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おまけ 幼い自分から旅立つ日

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うんしょっと今日も、井戸から水を汲んで、桶に入れて、運ぶ。
運んでいると、お隣に住んでいる昔からの友達で、頭が坊主で、家業は牛飼いとか、農作をしている男の子が近づいてくる。
なんだろう?手伝ってほしいことがあるのかな?この間、手伝いは当分、大丈夫っていってたよぅな?あ!あれかな?
最近、この辺りである噂がずっと話題になっているの、王子様が何か準備をしてるっていう噂ばっかり。

今日もその話かなって思っていたら違ったっていうか、違わないのかな?
「今日が出発らしいんだ!一緒に見に行こうぜ!がいせんぱれーどってのするみたいなんだぜ!!」
目をキラキラ輝かせて誘ってくれるのは嬉しいんだけど~…お仕事あるからなぁ、王子様に興味ないなぁ…

悩んでいたらお母さんがお家の中まで声が聞こえていたのか
「お小遣いあげるから行ってきていいよ!!帰りに出店も出てると思うからみんなとたまには遊んできなさい」
窓からお小遣いの入った袋を投げられたので慌てて両手がふさがっている僕の代わりに友達がキャッチする。

「ありがとう!桶の水を入れてくるから待ってて!」
友達にお礼を言って、急いで桶の水を水壺の中に入れて戻ってくると友達も友達のお母さんからお小遣いをもらったみたいで喜んでいた
二人で駆け足で向かっていると、近所の子供達が次々と集まってくる、みんなの目指す場所は一緒みたいで、気が付けば近くの住んでる子供たち全員集まってきてた。

あ!あの人もきてる!挨拶しよ、うん。やめとこう…近寄らないでおこう…
昔からよく遊ぶ友達のグループの中でね、一番優しくてね、みんなのまとめ役とかしてくれる人なんだけどね、一緒に見て回りたいけどさ
今日は、いいや、だって、隣に近所で一番かわいいって有名な子と一緒にいるんだもん。邪魔しちゃ、いけないもんね…

坊主の子が腕を引っ張ってくる、「あっちのお家のさ、2階に行くための階段が子供達でも見やすい高さだから」って案内してくれる。
気が付くと、みんな各々で見やすい場所を見つけて場所取りが終わってて僕だけがまだ、場所取りが終わってなかったみたい。

場所取りも終わって、パレードが始まるのを友達といつもみたいにあほみたいな事でじゃれあって待っていると、周りの人が声を上げたのでなにかと耳を澄ますと
どうやら、王子が王国の精鋭たちと一緒に出発するみたい!!

大きな大きな歓声の中で鎧に包まれた人達が王国の門に向かって歩いていく、あの門の先は、ぁ、お父さんがいる街に向かう街道だ!
そっか!王子様が騎士様達を連れて始祖様と同じように人類に仇名す敵を倒しにいくんだ!ぁ!凱旋パレードってそういうことか!!

いろんな場所でピューピューっと口笛が聞こえて、拍手が鳴りやまなくて、色んな花弁が空中を舞っている!すごく綺麗!!

僕もがんばってー!っとか、応援してるー!っとか、周りに合わせて声を出す。
友達も一緒に叫んでいるけどなんて叫んでいるのかわからない言葉だった。

喉が痛くなるまで叫んでいると、一際大きな大きな馬車が前を通った、お馬さんも四頭で引いている。
きっと、あの中に王子様がいるんだぁって思って馬車の窓に注目するんだけど、カーテンがかかっていてよくみえない。
でも、窓から手を振ってるのだけは見えた!

王子様が敵を滅ぼしてくれたらお父さんもずっと、家にいてくれるから楽しみ!!毎日、家にいたらお小言ばっかりじゃなくて遊んでくれるよね?
楽しみー!!僕も周りの子が自慢してた、お父さんと一緒に釣りにいったり!果物とか野草とか採りに行きたかったの!!楽しみだなぁ。
たまに、医療の本とかおねだりしたのを買ってくれるけど、もっと一緒に遊びたいなぁ。

王子様が門を通って見えなくなるまでみんなで見届けたら、いっぱいいた人たちも何処かにいっちゃった。
でも、近くに屋台とかいっぱいでてて、坊主の子と一緒に屋台でたっぷり遊んだよ!
劇とかもやるみたいだから、屋台で買った飲み物を片手に椅子に座って待っていたら、近所のみんなも聞きつけてきたのか全員が集合してた!

