、会話が終わるまで待とうかと思っていたが、あり得ないと思うけれど、もしも、という不安からゆっくりと二人の会話が聞こえるところまで近づいていく、姫ちゃんが一生懸命に財務の人に説明しているけれど、何を話しているのかな?普通の会話よね?だよね?
近くに来る頃には話し合いは終わったみたいで財務の人が計算して、後日、凡その予算が決まり次第お伝えしますね!っと笑顔で去って行くけれど、何を頼んだの?
「むふー、決まってるじゃない!お風呂改良計画!!」
嗚呼、言っていたわね、それらしいこと…本気だったのね。具体的にどうするのか聞いてみると内容が想像以上で困惑する。
ただ、広くするだけじゃなく、設備も全部姫ちゃんが作った魔道具で構築する?構造も姫ちゃんが設計するっという、とんでもない内容だけれど、貴女、そんなことも出来るの?
「仕組みとか、構造とか、何となく出来そうな気がするから問題ないよ!中の雰囲気は地球の知識を参照し参考にするから問題ないかなー地球のせんとーって場所ですっごい綺麗な絵があるから再現したいんだ!だからね、実はすっごい、やってみたかったの!」
にへへ~っと笑い声が漏れ出るくらい、満面の笑みで言うけれど、自分の研究っというか、興味本位でしたかったことをしたいだけっていう、誰かの為にってわけではなさそうな感じね。この子に膨大な予算を渡してもいいものかと悩んでしまいそうだけれど、皆の為になるのであれば、文句は言わない方がいいわね。
お風呂で思い出したけれど、液体にも触れたし、死骸にも触れていたから、汚いわよね?いくら、腐敗する前段階とはいえ、ね?
姫ちゃんにお風呂行きましょうと手を引っ張っていく。
今日は念入りに爪の間もしっかりと洗わないとね!!変な病原菌を媒介している可能性も考慮しないといけないものね!!
お風呂で念入りに何時もよりも丁寧に洗う、洗ったのだけど、気になることがあるのよね。
お互いお風呂に入ってから気が付いたんだけど、あの液体に触れた皮膚の部分がぴりぴりする?気持ち程度だけど、色も変わってない?…もしかして、あれって皮膚を溶かすタイプの液体かもしれないわね。長時間、肌に触れるのはよくないのかもしれないわね。
お風呂から出て、晩御飯を食べに食堂に行く途中で、思い出す、今日はおばちゃん居ないのだと、まぁ、昼と同じものでも今日ばかりはしょうがないわよねっと、食堂のドアを開けると、食堂は賑わっていたし、普段、嗅ぎなれない香りが食堂に漂っているけれど、これって
「あ!パンの匂い!いいにおい~」
姫ちゃんも同じことを思っているみたいで嬉しそうな表情をしている。
キッチンに向かうと、おばちゃんではない人が調理場で作業をしている、どうやら、実家がパン屋を営んでいるみたいで、簡単なパンくらいであれば、焼けるということでおばちゃんの許可をもらって皆にパンを提供してくれた。
よくよく見ると、医療班の人じゃない。貴女そんな技能を持っていたのね、知らなかったわ。
昼間にシチューを食べているときに感じていたのよ!パンと一緒に食べたいなって!貴女も同じ思いを抱いていたから、実行したのかしら?思惑はどうであれば、嬉しい限りね!焼きたてのパンなんて、この街ではなかなか食べられないもの!
シチューとパンを受け取り、用意してくれた方に感謝の気持ちを伝え、二人で美味しい焼きたてのパンとシチューをお腹いっぱいに満たして、帰る時も美味しかったと厨房で頑張っているスタッフに伝えると照れくさそうにしていた。
後日談だけど、余りにもパンが好評だったため、材料が手に入って尚且つ、パンを焼ける人の手が空いてるときにパンを焼いてくれることがあり、食堂で新しい楽しみが増えた。
それから、料理の心得がある人達がおばちゃんの許可が下りた人だけ、厨房に立つ許可をもらい、趣味の一環や花嫁修業の一環として、料理教室や、料理の研究などを行う団体が生まれた、名前は、確か、舌を躍らせ隊だったかしら?趣味を共有する一団がこの街に結成された。
それからは、舌を躍らせ隊の人達が気まぐれで一品作ってくれた料理が提供されることが増えた為、街の人達の体重が少し増加したとか、しなかったとか?
