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とある人物達が歩んできた道 ~ ナイトメア ~
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そして、来る日が来た、私の体調も万全!!大量管理は万全も万全!医療班の団長として完璧に仕上げているわよ!血圧もよし!体温も良し!免疫力も高めているわ!!
過去最高潮に調子がいい!今の私は無敵よ!ってくらいに、体の底から魔力が溢れる!そんな感じがするような、漲るような…いいえ、違うわね、水を限界一杯迄、詰め込んだ革袋の方が表現としては近しいかも…
限界の限界まで魔力を練り込み、畳み、圧縮し、臓器に保存してある、限界まで詰め込んだせいもあって、気を抜くと肉体が弾け飛びそうな気がするし、魔力が溢れ出るような感じすらする!!
肉塊君のおかげで封印術式そのものは、凡そ完成している。
改良点としては、ある一点だけ、魔力を通すような抜け道の様な構造をしており、イメージとして、姫ちゃんがその術式の蓋を開けるようにすると、その蓋から魔力が出ていき、手に伝わり、術式を発動できるのだが、その蓋が非常に硬く、不意に、無意識に開かないように、開けにくくしており、尚且つ、取り出せる魔力も非常にか細く少なくしてある。
これによって、魔力が漏れ出ないようにした蓋が壊れないようにしてあり、尚且つ、必要以上の魔力が零れて霧散しないようにするためのセーフティ弁、静脈にある血液が逆流しないようになっている弁と同じ構造という形で、構築が終わってある。
他にも改良した箇所はというと、
術式を埋め込んだ後は、自身の魔力を使って術式を維持する構造にしていたのだが、私からのお願いで、姫ちゃんの魔力を消費するわけにはいかないので、私の血液、または、私から直接、魔力を注入する形で維持する構造へと変えてもらった。
だって、不安なのよ、あんなにも無駄に魔力を日常的に放出してきた、普通では考えられない体質の姫ちゃんが過ごしてきた日々を。寵愛の巫女、その一族の平均年齢を考えると、どうしても不安になってしまうのよ、後、本当に後、どれくらいの魔力を体内で生成できるのか、誰もわからないじゃない?
血液だって、臓器だって、再生する能力に限界がある、生産する能力に限界がある、それと同義で人が一生の間に生み出せる魔力にも限界があるはずと、医学的に考えるのなら、そこの部分も考えるべきなのよ。
あと、時の概念?細胞を変化させないっていう構造にも少し手を加えて、時の流れを緩やかにするようにしてもらった、本来であれば、魔力を精製する器官には作用されないように考慮されている術式も、臓器にもある程度作用されるように改良してもらった。そんなことが可能なのか念入りにチェックし、その術式だけを抽出し、実験も済ませてある。
魔力が続く限り、成長を遅くさせることができる、つまり、今の状態を長くキープすることができて尚且つ、人として成長することが出来る。
流石に、12歳のままでずっと居るのはね?周りが不自然だと感じてしまうでしょ?なので、成長を遅らせる、それもかなり極端にって感じでお願いした。
試しに、カエルの子供を捕まえてきて、術式を施した水槽の中に放り込んで魔石から魔力を供給して、水槽の中の時間の流れを緩やかにしてみた結果。
恐らく、同時期に生まれたであろう、カエルの兄弟に比べて、術式を施した水槽のカエルは、成長が遅かった。
ほかの兄弟が成体へと至ってから4週間も成体へと至るのに遅く、時間が掛かる形となった。
肉塊君を作ってから同時進行で色んな実験をして正解だったわね…この年でカエルの子供がいる池の中を、幼い子供がはしゃぐように、追いかけるとは、なんとも野性味あふれるような行為をするとは思わなかったけどね、カエルの子供ってなかなか、見つけにくいのね…
あ、勿論カエルは大きくなったら逃がしたわよ?食用になるとは、先輩から教えてもらったことがあるけれど…ちょっと、いえ、かなり抵抗があるから、食べる気にはなれないわ…
捕まえた時も逃がすときもがっつり、研究塔の人に見られてしまったから、言い訳を考えないといけないなぁって思っていたら
「カエルを実験道具にするのって基本ですものね、何を研究してたんですか?」…どうやら、ごく普通の有り触れた発想みたいでよかったわ…
姫ちゃんにカエルの成体変化について、教えていたのよっと伝えると
「ああ~、懐かしいですね!私も学童の時に勉強で教えてもらいました!!そうか、そうですよねー、姫ちゃんってまだまだ、学校に通う年齢ですよね~…教師役も兼任してるなんて大変ですね~」
何処か遠い目をしながら、大昔の事を思い出すのと同時に労っていただけたけれど…私の時はカエルの変化なんて習っていないから、私とあなたの年齢差を考えると、っふ。授業内容も変わるってことね…若いって良いわね…カエルなんて、解剖の練習とか、内臓の動きを観察する時くらいしか、触ったことないわよ…
思考が、それたわね、本筋に戻すとして、姫ちゃんの要望としては、魔力を使えれるようにする、ここの問題はクリアできている筈。
私からの要望としては、姫ちゃんの魔力を使わないで私の魔力を使って維持する、この問題もクリアできている筈。
時間の概念っていう部分も改良を加えてもらっているので問題はない筈
そう、ここまでなら、何も問題がない、筈なんだけど、姫ちゃんが困ったような顔で
「解析できない、私も知らない術式が組み込まれていて、これをいじると連鎖的に他も崩壊するから、いじれない箇所がある」
そう、術式に愛されし神童がわからない術式…きっと、未来姫ちゃんしか知りえない、未来姫ちゃんでないと辿りつけない領域の術式ってことね…
これってなに?って、私に質問を返されてしまっても、どうやって返せばいいのかわからない、だって、私が用意した術式じゃないもの、姫ちゃんからしたら封印術式は出どころが不明な術式ってことになるのよね?でも、自然と受け入れている辺り、未来姫ちゃんと意志疎通が出来ているような気がするけれど、どうなのかしら?
