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思考を加速し至高なる結果を求めよ、さすれば望む未来を与えん
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目の前に綺麗な女性の顔がある、メイドちゃんだ、寝てるのかな?目をつむってて、小さく寝息を繰り返している、当然、寝ているので動かない。
そっと、メイドちゃんの顔に触れながらメイドちゃんの顔に当たらないように起きる。起こしてしまったら可哀想だからね。
どうやら、メイドちゃんが私に膝枕をしてくれていたみたいだ、見渡すと明るくなってるし、夜が明けたみたい。
…一晩中膝枕してくれていたってことになるね、むぅ、重かっただろうに申し訳ない。
今度、時間がある時に何かメイドちゃんが好きそうなものを買ってプレゼントしてあげないとね、優しさには優しさで返してあげないとね。
ん~っと背伸びをして太陽の光を浴びていると「おはようございます」と凛とした声が聞こえてくる、メイドちゃんも起きたみたい、起こしちゃったかも、ごめんね?
「おはよう、ごめんね、膝枕なんてしてもらっちゃって」
朝の挨拶を返すとぽーっとこっちを見てるけど、メイドちゃんが動かない?なんだろう?何かあるのかな?メイドちゃんの前で手を振ってみるが反応が無い。
「ぁ、ごめんなさい、少し心あらずでした」
はっと気が付いたのか慌てて髪の毛を触りながら焦っている、メイドちゃんも仕草が凄い乙女で可愛いんだよね~。
「ごめんね、寝起き早々で、何か伸展あった?」
真面目な話題を振るとメイドちゃんも仕事モードに入ったのかキリっとした顔で
「姫様が、何か、妙案があると言って準備をさせていました、その準備が整ったという事で」
…まさか、出撃しちゃったのかな?
「妙案を詰め込んだ車を、見送った後は倒れるように眠りにつきましたので、戦乙女に頼んで自室に運んでもらい寝てもらっています。」
あ、そうなんだ…それだったら、私も部屋に運んでほしかったな~。
私の言いたいことが伝わってしまったのかメイドちゃんが申し訳なさそうに頬を染めながら
「ぁ、その、寝顔、素敵でしたよ」
モジモジとしながら言われてもー、一晩中膝枕するの大変じゃないの?起こしてくれても良かったんじゃないのー?
申し訳ない気持ちで、つい、ジト目でメイドちゃんを見ていたら
「べ、弁明させてください!」
顔を真っ赤にして、いいでしょう聞きましょう。
「その、魔力をお渡しになられた後、失礼ながらお洋服を着させていただきました、その後、横に寝かせるにしても、私自身も持ち場を離れにくいし、姫様はじっと動かずにお月様を見ながら何か考え事をされているご様子だったので、僭越ながら、姫様が動き出したら団長を起こせばよいと思って、膝枕をさせていただきました。」
あー、姫様って偶にやるよね、お月様をじーっと見ながら考え事したりするの。
「長時間、長考をされていらっしゃったので、私もウトウトと船を漕いでいてしまって、その間は騎士の戦乙女達が交代で姫様の護衛をしてくださっていたんです、それで、姫様の長考が終わったみたいで戦乙女達にお願いして自室まで、運んでいただいたそうで、私はその、寝てました…」
すっと、手に持っていた戦乙女から持たされたメモ用紙を見せてもらうとウトウトとしていた間の出来事が書かれていた。
きっと戦乙女達が気をきかせて握らせたのだろうけど、起こしてくれても良くない?まぁいっか、風邪もひいてないし。
取り合えず、今すべきことはなさそうなのでお互いお風呂に入ってないし、てか、ちょっとほのかに香る…良くない!いつだって清潔が一番!
メイドちゃんにお風呂一緒に行こうよと誘ってみる、どうせ、姫様の元に行くから遠慮しますって返事が返ってくると思ってたら「いいんですか!?」っと食い気味に来られたので、これはもう断れない、一緒に入るしかないね。
予想外の返答に選択肢間違えたかも、少々後悔しながらも、一緒に大浴場に行くことに。
No3もといネクストといい、メイドちゃんと言いなんだろう、なにかこう、身の危険を感じるときがたまにあるのは気のせいだよね?
メイドちゃんと一緒に大浴場へいくと、お背中を流しますに、髪の毛も洗わせてください、という奉仕精神全開で来られたので甘んじて受けた後は、
もちろん!私もお返しをしようとすると「できます!自分で、できます!」っと逃げようとしたのでしっかりと捕まえて満遍なく頭のてっぺんから爪先まで綺麗に仕上げ返して上げた。
ふっふ~ん、医療班直伝の洗浄方法をなめちゃいかんですよ?No2曰く完璧のぺっきぺきなんだから!
メイドちゃんも本当、綺麗な顔立ちしてるし、ボデェも出るとこ出てるし、絶対にモテそうだけど、浮いた話を聞かないのが不思議。姫様と一緒で理想が高いのかも。
大浴場で二人で一緒にのんびりと浸かって、色んな雑談もして、女子トークも楽しんだ後は、浴槽から出て、体を軽く拭いてから、二人で一緒に腰に手を当ててキンッキンに冷えた牛乳を全裸で飲んで!綺麗に体を拭いて!髪の毛をお互い乾かしあって、大浴場を出たら姫様とばったり遭遇して、肝心なことを思い出す
あ、今って、戦時中だった
二人でガッツリとリラックスしていたので、これは、気まずい怒られちゃうかもっと思っていたら
「あ!お風呂いいな!私も誘ってよ!」
眼が真っ赤に充血した姫様に怒られた、そっち方面で怒られるのは想定外だった。それにしても、顔を見ると、目の下もどっしりと熊が居座ってるし、目を使い過ぎたのかな?
メイドちゃんも同じ気持ちだったのか、お互いの目を見てうんっと頷いて、姫様ともう一度お風呂に入ることに、これで断るとね、この人機嫌悪くするんだもん、子供だから。
でもね、それ以上に私達がお疲れの姫様を少しでも労わってあげたいの、優しくしてあげたい気持ちでいっぱいなの。頑張り続けるこの人に少しでも恩を返したいの。
二人係で姫様の頭のてっぺんから爪先まで綺麗に洗いながら、医療班直伝の洗浄方法をメイドちゃんに伝授していく、姫様もあーやっぱりこれよな~っとおっさんみたいな声を出しながら堪能している。
その後は、一緒に浴槽に浸かりながら女子トークを楽しんで、三人で一緒に腰に手を当ててキンッキンに冷えた牛乳を全裸で飲んで!体を拭いて!髪の毛をお互い乾かしあって、あー気持ちよかったねーっと仕事帰りのおっさんみたいな話をしながら廊下を歩いていると戦乙女に
「あ!こちらにいらっしゃったんですね!戦場の司令官様が呼んでいますよ!」
あ!今って戦時中だった!
三人とも昨日の緊急事態を思い出して慌てて先日の会議をしていた場所に走っていく。
どうしても、近くに敵がいないと危機感が薄れちゃうのは仕方がないよね?ないよね??…だから、気が抜けちゃってもしょうがないよね?
会議場に戻ってくるとすかさずに、椅子に座り、メイドちゃんが小さな蓄音機に魔力を通しながらさっと姫様の口元に近づける
「すいません、現場を離れておりました、どうぞ」
慌てて遅刻したような雰囲気を一切見せずに、きりっとした声を出す
『いや、良い、花を摘みに行くのは人間、致し方ないと承知している』
…その言い訳もちょっと嫌だなーめっちゃ長い事、御手洗いにこもってた人みたいになってない?あ、姫も赤面してる、恥ずかしがってる。
「も、申し訳ありません、どうぞ」
顔を真っ赤にして手で隠そうとしているが、声が震えているので相手にも伝わった可能性が高そう…
『姫様が届けてくれた物資が届いたのだが、手順等があればお聞きしたいのだが、良いか?』
朝にメイドちゃんが教えてくれた妙案だっけ?その道具を送ったんだっけ?
「届きましたか!結構な魔力を消費するので大人数で行ってください、どうぞ」
『まさか、一緒に添えられた紙の手順通りで大丈夫だと?仰るのか?』
作戦なしのぶっつけ本番ってこと?
「ええ、もちろん、手筈通りにしていただければ、何も問題なく終わるでしょう、制御は難しいと思いますが、何初か打てば照準を合わせれると思います、敵の魔道具が手に入らないのが致し方ないですが、短期決戦が一番と判断しました、どうぞ」
悠然たる態度で返している、それが、さも当然であり、決定事項であると声でも物語っている。
『あい、わかった!出来れば、この杖、この戦いが終われば王都に寄付していただきたのだが、いかがか?』
杖?こちらから渡した杖を寄付して欲しいってそれはちょっと、欲張り過ぎない?
「それはちょっと、悪用されますと困ります、それに、それはまだ解析が終わっていないので量産や、転用の為にも返して欲しいですね、どうぞ」
それはそう!当然だよー、話の流れからしてたぶん、あれでしょ?あんな危険な物、おいそれと渡せないよ!
『うむ、では、商談を心からお待ち申しておりますぞ姫様、者ども!試運転は終えてるな!本番いくぞ!』
うおおおおっと雄たけびが聞こえた後は一定間隔で爆発する音が聞こえるけど、もしかしなくても、妙案って‥
「っふ、勝ったな」
どや顔で足を組んでこちらに指を二本だけ立ててピースピース!ヴイヴイ!って言ってるけど…ぇ?勝ったの?