ゆさゆさと揺らされる感覚で目が覚める、視界から得られる情報で理解する、珍しく姫ちゃんが起こしてくれたのだと、ベッドから起き上がるように地面に手をつくと…硬い…
どうして、ベッドがこんなに硬いのだろうか?
不思議に感じつつも、寝ぼけながらベッドを見ると、何か文字が書かれている…
なんでだろうと上半身を起こすと腹筋とか背筋とかが少し悲鳴を上げるように痛みが走るので、その痛みをもって記憶が読み起こされ、いったい私の体に何があったのかを思い出す。
そうだった、痛みが強すぎて姫ちゃんに回復するための陣を書いてもらって、その陣に魔力を流して…傷ついた筋肉を回復させていた…のよね?
それで、確か、たしか?記憶をたどっていくと、うん、陣の上でじっとしていたら痛みが引いて寝てしまったのかも、しれないわね。
いや、状況証拠的にも、かもじゃないわね、寝ちゃっていたのよね。
硬い床から起き上がると体の至る所から、あちこちから、バキバキと音が鳴る、そりゃ、体も痛くなるわよね、まぁ、元々痛かったけどね!
上半身を起こして、珍しくモーニングコールをしてくれた姫ちゃんにお礼のハグをして「起こしてくれてありがとう」優しく頭を撫でてから体を離して起き上がる
起き上ってぐぐっと背筋を伸ばす様に、伸びをして、無理をさせた筋肉たちを呼び起こす為に、軽くストレッチをし、視線を時計に向けて、時刻を確認する。
確かに昼を過ぎているわね、お腹は…減ってきているがそれよりも…気になるわね
ストレッチしていると、ほのかに、いいえ、確実にかおってくる…
悲しいかな、体臭っというか汗臭いわね…姫ちゃんも、その状況を理解してるのかお風呂セット片手に私の準備が終わるのを待っている。
きちんと、お風呂後の着替えである、お洋服をしっかりと準備するのはとても、えらいわよ?だけれどね、流石に、今の恰好で外に出ないわよね?
姫ちゃんの恰好を見るが、寝起きというか、寝るときと変わっていない。
そう、ネグリジェのままで、当然、スケスケで下着が見えている、そんな服装で外に出ないわよね?
ストレッチを終えて、私も仕度をしないとね、きっと私が仕度をしている間に着替えるわよね。うん、流石にね?ねぇ?
部屋の奥に引っ込んで、お風呂セットの準備をして、ネグリジェから普段着に着替えて、姫ちゃんも着替えが終わったのかを見ると…着替えておらず。
私の準備が終わったのを確認した後は躊躇う様子もなく、そのままの姿で、姫ちゃんは何も考えずにドアを開けようとするので、ドアを開けきる前に一声かけて制止させ、服を着替えさせると「別にーいいじゃーん、誰もみてないよー」見てなくてもダメ!女性として最低限のエチケットというか、自分を守る為というか、淑女としての嗜みをもちなさい!と叱ると膨れっ面でぶーぶー文句言いながら普段着に着替える。
姫ちゃんの姿で欲情する人がいるかもしれないのだから、こういった純な部分というか、男を意識しないという精神、思考を変えていかないといけないわね。
お風呂から出た後は、食堂に出向くのだけど、おばちゃ、もといお姉さんが食堂におらず、食堂には大きく紙が張り出されている
【昨日の宴で心身ともに疲労困憊です、今日はお休みをいただきます、食事は昨日に仕込んでおいたシチューがありますので、各自、温めて食べてください】
大きく文字が書かれ張り出されている、失礼して厨房の中にはいって見ると、コンロの上に鍋が置かれており、キッチンの中にあるテーブルの上には何個も鍋が並んでいるので、コンロに火をつけシチューを温める。
私が厨房に入っていくのを見て姫ちゃんも中に入ってきたと思ったら自由気ままに行動するわね、保冷庫を開けたり、調理道具を見て回っている。
こういう場所は物珍しいのかな?料理に興味があるのかしら?普段は、おばちゃんがいるから中に入ると怒られそうだから中にはいれないものね。
そんなことをぼんやりと考えながらシチューに熱を加えていく、幸いにも私達が食堂に来る前に誰か来ていたみたいでシチューもほんのりと暖かったので温めなおすのにさほど時間はかからなかった。
二人分のシチューを器に入れて、テーブルまで運んで、厨房の中を探検している冒険家を呼び、少々遅めのお昼ご飯を食べる。
嗚呼、体を使いまくった後の食事って染みるわねぇ…
お互い、お腹が空いていたのか黙々とシチューを食べていく、少々、物足りないけれど、昨日の宴会で食べた量を考えると、うん、食べ過ぎるのはよくないわね!
