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始祖様の伝説 3 探り合い
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私の発言に呆れられつつも姫様は純粋で悪意のないままでいてほしいって言われても、人の悪意はこの間、いっぱい目の当たりにしたと思うけどなぁ
それを考えて発言すればいいのね!……やっぱりあれかな?純粋に大穴に対抗するための人数が減るからかな?
「理由は簡単、他国、えっとね、この大陸じゃない他の大陸にある国に純粋に力をつけてもらいたくないからよ、だって、大穴を相手取りながら人からも攻撃されてしまったらどうしようもないじゃない」
それって、大穴からも他の大陸からも同時に攻めてこられる可能性が高いってこと?人ってそこまで愚かなの?
大穴の獣を倒しきらない限り人類に未来は無いんだよ?どうしてそれがわからないの?…人って愚かじゃないよね?争うべきときじゃないってわかるよね?
「うん、団長の考えていることが一番だよ、言わなくても伝わってくるよ、人類一丸となって脅威に立ち向かわないといけないのは当然だよね」
その発言に大きく頷く女将にベテランさん…と、メイドちゃんも反応するの?なんで抱きしめる力を強くするの?ねぇ?本当は起きてるでしょ?おでこをこすりつけないの。
悲しそうな声で投げかけられる言葉
「でもね、失われた負の50年って知ってる?」
始祖様が月に帰ってから50年の間に起きた、大陸全土で発生した災害だよね?詳細は諸説ありすぎて何が何だか?
「未曽有の大災害で多くの人を失ったって言われる、死の50年?」
もしかしたら、姫様なら本当の理由を知ってるのかな?
「そう、その死の50年、もう一度、聞くね、どうして発生したか知ってる?」
災害でしょ?…ぁ!!そっか
「獣の軍勢!!」始祖様がいってたじゃない!いずれ獣の軍勢がやってきて蹂躙されるかもって!!
どうやら答えがあってるみたいで姫様もにっこりと笑っている!!やった!
「獣軍勢は、正直、一瞬で蹴散らされて災害にはなりえなかったの、本当の地獄はそこから先だったの」
…?ぇ?災害を退けたの?誰が?
「始祖様から授かった子供達、それはもう、私達が全員、ううん、全盛期の歴代の猛者たちが集まったとしても、その一人にすら敵わない、絶対的強者として生まれてきたの」
そんな凄い子供たちがいれば、大穴なんて簡単に制圧できるはず?…どうしてそれが行われなかったの?
「いま、疑問に思った内容、人類生存を第一に考える団長だったら辿り着くと思ってたよ、うん、あの人から授かった宝である子供たちが今も生きていれば、大穴の制圧何て容易かったと思うの、でもね、それが行われなかったの、だって、」
戦争が起きたから
授かった子供達を利用して政権争いが発生したの、それも、この大陸全土で、夢を持っちゃったんだよ、あの神にも到達しうる存在の子供
当然、幼いうちから頭角を現して、今までの常識全てを覆すほどの力に魔力、魅せられてしまったのよ時の権力者に至れる未来に。
夢に酔いしれてしまったの愚かにもね、儚い儚い夢に溺れてしまったの、この大陸にいる多くの権力者たちが一斉に夢をみてしまったの、歴史に名を残せるチャンスに自分の身の丈にあっていない大それた夢を…
世界征服っていう、夢をね、抱いてしまったの、各町にいる領主たちが…
そこからはもう、大戦争
あちらこちらで地形が変わるほどの大戦争、街は吹き飛び、山は砕かれ、湖は枯れ葉て、森は消え、海は吹き飛ぶ。
その攻防は当然、この死の大地でも行われて、死の大地に着々と生み出されていた獣たちは巻き添えで吹き飛ばされ、大穴に潜んでいた敵もそれをみてきっと、より深く大穴に潜ったのだと記載されているの。
大暴れするついでに大元を仕留めてくれていれば万々歳~だったのにね~。うまくいかないね。