お互い、この術式が何を意味するのか意見を出し合うと姫ちゃんが
「てっきり、この部分ってさ、私が知らない知識ってなると、その、禍々しい方の下法とか、生贄とか、祭壇とか、儀式的な術式とかかなぁって思ってたんだけど、それについてはどう思う?」
えらい、斜め上からの角度から物を見るのね、下法ねぇ、わたしも そんなに くわしくは ないけどねぇ…ぁー たしかに これは すこしばかり おうよう してるね
すぐ そばで こえが きこえていた はず の もの が とおく なる
あら どうして わたしから そんなに きょりを とるの? わたしは あなたの ままよ?
とおいのた ものに しせんを おくる みつめる りよう できる ぶっしつ を
「だれ?あなた、誰!?」
しょうどうぶつ の ように ふるえて いる
どうして こわがるの?
えがおで アイする むすめを りよう かち が ある ぶっしつを みつめる
おびえて はなれた しょうどうぶつ を りようかちの ある ぶっしつ に ちかづいて あんしん させないと
ほら ちかくに おいで ままが あなたを りよう して あげる わ
「やだ、こないで、やだ、こ、こないで!!ぁ、ま、魔術が、つかえ、そ、ぬ、ぬがな」
あわてて なにを しているの かな きもちがわるい わね
そんな かべぎわ に いかない の ほら さむい でしょ? あしが 震えている 怖がらないの ま…お母さんが!!!
「守る、つってんだろが、こらぁ!!!」
バチーンっと大きく大きく部屋中に広がるように大きな音を出しながら自分の頬を全力で叩き意識を、体の自由を奪い返す
危なかった、ぇ?一瞬で意識が刈り取られたの?いや、違うわ、滲み出るように染み出すように私の意識の中から、出てこなかった?
それに、意識が、私の意識が消えることなく、状況が見えた?どういうこと?
あいつと私ってもしかしなくても…混ざってきている?意識が、私の体が、自由が奪われていないから、油断していた?それとも、ゆっくりと、ゆっくりと、私の心に、体に、同化していき、奪おうとしている?すべての しゅどう けん を?
背筋が凍り付きそうになる、こっちに来てから鳴りを潜めていたから、あいつは、一時的に私の精神が過度なストレスに晒され、不安定になったときに自己を守るために生まれた疑似人格じゃないの?精神分裂症とかそういう類のものじゃなかったの?…た、確か先輩が言うには記憶が混ざる時はあるって言うけれど
そもそも、私どうして、黒魔術の知識があるの?悪魔関係の資料とか術式とか…あれ?わたし、そんな ちしき どこで えたの?