姫ちゃんはよそった量で満足っというか、ちょっと多かったみたいで少し残していたわね、この子って小食なのかしら?痩せているのは純粋に小食だから?…かもしれないわね。
美味しくシチューを頂いた後は、一旦、部屋に戻ってこの後に控えている仕事の為に仕度をする。
道中で、料理に興味があるの?っと聞いてみると「え?料理?したくないよ?なんで?」っと、私の質問が間違っているのだと言わんばかりに否定されてしまう、なら、なんであんなに隈なく厨房をチェックしていたの?
姫ちゃんは何か少し悩んだ様子でいると、私の質問をした意味を理解したのか
「ああ!そういうこと?違うよー。料理に興味があるんじゃなくてどんな道具を使っていて、改良できそうな部分はあるかな~って見てただけだよ!」
どうして、厨房の中を見て回っていたのかという、私の疑問に気が付いてくれたみたいで答えを返してくれる。
そっか、料理じゃなくて、設備とかそっち方面で興味があったのね、そうねぇ、厨房が便利になれば、おばちゃんも嬉しいと思うし、いいことよね。
部屋に戻った後は午後に待っている作業の為に汚れてもいい服に着替える、最悪、汚れて使い物にならなくなってもいい服に着替えるのだけれど、姫ちゃんはそういう服を持っていないので、私の服を貸してあげたのだけれど、ぶっかぶかで困惑した表情で此方を見つめてくる、申し訳ないけれど、その状態が可愛くもあり、おかしくもあり、笑ってしまった。
そんな私を見た姫ちゃんが頬を膨らませながら、いつか、お母さんみたいに大きくなるもんっとすねていた。
ええ、そうね、貴女もいつか、貴女だけがもつ特別製のゆっくりと進む、時計の針。それが、進んでお母様の様に綺麗な女性になるわよ。なってもらうわよ。
作業場に向かう間、姫ちゃんはいつか予算が出来たら、こういう時の為の服装を皆に支給できるようにするんだから!っと息巻いていた。
急遽、昨日まで予定していたスケジュールを変更して、腐ってしまったら困る解析とかできなくなるので、新鮮?半日以上経過しているので新鮮では無いか?傷も少なく状態がいい敵の解体と、解析を行いましょう!!
現場に到着すると、既に、研究塔の一員が集合していて、各々データを取っている。
ここまで状態のいい二足歩行のサンプルは非常に珍しいので全員が興奮しながら手を見たり、毛を見たり、目や口の中を見たりと、現状で調べれることを徹底的に調べている。
因みに体液も貴重なサンプルとなるので突き刺さった槍はそのままで、放置されている、迂闊に抜いちゃうと出て行っちゃうからね。
姫ちゃんに何から調べようかと伝えると、桶の中に入った透明なようで白く濁った液体を見ている。
これってどこの部分?唾液?っと聞かれたのだけれど、私自身も敵の構造を完璧に把握しているわけじゃないのよね
ちょうど、研究塔の主である奥様が視界に入ったので声を掛けて呼び寄せ、これが何なのか教えてもらうと
「槍から滴ってくる液体を昨晩から貯めておいたもので、今はもう液体が流れてこないから、採取するには逆さづりしないとね~、お察しの通りだよ。私達で言うところの血液よ」
血液、赤くないのよね、確かに、あの時、遠征先で見た敵の体液は白く濁っていた、二足歩行以外も同じような体液だけど、ここまで透明度は高くなかったから唾液と言われれば納得できるけど、血液なのね。もしかして、二足歩行とそれ以外は純度が違うとか、成分の違いが、あるのかもしれないわね。
ぼんやりと姫ちゃんを眺めて考えていたら、唐突に姫ちゃんが何を想ったのか、液体に指をつける、貴女…好奇心の塊なの?躊躇いなく指をつっこんだわね…敵の血液っていう説明、聞いていたよね?