当時のね、状況を他の大陸の人達も遠い遠い場所で隠者を送って観察を続けていたみたいで、しっかりと記述されていたし、暗躍もされていたの
身内同士で争い続けて滅ぶように、ね…
その言葉に、メイドちゃんがぎゅっと太ももを掴む手の力が強くなる。何か思い当たる節でもあるのだろう、辛そうな感情が伝わってくるので頭を撫でてあげる。
この大陸における歴史の中で、きっと類を見ない、最初で最後の大陸全土が焦土となりかねない大戦争のあとはもう、大変だったみたい。
それらの復興に尽力を尽くしたのも、今の王都に王族、だから求心力があるのよね、あの地獄から様々な街を復興して人類が生きる為に尽力をつくしたから。
それにね、その大戦争に王族血筋は戦闘に殆ど参加しなかったから、多くの始祖様の子供が失われたけれど、王家に連なる者たちは多くの始祖様からの宝を持ち続けたことになる。
だから、王家の血筋は秘宝って比喩されたりするの。
今はもう、始祖様の血も薄くなっちゃって特別視するほどじゃないんだけど、誰よりも血が濃いのは確かだよ。
「まぁ、そんなわけで、この大陸はね、ある意味呪われているの、大穴に潜む人類滅亡を企む、人類の敵が住んでいるわ、その災害を退けた神からの使いである始祖様の宝玉が大暴れするわ、他の大陸から虎視眈々と狙われてたり…ね?よく今まで生きてこれたと思うよ…ほんとうに」
他にも、人類が犯してきた様々な過ちをいっぱい知らされて、女将もベテランさんも疲れ果ててしまって、後日、改めて時間があるときに質問を受け付ける約束をした後、二人は部屋から出ていった
姫様もベッドから立ち上がって、お母さんの日記を手に取り悲しそうな顔をする。
「メイドちゃんは、何処まで知っていたのかな?」
私の太ももにずっと抱き着いていたメイドちゃんがすっと起き上がって、ベッドから降りてドアの方に向かっていく
ドアの近くまで歩いていくとくるりと、向きを変えてこちらを見る、一瞬だけ真剣な表情をした後、直ぐに悲しそうな顔をする
「…全部、知ってます。私達の一族はこの大陸を監視することを目的とした一族だからです、姫様こそ、何処まで調べたんですか?あと、何時調べたの?」
姫様と一緒にずっと一緒に行動していたからさっきの話を知ってたってこと?
にっこりとお道化る様にくるりとその場でまわりながら話し続ける
「貴女からの告白を受けて、瞬時に調べさせていただきました、念のため、ね、元々、害はないと思っていたけれど、この先に待ち受ける、大変な時に何かされたら嫌だなぁって思って、でもね、調べた結果、そんなに脅威でもないから、それよりも優秀な貴女が傍にいるほうが利益が大きかったから利用させてもらいました、その分ちゃ~んとお給金だしてあげたから許してね♪」
とまると同時にウィンクをして、んべっと舌を出してお道化る姫様
「・・・・その辺はすごく助かっています」
きゅっと服を握りながら斜め下を見つめ、暗い表情をする
そんな暗い表情のメイドちゃんに向かってゆっくりと歩きながら
「それにね、貴女が私に申し出てくれたあの一言で、私は貴女を信じ切るって決めたから、じゃないとこんな場所に入れさせないよ、あんな一芝居をうって勇気を出してはいってきてもらったのに、ね。普通にノックして入ってきても受け入れたよ?私」
メイドちゃんのすぐ近くにまで、手が届きそうなくらい近くまで歩み寄る
「メイドちゃんはどうしたいの?…」視線をずっと下に下げているメイドちゃんを覗き込むように近づいていく。
「…」服を握る手の力がどんどんと強くなっていくメイド服が大きく皺になるほど
「…わたし、知りすぎました?ころ」「すわけないじゃん!私をその辺のどうしようもない人たちと一緒にしないで!心外だなぁ!!」
その言葉にメイドちゃんは驚きながら正面を見る「さっきも言ったけど、些事も些事!!メイドちゃんがどんな報告をしようが私にとっては些事なの!それにね」
もう、本国と連絡とれないんでしょ?
