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とある人物が歩んできた道 ~弱くなったときが狙い目~
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長引く会議で全員が絶望に包まており、あの騎士様ですら天を仰いでしまう。
天を仰いでいる騎士様にちらりと視線を向ける、その姿を見た影響で脳裏にある映像が流れる、脳に浮かんだ夢物語が現実味がなさすぎて、心の中で笑ってしまう。
っふ、人間は耐え切れないストレスに晒されると、逃避行動を取ることがあるって先輩から教えてもらったけれど、私の脳が起こした絶望のあまりに見せたストレスから逃げるための幻惑逃避行動、脳内で有り得ない夢を想い描いてしまう。
二人だけで全てを忘れて全ての責任を放棄して、二人だけの愛を求めてこの大地から逃げるっという有り得ない夢を描いてしまった。
他の大陸では、大穴の獣がいないって噂がありますし、逃亡したくなる気持ちもわかります、けれど、それが出来ない、騎士様なら家族を優先するだろうからって?
それよりも現実的に考えて絶対に不可能な理由があるの、
だって、大陸から出ようとしたら反逆罪で殺されますもの。
大陸にある、大きな港町、その全てに置いて、王国の騎士達が見張っています。
街や村を守るという体裁で常駐している兵士諸君、港町を管轄する領主諸君が陰ながら王族から直々に勅命されています。
貴重な、戦力であり、国力でもある、人材がこの大陸から逃げない様にと、
徹底的に見張られています。
歴史の中で逃げなかった人はいないのか?当然、います。
亡命しようとして自力で簡易的な船を作って逃げようとした人達がいますが、当然、逃げきれずつかまってしまい。
見せしめの為に残虐な殺され方をしています、公衆の面々がいる場所で打ち首となり、交易の為に通らないといけない道筋に晒し首となって見せしめの刑になった黒い闇の歴史があります。
なので、この大陸に産まれた人類は誰であろうと逃亡は許されません、逃げれば世界中から非難されてしまいますので、大陸中の人類一丸となって大穴から人類を守りましょう。
そう、ある意味、世界中から人類の敵を殲滅しろという期待という名の呪いを背負わされているのよ、この大陸は…
現状、王様の威光があるので、逃亡する人は殆どいないし、この街が機能している限り他の街も王都も平和そのもの、だもの。
だから、命がけで亡命しようなんて無謀な賭けに出る人は少ない…完全に居ないっと言えない辺り、獣に蹂躙される未来に恐怖してしまう人は一定数いるのよね。
貴族たちの愛でだけど、噂では、この大穴から人類を守るために、他の大陸から多額の援助を受けているという話を聞いたことがある
多額の援助のおかげで、王都だけは、常に潤っているのだと、そんな噂も聞いたことがある。
だからこそ、援助しているという名目の為、他所の大陸に亡命したとしても、よその大陸の領主たちからすると、多額の寄付をしているのに逃げてくるなと、罵られるので命がけで亡命したとしても優しく受け入れてくれるはずがない。
金とか物資を融通してるんだから、お前らは役目を果たせと追い返される現実、当然、捕縛されて追い返されてしまう。
帰ってきても、この大陸で待ち受けているのは【反逆罪で晒し首】。
この大陸に産まれ落ちた時点で戦いを強要されているという事実から逃げることはできない。
それなのに、現実を見ないで、頑なに戦わない姿勢を取る人達も、当然ながらいる。
そういう人達が身近にいては、国民全体に良い影響が生まれないので王国にとって危険思想の持ち主は、強制的に生贄としてこの街に送られてくる。
産まれ育った村から生贄の如く扱い受けてしまったら、尚更、絶望するし、この街で生きようなんて思えないよ。
そんな人生に絶望した人しか送られてこなかったという歴史があるし、たぶん、今もそう。
世知辛い現実を受け止めて、少しでも建設的な話を進めるために!気分を入れ替えていかないとね!私達の未来の為に!!
