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とある人物達が歩んできた道 ~ 後が見えない不安 ~

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もしも、騎士様が生きていたらきっと、こんな形で出会うことが無かった二人を見送ると、部屋の中には私と末席の王子の二人だけ。

静まり返る室内…

義父様がいらっしゃるだけであんなにも場の雰囲気が変わる物なのね、存在感が違うっということか。

落ち着いて今の状況を全力で把握するのよ、記憶が抜け落ちていてどんな行動をしていたかなんてわからない状況って何気に厳しいわね。
さぁ、私はこれからどうしたらいいのか?先ほどまで話をしていて度重なる疑問が残されてしまったので、確認する必要性が多い。

王子の向かいにある、先ほどまで義父様が座っていたソファーに座り
「賊を装わせて処分した人に祈りくらいは捧げてあげないといけなわね…」
ぽそっと独り言のように言うと
「あ、それはこちら側で仕込んでなくて、与り知らぬ賊です」さらっと先の言葉を否定されてしまったけれど、ありえないでしょ?
いやいや、うそでしょ、王族関連の施設よ?楽に賊が侵入を許すような場所じゃないでしょ?
何を言ってるんだと疑いの視線でちらっと見ると、王子も信用してほしいのか慌てながらも言葉を続けていく

「賊と言っても王族が手引きした暗殺者ですね、違う点は僕ら側が用意した賊じゃないってことだけですよ」
…■■■って、もしかしなくても、全王族から命狙われてる?

「お察しの通りです、全てのは、言い過ぎと思いたいですが、色々な王族一派から命を狙われていますよ、数々の所業で敵だらけですよ、兄上は」
眉を顰め困り顔で、どうしようもないほどの悪行を繰り広げてきたのだと表情から察することが出来る。

「まさか、日付が被るとは思ってもいませんでしたよ。いや、複数の賊を一網打尽にするために、敢えて、隙を見せて、王都最強の人物を護衛につけた可能性が高いですね、今回の件で確実に他の王族も兄上に手を出しにくくなりましたよ…」本当にこの先で暗殺をすることが如何に難しいのか全ての恨みを持っている人達にこうなるぞっと結果を示したわけね。

王子が唐突に手を挙げて、手を叩くと部屋に使用人の方たちが入ってきたと思ったら、手際よく、二人分のティーカップにお茶を注いでくれる。
どうせなら、義父様がいるときにお茶くらい、ふるまってあげればいいのに。

お茶を入れ終えるとすぐに部屋から出ていく、手を叩く音が聞こえるくらい近くに居るのであれば、声何て聞こえているだろうに、外に出なくてもいいんじゃないの?
「やはり、彼を直接的に排除するのは無理がありますよ」
小声で外に漏れないように上半身を前のめりにして話を進めていく、私もそれにならって前のめりにする、けれど、先ほどの話は聞かれているのでは?
かなり小さな声だったから聞こえてはいないってことでいいのよね?

「どう考えてもアレを王にするのは危険すぎるわよ、王都滅ぶわよ?」
墓地での一件、デッドライン遠征の一件、たったの二つだけでわかる、あいつは人として間違っていると。

その言葉に頷きながら声を潜めて会話を続けていく
「それは重々承知しております、殆どの力ある王子一同、次代の王候補達は、彼の異常性、危険性を理解しています。ですが、彼を支持する貴族が非常に多く、様々な闇と繋がっているんですよ」
ああいう傍若無人を実現するだけの力を保持しているってことなのね

王族があのような横暴を許したとしても、教会とは縁を切れないのが王族
「教会側はどう思っているの?」
時の権力者と教会は切って切れない関係でしょ?あそこまで人格が破綻しているのであれば、教会側も黙ってはいないでしょうに?

こちらの言葉に、にやっと悪い顔をしているわね
「ご存じと思いますが、教会側は聖女様のお力添えのおかげで、今は、僕らを支持していただけているのですが、いつどこで神の御心が変わるか、計り知れないのですよ?」
なるほど、あの時の私が何かしらを行って教会側の人を抱き込んだってことね。
そして、それを利用して糞王子を支持できない教会の一派に取り入ったってことになるのよね?