その一言にメイドちゃんの瞳孔が開き服を握っていた手を離し手刀にし姫様、めがけて突き出す
「どうしてそれを!返答によっては!」ギロリと睨みつける、どうやら、メイドちゃんの本国は…もう・・・
「あっちゃーカマかけたらガチじゃん、もぉー最悪だぁ、予想が外れてほしかったーーー!!!」
ぺたりとその場に座り込む姫様、そのあどけない仕草にメイドちゃんはまたまた驚いた表情をしている。
「ぇ?どういうことです?」姫様の言動が理解できないのか驚きを隠せれていないし、動揺もしている。
姫様は、椅子に座りなおすと
「…メイドちゃんの言動がちょ~っと甘えすぎなところがあってね、んん?何かあったのかなぁ?って気になっててさ、思い返してみると、たぶん、あの日を境にかな?だから、やっぱり、海を渡った先にある、獣に滅ぼされた、あの街の奥にある大国も無事じゃなかったって、ことだよね?」
その言葉を聞いたメイドちゃんが失態をしてしまったと悔しそうな表情をしている。
「…誘導尋問に引っかかったってわけで、姫様も知りえなかった情報ってことですよね?」失敗したなぁっと困った表情で冷や汗を浮かべている
「そだよ?気にはしてたの、でも、海の街を滅ぼしたのは毒のあいつだと思っていたからさ、まさか、その奥にある大国には手を出してはいないだろうなぁって思ってたけど、その反応からすると…ぁーあ、これってさ、最悪の出来事が始まってたってことだよね?」
姫様がお母さんの日記をじーっと見ながら語り続ける。
「確認です、その、姫様の何かしらの私が知りえない術で私の国を」今にも泣き崩れそうなメイドちゃんの質問に姫様は
「できるわけないじゃ~ん、この街を維持して、人類の未来を勝ち取るために精一杯だってーの、近くにいるんだから知ってるでしょ~?私がいつだって後手に回ってていつも、一手遅いの…」姫様の目から涙が伝っていく、きっと、今まで守れなかった人たちのことを思い出してしまったのだろう。
私もベッドから立ち上がって姫様の頭を撫でてあげる、そして、今にも崩れてしまいそうな子の近くに歩み寄る
そっとメイドちゃんを抱きしめて背中をぽんぽんっと叩くと大きな声で泣き出す
今まで誰にも打ち明けられなくて我慢するしかない感情の波をずっと抑えてきたのだから、辛かったでしょうに。
だから、最近、甘えてくるなぁって接触おおいなぁって思い返せば、そうだよね~、姫様に言われるまで気が付かなかったよ。
そっか、メイドちゃんって他の大陸から来た人だったんだ。
泣きじゃくるメイドちゃんをあやしながら、どうしても気になることがあるので聞いてみる
「ねぇ、姫様、もしかしなくても何が滅ぼしたのか予測できてる?」
「うん、確証を持ちたくなかったけれど、やっぱりそうとしか考えられない」お母さんの日記をぎゅっと抱きしめながら眉をひそめ
獣は、たぶん、世界中のどこにでも移動できる、海を安全に渡れる方法がある。
始祖様が発見して討伐しなかった、海の獣
どうやって渡れているのか、こんなに警戒して探していたのに見つけれなかった、だから、始祖様が見つけてはいたけれど、その獣は戦闘タイプで、運搬する能力は無く
何処かでひっそりと息を潜めていて時が来たら戦いに参加するのかな?っとか、大海を渡るときに襲ってくるのかな?っとか
考えていたんだけど、頭の中に思い浮かんだ、ある最悪のシナリオもあってさ、それがその
最悪の最悪の予想、そいつが活動再開したら、大穴から戦力を集めて、他の大陸に渡って、警戒していないこっちの大陸に比べてひ弱な人類を襲わせて、人類滅亡へと駒を進めていく。
その最悪が当たっていたってこと、はぁもう最悪…もう、この街以外
安全な街なんてないってこと…
違和感はあったの、墓参りにいったときにさ、デッドラインまで近寄ったじゃない?死の大地でも群を抜いて危険な場所なのに敵が少なすぎたし、最近、遭遇率が低すぎるし、