指を液体につけながらじっとしているので、同じようにしゃがみ込み、液体を見た後、ちらりと姫ちゃんを見る…
表情がよめない?真顔?無表情にもほどがないかしら?
満足したのか、すっと、敵の血液と言われている液体から指を離した後、その場で考え込む、先ほどと違って、今は、目には輝きが宿っているし、眉をひそめているので感情があるように見える、先ほどの無表情なのはどういうことなのだろうか?偶々?偶然?後で何を想っていたのか聞いてみるのもいいわね。
それにしても、しっかりと考え込むのね。何か新発見でもあったのだろうか?それとも、気になる何かがあったのかしら?…液体に?
唐突に、私の手を掴んだと思ったら、こちらに何も言わずに、桶の中に指を漬けられる!?ぇ!?何をするのこの子は!?桶から手を抜こうとしてもがっしりと腕を掴まれている、つまり、液体から出すなという意図よね?何かしらの意図があるのだろうけど、一言でいいから確認なり、相談なりしてちょうだいよ…
これって敵の体液よ?普通に考えたら、というか、誰だって、出来ることなら触れたくないものじゃない?
指から伝わってくる感触はただ、ひんやりとしているってだけで、何がしたいのだろうか?血液に比べて粘度は低そうな気がするくらいしかわからないわね。
困惑している私を放置しといて、すぐに姫ちゃんの指も桶にある液体につける…何がしたいの?この子はっと思った瞬間、不思議な感覚がするって言うか、ぇ?声がした?
振り返るが後ろには誰もいない、おかしい、確実に声が聞こえたような気がしたんだけど?それも、聞き覚えのある声、姫ちゃんの声よね?
何処から声が聞こえたのか、ただの空耳だったのか、不思議な感覚が残っている状態で再度、姫ちゃんを見つめると、また、声が聞こえる、でも姫ちゃんの口は動いていない?
だけど、今度は、はっきりと聞こえる?無表情なまま固まっている姫ちゃんから声が聞こえる?どういうこと?
聞こえていたら、頭を撫でて?言われたとおりに、液体に浸かっていない方の手で姫ちゃんの頭を撫でると、私の手と自分の手を液体から離すと
「うっわ、なにこれ、すっごぉ…」
無表情だった姫ちゃんの顔が突如、驚いた表情に変わったと思ったら突如満面の笑みを浮かべ、笑顔が溢れ出ている
何が凄かったのだろうか?っていうか、貴女さっきまで、どうやって言葉を出していたの?唇も動いていないし、喉も動いていなかったわよね?
「ねぇねぇ!お母さん、この液体の特性しってたの!?これ、すっごいすごいよ!こんな液体がこの世にあるなんて知らなかった!!」
どうして、ここまで興奮しているのかわからなかったが、興奮している姫ちゃんの説明をきくと
この液体は魔力の流れが非常によく、魔力を通して自身の意識すら液体を通して伝えることが出来る、とのこと…
意志を伝える?そんなもの、声を出せばいいじゃないの?何が凄いのか私には、今一つ分からなかったが姫ちゃんなら何かしら有効な、有益なものなのだろう。
先ほど、空耳のように聞こえた声、実は、魔力を介して、伝えたいことを同じ液体に触れている私に向けて試験的に飛ばしてみたらしっかりと伝わった、最初は出力?の加減がわからなかったので、小さな声、まるで空耳の様に声だったけれど、私の反応を見て出力を変えてみたら、しっかりと聞こえているのだと判断が出来たっていうけど、これまた、難しそうなのをさらっとやってのけたってことね。
私も同じようにできるのかチャレンジさせてもらう、姫ちゃんの言うとおりにすると思った以上に簡単に出来たのだけれど、そもそも、感覚が狂いそうになるわよ。
だって、姫ちゃんと繋がったと思ったら、姫ちゃんを通して姫ちゃんが見ている世界まで見えた、桶に無表情で指を入れている私が見えたのよ!