劇のないようは、始祖様のお話だった!よくお祖母ちゃんが呼んでくれた絵本の内容だった!
あちこち違うのは、きっと色んな始祖様の絵本が出てるからそのどれかなんだろうなぁ…

始祖様って槍使いだよー?剣なんて使わないもん。まったく!そこはちゃんとしてほしかったなぁ!!

帰り道にあの劇のあれって違うよなー!っとか、あのシーンかっこよかったよなー!っとか話題は王子様のことよりも、劇の内容ばっかりだった。
だってさー、王子様の手しか見えなかったし、騎士様達の姿も鎧兜が見えただけで、ほとんど見えなかったんだもん。話題にしようがないよー!

お家に帰ってくると、お母さんが裁縫室で、両膝をついてお祈りの姿勢でずっと祈りを捧げていた。
珍しい、お家で祈りを捧げるなんてしたことないのに?なんでだろう?

集中してるみたいだったので、二階にあがって絵本を読むことに、最近、むつかしい文字も読めるようになったから、お祖母ちゃんが始祖様の絵本、全部貸してくれたんだ!
絵本を読んでいたらお母さんも祈りが終わったのか2階に上がってくる
「あら、帰ってきてたのね、楽しかった?」
読んでいた絵本を閉じてお母さんの近くに行ってパレードのことをいっぱいいっぱい伝えると
楽しそうでよかったわっと頭を撫でてくれた。

それから、毎日、朝と夜はお母さんがずっと祈りを捧げていたから僕も一緒に傍で祈りを捧げることにした。

どうも、お母さんは集中できていないみたいでお洋服を作る手も止まっていてずっと、そわそわと落ち着きがなかった。
急ぎの仕事も無いみたいだし、大丈夫だと思うけれど、何でそんなに落ち着かないのかな?

家にいるとお母さんがずっとソワソワして落ち着きがないので、昼はお外で遊んだり、本を読んだりして過ごしてたの。
そんなことをね、坊主の子に、相談してみたら、
「お前んとこのとーちゃんも一緒に戦うからじゃねぇの?」っと鼻をほじりながら言われて気が付く!
そうだよ!お父さんもきっと王子様と一緒に戦いに出てるはずじゃん!お父さんいっつも自慢してたもん
「父さんはね、あの街で一番強いんだぞ!」って、一番強い人が一緒に戦いに行くのは当然だ!

ぁ、だからお母さん心配で心配で気が気じゃないのか!

それじゃ、今僕にできることは、お母さんの代わりに出来ることをしてあげないと!
友達にお別れの挨拶をして家に帰ると、お父さんのお洋服をじっと抱きしめながら動かないお母さんが居た。

お母さんが家の事しないのなら僕がすればいいだけの話!僕だって料理の一つや二つくらい出来る出来る!
台所で料理を作ろと材料を探してみると、ろくな材料がなかったので
お隣に住んでいる坊主の家に余った野菜とかないかなーって尋ねに行くと友達のお母さんが「これ持っていきな!」って、シチューの入った鍋ごと持たしてくれた。
こんないっぱいもらえないよって言うと、「いつも手伝ってくれてるお礼!たまには甘えておくれよ!」といいからもっていきなさいって背中を押し出された。

僕も、お母さんも、はんぼうき?っとか、お仕事がいっぱいっぱいじゃないときで、手が空いてるときは一緒に畑を耕したり、牛さんの乳しぼりとか手伝ってるだけなのになぁ。
毎日手伝ってるわけじゃないのに、それによく牛乳も、お手伝いした時にもらったりするのに…いいのかな?こんないっぱい。
お鍋を抱えて家に戻ってくると、お母さんはまだその場で動かないでじっとしてた。

お鍋を温めるために薪をくべて火をつける。

シチューが温まってきていい匂いがお家にいっぱいに広がるとお母さんがキッチンに顔を出してきた
「あなた、それどうしたの?」
うん、そうなるよね、事情を説明すると
「お隣さんにお礼をいってくるわね」
トントンっと階段を下りてお隣さんのお家までお礼にでかけていった。

そんな毎日が続いて、王子が出発してからえっと、ん?2週間たったのかな?どれくらいたったっけ?
いつもだったら、お爺ちゃんの家に勉強に行くんだけど、最近は長いことお爺ちゃんのお家にいってない、何か仕事が大変みたい。

家の手伝いもないから、最近はずっと、朝はお隣さんの畑を手伝ったり、近くで畜産をしているお家の豚さんのお世話したり、野菜の収穫を手伝ったりして過ごしている。
お手伝いが終わった後は、お爺ちゃんの家でしていたようなトレーニングを一人黙々と行っていく。