兆候はあった、でも、私も手がいっぱいいっぱいで、この先に備えてどうしても、作らないと人類が滅ぶ可能性が高いから、その設備を優先しちゃったの
「だからね、薄々は気が付いてたの、メイドちゃんの国も危ないって、でもね、見捨てちゃった、だから、メイドちゃんが私を恨むのは当然だからね?嫌ってくれてもいいからね?だから、死を選んだりしないでね?」
力いっぱいお母さんの日記を抱きしめながら辛そうにしている。
ぐっとメイドちゃんが私の腕の中から抜け出て姫様の前に出て、目線を合わせる様に膝をついて姫様を真剣なまなざしで見つめる
「…するわけないじゃないですか、真相がしれただけでよかったです、私は貴女を恨みたくなかった、貴女の傍に居たかった、でも、もしかしたら、姫様は底がしれないから、どんな知略策略謀略で、もしかしたらってずっとずっと頭の片隅でもやもやしてたんです、真相を知れてよかったです、これで心の底から貴女を信じて、仕えることが出来ます。」
その言葉に照れながらも嬉しそうにしている、心なしか腕の中にあるお母さんの日記も頬んでいるような雰囲気を感じる。
「ありがとう、今後も頼りにさせてもらいますからね」笑顔でメイドちゃんに言葉を投げかける
その言葉にメイドちゃんも元気に「はい、頼りにしてくださいね」笑顔で応えていた
よかったよかった、私、すっごい蚊帳の外だけど、この場にいてもよかったのかな?
そんなことを悩んでいるとメイドちゃんがこちらに戻ってきて胸に顔を押し付けて「心が辛いんです抱きしめてください」抱き着いて甘えてくるので
甘えさせてあげた、その姿を見て姫様が「しばらくは、甘えてもいいけどー、団長は男の人が好きだからねー?その道は茨だよー?」ニマニマと笑みを浮かべながら何か言ってる。
メイドちゃんがそっちの人なわけないよねー?…ないよね?どうして返事をしないの?絶対に聞こえてるよね?
それを考えて発言すればいいのね!……やっぱりあれかな?純粋に大穴に対抗するための人数が減るからかな?
「理由は簡単、他国、えっとね、この大陸じゃない他の大陸にある国に純粋に力をつけてもらいたくないからよ、だって、大穴を相手取りながら人からも攻撃されてしまったらどうしようもないじゃない」
それって、大穴からも他の大陸からも同時に攻めてこられる可能性が高いってこと?人ってそこまで愚かなの?
大穴の獣を倒しきらない限り人類に未来は無いんだよ?どうしてそれがわからないの?…人って愚かじゃないよね?争うべきときじゃないってわかるよね?
「うん、団長の考えていることが一番だよ、言わなくても伝わってくるよ、人類一丸となって脅威に立ち向かわないといけないのは当然だよね」
その発言に大きく頷く女将にベテランさん…と、メイドちゃんも反応するの?なんで抱きしめる力を強くするの?ねぇ?本当は起きてるでしょ?おでこをこすりつけないの。
悲しそうな声で投げかけられる言葉
「でもね、失われた負の50年って知ってる?」
始祖様が月に帰ってから50年の間に起きた、大陸全土で発生した災害だよね?詳細は諸説ありすぎて何が何だか?
「未曽有の大災害で多くの人を失ったって言われる、死の50年?」
もしかしたら、姫様なら本当の理由を知ってるのかな?
「そう、その死の50年、もう一度、聞くね、どうして発生したか知ってる?」
災害でしょ?…ぁ!!そっか
「獣の軍勢!!」始祖様がいってたじゃない!いずれ獣の軍勢がやってきて蹂躙されるかもって!!
どうやら答えがあってるみたいで姫様もにっこりと笑っている!!やった!
「獣軍勢は、正直、一瞬で蹴散らされて災害にはなりえなかったの、本当の地獄はそこから先だったの」
…?ぇ?災害を退けたの?誰が?