っていうか、先ほどの爆発音に、杖ってもしかしなくてもアレだよね?姫様に視線を送ると
「団長は気が付いたみたいだね、そう、アレだよ、爆裂魔法を打ち出す人が扱うには無作法も誉も無い、莫大な威力を誇る、あの杖を送った、王都からも応援が来てるなら魔力タンク代わりの人材なんて山ほどいるでしょ?」
にっこりと笑顔で応えてくれた、あれって、一発撃つにはかなりの魔力が必要で、こちらで実験したときは軽めの爆発だけでいいなら10人程度の魔力が空っぽにすれば撃てた。
全力で大規模な爆発ってなると一発撃つのに100人はいると思うんだけど…あ、うちの騎士達も招集かかってるんだった、各国に手配してある人達が…魔力回復薬、量産しないとなぁ…
暫くすると、爆発する音が無くなった
『敵の動きが止まった、手筈通り、敵の毒を海向こうに魔道具で強風を送りながら、爆裂魔法で腕を狙って打ち続けて両腕を吹き飛ばしたら敵の動きが止まり発狂と同時にこちらに向かってきたので、念の為に送られてきた毒を防ぐ兜を装備した騎士達で仕留めさせてもらった。
毒も出せなくなり、腕が無い敵など造作も無かったわ、協力感謝いたします!流石は、姫様!村一つ犠牲にするだけで事を終えれましたな!ぜひ王都に寄られる用事があれば酒でも飲みましょう!では!息災でな!』
「ええ、此方こそ、ご協力感謝します、最後に一つだけお願いがあるのですがよろしいですか?どうぞ」
結果が当たり前のように受け止めながら凛々しく要求する
『む?褒美か?』
当然、ここまでの功績を生み出したのだ褒美などの交渉はするべきではあると思うが、今なのかな?後でも良いような気もするけど、そういうものなのかも。
「いえ、褒美の請求はしません、唯一つだけ願いをお聞きください。ある小屋にて、祈りを捧げてください、場所は」
敵がいた場所のすぐ近くの小屋です
その言葉を聞いた瞬間
みみなりがした、しんぞうがとまったような、きがした
姫がいった言葉の意味を瞬時に全て理解した
犠牲にしたんだ、敵を討つために、敵をその場に留める為に、避難しそこねた、非戦闘員を…敵を引き付ける為の餌にしていたんだ…
獣は狙った敵を殲滅するまで動かない固執タイプ、毒を散布して人を皆殺しにするタイプ、場所は海がすぐ近くの街、風向きでは毒が届きにくい場所がある、その場所に小屋があって、そこに人がいれば、どうなる?敵は何かしらの方法で人がいるのを察している、毒で殺そうとする、でも、毒の届かない場所からダメージに繋がらない攻撃をする人達がいる。
遠距離の敵を殺そうと動いたら、獲物が逃げてしまうから、追えない、であれば、まずは最初に殺そうと思ったやつらを逃がさないためにも、その場で毒を撒き続けていればいつかは死ぬだろう、その後から遠くにいる人を殺せばいい、姫は敵のロジックを見破っていたんだ、だから、敵もその場から動けなかった、それを利用したんだ。
じゃぁ姫様は、どうして、小屋もろとも吹き飛ぶであろう爆発を、あの広範囲を巻き込む爆裂魔法を打たせたんだ?指揮官も気が付いていないうちに、ぁぁ、味方もだますから妙案なのか
王国の騎士である指揮官が民を守らずに、敵もろとも撃つなんて出来るわけがない、だから、村人を犠牲にしたと思わせないために、全滅したんだと騎士団に報告したんだ。
じゃぁ、なぜ?なぜ祈りを捧げに行かすの?騎士団を?罪に悩ませたいから?
先ほどまでの、司令官以外の人の声が蓄音機から聞こえてくる
『おお!姫様!小屋に祈りを捧げに行ったら村の生き残りが居ましたぞ!それを察していたのですな!見えない場所なのに全てを見透かすようなその手腕!恐れ入りますぞ!多少、毒で血を吐いておったが何とか、延命できそうだ!助けれる命がまだいたことに神や、始祖様に感謝を述べねばなるまいな。此度の戦、感服致しました!では、これにて我々は撤去作業にはいらせていただきますぞ!撤収!撤収ーー!!』
流暢にテンションも高めに捲し立てるように声を荒げながらの報告だった。よかった、いきてた!!生死の確認のためにいかせたのか!
「ご協力感謝いたします」
司令官の方は姫様からの願い事なぞ、些事だと判断して先に帰還したのだろう。姫様もそれを察して手短に挨拶を終えていた。
蓄音機も完全に沈黙し、姫様はそっと、大きな蓄音機の魔石を外して、大きな大きな溜息をつきながら椅子に座る、一瞬だけ見えた顔が真っ青だった。
緊張の連続で疲れたのだろう、顔を俯かせながら、何度も何度もゆっくりと吐く息が震えるように深呼吸をしていると鼻をすする音が聞こえてくる
下を俯きながらも、手巻きしてくるので、近づいていくとぐっと抱き寄せられて姫の顔を私の胸に圧しつけながら
「あ”ぁ”ぁ”ぁ”あ”あ”あ”あ”あ”」と嗚咽を出しながら泣き始める
そこからはもう声にならない泣き声でぐずりながら愚痴、ううん、勝利した喜び、大切な村を失った悲しみ、ギリギリの賭けに出て成功した喜びなど、カオスな感情が渦巻いていて、様々な感情を吐露していく。
全てが落ち着いたらみんなで旅行に行きたかった大切な村が滅ぼされてしまった、
毒による汚染は数年は抜けないので人が住める大地ではなくなった、
しかも、海からでてくるなんて最低にもほどがある、恐らく、海も汚染されているから海産物も食べれなくなる、
あの地域でしか獲れない貴重な海産物があるのに!獲れたらみんなで食べたかったのに!!
村の人達は素朴でいい人達ばっかりだったのに!
みんな、みんな優しくて、お節介で、村の外の人間でも気軽に接してくれて、人情味がある良い人達ばっかりだったのに!!
なんで!なんでだよ!ちくしょう!どうして!どうしてだよ!あの人達が何をしたって言うんだ!自然を愛して!海を愛して!人を愛してた人だぞ!!!
糞猿め!お前だろ!海向こうの都市を滅ぼしたのは!ちくしょう!ちくしょう!!お前だけはこの手で殺したかったのに!!
勝利に素直によろこべないよ!!!
わんわんと泣き叫びながら全力で悔しがり、全力で悲しみ、全力で殺意を吐露していく。
私にできるのは姫様を抱きしめるしか出来ない、周りの幹部達も気が付いたら誰もいなかった、気をきかせてくれたのだろう。
泣きなさい、少しでも疑った私もごめんなさい、姫様も限界ギリギリだったんだね、感情で動かないで冷静に冷静に司令官としてあろうとしたんだね。
気が付くと私もメイドちゃんも一緒に大粒の涙を流しながら、三人で抱きしめあいながら泣き叫んだ。
愛する人達が亡くなった悲しみを、弔うように、全力で悲しんだ。
すんすんっと全員が泣きつかれたのか、もう涙が零れないくらい泣き叫んだ、おかげで声も枯れ果てて自分の声じゃない声が聞こえる。
その声でお互い笑いあって、この事件を乗り越えた、その後は姫様を真ん中にして、三人一緒に川の字となって野原で寝てしまった。
くしゅん!
肌寒さを感じて、目が覚める、それもそうだ、日も暮れて夜になってる、起き上がろうとすると、上半身も下半身も動かせれない。
ちらっと視線を下に下げる、体の前から私の太腿を抱き枕にしている姫様、後ろから手を回して服の中にまで手を入れて抱きしめてくる人が居る、たぶんだけど後ろの人は恐らくメイドちゃん、っていうかそれ以外だったらめっちゃこわい。
その二人に前後から絡みつかれて上半身も下半身も動かせない。
…寝ぼけている頭が少しずつクリアになっていくと違和感を感じる。違和感の正体はなんだろうかと思考を巡らせていると、寝る前の三人の配列に違和感を感じた。
あれ?なんで私が真ん中になってるの?姫様を真ん中にしてなかった?
そう、寝る前と起きるときの並び方が違うのだ…まぁ、寝返りとかしていたら、多少はいれかわ、、、るわけないよね?メイドちゃん絶対に、一度は目が覚めて、起きて移動したでしょ?ぇ?後ろにいるのメイドちゃんでいいよね?
っていうか、メイドちゃんが服の中に腕をガッツリ入れてくるせいで隊服がはだけてちゃってお腹が出ちゃってる、そりゃ寒いわけだわな。
服を正したい、お腹が冷えてくると体の芯が冷えるので良くない、お腹は生物的に熱を放散させる部位なので、こんな野原でお腹を出しているなんて風邪ひいちゃうし、お腹壊しちゃう、でも、メイドちゃんの腕が邪魔で隊服を戻せない、起き上がろうにも足をガッツリと姫様にホールドされている
…これって私詰んでない?ぇ?私、ここで死ぬの?いや、死にはしないか…
まぁ、会議をしていた場所だし探せば人が…ひとがぁ?いなぁい?術式起動!音域収集!耳を地面に当てて歩いている人が近くにいないか探す…反応ないねぇ…
あれぇ?みんなどこにいったのぉ?…ちらりと建物に視線をやると、食堂に向かう廊下に人影がたくさん見える。
あ、皆のんびりと食堂でご飯食べてるのかぁ…これ、どうやって脱出したらいいのかな?瞬間的に筋肉を増強するってのは出来るけど、それをすると二人が痛い目にあうし、こまったにゃぁ…あん?