一瞬だけ、脳裏に見たことのない映像が見えると同時にもどしてしまいそうになる、その場で吐かないで急いでトイレに向かい胃が捻じれそうになる感覚と共に胃の中の物全てを吐き出してしまう。
一瞬だけ、見えた映像が恐ろしすぎて、もどしてしまった
私の記憶で、知りうる限りの思い出の中に、あんな悲惨な記憶なんて知らない、王都が燃えて、家が燃えて、全てが、炎が燃え広がって、王都中から、悲痛な、助けを呼ぶような泣き叫ぶような、耳を塞ぎたくなるような叫び声が聞こえて、数多くの人が溶けてるような、燃えるような、あんな、地獄が、悪魔が王都に降臨でもしたような、あんな悲惨な映像…私は知らない…
トイレから出てくると、姫ちゃんが壁際で震える体を襲えるように自身の腕で抱きしめながら、こちらを、怯えたような瞳で見ている…手を伸ばして抱きしめたいが、それは愚かな選択よね、だって、そう、
そうよね、得体が知れないモノは怖いよね。
姫ちゃんの近くに向かおうとすると、姫ちゃんの呼吸が荒くなる、嗚呼、あの怯えたような瞳、完全に怖がられているわね
伸ばしたかった手を伸ばす事はできない、伸ばしてはいけない、伸ばした先に待ち受けるは…ただの拒絶
もう、落ち着いたと思っていたから本当に、油断していた、あいつがいつでも出てくると分かってしまった手前、私は、私という存在は、ただの危険な存在ってことになる、ここから、この街から離れないといけない…でも、離れたくない…
でも、あいつの残虐性と危険性を知っているのは私だけ、この状況を誰かに伝えることも出来ない…去るべきね、いつどこで目覚め、どこでも爆発する可能性がある爆弾がずっと姫ちゃんの隣に居ていいわけないじゃないの。
姫ちゃんが怯えない距離で両膝をついて怯える姫ちゃんを真っすぐ見つめ、ゆっくりと、優しく声をかける
「ごめんね、姫ちゃん、お母さんね、治ったと思っていたの、もう、大丈夫だと思っていたの」
怯える姫ちゃんを見ていると姫ちゃんを守ると誓ったあの日々を、まだ一か月?二か月?しか経っていないのに、心にどっしりと思い出と感情が残る、だって、毎日が何かがあって、目的があって、濃厚で、色あせた日々を送るだけだと思っていた私の人生に新しい生きる意味を見いだせた日々…
それが流れるように、フラッシュバックするように脳内で再生されてしまう、そして、その新しい人生を歩み出した、あの頃のように輝けるような、色のある日々が、失ったのだと…自然と涙が溢れ出てくる、頬を伝う涙を拭うことなく、目の前で困惑している姫ちゃんに告げる
「怖かったよね?ごめんね、お母さん、もう、傍にいれない、封印術式に必要な血液を抜いた後は、ここから出ていくからね」
目の前が涙で滲みながら、決意が揺らがないうちに、血液を出来る限り抜こう、私が持っている研究道具であれば、暫くの間は保存できるだろうし、騎士様の血液とかを用いれば姫ちゃんが次の協力者を得るまでの間、命を繋ぎ止めれるだろう。
「やだ!だめ!絶対にダメ!!」
立ち上がろうとすると姫ちゃんが震えながらも目にいっぱい涙を貯めながら、必死に呼び止める、引き留めてくれる心は凄く嬉しいわよ、怖かったのに、純粋に自分の命が危ないと思えるような、本能が危険だと告げてくる、そんな相手を目の辺りにしたのに、その恐怖の対象に向かって勇気を振り絞って声を出すのはとても凄いことよ?強い意志を感じるわ、貴女の強い心を…お母さんはそんな貴女が誇らしく感じるし、出来るのならもっと、一緒に居たかったわ。
「姫ちゃん」
声を出した瞬間にビクっと小さく体を震わせ、唇が真っ青になりながらも何かをしゃべろうと唇を動かそうとするが、唇も震えているじゃないの…
そんな姫ちゃんの勇気を圧し折る言葉を言わないといけないのよね…ほんとうに、私は何をやっているのだろう。
「私を殺せる?」
その一言で姫ちゃんの目が見開くと同時にその場で嘔吐する、過度なストレスによって体が耐え切れなくなってしまったのだろう
嘔吐の衝撃で苦しむような声を出しながらも、震える体を抱きしめるように、自身の服が皺になるくらい強く握りしめながら何度も何度も声を出そうとしている、声を出そうとしても、声が出ていない。
彼女にとって死別というのは、自分の人生を生きるテーマ、自分自身の明日へと繋がる心のエネルギー、その根本的な部分に影響を与え、歩む道を決めてしまうほどの耐えがたい苦痛であり、親のように慕っている人であれば尚更、耐えがたい苦痛だろう、その上、12歳という若さに人を殺せと、つい先ほどまで微笑みあっていた、お互いを支えあおうと話し合っていた人から直接殺してほしいなんて、ね?
親を幼い時に亡くしてしまい、親の愛を求めている子に、絶対に問うてはいけない、聞いてはいけない言葉
…親殺し…
これで、姫ちゃんの心は完全に折れたでしょう
本当に酷い大人ね、12歳の子供に、その子供が絶対に向き合いたくないトラウマをえぐって心を圧し折る…
こんなことをする人間が親なんて、名乗ってはいけないのよ…
貴女と過ごした約二か月かな?凄く楽しかったわ…快楽殺人者が、貴女の傍にいていいわけないのよ。
最後に、さいごに、貴女の温もりを感じてから、旅立ちたかったけれど、そう、いかないわね…さぁ、血液を抜きに行きましょう、ここでは、衛生的によろしくないから、ね、病棟で抜いてくるかな。
上げたくない腰を上げようと、上半身を、膝をついている姿勢から変えようとするが、私の体も動こうとしない。
情けない、人の心を圧し折っておいて、人として最低最悪な、悪行をしておいて…許されざる行為をしておいて。
自分の心も同時に圧し折るなんてね、愛する子供が絶対に聞きたくない、悲しむ言葉を言い、目の前で苦しむ姿を見て、私自身の母親としての感情、人格を圧し折ったのよ。
何度か太ももを叩き、頬を叩いて、自分の体を呼び起こす、一発に二発では奮い立つことはなさそうなので、何度も何度も何度も叩き続ける…目の前にいる姫ちゃんが動き出す前に動かないといけないのに、私の体はこの場から離れるのを拒んでいる。
拒む理由も当然よね?だって、この後に待ち構えている事象って…命を捨てるってことだもの。
すてる くらいなら ちょうだい
嫌よ、貴女、私に見せた光景を実行するつもりでしょ?…快楽殺人者に体を自由にさせると思って?貴女が表に出てきた影響か知らないけれど、貴女と私の境界線が緩くなっているわよ?だから、貴女の考えが見えたのでしょうね。
下衆ね、そんなことをして騎士様が喜ぶと思っているの?復讐するならあいつだけにしなさいよ、王都の多くを巻き込むなんて外道、許せるわけないでしょ?あんなのを見せられてしまったら、それはもう、止めるしかないじゃない、私はね?あの騎士様に心を許された、寄り添われた、数少ない女性なのよ?