「始祖様から授かった子供達、それはもう、私達が全員、ううん、全盛期の歴代の猛者たちが集まったとしても、その一人にすら敵わない、絶対的強者として生まれてきたの」
そんな凄い子供たちがいれば、大穴なんて簡単に制圧できるはず?…どうしてそれが行われなかったの?
「いま、疑問に思った内容、人類生存を第一に考える団長だったら辿り着くと思ってたよ、うん、あの人から授かった宝である子供たちが今も生きていれば、大穴の制圧何て容易かったと思うの、でもね、それが行われなかったの、だって、」
戦争が起きたから
授かった子供達を利用して政権争いが発生したの、それも、この大陸全土で、夢を持っちゃったんだよ、あの神にも到達しうる存在の子供
当然、幼いうちから頭角を現して、今までの常識全てを覆すほどの力に魔力、魅せられてしまったのよ時の権力者に至れる未来に。
夢に酔いしれてしまったの愚かにもね、儚い儚い夢に溺れてしまったの、この大陸にいる多くの権力者たちが一斉に夢をみてしまったの、歴史に名を残せるチャンスに自分の身の丈にあっていない大それた夢を…
世界征服っていう、夢をね、抱いてしまったの、各町にいる領主たちが…
そこからはもう、大戦争
あちらこちらで地形が変わるほどの大戦争、街は吹き飛び、山は砕かれ、湖は枯れ葉て、森は消え、海は吹き飛ぶ。
その攻防は当然、この死の大地でも行われて、死の大地に着々と生み出されていた獣たちは巻き添えで吹き飛ばされ、大穴に潜んでいた敵もそれをみてきっと、より深く大穴に潜ったのだと記載されているの。
大暴れするついでに大元を仕留めてくれていれば万々歳~だったのにね~。うまくいかないね。
当時のね、状況を他の大陸の人達も遠い遠い場所で隠者を送って観察を続けていたみたいで、しっかりと記述されていたし、暗躍もされていたの
身内同士で争い続けて滅ぶように、ね…
その言葉に、メイドちゃんがぎゅっと太ももを掴む手の力が強くなる。何か思い当たる節でもあるのだろう、辛そうな感情が伝わってくるので頭を撫でてあげる。
この大陸における歴史の中で、きっと類を見ない、最初で最後の大陸全土が焦土となりかねない大戦争のあとはもう、大変だったみたい。
それらの復興に尽力を尽くしたのも、今の王都に王族、だから求心力があるのよね、あの地獄から様々な街を復興して人類が生きる為に尽力をつくしたから。
それにね、その大戦争に王族血筋は戦闘に殆ど参加しなかったから、多くの始祖様の子供が失われたけれど、王家に連なる者たちは多くの始祖様からの宝を持ち続けたことになる。
だから、王家の血筋は秘宝って比喩されたりするの。
今はもう、始祖様の血も薄くなっちゃって特別視するほどじゃないんだけど、誰よりも血が濃いのは確かだよ。
「まぁ、そんなわけで、この大陸はね、ある意味呪われているの、大穴に潜む人類滅亡を企む、人類の敵が住んでいるわ、その災害を退けた神からの使いである始祖様の宝玉が大暴れするわ、他の大陸から虎視眈々と狙われてたり…ね?よく今まで生きてこれたと思うよ…ほんとうに」
他にも、人類が犯してきた様々な過ちをいっぱい知らされて、女将もベテランさんも疲れ果ててしまって、後日、改めて時間があるときに質問を受け付ける約束をした後、二人は部屋から出ていった
姫様もベッドから立ち上がって、お母さんの日記を手に取り悲しそうな顔をする。
「メイドちゃんは、何処まで知っていたのかな?」
私の太ももにずっと抱き着いていたメイドちゃんがすっと起き上がって、ベッドから降りてドアの方に向かっていく
ドアの近くまで歩いていくとくるりと、向きを変えてこちらを見る、一瞬だけ真剣な表情をした後、直ぐに悲しそうな顔をする
「…全部、知ってます。私達の一族はこの大陸を監視することを目的とした一族だからです、姫様こそ、何処まで調べたんですか?あと、何時調べたの?」
姫様と一緒にずっと一緒に行動していたからさっきの話を知ってたってこと?