驚きの感覚を姫ちゃんに、そのままダイレクトに伝えると煩かったのか眉をひそめて私の手を桶から取り出して、繋がっている感覚が切られる
いきなり切られてしまったので、感覚の切り替えが変な感じになる、自身の視界に戻った瞬間に頭痛と眩暈がする。
「お母さん、声が大きい!頭痛くなった!」「急に、桶から指を出さないでよ!頭痛くなるじゃない!」
同時にお互いの感じたことを文句として言葉に出すと、お互い頭痛がしたのでお相子だねっと笑いあって許しあった。
姫ちゃんに私が感じたことをもう一度、声に出して言うと
「私は視界まで到達できなかった、声を届けるだけで精一杯だったのに、お母さんって過去にこういった意識が抜けるというか飛ばす感覚を知っているのかな?」
そんな経験ないと思うけれど、病巣が経験している可能性があるのかもね…
騒いでいる私達が気になったのか奥様が近くに様子を見に来たので、試してみた結果を伝えると新発見に驚き目を輝かせていた。
体験したいと!言われたので、体験してもらう。
魔力を使うので、姫ちゃんの魔力を消費させるわけにはいかない、そうなると選択肢は一つよね、私と繋がってもらいましょう!さっきは姫ちゃんが声が大きいって言っていたから、感覚的にというかもう、完全に感覚なのよね、先ほどよりも気持ち、魔力を少なめにして声を掛けてみますかね。
先ほどよりお気持ち、魔力を少なくして、声を届ける、うん、しっかりと繋がっているわね、視界も見えているから、声は届いている筈よね?
声が届いたのか、非情に驚いた表情で桶から指を離すものだから、急に繋がったものが切れるような感覚に脳が痛みを感じるのと同時に、過去に似たようなことをやっぱり経験していたみたいで、二度目ともなると脳がこれに近しい感覚が何なのか思い出せてくれる。
思い出したこれ、肉塊君だ!肉塊君と繋がったときと同じような感覚じゃない。あるわ、思いっきり似たような感覚、経験してるわ…
まさか、こんな場所であなたと繋がった経験が生きるなんて思ってもいなかったわ、ありがとう肉塊君、あなたのおかげで私も気が付かないうちに新しい感覚に目覚めていたのね。
頭の痛みが引いたころ合いに奥様が今度は奥様から私に繋がって見たいと言われたので、頷いて先ほどと同じように指を付けてみる。
奥様が姫ちゃんの助言通りに頑張ってみるが、私に言葉が届くことは無かった…
その後は悔しかったのか、研究塔のメンバー全員を呼び集め、奥様が感じた経験を体験してもらう為に一人一人、繋げて声を届けてみると、全員が同じ反応をされると困るので驚いてもいきなり指を抜かないでと伝えているので、脳にダメージを負うことなく体験してもらった。
何度も繋げてみてわかったのだが、これ、深く潜ろうと思えば潜れそうな感覚がある、相手の思考を読めてしまう可能性がありそうで、ちょっと危険な気がするわね。
その後は、誰か一人でも私や姫ちゃんがしたようなことが出来るのか試してもらうが
誰も出来なかった
不思議体験をしたのに、自分達もそれが出来るのだと、してみたいと全員が思っているのに!できなかったのがよっぽど悔しかったのか、何度も何度も、トライしている。
恐らく、これが出来るのは魔力を放出して、放出した後に魔力を操作した経験の有無が関わっているような気がするわね。後は、肉塊君との経験…
そうね、後、考えられるのが、他の人と違う、絶対にしたことが無いと思われるのが、肉塊君と繋がったことかしら?なら、全員が肉塊君と繋がる、つまり、使い魔の精製を体験すれば出来る可能性がある?…しかし、リスクがあるわね。
肉塊君の技術は提供する気にはなれない、あれは、危険な術式だと感じるし、何よりも出どころを詰められてしまったら、言い逃れが出来ない程、前例がない術式ですものね、開示するのであれば、段階を踏んで、何度も失敗を繰り返して到達したみたいな感じで行くべきね。