お母さんはどんどんと部屋からでなくなってしまった、家のことは僕がすればいいし、周りも気を使ってくれて色々と差し入れしてくれたりするので、なんとかなってる。
お金もお父さんがいっぱい稼いでくれているみたいでたぶん、大丈夫だと思う。

ふと、トレーニング中に遠目で、この間、色々と相談された人が女性の人と仲良さそうに手を繋いで何処かに歩いていくのが見えた…
どうして、こんなにも胸が痛いんだろう…わかってる、僕、あの人が好きだったんだ。
初恋ってやつなのかな?なんてね、これで何回目の恋かな?だんだんと恋がどんな感じなのかわかんなくなっちゃったかも…恋は全部、胸が痛いだけだからしたくないのになぁ…
パレードが始まる結構前に相談されてさ、まさか、パレードまでに、もう仲良くなってるなんて思わなかったなぁ…

良い時間にもなってきたので、お夕飯を作らないといけない。トレーニング道具を置いて玄関に向かっていくと、
馬車がこっちに向かって走ってくるのが見えた、昔からよく見ている馬車だから、その馬車がどこに向かっているのかすぐにわかる。

お爺ちゃんのとこで使われてる馬車に執事さんだ。
何事かと待ち構えていると執事さんが今まで見たことのないくらい辛そうな顔をしている。
声をかけようとしたら玄関が隣近所まで聞こえるくらいの大きな音を出しながら開く。
「…ぁ」
お母さんがすごい勢いで出てきたと思ったら執事さんを見て泣きそうになっている…
僕もこの只ならぬ雰囲気から嫌な予感しかしなかった。

二人で何も言わず馬車に乗りこむと、馬車が悪路とか関係なしに馬を走らせる。
言わなくてもわかる、お父さんに何かあったんだ。

馬車の中では誰も話そうとしない、お母さんも自分の服をぎゅっと握りしめてずっと俯いている。

僕は、こんな時にどんな顔をすればいいのか知らないし、どんな風に声をかけたらいいのか教えてもらっていない…
お父さんは肝心なことは教えてくれなかった…

お爺ちゃんの家に着くと、馬車から降りて案内された場所にいくとテーブルを中心に親戚一同が集まっていて、テーブルの上には

折れた片手剣が置かれていた。

お母さんがテーブルの前に立ち、片手剣を持ち上げると大きな声で泣き崩れた、お母さんの周りにお祖母ちゃんたちが集まり、肩を抱き寄せ一緒に泣き始めた…

その後は、葬儀も何もなく、ただただ、何事もなく日々が過ぎていった。
葬儀がない理由?遺体がないんだ。後日、骨だけが届けられた。
どうやら、向こうの街で葬儀が行われたみたい…
お父さんの装備はお母さんが受け取りを全部断っていた、理由は知らない。

ずっと、塞ぎ込んで夜な夜な独りで泣いているお母さんを、僕は……どうやって慰めればいいのかわからない、僕が出来るのは
お母さんの代わりにお金を稼いだりするくらいしかない、だって、頼りになるお父さんはもういないんだ。

元々、興味があった医療の本を読みながら、体も鍛えていく。医療の本はお爺ちゃんの家にあったやつを借りて読んでいる。もう、お父さんが買ってきてくれることはないから。
お爺ちゃんが、お家においで独りでは辛いだろうとお母さんを誘ったりするのだけど、お母さんはこの家から離れたくないそうだ。
代々、お母さんの一族が受け継いできた仕事に家、それに、お父さんとの思い出が詰まったこの場所から離れたくないそうだ。

ある日、初めて見る綺麗な女性が家に尋ねてきた…初めてのはずなんだけど、どうしてかわからないけれど、何処かであったことがあるんじゃないかなって思ってしまった。
その日は、お爺ちゃんの家で勉強があるので、お母さんを独りにするのは不安だったけれど、お爺ちゃんやお祖母ちゃんが言うには、一人になる時間も必要だろうって。

僕はその言葉を信じて馬車に乗り込んでお爺ちゃんの家にいく。

お母さんとよく知らない人を二人っきりにしてしまっても良かったのだろうか?ずっと馬車の中で悩んでも答えが出なかった。
きっと、お母さんの遠い知り合いだと思う、悪い人じゃないと思う、だって、身に着けている服もすごく洗練されていてお化粧とかもすごく綺麗だった。
もしかしたら、お母さんのドレスを購入してくれていたお得意さんかもしれない。