にっこりとお道化る様にくるりとその場でまわりながら話し続ける
「貴女からの告白を受けて、瞬時に調べさせていただきました、念のため、ね、元々、害はないと思っていたけれど、この先に待ち受ける、大変な時に何かされたら嫌だなぁって思って、でもね、調べた結果、そんなに脅威でもないから、それよりも優秀な貴女が傍にいるほうが利益が大きかったから利用させてもらいました、その分ちゃ~んとお給金だしてあげたから許してね♪」
とまると同時にウィンクをして、んべっと舌を出してお道化る姫様
「・・・・その辺はすごく助かっています」
きゅっと服を握りながら斜め下を見つめ、暗い表情をする
そんな暗い表情のメイドちゃんに向かってゆっくりと歩きながら
「それにね、貴女が私に申し出てくれたあの一言で、私は貴女を信じ切るって決めたから、じゃないとこんな場所に入れさせないよ、あんな一芝居をうって勇気を出してはいってきてもらったのに、ね。普通にノックして入ってきても受け入れたよ?私」
メイドちゃんのすぐ近くにまで、手が届きそうなくらい近くまで歩み寄る
「メイドちゃんはどうしたいの?…」視線をずっと下に下げているメイドちゃんを覗き込むように近づいていく。
「…」服を握る手の力がどんどんと強くなっていくメイド服が大きく皺になるほど
「…わたし、知りすぎました?ころ」「すわけないじゃん!私をその辺のどうしようもない人たちと一緒にしないで!心外だなぁ!!」
その言葉にメイドちゃんは驚きながら正面を見る「さっきも言ったけど、些事も些事!!メイドちゃんがどんな報告をしようが私にとっては些事なの!それにね」
もう、本国と連絡とれないんでしょ?
その一言にメイドちゃんの瞳孔が開き服を握っていた手を離し手刀にし姫様、めがけて突き出す
「どうしてそれを!返答によっては!」ギロリと睨みつける、どうやら、メイドちゃんの本国は…もう・・・
「あっちゃーカマかけたらガチじゃん、もぉー最悪だぁ、予想が外れてほしかったーーー!!!」
ぺたりとその場に座り込む姫様、そのあどけない仕草にメイドちゃんはまたまた驚いた表情をしている。
「ぇ?どういうことです?」姫様の言動が理解できないのか驚きを隠せれていないし、動揺もしている。
姫様は、椅子に座りなおすと
「…メイドちゃんの言動がちょ~っと甘えすぎなところがあってね、んん?何かあったのかなぁ?って気になっててさ、思い返してみると、たぶん、あの日を境にかな?だから、やっぱり、海を渡った先にある、獣に滅ぼされた、あの街の奥にある大国も無事じゃなかったって、ことだよね?」
その言葉を聞いたメイドちゃんが失態をしてしまったと悔しそうな表情をしている。
「…誘導尋問に引っかかったってわけで、姫様も知りえなかった情報ってことですよね?」失敗したなぁっと困った表情で冷や汗を浮かべている
「そだよ?気にはしてたの、でも、海の街を滅ぼしたのは毒のあいつだと思っていたからさ、まさか、その奥にある大国には手を出してはいないだろうなぁって思ってたけど、その反応からすると…ぁーあ、これってさ、最悪の出来事が始まってたってことだよね?」
姫様がお母さんの日記をじーっと見ながら語り続ける。
「確認です、その、姫様の何かしらの私が知りえない術で私の国を」今にも泣き崩れそうなメイドちゃんの質問に姫様は
「できるわけないじゃ~ん、この街を維持して、人類の未来を勝ち取るために精一杯だってーの、近くにいるんだから知ってるでしょ~?私がいつだって後手に回ってていつも、一手遅いの…」姫様の目から涙が伝っていく、きっと、今まで守れなかった人たちのことを思い出してしまったのだろう。
私もベッドから立ち上がって姫様の頭を撫でてあげる、そして、今にも崩れてしまいそうな子の近くに歩み寄る