突如、意識がはっきりとしてハっとする。
って何、考えてんだ?普通に起こせばいいのか、頭もようやく普段通りに思考できつつある、昔から寝起きは思考力が低下するのが私のダメなところ。
さぁ、起こそうかとメイドちゃんの手を叩こうとするとメイドちゃんが顔を脇腹に擦り始める、くすぐったい!!思考がクリアになればなるほど!くすぐったぁいぃ!!息が、できでき、っでぇえいいいい!!
「っがぁ!」
瞬間的に筋力を増強し、上半身を起こして体を捻り、メイドちゃんの腕を振りほどき、メイドちゃんの脳天にチョップをお見舞いすると、涙目でこちらを見てくる、ちょっと罪悪感を感じたけど、その仕草も計算じゃないのかと勘ぐってしまう。
足にしがみついていた姫様はというと、私が勢いよく、体を捻った反動で遠くまで吹っ飛ばされており、野原を転がり続けて、勢いよく椅子に頭をぶつけていた。悶絶している。
姫様には悪い事しちゃったのは事実、罪悪感が狼煙を上げるようにもやもやっと心の奥底から発生する。ごめんなさい。
「おはよう、どうしてこうなったのかは何となく察したので追及しません、それよりも軽くご飯食べようよ」
ぶつけた頭をさすりながら涙目で次にする行動の提案を受けたので、ごめんねと頭に回復術式をかけながら提案を受け止める。
三人で食堂で軽食を頼み、食べていると他のチームメンバーも食堂に集まっていて、見渡してみると幹部連中もほぼほぼ、全員が揃っている。
姫様がある程度、軽食を食べ終えると一斉に姫様の元に集合して、各々が疑問に感じていた内容を聞きに来る。
「本当は、もっと前から、質問したかったけど、聞ける雰囲気じゃなかった」
みたいで、どんどんと質問をしに沢山の人がやってくる、質問内容も結構、被っていることが多いので、一人一人、同じ内容の答えを言うのも時間が足りないので、姫様が大きなテーブルに移動して、皆をそこに集合さて各種質問に答え合わせをしましょうと場を設けてくれた。
「まず、一つ一つ質問に答えてあげたいのだけれど、此方の思惑を伝えますので、それを聞いてから、それでも腑に落ちない点があれば質問をしてください。」っと場を纏めていく、
こういった会議とか授業に近い説明会は姫様にとってはお手の物で、此方に来てからというモノ、姫様のやる突拍子もない動きにみんなが翻弄され魅了されてきているので、定期的にこの様な場を設けてくれるのが姫様の人気の一つだ。
姫様が指をパッチンと鳴らすとメイドちゃんがある地図を開く、これは、たぶんだけど、海があって海辺には多くの船があって、少し離れた場所に丘があって丘には大きな屋敷がある。
もしかしてだけど、何となくだけど『襲撃された村の地図』なんじゃないかと思って眺めていると、姫様が
「これが襲撃によって滅んだ村の大まかな地図です、大まかなのは距離感であって、建物の配置は正確です」
猿を模した駒を海に配置し、猿がどの様に陸にあがってきたのかを説明していく。
恐らく、直接、見てはいないので確証はないが、恐らくですが、頭部に魔道具を身に着けていて、その魔道具に魔力を注ぐことで自身の周りに気流を発生させることが出来るのではないかという推測をしており、発生させた気流によって水中でも最低限の呼吸が出来た可能性が高いと考察しております。
気流の強さ加減も恐らくではあるが、コントロール出来ているはず、出来ていなければ周りの環境に合わせて対応が出来ないので、対応できないとなると、自身が魔道具によって生み出した毒に侵されていたので、強弱の加減はつけれると考えられます。
次に、上陸した際に、何かしらの器官を用いて、人を感知していて、凡その場所を把握してから、毒の散布を開始しているはずです。
何故なら、敵が毒を散布し始めた場所が【村のど真ん中】で、毒の有効範囲内に全ての人の気配を感じ取ったからだと推測されます。
敵からすると一番、避けるべき点は接近戦だと考えられます。
所持する魔道具も気流を発生さえるだけの品物と、毒を散布する品物の二点であり、魔力タンク型は基本的に魔道具が無いと攻撃力が他の人型と比べて弱いです。
前回のも、杖を奪えたからこそ!敵も決め手を失い千日手に成りそうになっていただけです。
弱いからと言って非戦闘員が装備も無しで戦える相手ではありませんので勘違いしないように、装備も何もない状況で出会ったら非戦闘員は、死を覚悟してください。
幸いにも人型はある程度ではありますが、人を警戒しています。
はっきりいいます、断定できると思っています、人型は、【戦闘員と非戦闘員の区別がついていません。】
装備の有無も認識していません。
そう言った状況判断能力や応用力に乏しいので低脳と嘲笑う戦士の方も歴代にはいらっしゃいました、それが、弟子達にも、伝わっていき、低脳と嘲笑う習慣が生まれたのもありますが、敵を侮るのだけはしてはいけません、ここに居る人達なら、全員アレの脅威と恐怖を実感しているので大丈夫と思っております。
そして、人型のルーチンとして、どんな相手であろうと安全策で確実に殺そうとしてきます。
容赦や慈悲はありません、現時点で持っている攻撃するための、手数の中で確実に殺す手段を選びます。
このルーチンやロジックを逆手に取れればかなり優位な展開へと誘導することが可能です、今回のはそのロジックが、有効的に作用したパターンです。
今回の敵は、毒散布型で接近戦は非常に困難で迂闊に接近すれば確実に死にます。
なので、王都騎士団の方達には接近戦は絶対に避けるべきと伝えており、もし、ある人物が死んでしまい、人型が王都騎士団に狙いを定めた時を想定して、毒対策を施した兜型の装備を大至急配送手配をしました。
はい、ここで気になっていると思いますよね、そう、敵の近くに生存者がいたと私は予想していました。
敵からしたら、最初に定めた敵が生きている限りその場から動かず、確実に安全に殺す策を講じているのですから、それが完了していないからこそ、動かなかったのです。
つまり
【敵が動く=村人は完全に死滅】したことになるっという図式が成立するのです。
この図式は、逆にも適応されます。
【敵が動かない=何処かに村人が生きていて、動けないで息を潜めている】っと判断ができるわけです。
なので、本当に時間との勝負でした、丘から拭く風向きが変われば毒が現時点で、生きているであろう村人の方に流れ、即死する。
即死した結果、人型は騎士団に毒が届く範囲まで移動して、遠距離から確実に王都騎士団を全滅へと追い込んだと私は考えていました。
いえ、確実に王都騎士団は人型に負けていたと思います、王都騎士団は人との闘いに馴れてはいますが、人型との戦いは馴れていないと考えられます。
想定している敵の動きと常識が違い過ぎる、普通の獣として戦えば全滅します、普通の人として戦っても全滅します、相手の出方を伺って後の先をとっても全滅します。
それ程、厄介なんですよ、魔道具を複数所持している人型は、極めて厄介なんです。
なので、敵が隠れている村人を確実に殺すために、移動するという考えに至らせないために、毒の散布個所を変えさせないために波状攻撃を要請しました。
その場で釘付けにしないと、本気で騎士団も危なかったんです。
更に、風を丘から海へと吹き降ろす自然の風を装うように風の術式も展開していただきました、故意に風を送っていると敵が判断したら、違うアクションを取られてしまう可能性が高かったので、非常に難しいと思いますが、ごく自然に、自然の摂理にのっとった強風を送って敵に悟らせないように村人に毒が流れ込まないようにしていただきました。
あと、大前提として騎士団に生存者がいると悟らせてもいけません、彼らは人類の命を守ることを尊き行いと思っています、どんな手段を用いても救助を優先する可能性が非常に高いと判断しております。
特に非戦闘員である、自国の食糧事情を支えてきた村人であれば、命を賭しても助けに出ると、それが騎士道であると私は知っています。
なので、騎士団には恐らくですが、村の人達は、全滅した可能性が高いとお伝えしたのです。
そうすることによって生存者がいるから攻撃の手を緩めたり、救助しないといけない等の正義感と言う全てを滅ぼしかねない偽善へと変えてしまう恐れを未然に防ぐためでもあったわけです。
更に、敵が散布場所を即座に変えない理由として、ここです、この丘から風が高い所から一気に吹く一方通行の風によって守られているエリアにポツンと小屋があるのがわかりますか?この小屋は漁師の道具が揃っている場所で、道具が錆びたり、腐食したり、子供たちが遊びの為に忍び込まないように、鍵もついていて密閉作用が強い小屋として私が材料から設計図迄こだわって村の発展のために建てた小屋なんです。
そこに避難した運が良い村人が居たと私は仮定しました。
敵からすると、そこまで遠くない場所に、毒を散布し続けても、ずっと生命反応があって、小屋の中には色々な道具がある気配がして、毒が効いていない可能性が高い『人が居る』っと判断していると私は判断したのです。
想像してみてください、敵がずっと小屋の中からこちらを伺って隙を見せないようにしているのですよ?私が敵の立場からすると動けません。動いたら接近されて殺されると判断します。
先にも述べたように人型は基本的に人を警戒します、確実に安全に殺すことを大前提として動きます。
その大前提を覆す条件もあります、それは単純に目の前に敵がいて、殴り合うような接近戦であれば、安全策を捨て多少の犠牲も厭わずに殺しに来ます。
特に固執タイプは、相手が確実に死ぬまで粘り強く追ってきます。
ええ、そうです。今回のも固執タイプです。
目の前にいる消えない命を消すために固執していたのです。
その為なら痛くも痒くもない攻撃なんて無視しよう、今出来る最善の有効策で、現時点で打てる最良の武器
すなわち
【毒の散布】
これに固執し動けなくなってしまったわけです。
では、相手の動きを封じる策として講じたのが【頭部への攻撃】を集中させることです。
相手が気流を発生させることによって、自分が生み出した毒を自身に降りかからないようにするための防御でもあり、海中を渡る為の移動手段
これを破壊されるのを一番恐れていた。
炎等の術式は、敵がどの様に対処するのかが一番のキーです、毒がガスによって拡散するタイプなのか、敵が炎を恐れるのか、それら全てを判断する為にも火や炎によって攻撃をしかけてもらいました。
結果、判明したのが、気流によって炎が完全に無意味であると、敵からしても気流は自身の毒から守るために常時発動しているので、意識しなくても火の攻撃は防げるので一切合切、全てに置いて無視の対象でした。避けて体制を崩す方が敵にとってマイナスだと判断したためでしょう
なぜ、マイナスになると思いますか?