会議としては、今できることを現実的に考えて定めていく。
まず、第一前提として、この会議の内容は他言無用となった。
理由としては、どうしようもない絶望的すぎる内容なのでこの全貌全てを開示してしまうと、不安と絶望で現場で働く人たちの心が乱れてしまう可能性が高い。
無駄に、乱すわけにはいかない、恐怖や不安は人知れず伝播していく。
絶望に包まれてしまっては健康状態に良くないし、何よりも恐怖や不安を胸に抱いた状態で敵と遭遇する戦場では、恐怖に飲み込まれてしまいフィアー状態に陥りやすくなる。
人類が滅亡する、その時を迎えるまでもなく、死の空気に耐え切れなくなり人は甘い甘い死の蜜にすがりたくなってしまい誘われてしまう。
そんな状態で戦場に赴いてほしくないし、無駄に命を散らしてはいけない!っであれば!この場にいる
心の芯が強く明日への生きる意志が強いこの三人で!この秘密は守り通そう!一蓮托生!!
…既にこのプレッシャーに独り耐えきれなくなって、今にも吐きそうになってしまっている人がいるけれど、立ち会わせてしまった不幸を呪ってください。
この街で、財務を担当する人なんだけど、普段働いている職場はここではなく、王都です、王都で物流とか、商談とか、財務を管理している部署に勤めていて担当襟がこの街ってだけの、普通の国民です。
おおよそ、週に二回ほど、こちらに来て購入履歴とかを記載した書類などから現状の予算がいかほどなのかとか、寄付された金額を照らし合わせたりなどの計算をしたり。
こちらで、必要な物を王都にいる商人に集めてもらったり、様々な雑用や計算をするために、王都から派遣されて仕事をしている、ただのどこにでもいる計算が出来て色々な橋渡しをする仕事を任されて派遣された一般人です。
今回はたまたま、王都からの使者がこちらに出向くので案内をしてあげてほしいっと頼まれたので、
王都から一緒に出発して、無事到着して~、会議室まで道案内して~、
会議が終わるまですることもないですし、用事がある騎士様もいるし、何処かで待つよりもここで待っていたほうがいいかなって、
会計とか雑務がメインの私が会議に参加する必要もないので!予算が幾らほどありますーって把握しているのでそれを発言するくらいでしょ!
会議の内容なんて私は関係ないので知らないですーっと、会議室の中にある空気のような存在ちなって、会議が終わるのをまっていたら!
内容がだんだんと、きな臭くなっていき、逃げようかなっと思うが時すでに遅く、会議室から出れなくなっていき、逃げる隙がなくなる。
その結果!なし崩し的に居合わせてしまっただけのただの一般人です。週に二日こっちで仕事をするためだけに来てもらっている王都の人です…
こちらの内情も知っている人なので!この重くるしい絶望的な空気を分けあえる仲間としていてくださいね?っと圧をかけると顔が真っ青になっていた。
それにしても、この絶望に包まれている空気感は良くないよね。
少しでもこの空気を和ませるために、会議室に備えてある紅茶の茶葉を取り出して、中身を確認し、備え付けてあるお湯を沸かす魔道具に魔力を注ぎお湯を沸かす。
魔力コンロの上にあるポッドのお湯を沸かしている間にお茶請けがあるといいよねと思い立ち、会議室を出て食堂に出向くと、おばちゃん、もとい、お姉さんが仕事をしていたので、お菓子ないー?って尋ねると、洗い物をしているのに何言ってんだこいつっと嫌そうな顔をして焼き菓子を出してくれた。
焼き菓子受け取り、焼き菓子片手に会議室に戻るとタイミングよくお湯も沸いているので、三人分の紅茶を入れる。
つい紅茶の優雅な薫りに釣られてしまい上機嫌に鼻歌を歌ってしまう。
ここだけを切り取ればとびっきりの別嬪さんなんだけどねぇっと財務の人の声が聞こえてくる…
喧嘩うってるのかなー?てめぇのだけ、とびっきり苦くてえぐみの強い紅茶にしてやろうかぁ?