やっぱり困ったわね、思い出すとしても思い出せない出来事が多々あるのよね、きっと、触れると寝た子を叩き起こす事になりそうだから呼び起せない記憶が多いのよ
穴の抜けた部分をどのように推測してどのように話を合わせればいいのか、難しいわね。

悩んでいる私を気にすることなく言葉を続けていく末席の王子
「聖女様伝説を推している一派が、まだ教会側には、いてますからね。なんとか盛り返したいと考えているのでしょう、その為には、彼らは長年待ち望んでいますからね伝承通りの出来事を、それが起きたのだと、王族である私がその目で奇跡を見たと、あの戦場で目撃したのだと報告しておりますし、後押しとしても伝承には、聖女が目覚めた時は、突如、髪の色が真っ白になるという伝承もあり、それがまた、良い方向に味方してくれています」
聖女様の伝承は正直、興味が無さ過ぎて知らないのよね。末席とはいえまだまだ糞ガキって年齢、なのに、しっかりと勉強はしているのね。
聖女様伝説をキープするためにも髪の毛、白く染めないといけないわね。

髪の毛を手に取り見つめていると
「あ、染めなくてもいいですよ!聖女様もその時は白くなりましたが日が経つにつれ髪色は元に戻っていったそうなので」
…きっと、聖女様も何か奇跡を願って魔力を振り絞ったってことかもしれないわね。私や騎士様と同じようにね。

確証は持っていないし、過去にそのような例もないので、知らないけれど何となく直観でそうであると、頭の中で決めつけてしまう程に納得できる何かがある、そう、魔力は髪と何かしらの因果がある。

「それなら、尚更、聖女として活動したほうがいいのかもね」
贖罪の気持ちが無いわけではない、償えることが出来るのであれば、するべきだ。

「え、ええ。その予定ですよね?王都の流行り病を聖女として診てくれて治すプランでしたよね?」
ん?…んん?…あ!これマッチポンプ予定だったってこと!?
内なる私が考えた作戦として、こいつを利用して首謀者を殺す為に立てたプランを提示していたのね。

恐らく、たぶん、だけどさ、
流行り病を首謀者一派のみに的確に流行らす



王都では未知の病なので既存の薬では治りが悪い、似た症状での病はあるけれど、その病の薬では、有効的じゃないのよね。
たぶんだけど、自室に帰って何を持ってきたかは定かではないが、私の部屋あったものでれば残量は把握している。
なので、薬瓶の残量を見て、何の毒を用いたのか把握しないと、少しでも情報が欲しい。
流行り病に適している物質なら心当たりがある、予想としては、確証はないけれど、即効性がなく飛沫感染するような毒、それでいて、ゆっくりと死に至らせるっていう性質を持った病ね、思い当たる物があるもの。



それの予防をするための薬があるとかなんとか、話をつけて予定を取らせて会いに行く、そして密室で殺す

こんなところかな?…それってさ、確実に殺した犯人、私だってすぐに結論出ない?

脳裏に過った昨日の出来事、あまりにも不自然な都合のいい出来事が発生している。

・・・賊だ、末席の王子が知らない賊、本当にこれはたまたまなの?偶然で日が重なったの?内なる私は、こいつ以外にも何処かで何かと繋がりを得た?
情報が足りない、内なる私を叩き起こして問い詰める方法もあるけれど、起こすのは無理、怖い、リスクが強すぎる…主導権を失う自信しかない。

計画が順調に進んでたのしいって感情を抱いていたのか、復讐が完遂出来る可能性が高まっていくのがたのしいのか

人を殺すのがたのしいのか

どれに楽しみを抱いていたのかで内なる私の残虐性などが図れるし、場合によっては純粋に快楽殺人を楽しむ、どうしようもない存在だとわかってしまう。

…そうだったら、私は私、自身の手で…うん、それくらいでもしないと、皆に合わせれる顔が無い。

後、気になることがあるのが、内なる私はいったい、何人の人間をその手にかけたの?