答えは簡単です、私は表面積の有る物質での投擲攻撃を撃つように指示を出しています。
体勢を崩した瞬間に頭部にある魔道具が破壊されてしまいかねないっという敵からすると絶対に避けるべき最悪の事態を招く恐れがあるからです。
最初に私は、、頭部に守るべきものがあるのかを確認するために頭部に向かって投擲を撃ってもらいました、実はこれが一番の博打でした。
なぜなら、投擲した石や氷塊を敵が頭部への攻撃を防ぐために、飛んできた物質を腕で弾いた際に運悪く目の前に小屋に当たり、小屋に穴でも開いてしまったら最後、小屋の中で敵を引き付けている村人が死んでしまうからです。
なので、頭部を守っているとわかり次第、博打をやめて、足元を狙うようにしてもらったのです、足場を攻撃することで敵の足場を不安定にするためです、不安定になればなるほど、敵はより一層、大きな動きを取らないで、その場で毒を撒き続けると判断したのです。
敵が目の前にいる村人が死んだと判断した際に、騎士団に向かって跳躍させないためにも投擲が危険であると思わせ続けないと、王都騎士団が毒によって全滅すると私は判断したのです。
後はもうひたすら、此方が送った切り札が届くまでの時間稼ぎをしてもらいました。
これも博打です、切り札が届くまでに村人が死んでしまったら今までの作戦は水の泡です。
さらに博打です、何かしらの手段で王都騎士団があの小屋に村人が生きているのだと知ってしまったら作戦は水の泡です。
またまた博打です、小屋の中にいる村人がドアを開けて助けを呼んだが最後です、毒が小屋の中に充満し即死します、するとどうなると思いますか?
ええそうです、敵が騎士団に向かって攻撃を開始するので騎士団は全滅します、ええ、決定事項に至るレベルで、絶望的に戦力差があります、敵と騎士団との相性が最悪に悪いです。
なので、私達が急いで駆けつける間も無く王都は毒によって汚染され滅びます、人類終了のお知らせです。
今回は、非常に、厳しい一か八かの人類の全てが掛かっている、綱渡りもいいところの戦いでした。
なので、私も出来る限りの最高レベルでの術式を用いた思考加速を行いました、それでも長考せざるを得ないレベルでした。
魔力を使い過ぎて気絶する寸前まで思考を加速させ続けました。
何度も何度もシミュレーションを行い、何度も何度も世界を疑似的に構築しエミュレーションも行い続けました。
それでもなお、全てが運任せ博打要素が強すぎる作戦しかできませんでした。
最後の最後も特大な博打が待っているので、それを使っても隠れている村人が生きる方法を計算しつくすために、ある方から魔力を根こそぎ注いでもらいました。
結果的に、注ぐ魔力量を指定し狙う箇所を指定するのが一番、生存確率が高いと計算を終えたのですが、当然、博打ですよ。
狙う箇所も指示書に書いて渡してあります、念の為に、敵が此方の通話を何かしらの方法で傍受している可能性も考慮して最後の指示は全て紙で出すと良いと演算したので、紙で指示をだしております。
そして、なるべくであれば、王都の人に見せたくも存在を知られたくも無かった、決戦兵器足りえる、爆裂魔法を代償が魔力のみで発動できる人類史において非常に危険極まりない兵装を渡さないといけないという選択肢を選ばないといけないという苦肉の決断を選択しました。
さらに、爆裂魔法を撃つのですから、当然、小屋にいる村人が爆裂魔法の巻き添えによって犠牲になる可能性が非常に高いです、光の弾を弾かれて弾道がそれたり、騎士団が初めて使う魔道具だから練度なんて期待できないので狙う箇所を外してしまったり、不運不幸不平等全ての不条理が混沌たらしめるこの世界ですからね、ありえる可能性の方が高い博打なんです。
だから、
だから、、
だから、、、
いぎでで、
いぎ、うぐ、ぅ、ぅぅいぎでて、生きててくれて
よがっだ、、、、よかったよぉ、、、
感情が込み上げてきた姫様をそっと抱きしめて背中をトントンっと叩いて落ち着くまで待ってあげる。
周りの人達も姫様の犠牲を強いる戦いを良しとしない性分を十二分に知るくらい長い付き合いの方達ばかりなので、助けれる可能性の低い人を助けれたのがどれほどまでに幸運で、どれほどまでに姫様にとって折れてはいけない大切な、姫様にとって大事な、出来事だったのか。
それをみんな知っているので、つい、周りにいる人達の殆どが姫様の感情に釣られて貰い泣きしてしまっている。
私だって、涙を堪えきれなくて、あんなにも泣いた後だって言うのに涙が零れてくる。
暫くしてから、姫も泣き止んで皆も心平穏に穏やかになったので、姫様も恥ずかしそうに説明を再開しはじめる。
ぐず、ずびばぜん、えふんえふん、えっほごふぉうへん!ぁ、ああ!ああああ!うん、喉もだいじょぶです。
続いて説明していぎまずね。
相手が魔道具を装備していると思われる場所は頭部ともう一つ、指先だと予測していました。
こちらの表面積の有る物質での攻撃を手でキャッチしたり弾いたりせず、腕で弾いている、杖の様な媒体も持っていない。
そうなると答えは一つです、指輪タイプです。
指にはめたリングから毒物を霧状に噴射していると予測できたので、遠距離攻撃を腕で弾き落とす様に仕向け続けて、敵が何時もの様なたわいもない攻撃だと思わせて、投石を繰り返し、投石した後ろに光弾を撃ってもらうように指示を出しています。
敵も、何時もの様に魔道具を守るために腕で弾いたその先に見たことの無い光弾が飛んで来たらどうすると思います?
つい、条件反射で腕で弾いてしまうんですよ、癖づかせた成功体験ってのは引きずるものですよ、猿ですからね、低脳故の行動原理。
当然、着弾と同時に相手の腕は吹き飛ぶと想定しています。両腕を落とすために数発撃ってもらうように指示も出しています。
結果、吹き飛びました、魔道具に魔力を流すことが出来なくなれば当然、毒を散布する事なんて出来ません、後はもう、風の術式を不自然だろうとなんだろうと全力で飛ばします。
念のために毒対策の装備をした騎士に止めを刺させに行かせます。
これによって、王都騎士団としても自分たちの手で敵を打ち取ったという功績を王都に持って帰れるわけで面目が潰れることが無いという打算も含まれております。
そして、最後の最後に一縷の望みを託して、願ったのです。
小屋に祈りを捧げに行って欲しいと。
全て、綱渡りの大博打が通ったのであれば
毒がまだ浸透していなかったら
間に合っていたら
外から出てくる勝どきの声で小屋の中にいる人も脅威が去ったと知り出てくるはずです。
祈りを捧げに行った隊員が、非戦闘員である、村人を保護するのは確定事項となるわけです。
っとまぁ、これが、今回、私が全力で脳をフル活用して導き出した演算結果です。
本当に、少しでも歯車が狂えば、こんな奇跡的な結果に辿り着けなかったと思っています。
今後はこのような大博打を撃たなくてもいいように一手遅くならないように頑張っていきたい所存であります。
ご清聴ありがとうございました!!!
〆の言葉と共にお辞儀をする姫様に沸き上がる喝采、手を叩き声を上げて、食堂のおばちゃんも聞き入っていたみたいで雄たけびをあげている。
この場所にいる全員が姫の偉業を褒めちぎり称えまくっている。
一手遅いなんてない!姫様じゃないと全滅してた!姫様だからこそ出来た伝説的采配!謙遜なんて要らない!貴女が救世主!
各々が、姫を褒めてほめてほめまくっている、私も姫に抱き着いて最高の指揮官だと褒めちぎった。
疲れのせいで、泣きまくったせいで、目が晴れているしおっきな熊が目の下に住んでいるし、目も真っ赤に充血しちゃってる。
後で出来る限りのおもてなしをしてあげないと!