技能訓練の一環としてね、まぁ、必要であれば、ね?危険思想の持主じゃない限り、これって必要ではないと思うし、開示する必要はないと思うのよね。
その事を姫ちゃんに相談したいので、姫ちゃんの手を取って、自然に離れる為に桶の中にある液体に夢中になっている研究塔のメンバーに、私達は敵のサンプルを観察するわねと声を掛けてから、距離を離し、誰もいないのを確認した後、姫ちゃんに相談する。
肉塊君との経験を伝えると驚いた表情で、そんな経験してるのずるいと!お腹をぺしぺしと叩かれてしまった、あれ?私、言ってなかったっけ?…伝えていない気がするわね。
姫ちゃんが言うにはあの液体には他にも使い道がありそうなので、是非とも保存しておきたいという提案を受けたので、奥様にその事を伝えると「
もちろんだよ!!!今まで気が付かないで捨てちゃってのが悔やまれるぅぅう!!!」悔しそうな顔で地団駄を踏んでいる…この人って年齢のわりに、ほんっと動きが幼い時があるわね。まぁ愛嬌があっていいのだけれど、先輩はどこに惚れたのだろうか?…こういう無邪気なところかしら?男の人の好みって不思議ね十人いれば十人、全員が好みが違うっていうものね…エロスにしか興味がない人は別よ?あれって、女性だったら誰でもいいでしょ?
奥様にも頼まれたので、血抜きの作業をしましょうかね。
近くで待機している力作業担当の戦士に血抜きの手伝いを願い出て、手の空いたスタッフ全員で血抜きの準備をする。
準備が整ったので、血抜きを開始する、やり方はどの獣でも同じで、大きな大きな桶を用意して、血抜きする対象を、滑車などを使って吊るす、状態で言えば逆さ刷りね。
吊った後に、首を落として血を抜くのだけれど、パワータイプの大きな巨体を吊るすのは皆も初めての経験みたいで、非常に困難を極めた。
滑車台一つでは壊れると姫ちゃんから提案を受けて、急遽滑車台を4台用意して、均等に重みが伝わるように姫ちゃんが計算し配置してくれた。
準備が整ったら、研究塔にいる全員で綱引きの要領でひもを引っ張り、なんとか、吊るし上げると、戦士の人に槍を抜いてもらい、首を落としてもらって、血を抜いていく。
逆さ釣りにしてしまえば、後は紐を縛っておけば、時間と共に血が抜け落ちる、血が抜け落ちるまでの間は、解体解析が出来ないので、今日の解析作業は終了となる。
空いた時間で本来予定していた魔石の改良をすることになるのだが、奥様から提案を受ける、二足歩行の殆どが魔石を保有しているのでここまで状態がいいのであれば、魔石の状態もいいので、こいつから魔石を取り出してから一緒に解析解体して、構造を把握してより良い物を作りましょうと提案されたので、魔石の改良は中止となった。
なので、研究塔でする作業は無くなったので、どうしようかと姫ちゃんに話しかけようとしたら財務を担当している人が通り過ぎて行ったので姫ちゃんにあの人がお金の管理をしている人だよっと、伝えると慌てて駆け出して財務の人に声を掛ける。
あら?何か用事があったのかしら?
財務の人も突如、聞きなれない幼い声に驚きながらも立ち止まり、姫ちゃんの姿を見て、納得した表情をしている。
そういえば、ここに幼い女の子がいたんだったよねっという、うんうんっと朗らかな表情で姫ちゃんを見ているけれど…違うわよね?あなたそっちの人じゃないわよね?
遠目で見ながら、会話が終わるまで待とうかと思っていたが、あり得ないと思うけれど、もしも、という不安からゆっくりと二人の会話が聞こえるところまで近づいていく、姫ちゃんが一生懸命に財務の人に説明しているけれど、何を話しているのかな?普通の会話よね?だよね?