彼に、彼の生きてきた道に、恥という色を塗るわけには、恥をかかせるわけにはいかないのよ…
ふふ、貴女のおかげで少しだけ、体の力が戻ってきたわ、そう、目的と使命さえあれば、私の体はどんな状況で在ろうと…動くのよ。母親のとしての心が折れても!女として生きてきた私の心は折れていないのよ!!!
立ち上がろうとした瞬間に「殺す!」目の前にいる小さな女の子から聞こえてきたとは思えないセリフが、ワードが、その場の全てを掌握するような気迫が籠った咆哮が…部屋中を包み込む
当然、その声に私は釘付けになる、目の前にいる女の子が、小さな女の子が覚悟を決めた瞬間を、私は見逃すという愚かな行為ができない。だって、これは、あの子が、幼い時のトラウマを払拭し、一歩前に進む瞬間だから、一時でも、いいえ、一生を愛すると決めた少女が前に進む瞬間、育つ瞬間を見逃すなんて愚かな行為は…母親として出来ない、見逃すなんて愚かな行為を許さない。
「貴女が、あなたで、なくったときに…殺してあげる!迷わない!!」
心臓がある場所を強く握りしめ、唇はチアノーゼを起こしているのか真っ青になっているのに、目には強い意志が宿っているのが伝わってくる、この子は、本当に強いのね。
そんな強く真っすぐに心を、感情を、想いをぶつけられてしまったら、縋ってしまいそうになるじゃない、貴女ならどんなことがあっても、私を
止めてくれる気がする
「その選択肢は、辛いわよ?…覚悟が、なんて、きまってるわよね、こんなセリフを言う方が野暮ってことよね…お願い、愚かでどうしようもない、救いようのない、私が…狂気に落ちたら殺して、ね?」笑顔でお願いすると、姫ちゃんも嘔吐で汚れた口元を袖でぐしぐしと拭った後、輝くような笑顔で
「うん!任せて!!」
なんて、頼もしい笑顔なのかしら、なんて、頼もしい言葉なのかしら…貴女に会えて本当に良かった。よかったわ…
弾ける笑顔に包まれながら私の心に、悍ましくも存在する不気味な存在が鳴りを収めていくのがわかる。奥へ奥へと心の奥底へと沈んでいくのがわかる、可能であればもう二度と、出てこないで、貴女は、人じゃない、ひとじゃないわ…
獣よ。
物事は何処でどう、動くかわからないものね、今の段階で私のうちに宿る獣の存在を確かめることが出来て良かったと思うわ、取り返しのつかないタイミングで私の意識へと、ゆっくりと溶かす様にゆっくりと浸食するように汚染されてしまっていたら、たぶん、抵抗することもなく体を完全に乗っ取られてしまっていたのでしょうね。
今後の対処をどうするのか話し合いながら汚してしまった箇所を綺麗に掃除していく。
姫ちゃんから提案される数々の内容が、この私ですらドン引きするようなえげつない内容ばかりだったのだけれど、貴女、人の心ある?
首の中に姫ちゃんの意志でいつでも、遠隔で操作できる、爆発する爆裂術式を施した魔石を首の周りに円を描く様に大量に、埋め込むとか
心臓に向かって真っすぐに針が伸びて毒を注入するタイプの自決用魔道具を、埋め込むとか
鼻腔の裏側に任意で爆発して即死できるようにするための自身の細胞を爆発物へと変貌させる術式を墨で掘って仕込むとか
貴女の知識はどうやって手に入れたの?どうして、そこまで、的確に人を殺す方法を知っているの?
そりゃ、確かに首を飛ばせば人は死ぬし、心臓を止めたら人は死ぬし、脳を爆破すれば人は死ぬわよ!!っていうか、誤爆が怖すぎるじゃないのよ!!
…セーフティなんて考えない方がいいのかしらね?私の命なんてうっかりで死んでもいいのかもね。してもらおうかしら?
何気なく、姫ちゃんに貴女はどうやってそんな知識を大量に仕入れたの?っと、答えなんて決まっているのについ、問いかけてしまった。
どうせ、絵本とか、英雄譚とか、そういう類の私達が読まないような空想をたっぷりと詰め込んだ本でしょ?