説明が終わったけれど、もう少し詳しく聞きたい人達に、説明をし、皆が食堂から解散した後、ふっと倒れるように眠りについた。
たぶん、思考加速を使い過ぎて脳が限界近かったのだろう。姫をおんぶして、自室まで運び、ベッドにゆっくりと下ろし、冷えないように掛け布団をかけてあげようとしたときに
腕を掴まれてしまったので、しょうがないので添い寝してあげることに
この街の最高の司令官で、最高のお姉ちゃん、貴女がいなければ、とっくの昔に人類は滅んでいると私達全員が思ってるよ。
体を労わってあげてね、いつも、無理難題ばっかり押し付けてごめんね。少しでも、貴女の心労を減らせれるのなら、私達は命を惜しまないつもりでいるよ。
それくらい、貴女には恩を感じているもの
出来る限り、長生きしてね…姫を抱きしめながら私も深い深い眠りにつく
どうして、こんなに眠たいのかな?…ああ、そうだった、魔力を姫にいっぱいいっぱい渡したからだ…寝て回復させないと…魔力は
命の源だから
そっと、メイドちゃんの顔に触れながらメイドちゃんの顔に当たらないように起きる。起こしてしまったら可哀想だからね。
どうやら、メイドちゃんが私に膝枕をしてくれていたみたいだ、見渡すと明るくなってるし、夜が明けたみたい。
…一晩中膝枕してくれていたってことになるね、むぅ、重かっただろうに申し訳ない。
今度、時間がある時に何かメイドちゃんが好きそうなものを買ってプレゼントしてあげないとね、優しさには優しさで返してあげないとね。
ん~っと背伸びをして太陽の光を浴びていると「おはようございます」と凛とした声が聞こえてくる、メイドちゃんも起きたみたい、起こしちゃったかも、ごめんね?
「おはよう、ごめんね、膝枕なんてしてもらっちゃって」
朝の挨拶を返すとぽーっとこっちを見てるけど、メイドちゃんが動かない?なんだろう?何かあるのかな?メイドちゃんの前で手を振ってみるが反応が無い。
「ぁ、ごめんなさい、少し心あらずでした」
はっと気が付いたのか慌てて髪の毛を触りながら焦っている、メイドちゃんも仕草が凄い乙女で可愛いんだよね~。
「ごめんね、寝起き早々で、何か伸展あった?」
真面目な話題を振るとメイドちゃんも仕事モードに入ったのかキリっとした顔で
「姫様が、何か、妙案があると言って準備をさせていました、その準備が整ったという事で」
…まさか、出撃しちゃったのかな?
「妙案を詰め込んだ車を、見送った後は倒れるように眠りにつきましたので、戦乙女に頼んで自室に運んでもらい寝てもらっています。」
あ、そうなんだ…それだったら、私も部屋に運んでほしかったな~。
私の言いたいことが伝わってしまったのかメイドちゃんが申し訳なさそうに頬を染めながら
「ぁ、その、寝顔、素敵でしたよ」
モジモジとしながら言われてもー、一晩中膝枕するの大変じゃないの?起こしてくれても良かったんじゃないのー?
申し訳ない気持ちで、つい、ジト目でメイドちゃんを見ていたら
「べ、弁明させてください!」
顔を真っ赤にして、いいでしょう聞きましょう。
「その、魔力をお渡しになられた後、失礼ながらお洋服を着させていただきました、その後、横に寝かせるにしても、私自身も持ち場を離れにくいし、姫様はじっと動かずにお月様を見ながら何か考え事をされているご様子だったので、僭越ながら、姫様が動き出したら団長を起こせばよいと思って、膝枕をさせていただきました。」
あー、姫様って偶にやるよね、お月様をじーっと見ながら考え事したりするの。
「長時間、長考をされていらっしゃったので、私もウトウトと船を漕いでいてしまって、その間は騎士の戦乙女達が交代で姫様の護衛をしてくださっていたんです、それで、姫様の長考が終わったみたいで戦乙女達にお願いして自室まで、運んでいただいたそうで、私はその、寝てました…」
すっと、手に持っていた戦乙女から持たされたメモ用紙を見せてもらうとウトウトとしていた間の出来事が書かれていた。
きっと戦乙女達が気をきかせて握らせたのだろうけど、起こしてくれても良くない?まぁいっか、風邪もひいてないし。
取り合えず、今すべきことはなさそうなのでお互いお風呂に入ってないし、てか、ちょっとほのかに香る…良くない!いつだって清潔が一番!
メイドちゃんにお風呂一緒に行こうよと誘ってみる、どうせ、姫様の元に行くから遠慮しますって返事が返ってくると思ってたら「いいんですか!?」っと食い気味に来られたので、これはもう断れない、一緒に入るしかないね。
予想外の返答に選択肢間違えたかも、少々後悔しながらも、一緒に大浴場に行くことに。
No3もといネクストといい、メイドちゃんと言いなんだろう、なにかこう、身の危険を感じるときがたまにあるのは気のせいだよね?
メイドちゃんと一緒に大浴場へいくと、お背中を流しますに、髪の毛も洗わせてください、という奉仕精神全開で来られたので甘んじて受けた後は、
もちろん!私もお返しをしようとすると「できます!自分で、できます!」っと逃げようとしたのでしっかりと捕まえて満遍なく頭のてっぺんから爪先まで綺麗に仕上げ返して上げた。
ふっふ~ん、医療班直伝の洗浄方法をなめちゃいかんですよ?No2曰く完璧のぺっきぺきなんだから!
メイドちゃんも本当、綺麗な顔立ちしてるし、ボデェも出るとこ出てるし、絶対にモテそうだけど、浮いた話を聞かないのが不思議。姫様と一緒で理想が高いのかも。
大浴場で二人で一緒にのんびりと浸かって、色んな雑談もして、女子トークも楽しんだ後は、浴槽から出て、体を軽く拭いてから、二人で一緒に腰に手を当ててキンッキンに冷えた牛乳を全裸で飲んで!綺麗に体を拭いて!髪の毛をお互い乾かしあって、大浴場を出たら姫様とばったり遭遇して、肝心なことを思い出す
あ、今って、戦時中だった
二人でガッツリとリラックスしていたので、これは、気まずい怒られちゃうかもっと思っていたら
「あ!お風呂いいな!私も誘ってよ!」
眼が真っ赤に充血した姫様に怒られた、そっち方面で怒られるのは想定外だった。それにしても、顔を見ると、目の下もどっしりと熊が居座ってるし、目を使い過ぎたのかな?
メイドちゃんも同じ気持ちだったのか、お互いの目を見てうんっと頷いて、姫様ともう一度お風呂に入ることに、これで断るとね、この人機嫌悪くするんだもん、子供だから。
でもね、それ以上に私達がお疲れの姫様を少しでも労わってあげたいの、優しくしてあげたい気持ちでいっぱいなの。頑張り続けるこの人に少しでも恩を返したいの。
二人係で姫様の頭のてっぺんから爪先まで綺麗に洗いながら、医療班直伝の洗浄方法をメイドちゃんに伝授していく、姫様もあーやっぱりこれよな~っとおっさんみたいな声を出しながら堪能している。
その後は、一緒に浴槽に浸かりながら女子トークを楽しんで、三人で一緒に腰に手を当ててキンッキンに冷えた牛乳を全裸で飲んで!体を拭いて!髪の毛をお互い乾かしあって、あー気持ちよかったねーっと仕事帰りのおっさんみたいな話をしながら廊下を歩いていると戦乙女に
「あ!こちらにいらっしゃったんですね!戦場の司令官様が呼んでいますよ!」
あ!今って戦時中だった!
三人とも昨日の緊急事態を思い出して慌てて先日の会議をしていた場所に走っていく。
どうしても、近くに敵がいないと危機感が薄れちゃうのは仕方がないよね?ないよね??…だから、気が抜けちゃってもしょうがないよね?
会議場に戻ってくるとすかさずに、椅子に座り、メイドちゃんが小さな蓄音機に魔力を通しながらさっと姫様の口元に近づける
「すいません、現場を離れておりました、どうぞ」
慌てて遅刻したような雰囲気を一切見せずに、きりっとした声を出す
『いや、良い、花を摘みに行くのは人間、致し方ないと承知している』
…その言い訳もちょっと嫌だなーめっちゃ長い事、御手洗いにこもってた人みたいになってない?あ、姫も赤面してる、恥ずかしがってる。
「も、申し訳ありません、どうぞ」
顔を真っ赤にして手で隠そうとしているが、声が震えているので相手にも伝わった可能性が高そう…
『姫様が届けてくれた物資が届いたのだが、手順等があればお聞きしたいのだが、良いか?』
朝にメイドちゃんが教えてくれた妙案だっけ?その道具を送ったんだっけ?
「届きましたか!結構な魔力を消費するので大人数で行ってください、どうぞ」
『まさか、一緒に添えられた紙の手順通りで大丈夫だと?仰るのか?』
作戦なしのぶっつけ本番ってこと?
「ええ、もちろん、手筈通りにしていただければ、何も問題なく終わるでしょう、制御は難しいと思いますが、何初か打てば照準を合わせれると思います、敵の魔道具が手に入らないのが致し方ないですが、短期決戦が一番と判断しました、どうぞ」
悠然たる態度で返している、それが、さも当然であり、決定事項であると声でも物語っている。
『あい、わかった!出来れば、この杖、この戦いが終われば王都に寄付していただきたのだが、いかがか?』
杖?こちらから渡した杖を寄付して欲しいってそれはちょっと、欲張り過ぎない?
「それはちょっと、悪用されますと困ります、それに、それはまだ解析が終わっていないので量産や、転用の為にも返して欲しいですね、どうぞ」
それはそう!当然だよー、話の流れからしてたぶん、あれでしょ?あんな危険な物、おいそれと渡せないよ!
『うむ、では、商談を心からお待ち申しておりますぞ姫様、者ども!試運転は終えてるな!本番いくぞ!』
うおおおおっと雄たけびが聞こえた後は一定間隔で爆発する音が聞こえるけど、もしかしなくても、妙案って‥
「っふ、勝ったな」
どや顔で足を組んでこちらに指を二本だけ立ててピースピース!ヴイヴイ!って言ってるけど…ぇ?勝ったの?