近くに来る頃には話し合いは終わったみたいで財務の人が計算して、後日、凡その予算が決まり次第お伝えしますね!っと笑顔で去って行くけれど、何を頼んだの?
「むふー、決まってるじゃない!お風呂改良計画!!」
嗚呼、言っていたわね、それらしいこと…本気だったのね。具体的にどうするのか聞いてみると内容が想像以上で困惑する。
ただ、広くするだけじゃなく、設備も全部姫ちゃんが作った魔道具で構築する?構造も姫ちゃんが設計するっという、とんでもない内容だけれど、貴女、そんなことも出来るの?
「仕組みとか、構造とか、何となく出来そうな気がするから問題ないよ!中の雰囲気は地球の知識を参照し参考にするから問題ないかなー地球のせんとーって場所ですっごい綺麗な絵があるから再現したいんだ!だからね、実はすっごい、やってみたかったの!」
にへへ~っと笑い声が漏れ出るくらい、満面の笑みで言うけれど、自分の研究っというか、興味本位でしたかったことをしたいだけっていう、誰かの為にってわけではなさそうな感じね。この子に膨大な予算を渡してもいいものかと悩んでしまいそうだけれど、皆の為になるのであれば、文句は言わない方がいいわね。
お風呂で思い出したけれど、液体にも触れたし、死骸にも触れていたから、汚いわよね?いくら、腐敗する前段階とはいえ、ね?
姫ちゃんにお風呂行きましょうと手を引っ張っていく。
今日は念入りに爪の間もしっかりと洗わないとね!!変な病原菌を媒介している可能性も考慮しないといけないものね!!
お風呂で念入りに何時もよりも丁寧に洗う、洗ったのだけど、気になることがあるのよね。
お互いお風呂に入ってから気が付いたんだけど、あの液体に触れた皮膚の部分がぴりぴりする?気持ち程度だけど、色も変わってない?…もしかして、あれって皮膚を溶かすタイプの液体かもしれないわね。長時間、肌に触れるのはよくないのかもしれないわね。
お風呂から出て、晩御飯を食べに食堂に行く途中で、思い出す、今日はおばちゃん居ないのだと、まぁ、昼と同じものでも今日ばかりはしょうがないわよねっと、食堂のドアを開けると、食堂は賑わっていたし、普段、嗅ぎなれない香りが食堂に漂っているけれど、これって
「あ!パンの匂い!いいにおい~」
姫ちゃんも同じことを思っているみたいで嬉しそうな表情をしている。
キッチンに向かうと、おばちゃんではない人が調理場で作業をしている、どうやら、実家がパン屋を営んでいるみたいで、簡単なパンくらいであれば、焼けるということでおばちゃんの許可をもらって皆にパンを提供してくれた。
よくよく見ると、医療班の人じゃない。貴女そんな技能を持っていたのね、知らなかったわ。
昼間にシチューを食べているときに感じていたのよ!パンと一緒に食べたいなって!貴女も同じ思いを抱いていたから、実行したのかしら?思惑はどうであれば、嬉しい限りね!焼きたてのパンなんて、この街ではなかなか食べられないもの!
シチューとパンを受け取り、用意してくれた方に感謝の気持ちを伝え、二人で美味しい焼きたてのパンとシチューをお腹いっぱいに満たして、帰る時も美味しかったと厨房で頑張っているスタッフに伝えると照れくさそうにしていた。
後日談だけど、余りにもパンが好評だったため、材料が手に入って尚且つ、パンを焼ける人の手が空いてるときにパンを焼いてくれることがあり、食堂で新しい楽しみが増えた。
それから、料理の心得がある人達がおばちゃんの許可が下りた人だけ、厨房に立つ許可をもらい、趣味の一環や花嫁修業の一環として、料理教室や、料理の研究などを行う団体が生まれた、名前は、確か、舌を躍らせ隊だったかしら?趣味を共有する一団がこの街に結成された。
それからは、舌を躍らせ隊の人達が気まぐれで一品作ってくれた料理が提供されることが増えた為、街の人達の体重が少し増加したとか、しなかったとか?