「地球って星とか、色々な星の知識だよ」
…んぅ?よくわからない言葉ね?ちきゅう?どういう意味かしら?ほしってなに?
過去最高潮に調子がいい!今の私は無敵よ!ってくらいに、体の底から魔力が溢れる!そんな感じがするような、漲るような…いいえ、違うわね、水を限界一杯迄、詰め込んだ革袋の方が表現としては近しいかも…
限界の限界まで魔力を練り込み、畳み、圧縮し、臓器に保存してある、限界まで詰め込んだせいもあって、気を抜くと肉体が弾け飛びそうな気がするし、魔力が溢れ出るような感じすらする!!
肉塊君のおかげで封印術式そのものは、凡そ完成している。
改良点としては、ある一点だけ、魔力を通すような抜け道の様な構造をしており、イメージとして、姫ちゃんがその術式の蓋を開けるようにすると、その蓋から魔力が出ていき、手に伝わり、術式を発動できるのだが、その蓋が非常に硬く、不意に、無意識に開かないように、開けにくくしており、尚且つ、取り出せる魔力も非常にか細く少なくしてある。
これによって、魔力が漏れ出ないようにした蓋が壊れないようにしてあり、尚且つ、必要以上の魔力が零れて霧散しないようにするためのセーフティ弁、静脈にある血液が逆流しないようになっている弁と同じ構造という形で、構築が終わってある。
他にも改良した箇所はというと、
術式を埋め込んだ後は、自身の魔力を使って術式を維持する構造にしていたのだが、私からのお願いで、姫ちゃんの魔力を消費するわけにはいかないので、私の血液、または、私から直接、魔力を注入する形で維持する構造へと変えてもらった。
だって、不安なのよ、あんなにも無駄に魔力を日常的に放出してきた、普通では考えられない体質の姫ちゃんが過ごしてきた日々を。寵愛の巫女、その一族の平均年齢を考えると、どうしても不安になってしまうのよ、後、本当に後、どれくらいの魔力を体内で生成できるのか、誰もわからないじゃない?
血液だって、臓器だって、再生する能力に限界がある、生産する能力に限界がある、それと同義で人が一生の間に生み出せる魔力にも限界があるはずと、医学的に考えるのなら、そこの部分も考えるべきなのよ。
あと、時の概念?細胞を変化させないっていう構造にも少し手を加えて、時の流れを緩やかにするようにしてもらった、本来であれば、魔力を精製する器官には作用されないように考慮されている術式も、臓器にもある程度作用されるように改良してもらった。そんなことが可能なのか念入りにチェックし、その術式だけを抽出し、実験も済ませてある。
魔力が続く限り、成長を遅くさせることができる、つまり、今の状態を長くキープすることができて尚且つ、人として成長することが出来る。
流石に、12歳のままでずっと居るのはね?周りが不自然だと感じてしまうでしょ?なので、成長を遅らせる、それもかなり極端にって感じでお願いした。
試しに、カエルの子供を捕まえてきて、術式を施した水槽の中に放り込んで魔石から魔力を供給して、水槽の中の時間の流れを緩やかにしてみた結果。
恐らく、同時期に生まれたであろう、カエルの兄弟に比べて、術式を施した水槽のカエルは、成長が遅かった。
ほかの兄弟が成体へと至ってから4週間も成体へと至るのに遅く、時間が掛かる形となった。
肉塊君を作ってから同時進行で色んな実験をして正解だったわね…この年でカエルの子供がいる池の中を、幼い子供がはしゃぐように、追いかけるとは、なんとも野性味あふれるような行為をするとは思わなかったけどね、カエルの子供ってなかなか、見つけにくいのね…
あ、勿論カエルは大きくなったら逃がしたわよ?食用になるとは、先輩から教えてもらったことがあるけれど…ちょっと、いえ、かなり抵抗があるから、食べる気にはなれないわ…
捕まえた時も逃がすときもがっつり、研究塔の人に見られてしまったから、言い訳を考えないといけないなぁって思っていたら
「カエルを実験道具にするのって基本ですものね、何を研究してたんですか?」…どうやら、ごく普通の有り触れた発想みたいでよかったわ…
姫ちゃんにカエルの成体変化について、教えていたのよっと伝えると
「ああ~、懐かしいですね!私も学童の時に勉強で教えてもらいました!!そうか、そうですよねー、姫ちゃんってまだまだ、学校に通う年齢ですよね~…教師役も兼任してるなんて大変ですね~」
何処か遠い目をしながら、大昔の事を思い出すのと同時に労っていただけたけれど…私の時はカエルの変化なんて習っていないから、私とあなたの年齢差を考えると、っふ。授業内容も変わるってことね…若いって良いわね…カエルなんて、解剖の練習とか、内臓の動きを観察する時くらいしか、触ったことないわよ…
思考が、それたわね、本筋に戻すとして、姫ちゃんの要望としては、魔力を使えれるようにする、ここの問題はクリアできている筈。
私からの要望としては、姫ちゃんの魔力を使わないで私の魔力を使って維持する、この問題もクリアできている筈。
時間の概念っていう部分も改良を加えてもらっているので問題はない筈
そう、ここまでなら、何も問題がない、筈なんだけど、姫ちゃんが困ったような顔で
「解析できない、私も知らない術式が組み込まれていて、これをいじると連鎖的に他も崩壊するから、いじれない箇所がある」
そう、術式に愛されし神童がわからない術式…きっと、未来姫ちゃんしか知りえない、未来姫ちゃんでないと辿りつけない領域の術式ってことね…
これってなに?って、私に質問を返されてしまっても、どうやって返せばいいのかわからない、だって、私が用意した術式じゃないもの、姫ちゃんからしたら封印術式は出どころが不明な術式ってことになるのよね?でも、自然と受け入れている辺り、未来姫ちゃんと意志疎通が出来ているような気がするけれど、どうなのかしら?