確認したいが、目の前にいるこいつに確認しても本当のことを教えてくれない気がする、自分で調べるのも大事よね。
さて、考えもまとまったことですし、発言していきましょう
「ええ、その予定だけど、少し予定を変えてもいいかしら?」
プランを変更することにより以前のプランよりも、より良い物を思いついたと思わせれば、以前の私がしようとしてた内容を変えることで
内なる私と今の把握しきれない私が=になるように仕向けないと、こいつを利用しきれない。
こいつだって、王族、聖女様聖女様って慕っているように見えて内心何を考えているかわかったものじゃない。

わかったものじゃないけれど、デッドラインに向かっていく、あの道中でのアレが演技だとは私は思えない。

「どうせ聖女様を演じるのなら、派手なドレスよりもやっぱり、修道服の方がいいと思わない?」
そう、あのドレスを着たくない!トリガーな気がする、如何に騎士様の守りがあろうとも、私の意識を保ちきれないほどのトリガーだったら、次に主導権を手に入れた時には全てが手遅れになっている可能性もある。

この完璧なる発言にこいつは驚いた表情をしている
「いやいや、何をおっしゃるんですか、貴方は聖女様ですよ、誰が何と言おうと僕は聖女様だと確信しております」
真っすぐな目で信じ切っている、いい目をするのね、最初に見たあの、濁った死んだような目じゃない、生き生きとした良い目をするのね。
まぁね、普通に考えれば自分が死ぬしかない未来を言い渡されて、抗う為に、生きる為に、幼くて経験も浅いのに必死になって色んな策を講じたけれど全て裏目に出て、年相応に、不貞腐れていたら、それはもう、濁るわよね。

そうよね、まだまだ年端もいかないうちに誰だって近寄りたくない死の大地に行くように仕向けられたら戦々恐々するわよね。
折角、生き残ったのだからあの経験を生かして良い王様になってほしいものね、アイツなんかよりも断然ましになると思うわ、きっと騎士様もそれを望んでいると思う。
「そうね、修道服は用意できそうなの?」
あの手の服って結構めんどくさい儀式とか教会への貢献度とか、色々なしがらみがあったはず、だけど、一番下の見習いとかのであれば、直ぐにでも手に入ると思うのよね。
王族であればね?一般人がくれっていっても絶対にくれない。

「ああ、はい、大丈夫ですよ。修道服を着てどうするんですか?」
そんなの決まってるでしょ?

次の予定を決めて、今日の所は解散となり、家に帰る、帰るときもあの服を着たくなかったので適当な服を用意させたんだけど

やっぱり王族なだけあっていい服、持ってるじゃない、センスがいいわね。
ポイントポイントに青色が使われているし、優雅さもあって気品もある、作りも凄く丁寧で生地も素晴らしい。
何でも、過去にオーダーメイドで作ったはいいが贈る相手がいなくて持て余してたそうだけど

絶対に好きな人に贈る為に用意してたっぽくない?いいのかな?こんなお姉さんに渡しちゃって?

玄関に到着すると門番の人が一瞬私だとわからなかったのか呆けている。
「ただいま戻りました、通ってもいいかしら?」
私の声にようやく気が付いたのか
「も、申し訳ありません!お帰りなさいませ!」
通っていいみたいなので、家に帰ると玄関を開けると、玄関の先でお母様がずっと待っていたのだろうか、私の姿を見て心配そうな今にも泣きそうな顔で走ってくる
「ダメじゃないの、体調が優れないのに、外に出て、しかも帰ってこないなんて、心配したのよ」
抱きしめてくれたので、汚れた手で抱き返してもいいのか一瞬だけ戸惑ったけれど、ここでハグを返さないほうが不自然。
すっと腕を背中にまわし抱きしめる
「ごめんなさい、ちょっと急患で呼ばれていて、向こうでトラブルに巻き込まれてしまったの」
「トラブルって!貴女、まさか、王族の貴賓室に足を運んだりしてないわよね?」
おんやぁ?お母様ってこんなにも情報が早い人だったかしら?王族の貴賓室で起きた不祥事何て普通に考えて揉み消したり、外にばれないようにするものじゃないの?