不安も入交ながらお爺ちゃんの家に行く。
お爺ちゃんやお祖母ちゃんにお母さんの様子を教えてほしそうにしていたので現状を伝えると悲しそうにしている。
金銭面でも何でもいいので、頼りにしてほしい、何かあれば絶対に守るから何でもいいので相談をしてほしいっと全員から懇願された。
今、家にお金がどれくらいあるのかは僕も知らない。とりあえず、言われたことを伝えようとは思う。

お爺ちゃんの家でのトレーニングと勉強も終わって、家に帰ると、昨日見た知らない女性の姿はなかった。
泊まりに来たってわけでもないみたい、お母さんはどうしてるかな?家に入っていくとお父さんの服を抱きしめながら泣きじゃくっていた。
昨日はご飯食べたのかな?キッチンを見てみると昨日家を出るときから何も変わっていなかった。
慌てて何か作ろうと思って食材を見るけど何もない…

お隣さんのところに行って何か野菜とか、食材が余ってないか慌てて聞きに行くと、この惨状が周辺には伝わっているみたいでお隣のお家にはいろんなお家のお母さんたちが集まっていて、何でもいいので頼りにしてほしいっと涙ながらに手を握られた。

この周辺の人達は昔から貧しくても支えあって生きてきた。
貴方達、一家にも私たちは全員、数多くの世話を焼いてもらっている、ずっとみんなで支えあってきたの、貴方のお祖母ちゃんにもお世話になってきたの。
惜しい人を亡くしたけれど、あれはしょうがないのよ、防ぎようのない事故だったのだから。

悲しみの連鎖を止めれるのなら止めてあげたい、でも、私達じゃ出来ることが限られている、だから、些細なことでもいいから頼ってほしい。
皆の熱い気持ちを受け取ってありがとう、そんな言葉しか出てこなかった自分の学のなさに情けなくなりながらも、野菜などをみんなから受け取り
急いで帰ってご飯の支度をした。

貰った今日とれたばかりの牛乳を温めてお母さんに渡しにいく、涙で目も腫れあがっていて、衰弱しているお母さんにそっと温めたミルクを渡すとゆっくりと飲み始めた傍にいてあげたいけれど、先にご飯を用意しないと。

私が傍から離れるとまた鳴き声が聞こえてきた。

料理を作りながら初めてお父さんを罵った
気が付くと私も涙を流しながらお父さんを心の底から罵ってしまった。

どうして、死んでしまったのか、お父さんだったらわかるでしょ!お父さんが居なくなったらお母さんがどれだけ悲しむのか!!知ってるでしょ!!
なんで死んだの!?どうして危ない街にいったの!?なんで!!

料理が出来ると同時に涙を封じ込める、私が泣いているとお母さんも辛くなる!!
今だけでもいい!私の心を鋼のように固くして!気丈にふるまうの!!

そこから、半年?一年?ずっとお母さんは塞ぎ込んでいた、仕事もするけれどすごく遅かった…
なので、オーダーメイドの特注品はしばらくは受けないで依頼は断る形になってしまった。
依頼主もお母さんの惨状を理解してくれて、今の状態で華々しいドレスなんて創れないだろうとご理解をいただけたので、お母さんがいつも通りになったら発注してくれることに。

この間の、お母さんの創るお洋服はすべて、何処かしら悲しみや絶望の雰囲気をまとっている。
一部のお母さんのコアなファンは恐らく、一生このような愁いを帯びた作品は生まれないだろうと言って嬉々として高値で買ってくれた。

そのおかげもあって、生活が金銭面で困ることはなかった。
私も出来る限りの仕事をあちらこちらで手伝ってお金を工面しているので問題はなかった。

一番の不安が、お母さんが突如、何処かに消え入りそうで、私を置いてこの世を去りそうで怖かった。
お爺ちゃんからお誘いを受けたけれど、家から離れる勇気が持てないってことで、迎えに来てもらった執事さんに悪いけれど毎回断っている。
執事さんがお爺ちゃんからお金を預かっているからっと、渡そうとしてくれるけど、お金は受け取れないよ。
生活に困ったらちゃんと助けてほしいっていうから、今は大丈夫と断っている。

お母さんと私だけの二人だけの生活、お母さんは少しずつ笑ってくれるようになったけれど、笑顔がぎこちない。
少しずつ、少しずつだけど、私の中でふつふつと湧き上がる感情があった、認めたくない感情。
お母さんをこんな気持ちにさせてしまったやつが憎くて仕方がなかった。

お父さんを殺した存在が憎かった、許せなくなっていた、どんな手段でもいいから復讐したくて仕方がなかった。

お父さんが月の裏側にいってから、2年?そうか、もうそんなに経つんだ。
私の体もどんどん大きくなった、もっとお父さんに似て筋肉が大きくなるのかなって思っていたけれど、お母さんよりも気持ち大きいかな?ってくらいだった。
いっそのことお父さんみたいに筋肉が膨れ上がってくれた方が吹っ切れてよかったのに…