そっとメイドちゃんを抱きしめて背中をぽんぽんっと叩くと大きな声で泣き出す
今まで誰にも打ち明けられなくて我慢するしかない感情の波をずっと抑えてきたのだから、辛かったでしょうに。
だから、最近、甘えてくるなぁって接触おおいなぁって思い返せば、そうだよね~、姫様に言われるまで気が付かなかったよ。
そっか、メイドちゃんって他の大陸から来た人だったんだ。
泣きじゃくるメイドちゃんをあやしながら、どうしても気になることがあるので聞いてみる
「ねぇ、姫様、もしかしなくても何が滅ぼしたのか予測できてる?」
「うん、確証を持ちたくなかったけれど、やっぱりそうとしか考えられない」お母さんの日記をぎゅっと抱きしめながら眉をひそめ
獣は、たぶん、世界中のどこにでも移動できる、海を安全に渡れる方法がある。
始祖様が発見して討伐しなかった、海の獣
どうやって渡れているのか、こんなに警戒して探していたのに見つけれなかった、だから、始祖様が見つけてはいたけれど、その獣は戦闘タイプで、運搬する能力は無く
何処かでひっそりと息を潜めていて時が来たら戦いに参加するのかな?っとか、大海を渡るときに襲ってくるのかな?っとか
考えていたんだけど、頭の中に思い浮かんだ、ある最悪のシナリオもあってさ、それがその
最悪の最悪の予想、そいつが活動再開したら、大穴から戦力を集めて、他の大陸に渡って、警戒していないこっちの大陸に比べてひ弱な人類を襲わせて、人類滅亡へと駒を進めていく。
その最悪が当たっていたってこと、はぁもう最悪…もう、この街以外
安全な街なんてないってこと…
違和感はあったの、墓参りにいったときにさ、デッドラインまで近寄ったじゃない?死の大地でも群を抜いて危険な場所なのに敵が少なすぎたし、最近、遭遇率が低すぎるし、
兆候はあった、でも、私も手がいっぱいいっぱいで、この先に備えてどうしても、作らないと人類が滅ぶ可能性が高いから、その設備を優先しちゃったの
「だからね、薄々は気が付いてたの、メイドちゃんの国も危ないって、でもね、見捨てちゃった、だから、メイドちゃんが私を恨むのは当然だからね?嫌ってくれてもいいからね?だから、死を選んだりしないでね?」
力いっぱいお母さんの日記を抱きしめながら辛そうにしている。
ぐっとメイドちゃんが私の腕の中から抜け出て姫様の前に出て、目線を合わせる様に膝をついて姫様を真剣なまなざしで見つめる
「…するわけないじゃないですか、真相がしれただけでよかったです、私は貴女を恨みたくなかった、貴女の傍に居たかった、でも、もしかしたら、姫様は底がしれないから、どんな知略策略謀略で、もしかしたらってずっとずっと頭の片隅でもやもやしてたんです、真相を知れてよかったです、これで心の底から貴女を信じて、仕えることが出来ます。」
その言葉に照れながらも嬉しそうにしている、心なしか腕の中にあるお母さんの日記も頬んでいるような雰囲気を感じる。
「ありがとう、今後も頼りにさせてもらいますからね」笑顔でメイドちゃんに言葉を投げかける
その言葉にメイドちゃんも元気に「はい、頼りにしてくださいね」笑顔で応えていた
よかったよかった、私、すっごい蚊帳の外だけど、この場にいてもよかったのかな?
そんなことを悩んでいるとメイドちゃんがこちらに戻ってきて胸に顔を押し付けて「心が辛いんです抱きしめてください」抱き着いて甘えてくるので
甘えさせてあげた、その姿を見て姫様が「しばらくは、甘えてもいいけどー、団長は男の人が好きだからねー?その道は茨だよー?」ニマニマと笑みを浮かべながら何か言ってる。
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