お互い、この術式が何を意味するのか意見を出し合うと姫ちゃんが
「てっきり、この部分ってさ、私が知らない知識ってなると、その、禍々しい方の下法とか、生贄とか、祭壇とか、儀式的な術式とかかなぁって思ってたんだけど、それについてはどう思う?」
えらい、斜め上からの角度から物を見るのね、下法ねぇ、わたしも そんなに くわしくは ないけどねぇ…ぁー たしかに これは すこしばかり おうよう してるね
すぐ そばで こえが きこえていた はず の もの が とおく なる
あら どうして わたしから そんなに きょりを とるの? わたしは あなたの ままよ?
とおいのた ものに しせんを おくる みつめる りよう できる ぶっしつ を
「だれ?あなた、誰!?」
しょうどうぶつ の ように ふるえて いる
どうして こわがるの?
えがおで アイする むすめを りよう かち が ある ぶっしつを みつめる
おびえて はなれた しょうどうぶつ を りようかちの ある ぶっしつ に ちかづいて あんしん させないと
ほら ちかくに おいで ままが あなたを りよう して あげる わ
「やだ、こないで、やだ、こ、こないで!!ぁ、ま、魔術が、つかえ、そ、ぬ、ぬがな」
あわてて なにを しているの かな きもちがわるい わね
そんな かべぎわ に いかない の ほら さむい でしょ? あしが 震えている 怖がらないの ま…お母さんが!!!
「守る、つってんだろが、こらぁ!!!」
バチーンっと大きく大きく部屋中に広がるように大きな音を出しながら自分の頬を全力で叩き意識を、体の自由を奪い返す
危なかった、ぇ?一瞬で意識が刈り取られたの?いや、違うわ、滲み出るように染み出すように私の意識の中から、出てこなかった?
それに、意識が、私の意識が消えることなく、状況が見えた?どういうこと?
あいつと私ってもしかしなくても…混ざってきている?意識が、私の体が、自由が奪われていないから、油断していた?それとも、ゆっくりと、ゆっくりと、私の心に、体に、同化していき、奪おうとしている?すべての しゅどう けん を?
背筋が凍り付きそうになる、こっちに来てから鳴りを潜めていたから、あいつは、一時的に私の精神が過度なストレスに晒され、不安定になったときに自己を守るために生まれた疑似人格じゃないの?精神分裂症とかそういう類のものじゃなかったの?…た、確か先輩が言うには記憶が混ざる時はあるって言うけれど
そもそも、私どうして、黒魔術の知識があるの?悪魔関係の資料とか術式とか…あれ?わたし、そんな ちしき どこで えたの?
一瞬だけ、脳裏に見たことのない映像が見えると同時にもどしてしまいそうになる、その場で吐かないで急いでトイレに向かい胃が捻じれそうになる感覚と共に胃の中の物全てを吐き出してしまう。
一瞬だけ、見えた映像が恐ろしすぎて、もどしてしまった
私の記憶で、知りうる限りの思い出の中に、あんな悲惨な記憶なんて知らない、王都が燃えて、家が燃えて、全てが、炎が燃え広がって、王都中から、悲痛な、助けを呼ぶような泣き叫ぶような、耳を塞ぎたくなるような叫び声が聞こえて、数多くの人が溶けてるような、燃えるような、あんな、地獄が、悪魔が王都に降臨でもしたような、あんな悲惨な映像…私は知らない…
トイレから出てくると、姫ちゃんが壁際で震える体を襲えるように自身の腕で抱きしめながら、こちらを、怯えたような瞳で見ている…手を伸ばして抱きしめたいが、それは愚かな選択よね、だって、そう、
そうよね、得体が知れないモノは怖いよね。
姫ちゃんの近くに向かおうとすると、姫ちゃんの呼吸が荒くなる、嗚呼、あの怯えたような瞳、完全に怖がられているわね
伸ばしたかった手を伸ばす事はできない、伸ばしてはいけない、伸ばした先に待ち受けるは…ただの拒絶
もう、落ち着いたと思っていたから本当に、油断していた、あいつがいつでも出てくると分かってしまった手前、私は、私という存在は、ただの危険な存在ってことになる、ここから、この街から離れないといけない…でも、離れたくない…
でも、あいつの残虐性と危険性を知っているのは私だけ、この状況を誰かに伝えることも出来ない…去るべきね、いつどこで目覚め、どこでも爆発する可能性がある爆弾がずっと姫ちゃんの隣に居ていいわけないじゃないの。
姫ちゃんが怯えない距離で両膝をついて怯える姫ちゃんを真っすぐ見つめ、ゆっくりと、優しく声をかける
「ごめんね、姫ちゃん、お母さんね、治ったと思っていたの、もう、大丈夫だと思っていたの」