紅茶を一口、口に含むように飲んで、焼き菓子を口の中に放り込む。
紅茶の優雅な薫りが口の中と鼻を通り抜けるころには心も落ち着き、取り乱すことなく話し合いが再スタートされた。
会議の末、決まった内容をまとめると。
・騎士様の右手を育成する
候補として挙げられたのが坊やと、乙女ちゃん
現状、実力も伴っていて、コミュニケーション能力においても問題がないのは坊や
実力はあるのだけれど、オールラウンダーとしての実力はかけていてコミュニケーション能力にやや問題がある乙女ちゃん
個の強さだけは騎士様に匹敵するほどまでの腕前になった巨躯の女性、だけど戦法が誰にも真似できないので育成係としては一番不向き。
総合判断で坊やを騎士様の右腕として育成する流れになるのだが、元よりそのつもりで育成してきているので特に路線を変更するつもりはないみたい。
ただ、独り立ちを早めたほうがいいかもしれない。
・医療班も今後に備えて戦闘訓練をする
今まで一度もそういったことをしてこなかったのかと言えば答えはNO
定期的に運動がてら、戦闘訓練に付き合っている人もいる。
戦闘訓練と言ってもいい汗かいたなぁって程度の内容なので、もう少し踏み込んだ内容に切り替えていくことに。
今までしてこなかった人も参加するようにする。
年齢的に厳しい人もいる、そういう方は無理のないレベルに合わせて軽い運動程度にすることで方針がきまる。
・財源の確保
ありとあらゆる金になりそうなものは売る!
騎士様が僕の鎧を売りましょうかと申し出てくれたが、それは本末転倒!!
この街の技術を、一般的受けするような大衆にも人気が出るようなものに工夫してアレンジして売る!
っというわけで、そのアイディアを街全員の人に頼み込んで絞り出してもらう
理由としては、戦士の皆様に満足のいく装備を揃えてあげたいのと
有事に備えて備品を充実させたいので、前回のような本等のように売れそうなアイディアがあれば売って街をよりよくしたいっと説得してまわることに。
・術式研究を進めていく
これも通常通り、生き残るために必要な術式を研究していくのだけど、研究候補を絞る!
来る日に備えて課題を設け、期日までに課題を乗り越えて、余裕があれば更なる高みへと研究を続けていく。
課題としては
・安全にデッドラインまで歩く方法を模索する
・移動方法の改良
・補給物資の運搬
・敵に出会わないようにする方法
この四つを最優先として研究塔総出で開発する。
その為に、ストップしていた研究の一つである、敵を倒して得た戦利品である二足歩行が使用していた魔道具の解析も同時進行で進めていく。
今までは、奥様が居なかったので魔道具の解析は迂闊にできなかった。
けれど!今なら、私と奥様の二人体制でやれば多少は解析できる!…と、いいなぁ~。
人が作り出した魔道具なら解析できる自信がある!
けれど!敵の魔道具って意味不明な物が多すぎて原理がわからないのが多くて、人類の理解できる範疇を超えているのよぉ、無理だよぉ…
会議も終わって、財務の人が、アイディアは少しでも早く出してほしいので全員に通達をだしてきますといって会議室から出ていく。
協力的な人で本当によかった、彼からすれば、自分は関係ないので手伝いませんって申し出ても問題ないのに。
良い人で良かった。だてに長い付き合いじゃないってのもあるかもね…
はぁっと疲れたって顔で紅茶を飲んでいると、騎士様も心労ではぁっとため息をついている。
王家との関りって神経すり減っていくのだろうなぁって騎士様が普段見せない表情のオンパレードから察することが出来る。
もし、騎士様が筆頭騎士として、次代の王の傍に就き、もしも、私が騎士様と結婚して嫁入りしたとしたら、その王家と関わらないといけないってことだよね?
ぁーーー想像したくなぃ!絶対に心すり減って廃人になっちゃう!おかしくなっちゃう未来しか見えない!!
どうして、この世界は、人類に溢れているの?
どうして、私と騎士様、二人だけの世界にならないの?