っていうか、先ほどの爆発音に、杖ってもしかしなくてもアレだよね?姫様に視線を送ると
「団長は気が付いたみたいだね、そう、アレだよ、爆裂魔法を打ち出す人が扱うには無作法も誉も無い、莫大な威力を誇る、あの杖を送った、王都からも応援が来てるなら魔力タンク代わりの人材なんて山ほどいるでしょ?」
にっこりと笑顔で応えてくれた、あれって、一発撃つにはかなりの魔力が必要で、こちらで実験したときは軽めの爆発だけでいいなら10人程度の魔力が空っぽにすれば撃てた。
全力で大規模な爆発ってなると一発撃つのに100人はいると思うんだけど…あ、うちの騎士達も招集かかってるんだった、各国に手配してある人達が…魔力回復薬、量産しないとなぁ…
暫くすると、爆発する音が無くなった
『敵の動きが止まった、手筈通り、敵の毒を海向こうに魔道具で強風を送りながら、爆裂魔法で腕を狙って打ち続けて両腕を吹き飛ばしたら敵の動きが止まり発狂と同時にこちらに向かってきたので、念の為に送られてきた毒を防ぐ兜を装備した騎士達で仕留めさせてもらった。
毒も出せなくなり、腕が無い敵など造作も無かったわ、協力感謝いたします!流石は、姫様!村一つ犠牲にするだけで事を終えれましたな!ぜひ王都に寄られる用事があれば酒でも飲みましょう!では!息災でな!』
「ええ、此方こそ、ご協力感謝します、最後に一つだけお願いがあるのですがよろしいですか?どうぞ」
結果が当たり前のように受け止めながら凛々しく要求する
『む?褒美か?』
当然、ここまでの功績を生み出したのだ褒美などの交渉はするべきではあると思うが、今なのかな?後でも良いような気もするけど、そういうものなのかも。
「いえ、褒美の請求はしません、唯一つだけ願いをお聞きください。ある小屋にて、祈りを捧げてください、場所は」
敵がいた場所のすぐ近くの小屋です
その言葉を聞いた瞬間
みみなりがした、しんぞうがとまったような、きがした
姫がいった言葉の意味を瞬時に全て理解した
犠牲にしたんだ、敵を討つために、敵をその場に留める為に、避難しそこねた、非戦闘員を…敵を引き付ける為の餌にしていたんだ…
獣は狙った敵を殲滅するまで動かない固執タイプ、毒を散布して人を皆殺しにするタイプ、場所は海がすぐ近くの街、風向きでは毒が届きにくい場所がある、その場所に小屋があって、そこに人がいれば、どうなる?敵は何かしらの方法で人がいるのを察している、毒で殺そうとする、でも、毒の届かない場所からダメージに繋がらない攻撃をする人達がいる。
遠距離の敵を殺そうと動いたら、獲物が逃げてしまうから、追えない、であれば、まずは最初に殺そうと思ったやつらを逃がさないためにも、その場で毒を撒き続けていればいつかは死ぬだろう、その後から遠くにいる人を殺せばいい、姫は敵のロジックを見破っていたんだ、だから、敵もその場から動けなかった、それを利用したんだ。
じゃぁ姫様は、どうして、小屋もろとも吹き飛ぶであろう爆発を、あの広範囲を巻き込む爆裂魔法を打たせたんだ?指揮官も気が付いていないうちに、ぁぁ、味方もだますから妙案なのか
王国の騎士である指揮官が民を守らずに、敵もろとも撃つなんて出来るわけがない、だから、村人を犠牲にしたと思わせないために、全滅したんだと騎士団に報告したんだ。
じゃぁ、なぜ?なぜ祈りを捧げに行かすの?騎士団を?罪に悩ませたいから?
先ほどまでの、司令官以外の人の声が蓄音機から聞こえてくる
『おお!姫様!小屋に祈りを捧げに行ったら村の生き残りが居ましたぞ!それを察していたのですな!見えない場所なのに全てを見透かすようなその手腕!恐れ入りますぞ!多少、毒で血を吐いておったが何とか、延命できそうだ!助けれる命がまだいたことに神や、始祖様に感謝を述べねばなるまいな。此度の戦、感服致しました!では、これにて我々は撤去作業にはいらせていただきますぞ!撤収!撤収ーー!!』
流暢にテンションも高めに捲し立てるように声を荒げながらの報告だった。よかった、いきてた!!生死の確認のためにいかせたのか!
「ご協力感謝いたします」
司令官の方は姫様からの願い事なぞ、些事だと判断して先に帰還したのだろう。姫様もそれを察して手短に挨拶を終えていた。
蓄音機も完全に沈黙し、姫様はそっと、大きな蓄音機の魔石を外して、大きな大きな溜息をつきながら椅子に座る、一瞬だけ見えた顔が真っ青だった。
緊張の連続で疲れたのだろう、顔を俯かせながら、何度も何度もゆっくりと吐く息が震えるように深呼吸をしていると鼻をすする音が聞こえてくる
下を俯きながらも、手巻きしてくるので、近づいていくとぐっと抱き寄せられて姫の顔を私の胸に圧しつけながら
「あ”ぁ”ぁ”ぁ”あ”あ”あ”あ”あ”」と嗚咽を出しながら泣き始める
そこからはもう声にならない泣き声でぐずりながら愚痴、ううん、勝利した喜び、大切な村を失った悲しみ、ギリギリの賭けに出て成功した喜びなど、カオスな感情が渦巻いていて、様々な感情を吐露していく。
全てが落ち着いたらみんなで旅行に行きたかった大切な村が滅ぼされてしまった、
毒による汚染は数年は抜けないので人が住める大地ではなくなった、
しかも、海からでてくるなんて最低にもほどがある、恐らく、海も汚染されているから海産物も食べれなくなる、
あの地域でしか獲れない貴重な海産物があるのに!獲れたらみんなで食べたかったのに!!
村の人達は素朴でいい人達ばっかりだったのに!
みんな、みんな優しくて、お節介で、村の外の人間でも気軽に接してくれて、人情味がある良い人達ばっかりだったのに!!
なんで!なんでだよ!ちくしょう!どうして!どうしてだよ!あの人達が何をしたって言うんだ!自然を愛して!海を愛して!人を愛してた人だぞ!!!
糞猿め!お前だろ!海向こうの都市を滅ぼしたのは!ちくしょう!ちくしょう!!お前だけはこの手で殺したかったのに!!
勝利に素直によろこべないよ!!!
わんわんと泣き叫びながら全力で悔しがり、全力で悲しみ、全力で殺意を吐露していく。
私にできるのは姫様を抱きしめるしか出来ない、周りの幹部達も気が付いたら誰もいなかった、気をきかせてくれたのだろう。
泣きなさい、少しでも疑った私もごめんなさい、姫様も限界ギリギリだったんだね、感情で動かないで冷静に冷静に司令官としてあろうとしたんだね。
気が付くと私もメイドちゃんも一緒に大粒の涙を流しながら、三人で抱きしめあいながら泣き叫んだ。
愛する人達が亡くなった悲しみを、弔うように、全力で悲しんだ。
すんすんっと全員が泣きつかれたのか、もう涙が零れないくらい泣き叫んだ、おかげで声も枯れ果てて自分の声じゃない声が聞こえる。
その声でお互い笑いあって、この事件を乗り越えた、その後は姫様を真ん中にして、三人一緒に川の字となって野原で寝てしまった。
くしゅん!
肌寒さを感じて、目が覚める、それもそうだ、日も暮れて夜になってる、起き上がろうとすると、上半身も下半身も動かせれない。
ちらっと視線を下に下げる、体の前から私の太腿を抱き枕にしている姫様、後ろから手を回して服の中にまで手を入れて抱きしめてくる人が居る、たぶんだけど後ろの人は恐らくメイドちゃん、っていうかそれ以外だったらめっちゃこわい。
その二人に前後から絡みつかれて上半身も下半身も動かせない。
…寝ぼけている頭が少しずつクリアになっていくと違和感を感じる。違和感の正体はなんだろうかと思考を巡らせていると、寝る前の三人の配列に違和感を感じた。
あれ?なんで私が真ん中になってるの?姫様を真ん中にしてなかった?
そう、寝る前と起きるときの並び方が違うのだ…まぁ、寝返りとかしていたら、多少はいれかわ、、、るわけないよね?メイドちゃん絶対に、一度は目が覚めて、起きて移動したでしょ?ぇ?後ろにいるのメイドちゃんでいいよね?
っていうか、メイドちゃんが服の中に腕をガッツリ入れてくるせいで隊服がはだけてちゃってお腹が出ちゃってる、そりゃ寒いわけだわな。
服を正したい、お腹が冷えてくると体の芯が冷えるので良くない、お腹は生物的に熱を放散させる部位なので、こんな野原でお腹を出しているなんて風邪ひいちゃうし、お腹壊しちゃう、でも、メイドちゃんの腕が邪魔で隊服を戻せない、起き上がろうにも足をガッツリと姫様にホールドされている
…これって私詰んでない?ぇ?私、ここで死ぬの?いや、死にはしないか…
まぁ、会議をしていた場所だし探せば人が…ひとがぁ?いなぁい?術式起動!音域収集!耳を地面に当てて歩いている人が近くにいないか探す…反応ないねぇ…
あれぇ?みんなどこにいったのぉ?…ちらりと建物に視線をやると、食堂に向かう廊下に人影がたくさん見える。
あ、皆のんびりと食堂でご飯食べてるのかぁ…これ、どうやって脱出したらいいのかな?瞬間的に筋肉を増強するってのは出来るけど、それをすると二人が痛い目にあうし、こまったにゃぁ…あん?