怯える姫ちゃんを見ていると姫ちゃんを守ると誓ったあの日々を、まだ一か月?二か月?しか経っていないのに、心にどっしりと思い出と感情が残る、だって、毎日が何かがあって、目的があって、濃厚で、色あせた日々を送るだけだと思っていた私の人生に新しい生きる意味を見いだせた日々…
それが流れるように、フラッシュバックするように脳内で再生されてしまう、そして、その新しい人生を歩み出した、あの頃のように輝けるような、色のある日々が、失ったのだと…自然と涙が溢れ出てくる、頬を伝う涙を拭うことなく、目の前で困惑している姫ちゃんに告げる
「怖かったよね?ごめんね、お母さん、もう、傍にいれない、封印術式に必要な血液を抜いた後は、ここから出ていくからね」
目の前が涙で滲みながら、決意が揺らがないうちに、血液を出来る限り抜こう、私が持っている研究道具であれば、暫くの間は保存できるだろうし、騎士様の血液とかを用いれば姫ちゃんが次の協力者を得るまでの間、命を繋ぎ止めれるだろう。
「やだ!だめ!絶対にダメ!!」
立ち上がろうとすると姫ちゃんが震えながらも目にいっぱい涙を貯めながら、必死に呼び止める、引き留めてくれる心は凄く嬉しいわよ、怖かったのに、純粋に自分の命が危ないと思えるような、本能が危険だと告げてくる、そんな相手を目の辺りにしたのに、その恐怖の対象に向かって勇気を振り絞って声を出すのはとても凄いことよ?強い意志を感じるわ、貴女の強い心を…お母さんはそんな貴女が誇らしく感じるし、出来るのならもっと、一緒に居たかったわ。
「姫ちゃん」
声を出した瞬間にビクっと小さく体を震わせ、唇が真っ青になりながらも何かをしゃべろうと唇を動かそうとするが、唇も震えているじゃないの…
そんな姫ちゃんの勇気を圧し折る言葉を言わないといけないのよね…ほんとうに、私は何をやっているのだろう。
「私を殺せる?」
その一言で姫ちゃんの目が見開くと同時にその場で嘔吐する、過度なストレスによって体が耐え切れなくなってしまったのだろう
嘔吐の衝撃で苦しむような声を出しながらも、震える体を抱きしめるように、自身の服が皺になるくらい強く握りしめながら何度も何度も声を出そうとしている、声を出そうとしても、声が出ていない。
彼女にとって死別というのは、自分の人生を生きるテーマ、自分自身の明日へと繋がる心のエネルギー、その根本的な部分に影響を与え、歩む道を決めてしまうほどの耐えがたい苦痛であり、親のように慕っている人であれば尚更、耐えがたい苦痛だろう、その上、12歳という若さに人を殺せと、つい先ほどまで微笑みあっていた、お互いを支えあおうと話し合っていた人から直接殺してほしいなんて、ね?
親を幼い時に亡くしてしまい、親の愛を求めている子に、絶対に問うてはいけない、聞いてはいけない言葉
…親殺し…
これで、姫ちゃんの心は完全に折れたでしょう
本当に酷い大人ね、12歳の子供に、その子供が絶対に向き合いたくないトラウマをえぐって心を圧し折る…
こんなことをする人間が親なんて、名乗ってはいけないのよ…
貴女と過ごした約二か月かな?凄く楽しかったわ…快楽殺人者が、貴女の傍にいていいわけないのよ。
最後に、さいごに、貴女の温もりを感じてから、旅立ちたかったけれど、そう、いかないわね…さぁ、血液を抜きに行きましょう、ここでは、衛生的によろしくないから、ね、病棟で抜いてくるかな。
上げたくない腰を上げようと、上半身を、膝をついている姿勢から変えようとするが、私の体も動こうとしない。
情けない、人の心を圧し折っておいて、人として最低最悪な、悪行をしておいて…許されざる行為をしておいて。
自分の心も同時に圧し折るなんてね、愛する子供が絶対に聞きたくない、悲しむ言葉を言い、目の前で苦しむ姿を見て、私自身の母親としての感情、人格を圧し折ったのよ。
何度か太ももを叩き、頬を叩いて、自分の体を呼び起こす、一発に二発では奮い立つことはなさそうなので、何度も何度も何度も叩き続ける…目の前にいる姫ちゃんが動き出す前に動かないといけないのに、私の体はこの場から離れるのを拒んでいる。
拒む理由も当然よね?だって、この後に待ち構えている事象って…命を捨てるってことだもの。
すてる くらいなら ちょうだい
嫌よ、貴女、私に見せた光景を実行するつもりでしょ?…快楽殺人者に体を自由にさせると思って?貴女が表に出てきた影響か知らないけれど、貴女と私の境界線が緩くなっているわよ?だから、貴女の考えが見えたのでしょうね。
下衆ね、そんなことをして騎士様が喜ぶと思っているの?復讐するならあいつだけにしなさいよ、王都の多くを巻き込むなんて外道、許せるわけないでしょ?あんなのを見せられてしまったら、それはもう、止めるしかないじゃない、私はね?あの騎士様に心を許された、寄り添われた、数少ない女性なのよ?