あ”あ~っと、べちゃっと情けない声を出しながら机に上半身を投げだす。
視界から見える麗しの騎士様は、目を閉じて手に持っている紅茶の薫りを堪能しているご様子だった。
騎士様がここにいるのって、癪だけどさ、あの人と出会って、騎士様が惚れた結果、なのよね。
それがなかったらこの時間も無かったのだろうと思うと自然と感謝してしまう。
騎士様と出会ってくれてありがとうと言いたくなってしまった、そんなバカげた考えが脳裏に浮かんでしまうくらい、今日の一連で起きた出来事は素晴らしかった。
二度と、この様な空気になることもないだろうし、こんな弱音を吐くこともないだろう。
気が付くと、私の手が私の意志とは関係なく動き、騎士様の太ももの上に置かれてしまう。
太ももの上に私の手が到着し、触れてしまったために騎士様もこちらを振り向いてしまう。
手に視線を向けていたのを変え、ゆっくりと視線を上げ、騎士様の顔を覗き見るようん見上げると、困惑した表情の騎士様がいる…
しばらく見つめあう二人…騎士様から生唾を飲み込む音が聞こえる…
私の唇が、私の声門がこの場に漂う空気に支配されて自分の意志とは関係なく、勝手に動き出す
「お願い、抱」「では!自分はこれにて!」
ガバァっと立ち上がって走るように逃げ出す騎士様…
慌てながらも丁寧にドアを開けて静かにドアを閉めていく、どんな時でも優雅な人ですこと…
…っもう!!いけるとおもったのに!!
はぁもう、心臓がバクバクと激しい音が出てる…心臓が口から飛びでるなんて比喩、そんなのあるわけないでしょって鼻で笑っていたけれど
本当なのね、もう、この音が外からなのか内から伝わってくるのかわからないくらい、激しく音がなっている…
落ち着いたら私も部屋に戻ろう
振り払われてしまった手を騎士様がさっきまで座っていた椅子に置くと、温もりが伝わってくる
暖かい…
出来ることなら、この温もりを独り占めしたいなぁ…なんてね、いけないことを考えてしまう。
さっきまで感謝していた相手を自然と暗殺対象にしてしまう辺り、私の根っこはどうしようもないのだと悟ってしまう。
…王子って暗殺できるのかな?なんて、滅多なことも考えてしまうくらいだもの…
天を仰いでいる騎士様にちらりと視線を向ける、その姿を見た影響で脳裏にある映像が流れる、脳に浮かんだ夢物語が現実味がなさすぎて、心の中で笑ってしまう。
っふ、人間は耐え切れないストレスに晒されると、逃避行動を取ることがあるって先輩から教えてもらったけれど、私の脳が起こした絶望のあまりに見せたストレスから逃げるための幻惑逃避行動、脳内で有り得ない夢を想い描いてしまう。
二人だけで全てを忘れて全ての責任を放棄して、二人だけの愛を求めてこの大地から逃げるっという有り得ない夢を描いてしまった。
他の大陸では、大穴の獣がいないって噂がありますし、逃亡したくなる気持ちもわかります、けれど、それが出来ない、騎士様なら家族を優先するだろうからって?