突如、意識がはっきりとしてハっとする。
って何、考えてんだ?普通に起こせばいいのか、頭もようやく普段通りに思考できつつある、昔から寝起きは思考力が低下するのが私のダメなところ。
さぁ、起こそうかとメイドちゃんの手を叩こうとするとメイドちゃんが顔を脇腹に擦り始める、くすぐったい!!思考がクリアになればなるほど!くすぐったぁいぃ!!息が、できでき、っでぇえいいいい!!
「っがぁ!」
瞬間的に筋力を増強し、上半身を起こして体を捻り、メイドちゃんの腕を振りほどき、メイドちゃんの脳天にチョップをお見舞いすると、涙目でこちらを見てくる、ちょっと罪悪感を感じたけど、その仕草も計算じゃないのかと勘ぐってしまう。
足にしがみついていた姫様はというと、私が勢いよく、体を捻った反動で遠くまで吹っ飛ばされており、野原を転がり続けて、勢いよく椅子に頭をぶつけていた。悶絶している。
姫様には悪い事しちゃったのは事実、罪悪感が狼煙を上げるようにもやもやっと心の奥底から発生する。ごめんなさい。
「おはよう、どうしてこうなったのかは何となく察したので追及しません、それよりも軽くご飯食べようよ」
ぶつけた頭をさすりながら涙目で次にする行動の提案を受けたので、ごめんねと頭に回復術式をかけながら提案を受け止める。
三人で食堂で軽食を頼み、食べていると他のチームメンバーも食堂に集まっていて、見渡してみると幹部連中もほぼほぼ、全員が揃っている。
姫様がある程度、軽食を食べ終えると一斉に姫様の元に集合して、各々が疑問に感じていた内容を聞きに来る。
「本当は、もっと前から、質問したかったけど、聞ける雰囲気じゃなかった」
みたいで、どんどんと質問をしに沢山の人がやってくる、質問内容も結構、被っていることが多いので、一人一人、同じ内容の答えを言うのも時間が足りないので、姫様が大きなテーブルに移動して、皆をそこに集合さて各種質問に答え合わせをしましょうと場を設けてくれた。
「まず、一つ一つ質問に答えてあげたいのだけれど、此方の思惑を伝えますので、それを聞いてから、それでも腑に落ちない点があれば質問をしてください。」っと場を纏めていく、
こういった会議とか授業に近い説明会は姫様にとってはお手の物で、此方に来てからというモノ、姫様のやる突拍子もない動きにみんなが翻弄され魅了されてきているので、定期的にこの様な場を設けてくれるのが姫様の人気の一つだ。
姫様が指をパッチンと鳴らすとメイドちゃんがある地図を開く、これは、たぶんだけど、海があって海辺には多くの船があって、少し離れた場所に丘があって丘には大きな屋敷がある。
もしかしてだけど、何となくだけど『襲撃された村の地図』なんじゃないかと思って眺めていると、姫様が
「これが襲撃によって滅んだ村の大まかな地図です、大まかなのは距離感であって、建物の配置は正確です」
猿を模した駒を海に配置し、猿がどの様に陸にあがってきたのかを説明していく。
恐らく、直接、見てはいないので確証はないが、恐らくですが、頭部に魔道具を身に着けていて、その魔道具に魔力を注ぐことで自身の周りに気流を発生させることが出来るのではないかという推測をしており、発生させた気流によって水中でも最低限の呼吸が出来た可能性が高いと考察しております。
気流の強さ加減も恐らくではあるが、コントロール出来ているはず、出来ていなければ周りの環境に合わせて対応が出来ないので、対応できないとなると、自身が魔道具によって生み出した毒に侵されていたので、強弱の加減はつけれると考えられます。
次に、上陸した際に、何かしらの器官を用いて、人を感知していて、凡その場所を把握してから、毒の散布を開始しているはずです。
何故なら、敵が毒を散布し始めた場所が【村のど真ん中】で、毒の有効範囲内に全ての人の気配を感じ取ったからだと推測されます。
敵からすると一番、避けるべき点は接近戦だと考えられます。
所持する魔道具も気流を発生さえるだけの品物と、毒を散布する品物の二点であり、魔力タンク型は基本的に魔道具が無いと攻撃力が他の人型と比べて弱いです。
前回のも、杖を奪えたからこそ!敵も決め手を失い千日手に成りそうになっていただけです。
弱いからと言って非戦闘員が装備も無しで戦える相手ではありませんので勘違いしないように、装備も何もない状況で出会ったら非戦闘員は、死を覚悟してください。
幸いにも人型はある程度ではありますが、人を警戒しています。
はっきりいいます、断定できると思っています、人型は、【戦闘員と非戦闘員の区別がついていません。】
装備の有無も認識していません。
そう言った状況判断能力や応用力に乏しいので低脳と嘲笑う戦士の方も歴代にはいらっしゃいました、それが、弟子達にも、伝わっていき、低脳と嘲笑う習慣が生まれたのもありますが、敵を侮るのだけはしてはいけません、ここに居る人達なら、全員アレの脅威と恐怖を実感しているので大丈夫と思っております。
そして、人型のルーチンとして、どんな相手であろうと安全策で確実に殺そうとしてきます。
容赦や慈悲はありません、現時点で持っている攻撃するための、手数の中で確実に殺す手段を選びます。
このルーチンやロジックを逆手に取れればかなり優位な展開へと誘導することが可能です、今回のはそのロジックが、有効的に作用したパターンです。
今回の敵は、毒散布型で接近戦は非常に困難で迂闊に接近すれば確実に死にます。
なので、王都騎士団の方達には接近戦は絶対に避けるべきと伝えており、もし、ある人物が死んでしまい、人型が王都騎士団に狙いを定めた時を想定して、毒対策を施した兜型の装備を大至急配送手配をしました。
はい、ここで気になっていると思いますよね、そう、敵の近くに生存者がいたと私は予想していました。
敵からしたら、最初に定めた敵が生きている限りその場から動かず、確実に安全に殺す策を講じているのですから、それが完了していないからこそ、動かなかったのです。
つまり
【敵が動く=村人は完全に死滅】したことになるっという図式が成立するのです。
この図式は、逆にも適応されます。
【敵が動かない=何処かに村人が生きていて、動けないで息を潜めている】っと判断ができるわけです。
なので、本当に時間との勝負でした、丘から拭く風向きが変われば毒が現時点で、生きているであろう村人の方に流れ、即死する。
即死した結果、人型は騎士団に毒が届く範囲まで移動して、遠距離から確実に王都騎士団を全滅へと追い込んだと私は考えていました。
いえ、確実に王都騎士団は人型に負けていたと思います、王都騎士団は人との闘いに馴れてはいますが、人型との戦いは馴れていないと考えられます。
想定している敵の動きと常識が違い過ぎる、普通の獣として戦えば全滅します、普通の人として戦っても全滅します、相手の出方を伺って後の先をとっても全滅します。
それ程、厄介なんですよ、魔道具を複数所持している人型は、極めて厄介なんです。
なので、敵が隠れている村人を確実に殺すために、移動するという考えに至らせないために、毒の散布個所を変えさせないために波状攻撃を要請しました。
その場で釘付けにしないと、本気で騎士団も危なかったんです。
更に、風を丘から海へと吹き降ろす自然の風を装うように風の術式も展開していただきました、故意に風を送っていると敵が判断したら、違うアクションを取られてしまう可能性が高かったので、非常に難しいと思いますが、ごく自然に、自然の摂理にのっとった強風を送って敵に悟らせないように村人に毒が流れ込まないようにしていただきました。
あと、大前提として騎士団に生存者がいると悟らせてもいけません、彼らは人類の命を守ることを尊き行いと思っています、どんな手段を用いても救助を優先する可能性が非常に高いと判断しております。
特に非戦闘員である、自国の食糧事情を支えてきた村人であれば、命を賭しても助けに出ると、それが騎士道であると私は知っています。
なので、騎士団には恐らくですが、村の人達は、全滅した可能性が高いとお伝えしたのです。
そうすることによって生存者がいるから攻撃の手を緩めたり、救助しないといけない等の正義感と言う全てを滅ぼしかねない偽善へと変えてしまう恐れを未然に防ぐためでもあったわけです。
更に、敵が散布場所を即座に変えない理由として、ここです、この丘から風が高い所から一気に吹く一方通行の風によって守られているエリアにポツンと小屋があるのがわかりますか?この小屋は漁師の道具が揃っている場所で、道具が錆びたり、腐食したり、子供たちが遊びの為に忍び込まないように、鍵もついていて密閉作用が強い小屋として私が材料から設計図迄こだわって村の発展のために建てた小屋なんです。
そこに避難した運が良い村人が居たと私は仮定しました。
敵からすると、そこまで遠くない場所に、毒を散布し続けても、ずっと生命反応があって、小屋の中には色々な道具がある気配がして、毒が効いていない可能性が高い『人が居る』っと判断していると私は判断したのです。
想像してみてください、敵がずっと小屋の中からこちらを伺って隙を見せないようにしているのですよ?私が敵の立場からすると動けません。動いたら接近されて殺されると判断します。
先にも述べたように人型は基本的に人を警戒します、確実に安全に殺すことを大前提として動きます。
その大前提を覆す条件もあります、それは単純に目の前に敵がいて、殴り合うような接近戦であれば、安全策を捨て多少の犠牲も厭わずに殺しに来ます。
特に固執タイプは、相手が確実に死ぬまで粘り強く追ってきます。
ええ、そうです。今回のも固執タイプです。
目の前にいる消えない命を消すために固執していたのです。
その為なら痛くも痒くもない攻撃なんて無視しよう、今出来る最善の有効策で、現時点で打てる最良の武器
すなわち
【毒の散布】
これに固執し動けなくなってしまったわけです。
では、相手の動きを封じる策として講じたのが【頭部への攻撃】を集中させることです。
相手が気流を発生させることによって、自分が生み出した毒を自身に降りかからないようにするための防御でもあり、海中を渡る為の移動手段
これを破壊されるのを一番恐れていた。
炎等の術式は、敵がどの様に対処するのかが一番のキーです、毒がガスによって拡散するタイプなのか、敵が炎を恐れるのか、それら全てを判断する為にも火や炎によって攻撃をしかけてもらいました。
結果、判明したのが、気流によって炎が完全に無意味であると、敵からしても気流は自身の毒から守るために常時発動しているので、意識しなくても火の攻撃は防げるので一切合切、全てに置いて無視の対象でした。避けて体制を崩す方が敵にとってマイナスだと判断したためでしょう
なぜ、マイナスになると思いますか?