私の体が憎い、お父さんを殺した奴が憎い、お母さんを悲しませたやつが憎い…

お母さんもあの時からすごく痩せてしまった。
殆ど肉が無くて、骨と皮だけみたい。

栄養のある物を食べさせたいから色々と市場で買って料理を作るけれど、食欲がないみたいであまり食べてくれない…
一年ほど前ぐらいから、お母さんが私は大丈夫よ、貴女のしたいことをしなさいって背中を押してくれた。

独りにしても大丈夫なのか何度も念を押すように確認して、ご近所さんに私が居ない日はお母さんを見ていてほしいとお願いして。
私は私の目的の為に動こうと決心する。
その為に、お爺ちゃんにお願いして色んな勉強を見てもらっている。

術式に長けている王宮の一族の人に頼んで術式を学ぶ
医療の知識をもっともっと知りたいので王宮御用達のお医者様から医療の知識を学ぶ
いざ、戦闘になったときに備えてお爺ちゃんから戦闘のイロハを学ぶ

学べば学ぶほど、私の中にある殺意が膨らんでいく。

お爺ちゃんはいつもいう
「絶対に命を投げ出すようなことはしないように」
わかってる、絶対にそんなことはしない。だって、あいつらを一匹駆除した程度じゃ、ダメ。
根本を、根元を根こそぎ駆逐しないと終わらない。

悲しみの連鎖は終わらない!!

殺してやる!絶対に殺してやる!!私達から幸せを奪ったあいつらを許したりするものか!!!

15になったときに、お爺ちゃんにお願いした。
お父さんと同じように僕もあの街で死にたいって

頬を全力で叩かれた…

頬を叩いたお爺ちゃんが悲しそうに
「この程度の攻撃が避けれないようじゃお前は闘いに向いていない。」
暗に諦めろって言いたのだと思う。わかってる、私も長い間、お爺ちゃんに指導してもらったからわかる。
私の中途半端な肉体じゃ限界だと、どう頑張ってもお父さんを殺したやつをこの手で殺せるとは思えなかった…

「わかってるよ!!戦士としてはいかない…医療を扱える人としていきたい、あそこで怪我した人を命がけで助けるんだ」

その結果、巻き込まれて死んでも悔いはない!!私がこの手で助けた人が!私の代わりにあいつらを駆逐してくれるのなら私の復讐はそこで完結する!!

全力で叫んだ、全力で涙を流した、全力で想いをぶつけた

お爺ちゃんもわかってくれたみたいで、
「戦士としての才能は残念ながらお前にはない、だけど、母親と共に研鑽した縫合技術によって培われた指先の器用さ、持ち前の頭の良さ、医療班であれば確かに、お前は輝くだろう、だが、お母さんはいいのか?」
良くないよ、たぶん、私があの街で死んだらきっと、お母さんは静かに自分の人生に幕を下ろすと断言できる。
それでも!私の中にくすぶり続けて我が身をも焦がし焼き尽くそうとするこの感情をぶつけない限り私の心が先に燃え尽きて死んでしまう!!

私が黙っているとお爺ちゃんが
「…全力で俺らが彼女を見守り支えよう、それが愚息の想いであると…わしも思うさ、行ってきなさい。きっとあいつが生きていたら孫ちゃんを引き留めるなんて愚行をしてしまったら怒られてしまうな…せめて、向こうでは笑えるようになるんだぞ、あいつは復讐を望んではいないだろうからな」
ぎゅっと私を抱きしめてくれた…その優しさに私も涙が止まらない…


16になったとき、私は、僕に戻り、前に進む、お母さんは悲しそうに見送ってくれた。
安心して、絶対に死ぬような愚かなことにはならないように全力を尽くすよ。

行こう、お父さんの魂が眠る大地へ
僕は、僕のやり方で復讐する!生涯の目的、目標としては、あいつらを完全に駆逐し、お父さんの無念を晴らす。
その全てが終わってから、僕は私になればいい。

お父さん、もし、まだ月の裏側にいなくて、傍にいるのなら見守っててください。
貴方の、息子、娘は…死の大地に向かいます。導いてください…私の、僕の夢、願いをすべて叶えれるように…

それは、さすがに、強欲すぎるか…どれか一つでもいいよ、っていっても、第一前提にあいつらを駆逐しないと私の夢は叶わないから。
あいつらを滅ぼす願いだけでいいから叶えてね…
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