それよりも現実的に考えて絶対に不可能な理由があるの、
だって、大陸から出ようとしたら反逆罪で殺されますもの。
大陸にある、大きな港町、その全てに置いて、王国の騎士達が見張っています。
街や村を守るという体裁で常駐している兵士諸君、港町を管轄する領主諸君が陰ながら王族から直々に勅命されています。
貴重な、戦力であり、国力でもある、人材がこの大陸から逃げない様にと、
徹底的に見張られています。
歴史の中で逃げなかった人はいないのか?当然、います。
亡命しようとして自力で簡易的な船を作って逃げようとした人達がいますが、当然、逃げきれずつかまってしまい。
見せしめの為に残虐な殺され方をしています、公衆の面々がいる場所で打ち首となり、交易の為に通らないといけない道筋に晒し首となって見せしめの刑になった黒い闇の歴史があります。
なので、この大陸に産まれた人類は誰であろうと逃亡は許されません、逃げれば世界中から非難されてしまいますので、大陸中の人類一丸となって大穴から人類を守りましょう。
そう、ある意味、世界中から人類の敵を殲滅しろという期待という名の呪いを背負わされているのよ、この大陸は…
現状、王様の威光があるので、逃亡する人は殆どいないし、この街が機能している限り他の街も王都も平和そのもの、だもの。
だから、命がけで亡命しようなんて無謀な賭けに出る人は少ない…完全に居ないっと言えない辺り、獣に蹂躙される未来に恐怖してしまう人は一定数いるのよね。
貴族たちの愛でだけど、噂では、この大穴から人類を守るために、他の大陸から多額の援助を受けているという話を聞いたことがある
多額の援助のおかげで、王都だけは、常に潤っているのだと、そんな噂も聞いたことがある。
だからこそ、援助しているという名目の為、他所の大陸に亡命したとしても、よその大陸の領主たちからすると、多額の寄付をしているのに逃げてくるなと、罵られるので命がけで亡命したとしても優しく受け入れてくれるはずがない。
金とか物資を融通してるんだから、お前らは役目を果たせと追い返される現実、当然、捕縛されて追い返されてしまう。
帰ってきても、この大陸で待ち受けているのは【反逆罪で晒し首】。
この大陸に産まれ落ちた時点で戦いを強要されているという事実から逃げることはできない。
それなのに、現実を見ないで、頑なに戦わない姿勢を取る人達も、当然ながらいる。
そういう人達が身近にいては、国民全体に良い影響が生まれないので王国にとって危険思想の持ち主は、強制的に生贄としてこの街に送られてくる。
産まれ育った村から生贄の如く扱い受けてしまったら、尚更、絶望するし、この街で生きようなんて思えないよ。
そんな人生に絶望した人しか送られてこなかったという歴史があるし、たぶん、今もそう。
世知辛い現実を受け止めて、少しでも建設的な話を進めるために!気分を入れ替えていかないとね!私達の未来の為に!!
会議としては、今できることを現実的に考えて定めていく。
まず、第一前提として、この会議の内容は他言無用となった。
理由としては、どうしようもない絶望的すぎる内容なのでこの全貌全てを開示してしまうと、不安と絶望で現場で働く人たちの心が乱れてしまう可能性が高い。
無駄に、乱すわけにはいかない、恐怖や不安は人知れず伝播していく。
絶望に包まれてしまっては健康状態に良くないし、何よりも恐怖や不安を胸に抱いた状態で敵と遭遇する戦場では、恐怖に飲み込まれてしまいフィアー状態に陥りやすくなる。
人類が滅亡する、その時を迎えるまでもなく、死の空気に耐え切れなくなり人は甘い甘い死の蜜にすがりたくなってしまい誘われてしまう。
そんな状態で戦場に赴いてほしくないし、無駄に命を散らしてはいけない!っであれば!この場にいる
心の芯が強く明日への生きる意志が強いこの三人で!この秘密は守り通そう!一蓮托生!!
…既にこのプレッシャーに独り耐えきれなくなって、今にも吐きそうになってしまっている人がいるけれど、立ち会わせてしまった不幸を呪ってください。
この街で、財務を担当する人なんだけど、普段働いている職場はここではなく、王都です、王都で物流とか、商談とか、財務を管理している部署に勤めていて担当襟がこの街ってだけの、普通の国民です。
おおよそ、週に二回ほど、こちらに来て購入履歴とかを記載した書類などから現状の予算がいかほどなのかとか、寄付された金額を照らし合わせたりなどの計算をしたり。
こちらで、必要な物を王都にいる商人に集めてもらったり、様々な雑用や計算をするために、王都から派遣されて仕事をしている、ただのどこにでもいる計算が出来て色々な橋渡しをする仕事を任されて派遣された一般人です。
今回はたまたま、王都からの使者がこちらに出向くので案内をしてあげてほしいっと頼まれたので、
王都から一緒に出発して、無事到着して~、会議室まで道案内して~、
会議が終わるまですることもないですし、用事がある騎士様もいるし、何処かで待つよりもここで待っていたほうがいいかなって、
会計とか雑務がメインの私が会議に参加する必要もないので!予算が幾らほどありますーって把握しているのでそれを発言するくらいでしょ!