「貴女、その表情、居たのね貴賓室に」
うわ、そんな直ぐに見破られちゃうの!?お母様ってこんなに観察眼鋭い人だった!?ぽやんとしていて何も考えてないと思っていたけれど
意外と策略家なのかもしれない。

「はい、ある貴族の間で流行っている流行り病で相談されていまして、そのほら?私って向こうでは医療班のTOPでしょ?だから、その」
申し訳なさそうに、どうやって弁明すればいいのか考えながら、可能であれば誤魔化したいと考えていると
「嗚呼、そうね、それもそうじゃない、あの街は王族から支援をしていただいていますものね、貴女の所在くらい、把握していますわよね」
ん~それはしてないと思うなぁ…たぶん、先輩のことを未だに医療班のTOPだと思っていると思うなぁ…
「それよりも、お母様、もしかしなくても、昨夜の事件知っていますよね?」
次はこちらから質問をする番、お母様が隠し立てするわけないじゃない、良い情報源になりそうね

「あら?たぶん、貴族であれば昨夜の出来事なんてみんな知っているわよ、最近の王都は事件が無さ過ぎて少しでも貴族とか王族で何かあれば情報なんてぱぱっと回るわよ」
そっか、それじゃ、内なる私が起こした事件、全部知ってる?犯人も?
「最近起きた、ほら、物騒な事件ってのも詳細知ってるの?」
少しでも誰が亡くなったのか知りたい

「嗚呼、あれは悲しい事件よね犯人は昨夜の賊らしいじゃない?だからもう安心よね、その速報を聞いたときは胸を撫でおろしたわ」
うそでしょ?内なる私が殺した人の全てまで引き受けたってこと?それじゃ、世間的にも犯人が私だって探す人はいないだろうし、私が無罪だと思っている人しかいなくなる。
つまり、完全犯罪が成立しているってことじゃないの?
末席の王子だからこそ、揉み消したってこと?それとも、内なる私が知略を用いて罪を擦り付けた?

私の中にある断片的な記憶だと、アレがそこまで知略を用いているなんて思えない…思い出す為に記憶を結合するのが一番いいのかもしれないけれど
怖すぎる、結合した時に私は私なのか自信を持てない…それに、精神障害の記憶結合ってしたくて出来るわけじゃないもの。

「そうだったんだね、後は一部の貴族の間で流行ってる病さえ無くなれば王都は平穏になるのね」
にっこりと素知らぬ顔で言うと
「正直、病で臥せっている人達ってね、宜しくない噂ばかりだから、いいきみねってお母さんの周りじゃ嬉しそうに話す人ばかりだから、死なない病なら別に悩む必要はないわよ」
嗚呼ヤダヤダ、貴族同士の暗い部分でてるわよーお母様、その笑顔は良くないわよ、他人の不幸は蜜の味って顔。

知識のないお母様だったら、そう思うわよね、あれの厄介な部分は長期的にみると、徐々に徐々に、免疫力が低下して様々な病気を二次感染していく厄介な特質があって、少しでも早く治療をするのがいいんだけど、、、まずは本当にあの病なのかカバンを開けてみないことには断定できないから、純粋に流行り病の可能性もあるのよね。

取り合えず、部屋に戻ろう
「それじゃ、私は自分の部屋に戻るね、読みたい本もあるし」
話を切り上げようとすると
「あらそう?調子もよさそうだからお母さんの相手をしてほしいのに」
寂しそうな表情をされてしまう。ごめんねお母様、全てを終えたら謝りに来てその後に、抱きしめてもらって不幸者は何処かに消えるからね。
だから、もっともっと寂しい思いをさせてしまうから、ごめんなさい親不孝者で。

階段を上って自室に向かおうとすると
「ああ、そうそう、最後にいいかしら?」
なんだろう?

「そのお洋服、貴族の間で凄く流行しているあるお店の特別モデルじゃない?それに胸元の青い宝石がついたネックレスも凄くお洋服に似合ってて最高じゃないの!何処で手に入れたのー!今度、お母さんにも教えてほしいわぁ」
ぁ、はい、びっくりした、他にも何かあるのかと思ったじゃないの
「これは、両方とも頂き物なのよ、ごめんなさいね」
それだけを告げて手を振り自室に向かっていく途中で
「あんな高価なものを送ってくれる相手だなんて!きっといいひとよ!娘に遅い、遅すぎる、月夜の花が咲いたのよ!!」
聞こえてるから大きな声で恥ずかしいこと言わないでお母様。。。ほら!すれ違う使用人が目を輝かせてこっちを見てくるじゃないの!!
私は騎士様以外とそういう関係に絶対にならないからね!!!

私達、始祖様や教会と関係が深い人たちは人生で一番と思える人と結ばれる日のことを月夜の花が咲くっと比喩することがあるのよね…

まったく、恋愛脳ばっかりなのよねー貴族の女性たちって…私もだけどね…

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