彼に、彼の生きてきた道に、恥という色を塗るわけには、恥をかかせるわけにはいかないのよ…
ふふ、貴女のおかげで少しだけ、体の力が戻ってきたわ、そう、目的と使命さえあれば、私の体はどんな状況で在ろうと…動くのよ。母親のとしての心が折れても!女として生きてきた私の心は折れていないのよ!!!
立ち上がろうとした瞬間に「殺す!」目の前にいる小さな女の子から聞こえてきたとは思えないセリフが、ワードが、その場の全てを掌握するような気迫が籠った咆哮が…部屋中を包み込む
当然、その声に私は釘付けになる、目の前にいる女の子が、小さな女の子が覚悟を決めた瞬間を、私は見逃すという愚かな行為ができない。だって、これは、あの子が、幼い時のトラウマを払拭し、一歩前に進む瞬間だから、一時でも、いいえ、一生を愛すると決めた少女が前に進む瞬間、育つ瞬間を見逃すなんて愚かな行為は…母親として出来ない、見逃すなんて愚かな行為を許さない。
「貴女が、あなたで、なくったときに…殺してあげる!迷わない!!」
心臓がある場所を強く握りしめ、唇はチアノーゼを起こしているのか真っ青になっているのに、目には強い意志が宿っているのが伝わってくる、この子は、本当に強いのね。
そんな強く真っすぐに心を、感情を、想いをぶつけられてしまったら、縋ってしまいそうになるじゃない、貴女ならどんなことがあっても、私を
止めてくれる気がする
「その選択肢は、辛いわよ?…覚悟が、なんて、きまってるわよね、こんなセリフを言う方が野暮ってことよね…お願い、愚かでどうしようもない、救いようのない、私が…狂気に落ちたら殺して、ね?」笑顔でお願いすると、姫ちゃんも嘔吐で汚れた口元を袖でぐしぐしと拭った後、輝くような笑顔で
「うん!任せて!!」
なんて、頼もしい笑顔なのかしら、なんて、頼もしい言葉なのかしら…貴女に会えて本当に良かった。よかったわ…
弾ける笑顔に包まれながら私の心に、悍ましくも存在する不気味な存在が鳴りを収めていくのがわかる。奥へ奥へと心の奥底へと沈んでいくのがわかる、可能であればもう二度と、出てこないで、貴女は、人じゃない、ひとじゃないわ…
獣よ。
物事は何処でどう、動くかわからないものね、今の段階で私のうちに宿る獣の存在を確かめることが出来て良かったと思うわ、取り返しのつかないタイミングで私の意識へと、ゆっくりと溶かす様にゆっくりと浸食するように汚染されてしまっていたら、たぶん、抵抗することもなく体を完全に乗っ取られてしまっていたのでしょうね。
今後の対処をどうするのか話し合いながら汚してしまった箇所を綺麗に掃除していく。
姫ちゃんから提案される数々の内容が、この私ですらドン引きするようなえげつない内容ばかりだったのだけれど、貴女、人の心ある?
首の中に姫ちゃんの意志でいつでも、遠隔で操作できる、爆発する爆裂術式を施した魔石を首の周りに円を描く様に大量に、埋め込むとか
心臓に向かって真っすぐに針が伸びて毒を注入するタイプの自決用魔道具を、埋め込むとか
鼻腔の裏側に任意で爆発して即死できるようにするための自身の細胞を爆発物へと変貌させる術式を墨で掘って仕込むとか
貴女の知識はどうやって手に入れたの?どうして、そこまで、的確に人を殺す方法を知っているの?
そりゃ、確かに首を飛ばせば人は死ぬし、心臓を止めたら人は死ぬし、脳を爆破すれば人は死ぬわよ!!っていうか、誤爆が怖すぎるじゃないのよ!!
…セーフティなんて考えない方がいいのかしらね?私の命なんてうっかりで死んでもいいのかもね。してもらおうかしら?
何気なく、姫ちゃんに貴女はどうやってそんな知識を大量に仕入れたの?っと、答えなんて決まっているのについ、問いかけてしまった。
どうせ、絵本とか、英雄譚とか、そういう類の私達が読まないような空想をたっぷりと詰め込んだ本でしょ?
「地球って星とか、色々な星の知識だよ」
…んぅ?よくわからない言葉ね?ちきゅう?どういう意味かしら?ほしってなに?
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