会議の内容なんて私は関係ないので知らないですーっと、会議室の中にある空気のような存在ちなって、会議が終わるのをまっていたら!
内容がだんだんと、きな臭くなっていき、逃げようかなっと思うが時すでに遅く、会議室から出れなくなっていき、逃げる隙がなくなる。
その結果!なし崩し的に居合わせてしまっただけのただの一般人です。週に二日こっちで仕事をするためだけに来てもらっている王都の人です…
こちらの内情も知っている人なので!この重くるしい絶望的な空気を分けあえる仲間としていてくださいね?っと圧をかけると顔が真っ青になっていた。
それにしても、この絶望に包まれている空気感は良くないよね。
少しでもこの空気を和ませるために、会議室に備えてある紅茶の茶葉を取り出して、中身を確認し、備え付けてあるお湯を沸かす魔道具に魔力を注ぎお湯を沸かす。
魔力コンロの上にあるポッドのお湯を沸かしている間にお茶請けがあるといいよねと思い立ち、会議室を出て食堂に出向くと、おばちゃん、もとい、お姉さんが仕事をしていたので、お菓子ないー?って尋ねると、洗い物をしているのに何言ってんだこいつっと嫌そうな顔をして焼き菓子を出してくれた。
焼き菓子受け取り、焼き菓子片手に会議室に戻るとタイミングよくお湯も沸いているので、三人分の紅茶を入れる。
つい紅茶の優雅な薫りに釣られてしまい上機嫌に鼻歌を歌ってしまう。
ここだけを切り取ればとびっきりの別嬪さんなんだけどねぇっと財務の人の声が聞こえてくる…
喧嘩うってるのかなー?てめぇのだけ、とびっきり苦くてえぐみの強い紅茶にしてやろうかぁ?
紅茶を一口、口に含むように飲んで、焼き菓子を口の中に放り込む。
紅茶の優雅な薫りが口の中と鼻を通り抜けるころには心も落ち着き、取り乱すことなく話し合いが再スタートされた。
会議の末、決まった内容をまとめると。
・騎士様の右手を育成する
候補として挙げられたのが坊やと、乙女ちゃん
現状、実力も伴っていて、コミュニケーション能力においても問題がないのは坊や
実力はあるのだけれど、オールラウンダーとしての実力はかけていてコミュニケーション能力にやや問題がある乙女ちゃん
個の強さだけは騎士様に匹敵するほどまでの腕前になった巨躯の女性、だけど戦法が誰にも真似できないので育成係としては一番不向き。
総合判断で坊やを騎士様の右腕として育成する流れになるのだが、元よりそのつもりで育成してきているので特に路線を変更するつもりはないみたい。
ただ、独り立ちを早めたほうがいいかもしれない。
・医療班も今後に備えて戦闘訓練をする
今まで一度もそういったことをしてこなかったのかと言えば答えはNO
定期的に運動がてら、戦闘訓練に付き合っている人もいる。
戦闘訓練と言ってもいい汗かいたなぁって程度の内容なので、もう少し踏み込んだ内容に切り替えていくことに。
今までしてこなかった人も参加するようにする。
年齢的に厳しい人もいる、そういう方は無理のないレベルに合わせて軽い運動程度にすることで方針がきまる。
・財源の確保
ありとあらゆる金になりそうなものは売る!
騎士様が僕の鎧を売りましょうかと申し出てくれたが、それは本末転倒!!
この街の技術を、一般的受けするような大衆にも人気が出るようなものに工夫してアレンジして売る!
っというわけで、そのアイディアを街全員の人に頼み込んで絞り出してもらう
理由としては、戦士の皆様に満足のいく装備を揃えてあげたいのと
有事に備えて備品を充実させたいので、前回のような本等のように売れそうなアイディアがあれば売って街をよりよくしたいっと説得してまわることに。
・術式研究を進めていく
これも通常通り、生き残るために必要な術式を研究していくのだけど、研究候補を絞る!
来る日に備えて課題を設け、期日までに課題を乗り越えて、余裕があれば更なる高みへと研究を続けていく。
課題としては
・安全にデッドラインまで歩く方法を模索する
・移動方法の改良
・補給物資の運搬
・敵に出会わないようにする方法
この四つを最優先として研究塔総出で開発する。
その為に、ストップしていた研究の一つである、敵を倒して得た戦利品である二足歩行が使用していた魔道具の解析も同時進行で進めていく。
今までは、奥様が居なかったので魔道具の解析は迂闊にできなかった。
けれど!今なら、私と奥様の二人体制でやれば多少は解析できる!…と、いいなぁ~。
人が作り出した魔道具なら解析できる自信がある!
けれど!敵の魔道具って意味不明な物が多すぎて原理がわからないのが多くて、人類の理解できる範疇を超えているのよぉ、無理だよぉ…
会議も終わって、財務の人が、アイディアは少しでも早く出してほしいので全員に通達をだしてきますといって会議室から出ていく。
協力的な人で本当によかった、彼からすれば、自分は関係ないので手伝いませんって申し出ても問題ないのに。
良い人で良かった。だてに長い付き合いじゃないってのもあるかもね…
はぁっと疲れたって顔で紅茶を飲んでいると、騎士様も心労ではぁっとため息をついている。
王家との関りって神経すり減っていくのだろうなぁって騎士様が普段見せない表情のオンパレードから察することが出来る。
もし、騎士様が筆頭騎士として、次代の王の傍に就き、もしも、私が騎士様と結婚して嫁入りしたとしたら、その王家と関わらないといけないってことだよね?
ぁーーー想像したくなぃ!絶対に心すり減って廃人になっちゃう!おかしくなっちゃう未来しか見えない!!
どうして、この世界は、人類に溢れているの?
どうして、私と騎士様、二人だけの世界にならないの?
あ”あ~っと、べちゃっと情けない声を出しながら机に上半身を投げだす。
視界から見える麗しの騎士様は、目を閉じて手に持っている紅茶の薫りを堪能しているご様子だった。
騎士様がここにいるのって、癪だけどさ、あの人と出会って、騎士様が惚れた結果、なのよね。
それがなかったらこの時間も無かったのだろうと思うと自然と感謝してしまう。
騎士様と出会ってくれてありがとうと言いたくなってしまった、そんなバカげた考えが脳裏に浮かんでしまうくらい、今日の一連で起きた出来事は素晴らしかった。
二度と、この様な空気になることもないだろうし、こんな弱音を吐くこともないだろう。
気が付くと、私の手が私の意志とは関係なく動き、騎士様の太ももの上に置かれてしまう。
太ももの上に私の手が到着し、触れてしまったために騎士様もこちらを振り向いてしまう。
手に視線を向けていたのを変え、ゆっくりと視線を上げ、騎士様の顔を覗き見るようん見上げると、困惑した表情の騎士様がいる…
しばらく見つめあう二人…騎士様から生唾を飲み込む音が聞こえる…
私の唇が、私の声門がこの場に漂う空気に支配されて自分の意志とは関係なく、勝手に動き出す
「お願い、抱」「では!自分はこれにて!」
ガバァっと立ち上がって走るように逃げ出す騎士様…
慌てながらも丁寧にドアを開けて静かにドアを閉めていく、どんな時でも優雅な人ですこと…
…っもう!!いけるとおもったのに!!
はぁもう、心臓がバクバクと激しい音が出てる…心臓が口から飛びでるなんて比喩、そんなのあるわけないでしょって鼻で笑っていたけれど
本当なのね、もう、この音が外からなのか内から伝わってくるのかわからないくらい、激しく音がなっている…
落ち着いたら私も部屋に戻ろう
振り払われてしまった手を騎士様がさっきまで座っていた椅子に置くと、温もりが伝わってくる
暖かい…
出来ることなら、この温もりを独り占めしたいなぁ…なんてね、いけないことを考えてしまう。
さっきまで感謝していた相手を自然と暗殺対象にしてしまう辺り、私の根っこはどうしようもないのだと悟ってしまう。
…王子って暗殺できるのかな?なんて、滅多なことも考えてしまうくらいだもの…
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