答えは簡単です、私は表面積の有る物質での投擲攻撃を撃つように指示を出しています。
体勢を崩した瞬間に頭部にある魔道具が破壊されてしまいかねないっという敵からすると絶対に避けるべき最悪の事態を招く恐れがあるからです。
最初に私は、、頭部に守るべきものがあるのかを確認するために頭部に向かって投擲を撃ってもらいました、実はこれが一番の博打でした。
なぜなら、投擲した石や氷塊を敵が頭部への攻撃を防ぐために、飛んできた物質を腕で弾いた際に運悪く目の前に小屋に当たり、小屋に穴でも開いてしまったら最後、小屋の中で敵を引き付けている村人が死んでしまうからです。
なので、頭部を守っているとわかり次第、博打をやめて、足元を狙うようにしてもらったのです、足場を攻撃することで敵の足場を不安定にするためです、不安定になればなるほど、敵はより一層、大きな動きを取らないで、その場で毒を撒き続けると判断したのです。
敵が目の前にいる村人が死んだと判断した際に、騎士団に向かって跳躍させないためにも投擲が危険であると思わせ続けないと、王都騎士団が毒によって全滅すると私は判断したのです。
後はもうひたすら、此方が送った切り札が届くまでの時間稼ぎをしてもらいました。
これも博打です、切り札が届くまでに村人が死んでしまったら今までの作戦は水の泡です。
さらに博打です、何かしらの手段で王都騎士団があの小屋に村人が生きているのだと知ってしまったら作戦は水の泡です。
またまた博打です、小屋の中にいる村人がドアを開けて助けを呼んだが最後です、毒が小屋の中に充満し即死します、するとどうなると思いますか?
ええそうです、敵が騎士団に向かって攻撃を開始するので騎士団は全滅します、ええ、決定事項に至るレベルで、絶望的に戦力差があります、敵と騎士団との相性が最悪に悪いです。
なので、私達が急いで駆けつける間も無く王都は毒によって汚染され滅びます、人類終了のお知らせです。
今回は、非常に、厳しい一か八かの人類の全てが掛かっている、綱渡りもいいところの戦いでした。
なので、私も出来る限りの最高レベルでの術式を用いた思考加速を行いました、それでも長考せざるを得ないレベルでした。
魔力を使い過ぎて気絶する寸前まで思考を加速させ続けました。
何度も何度もシミュレーションを行い、何度も何度も世界を疑似的に構築しエミュレーションも行い続けました。
それでもなお、全てが運任せ博打要素が強すぎる作戦しかできませんでした。
最後の最後も特大な博打が待っているので、それを使っても隠れている村人が生きる方法を計算しつくすために、ある方から魔力を根こそぎ注いでもらいました。
結果的に、注ぐ魔力量を指定し狙う箇所を指定するのが一番、生存確率が高いと計算を終えたのですが、当然、博打ですよ。
狙う箇所も指示書に書いて渡してあります、念の為に、敵が此方の通話を何かしらの方法で傍受している可能性も考慮して最後の指示は全て紙で出すと良いと演算したので、紙で指示をだしております。
そして、なるべくであれば、王都の人に見せたくも存在を知られたくも無かった、決戦兵器足りえる、爆裂魔法を代償が魔力のみで発動できる人類史において非常に危険極まりない兵装を渡さないといけないという選択肢を選ばないといけないという苦肉の決断を選択しました。
さらに、爆裂魔法を撃つのですから、当然、小屋にいる村人が爆裂魔法の巻き添えによって犠牲になる可能性が非常に高いです、光の弾を弾かれて弾道がそれたり、騎士団が初めて使う魔道具だから練度なんて期待できないので狙う箇所を外してしまったり、不運不幸不平等全ての不条理が混沌たらしめるこの世界ですからね、ありえる可能性の方が高い博打なんです。
だから、
だから、、
だから、、、
いぎでで、
いぎ、うぐ、ぅ、ぅぅいぎでて、生きててくれて
よがっだ、、、、よかったよぉ、、、
感情が込み上げてきた姫様をそっと抱きしめて背中をトントンっと叩いて落ち着くまで待ってあげる。
周りの人達も姫様の犠牲を強いる戦いを良しとしない性分を十二分に知るくらい長い付き合いの方達ばかりなので、助けれる可能性の低い人を助けれたのがどれほどまでに幸運で、どれほどまでに姫様にとって折れてはいけない大切な、姫様にとって大事な、出来事だったのか。
それをみんな知っているので、つい、周りにいる人達の殆どが姫様の感情に釣られて貰い泣きしてしまっている。
私だって、涙を堪えきれなくて、あんなにも泣いた後だって言うのに涙が零れてくる。
暫くしてから、姫も泣き止んで皆も心平穏に穏やかになったので、姫様も恥ずかしそうに説明を再開しはじめる。
ぐず、ずびばぜん、えふんえふん、えっほごふぉうへん!ぁ、ああ!ああああ!うん、喉もだいじょぶです。
続いて説明していぎまずね。
相手が魔道具を装備していると思われる場所は頭部ともう一つ、指先だと予測していました。
こちらの表面積の有る物質での攻撃を手でキャッチしたり弾いたりせず、腕で弾いている、杖の様な媒体も持っていない。
そうなると答えは一つです、指輪タイプです。
指にはめたリングから毒物を霧状に噴射していると予測できたので、遠距離攻撃を腕で弾き落とす様に仕向け続けて、敵が何時もの様なたわいもない攻撃だと思わせて、投石を繰り返し、投石した後ろに光弾を撃ってもらうように指示を出しています。
敵も、何時もの様に魔道具を守るために腕で弾いたその先に見たことの無い光弾が飛んで来たらどうすると思います?
つい、条件反射で腕で弾いてしまうんですよ、癖づかせた成功体験ってのは引きずるものですよ、猿ですからね、低脳故の行動原理。
当然、着弾と同時に相手の腕は吹き飛ぶと想定しています。両腕を落とすために数発撃ってもらうように指示も出しています。
結果、吹き飛びました、魔道具に魔力を流すことが出来なくなれば当然、毒を散布する事なんて出来ません、後はもう、風の術式を不自然だろうとなんだろうと全力で飛ばします。
念のために毒対策の装備をした騎士に止めを刺させに行かせます。
これによって、王都騎士団としても自分たちの手で敵を打ち取ったという功績を王都に持って帰れるわけで面目が潰れることが無いという打算も含まれております。
そして、最後の最後に一縷の望みを託して、願ったのです。
小屋に祈りを捧げに行って欲しいと。
全て、綱渡りの大博打が通ったのであれば
毒がまだ浸透していなかったら
間に合っていたら
外から出てくる勝どきの声で小屋の中にいる人も脅威が去ったと知り出てくるはずです。
祈りを捧げに行った隊員が、非戦闘員である、村人を保護するのは確定事項となるわけです。
っとまぁ、これが、今回、私が全力で脳をフル活用して導き出した演算結果です。
本当に、少しでも歯車が狂えば、こんな奇跡的な結果に辿り着けなかったと思っています。
今後はこのような大博打を撃たなくてもいいように一手遅くならないように頑張っていきたい所存であります。
ご清聴ありがとうございました!!!
〆の言葉と共にお辞儀をする姫様に沸き上がる喝采、手を叩き声を上げて、食堂のおばちゃんも聞き入っていたみたいで雄たけびをあげている。
この場所にいる全員が姫の偉業を褒めちぎり称えまくっている。
一手遅いなんてない!姫様じゃないと全滅してた!姫様だからこそ出来た伝説的采配!謙遜なんて要らない!貴女が救世主!
各々が、姫を褒めてほめてほめまくっている、私も姫に抱き着いて最高の指揮官だと褒めちぎった。
疲れのせいで、泣きまくったせいで、目が晴れているしおっきな熊が目の下に住んでいるし、目も真っ赤に充血しちゃってる。
後で出来る限りのおもてなしをしてあげないと!
説明が終わったけれど、もう少し詳しく聞きたい人達に、説明をし、皆が食堂から解散した後、ふっと倒れるように眠りについた。
たぶん、思考加速を使い過ぎて脳が限界近かったのだろう。姫をおんぶして、自室まで運び、ベッドにゆっくりと下ろし、冷えないように掛け布団をかけてあげようとしたときに
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