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
魔術師リュカと孤独の器 〜優しい亡霊を連れた少女〜
平田加津実
ファンタジー
各地を流れ歩く旅芸人のリュカは、訪れた小さな町で、亜麻色の髪をした自分好みの少女アレットを見かける。彼女は中世の貴族のような身なりの若い男と、やせ細った幼女、黒猫の三体の亡霊を連れていた。慌てて彼らを除霊しようとしたリュカは、亡霊たちを「友達だ」と言い張るアレットに面食らう。リュカは、黒猫の亡霊に彼女を助けてほしいと頼まれ、なりゆきで一人暮らしの彼女の家に泊まることに。彼女らの状況をなんとかしようとするリュカは、世間知らずで天然な彼女と、個性的な亡霊たちにふりまわされて……。
「魔術師ロラと秘された記憶」の主人公たちの血を引く青年のお話ですが、前作をお読みでない方でもお楽しみいただけます。
【完結】暁の荒野
Lesewolf
ファンタジー
少女は、実姉のように慕うレイスに戦闘を習い、普通ではない集団で普通ではない生活を送っていた。
いつしか周囲は朱から白銀染まった。
西暦1950年、大戦後の混乱が続く世界。
スイスの旧都市シュタイン・アム・ラインで、フローリストの見習いとして忙しい日々を送っている赤毛の女性マリア。
謎が多くも頼りになる女性、ティニアに感謝しつつ、懸命に生きようとする人々と関わっていく。その様を穏やかだと感じれば感じるほど、かつての少女マリアは普通ではない自問自答を始めてしまうのだ。
Nolaノベル様、アルファポリス様にて投稿しております。執筆はNola(エディタツール)です。
Nolaノベル様、カクヨム様、アルファポリス様の順番で投稿しております。
キャラクターイラスト:はちれお様
=====
別で投稿している「暁の草原」と連動しています。
どちらから読んでいただいても、どちらかだけ読んでいただいても、問題ないように書く予定でおります。読むかどうかはお任せですので、おいて行かれているキャラクターの気持ちを知りたい方はどちらかだけ読んでもらえたらいいかなと思います。
面倒な方は「暁の荒野」からどうぞ!
※「暁の草原」、「暁の荒野」共に残酷描写がございます。ご注意ください。
=====
この物語はフィクションであり、実在の人物、国、団体等とは関係ありません。
【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~
BIRD
ファンタジー
【転生者モチ編あらすじ】
異世界を再現したテーマパーク・プルミエタウンで働いていた兼業漫画家の俺。
原稿を仕上げた後、床で寝落ちた相方をベッドに引きずり上げて一緒に眠っていたら、本物の異世界に転移してしまった。
初めての異世界転移で容姿が変わり、日本での名前と姿は記憶から消えている。
転移先は前世で暮らした世界で、俺と相方の前世は双子だった。
前世の記憶は無いのに、時折感じる不安と哀しみ。
相方は眠っているだけなのに、何故か毎晩生存確認してしまう。
その原因は、相方の前世にあるような?
「ニンゲン」によって一度滅びた世界。
二足歩行の猫たちが文明を築いている時代。
それを見守る千年の寿命をもつ「世界樹の民」。
双子の勇者の転生者たちの物語です。
現世は親友、前世は双子の兄弟、2人の関係の変化と、異世界生活を書きました。
画像は作者が遊んでいるネトゲで作成したキャラや、石垣島の風景を使ったりしています。
AI生成した画像も合成に使うことがあります。
編集ソフトは全てフォトショップ使用です。
得られるスコア収益は「島猫たちのエピソード」と同じく、保護猫たちのために使わせて頂きます。
2024.4.19 モチ編スタート
5.14 モチ編完結。
5.15 イオ編スタート。
5.31 イオ編完結。
8.1 ファンタジー大賞エントリーに伴い、加筆開始
8.21 前世編開始
9.14 前世編完結
9.15 イオ視点のエピソード開始
9.20 イオ視点のエピソード完結
9.21 翔が書いた物語開始
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる