最前線

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おまけ 繋がっていく想い、絆はこうやって生まれていく

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目を覚ました時は、指先一つと動かすことが出来なかった、目を動かすのも重く感じる、視界がぼやける、近くで何か音が聞こえる?そもそも近いのか遠いのかもわからない、音が、聞こえにくい?変な感じですわ。

体を動かそうにも、力が入らないし、何も出来ない、出来そうにない…それに、また、ねむく…



次に目が覚めたら、先ほどよりも意識が鮮明に感じ取れる、眼球も動いて多少は視線を動かせれるけど、ここって何処なの?自室ではなさそうですわね。

…そもそも、私、どうして寝ているの?…私、またやらかしました?お酒でも飲みすぎまして?それで体が動かないの?

取り合えず、上半身を起こすために、視界に見えているベッドの柵?みたいな部分を掴もうと左腕を動かそうとするが…?…

腕を動かそうとしているのだけれど、なんだろう?自分は動かしているつもりなのに視界に腕がはいってこない?もう一度、腕を動かそうと肘から先ではなく腕の根本から動かそうと意識を集中すると視界に白い包帯でまかれた…

なかった

力こぶがある辺りから先が何もなかった

頭が混乱する吐きそうになる、うでがない?という信じがたい真実に脳が理解しようとしない、体がその事実を受け止めることを拒否しようとしている

叫ぼうにも声がでない、叫べないけれど、私の心はずっと叫んでいる

わけがわからなかった、どうして腕がないのか理解できなかった

私がバダバダとベッドの上で藻掻く様に暴れていると「大丈夫ですか!?」慌てた声と共に誰かが部屋に入ってきて、私の上半身を押さえつけてくる
「だいじょうぶ、ここは安全です、落ちついて、落ち着いて」
あん、ぜん?…何を言っているの?あ、、

ぁぁ、そうだ、私は敵に出会って


衝撃を思い出した瞬間、全身が震えだし、涙が溢れ出てきて、恐怖でどうにかなってしまいそうになる。
「緊急処置開始します!」
その声が聞こえたと思ったら私の意識はそこでふっと途絶えた。


次に目が覚めた時は、ゆっくりと上半身を起こし、左腕と左足が無いのが見てわかる、けれど、どうしてかわからないが冷静に受け止めれている…たぶん、薬の影響だと思う。
心の平穏を保つ薬を投与されたんだろう。

あの衝撃も思い出せるし、どうして、ここで寝ていたのかもわかる。

冷静になると、体からの要求が生理現象が襲い掛かってくる、右手で軽くズボンを広げると…うん、オムツしてるね…尊厳をかなぐり捨てて致しても…致しても!!

嫌ダメだ!トイレに行きますわよ!私にその体験はまだ早くてよ!!
ジタバタとベッドから出ようとしていると看護師さんが慌てて駆け寄ってきてくれたので「ぉ、お花を摘みに行かせていただきたいのですぅ」我慢の限界が近いので言葉も変にもなる!
看護師さんが素早く丁寧に車椅子を出してくれて、ぱぱっと手際よく乗せられパパっとお手洗いに連れて行ってくれて、ササっと手際よくズボンを下ろされ、便座に座らせてくれた


す、すごい、間に合いましたわ。なんて手際の良さ、こ、これが最前線にいるエリート達なのですわね。

起きたついでに色々と問診され、先ほどの病室に戻る時も車椅子で連れて行ってくれるみたいなので、看護師さんにずっと気になっていたことを、勇気を出して聞こうと思う。

…この病棟に三つ編みの人は運ばれてきたのか…

私の腕と足を吹き飛ばしたほどの衝撃、考えたくありませんが、三つ編みさんも…きっと、私が壁になる事で最悪の結果は防げていると思いたいのですが、確証を得るのが怖いのです。
初めてのお友達ですのよ?…こんな、こんな早くにお別れ何てあんまりではありませんか?

だから、知るのも勇気が必要なんです。でも、私が生きているのですから、きっと生きているはず。

「・・・・・」
沈黙、それが意味するのは…そんな、嘘でしょう?
「ごめんなさい、その、敵の攻撃によって運ばれている人の殆どが顔がその、髪の毛もその…」
…確かに私の自慢の髪の毛も殆どなくなっていましたわ。髪の毛だけではわからないですわね。

「・・・・」
探したい、安否を確認したい、出来るのなら探したいけれど、一人では長い距離は歩けないですし、片腕で車椅子を操作するのも難しそうですし、かといって、誰かに頼ろうにも、誰も居ない。
看護師さんにお願いしたくてもお仕事が、ありますわよね。

どうしようかと塞ぎ込んでいると「少しの時間で良かったら一緒に探しに行きませんか?」看護師さんからの申し出が天使に見えましてよ、嗚呼、目の前にいるお姉さまが輝いて見えますわ。

「お願いします!」
涙が包帯に滲もうが気にしない、見知らぬ誰かのやさしさがこんなに嬉しいなんて知らなかった、打算抜きでの心からの親切。素敵ですわぁ…

看護師さんが笑顔で微笑みながら小声で行きましょうと一声かけてくださり、車椅子ご一同様は、僅かな淡い希望を求めてゆっくりと廊下を走り出す。

一人一人の病室へいき、看護師さんの肩を借りながら立ち上がって、ガラス越しに一人一人の顔や特徴を見て、判断していく。


全ての病室を見終わった

結論は、居なかった


絶望に耐え切れなくなり涙が嗚咽が止まらない、体の震えも止まらない、
私がしたことは無意味でしたの?あの勇気は、自身を捧げる覚悟は無意味だったというの?
私の左腕と左足は意味もなく消えたの?私では、何も守れないというの?
初めてできた、友達でしたのよ?心の底から、笑いあえた人ですのよ?
打算も無く、背景も関係なく、腹の底から会話を、ただ純粋に、何もない、意味の無い会話が出来る人だったのよ?


神様がいるのだとしたら、私は二度と礼拝堂どころか、ありとあらゆる場所で祈りなんて捧げることが愚かだと嘲笑わせていただきますことよ!!


大きな声が出ない、きっと喉が怪我をしているから、出せないだけで、喉が無事だったら、きっと無様に惨めに子供の様に大きな声で泣き叫んでいたと思う。
そんな私をずっとそばで手を握って一緒に涙してくれている人が居る。


神などいない!いるのは人だけだ!神は守ってくれない!…守ってくれるのは人だけだ、私の砕けそうな心を砕けないように寄り添ってくれるのは人だけだ!


病室から見えるいつだって綺麗な月を見て、私の心はある決意で固まっていく。次こそは守って見せると、強くなろうと。
…ずっと私の右手を握ってくれていたあの温もりに私の決意を捧げる。




目が覚める…こればっかりはどうしようもない、トイレに行きたいですぅ・・・・
オムツはしてますけど、まだ、ここで致す事に抵抗が、淑女としてのプライドが!令嬢としてのちっぽけな誇りが、致すことに対して抵抗がありますのよぉぉ!!!

右手で何とか、上半身を起こして、ギリギリ手の届くところにある、車椅子を引き寄せる、だめ、お腹に力を入れてはダメ!でる!?

車椅子に向かって右足で立ち上がって、右手で体を引き寄せてダイブする…衝撃で漏れそうになるが踏ん張れていると信じている!


神は絶対に私の尊厳なんてまもりゃしない!いつだって人の力で思いで切り開くのよ!


右手と右足でゆっくりと車椅子を大荒れの大海原に出航するがごとく気持ちで漕ぎだす!
部屋を出たところで看護師さんに出会い、さらっと私の旅は無事平穏に、目的地に辿り着き、私の心とプライドと誇り全ての尊厳が守られましてよ!

神なんていない!全ては人の心のおかげ!人の想いが私の尊厳を守ってくださったのよ!

看護師さんに心からの感謝を述べ、部屋に戻る際に、昨日の私と同じように蹲って泣きじゃくっている人が見えますわ。
貴女も私と同じですのね、貴女も誰かに抱きしめてもらっているのですね。同胞ですわね、貴女も私も同じ心に傷を負ったのですわね、綺麗な三つ編みで…


・・・・三つ編み?

一瞬通り過ぎる際に視界に入ったあの髪型は?まさか?

慌てて看護師さんに向きを変えてもらう様に懇願し、向きを変えてもらう、あの情けなくて、弱弱しくて、守ってあげないと思わせる背中、それにあの綺麗な三つ編み…

ああ、よかった守れたのですわね、私の行動は無意味じゃなかった、腕と足を犠牲にしてもよかったんだ、守ることができたんだ、大切な人を、友達を守れたんだ。


向こうもこちらに気が付いたみたいで走り寄ってくれますわ、貴女もあんなに泣きじゃくって、ほんとにもう、泣き虫なんだから。

お互いの安否を抱きしめあい確かめ合う、歓喜の声が体の何処から湧いてくるのかわかりませんが、これほど嬉しい事なんてないですわ。



その後は、流れるように事が進んでいく、幸いなことに私の腕と足が腐らない様に繋ぎとめてくれたのが、医療班の二番目に凄い人と、研究塔のNo1である長、そして、吹き飛んだ手足をくっつけてくれるのが医療班のNo1である、医療班の団長。

つまり、私の体を治してくれるのがこの街にいるトップ集団達、つまりは、この大陸全土を探してもこれ以上のメンバーが居ないという事、人の英知が詰まった他の街からは神とまで崇められている人達の手腕によって繋がれるの、私の未来が。

これ以上が、無いほどの幸せ者である世界中探してもこれ以上の人達がいないという安心感に包まれながら私は麻酔によって深い深い意識の底へと誘われ、全神経と一緒に眠っていく。




次に目が覚めた時は、無くなった左腕と左足があった、感覚がおかしいけれど、これは仕方がない事、離れている期間が長ければ長いほど違和感が残ると説明はされていたもの、私よりも重病な方が多かったのですから、命の危険性の順番待ちでしたからね。

ふと、隣を見ると私のベッドに寄り添いながら寝ている三つ編みさんの姿があった、自室に帰って寝ればいいですのに、付き添ってくれたのですわね。ありがとう。
心の底から胸が締め付けられるこの感情、この優しさに私はどうやって向き合えばいいのか、その答えはもう決まっている、

守りたい。

この人を、私の決意を叶えたる為に必要なものを繋いでくれた人たちを、そして、この私に恐怖を抱かせたアイツらを許せない、私の大切な人達が死ぬ可能性が高いのであればその脅威を取り除いて見せる。

ぱぱ、まま、私ね、この年になって、やっとやっと!目標が出来ました!ここにありますわ。
ここで頑張れば頑張るほど、大好きなパパやママを守れるのですし、それに、初めての友達を守る事にも繋がりますわ。

その為には、今からでも戦闘訓練してもきっと、間に合いますわ。だって、私はパパとママの娘ですもの。

故郷の街でも、移動している車窓の中からでも、絶望の中からでも、希望とやる気に満ちている今でも、どんな時でも変わらず私達を見守り見つめてくれるお月様に決意を捧げる。


神などいないこの大地に、私達こそがこの世界の救世主足らんとすることを誓う。この大地に、あの獣共に一滴たりとも人類の英知を奪わせはしないことを!!


決意も固まったことですし、三つ編みさんの肩を叩き、ベッドで一緒に寝ましょうと声をかけ、狭いけれど、一緒に寝ることに、人の温もりがこんなに安心するなんて知らなかったですわ。

次の日から、私のリハビリテーションが開始された、まずは、指先とかの血液の循環を手技によって促進させてから、一つ一つの筋肉の動かし方をイメージしながら、一つ一つ動かしてもらう、凄く丁寧で優しくて、そして、ちょっと厳しい内容だった。

あれ?この人って怖い人じゃなかったみたいですわ。物腰が柔らかで丁寧で、その姿はまるで聖母?いや慈母!?
…誰だって常に気分がわるいわけではないですわ、きっと、あの時は神経が尖っていらだっていらしただけですのね、隣にいる三つ編みさんも真剣に話を聞いていらっしゃいますわ。

どうやら、今後、私のリハビリテーションは三つ編みさんと一緒に行い、三つ編みさんの経験にも繋がるからとのことですわ。

団長さんが離れた後に、どういうことなのか三つ編みさんに話を聞いてみると、自分の進む道を決めたようですわ。私と一緒ですわね。

貴女も、きっかけがほしかったのですわね、先に、未来に進む道が見えていなかっただけなのですわね。
でも、あの、あの人は男の人ですわよね?お姉様っという表現は、相手に失礼ではなくて?

ぇ?心が乙女だから、いいの?…?どういうことですの?…っは!?聞いたことがありますわ!王都にはとある趣向の方が集まる不思議なバーがあると!で、では、あれがまさか噂のオカマバーの住人ですのね!?

はぁ~、さ、さすがは最先端の街ですわねー、伝説上の噂でしかないと思っていた世界の住人までいるなんて想像もしなかったですわぁ…

それで、貴女はあの方に憧れたってわけですのね?ぇ?憧れ以上の感情がある?ぇ、でも、相手は、その、心は乙女なのでしょう?
ぇ?男は汚らわしいから嫌い?

・・・・ま、まさか、貴女もそっちの趣向なの!?向こう側の住人だったの!?わ、わわあわわわたくしは、ちちちちちがいますわよ!尊敬の念や、憧れはありますけれど、性の対象としては、じょ、女性の方を、みみみみみれないですわよおおおおおおお!??

…ぇ?なんで笑顔のままで何も反応を返してくれないの?じょ、冗談ではなく本気で、本音ですわよ?

またまたぁ~、じゃないですわよ!?ぇ?同好の士の薫りがする!?ぇ?ぇ?…そうなの?私もそっちと同じ趣味趣向が奥底にあるの?ぇ?…そうだとしても!私はまだノーマルですわぁ!!



リハビリテーションも終わり、二人でのんびりとしていたら、お互いお腹が空いたので、外でご飯の準備をしている人が多いとお聞きしていたので、何か食べに行こうと車椅子に乗せていただき、連れて行ってもらうことに。
歩けないこともないのですが、まだまだ、ふらつきもありますし、長い時間、歩けないので、ここは甘えさせていただきます事よ。

三つ編みさんも誰かに頼ってもらえるのが嬉しいのか笑顔で快諾していただきましたわ。

外に出ると、色んな人達が何やら準備をしているので、耳を澄まして聞き耳を立ててみる、鼓膜が負傷していて、音が聞こえなくなる可能性もありましたけれど、団長のおかげで綺麗に音が聞こえるので、これも良きリハビリテーションですことよ。


どうやら、祝勝会などを行うみたいで、それの準備をしているみたいですわ、炊き出し班の方も腕を振るって凄いスピードで料理が用意されていきますわ。
これの準備をしている人達にも色々と炊き出しを渡しているご様子でしたわ、それを私達もいただくことに。

美味しい食事は気力も満ちていくのがわかりますわ。生きてて良かったと心の底から思えわすわぁ。
ご飯を食べ終えて、私達でも何か手伝えることが無いか話を聞いてみると、色々と食事の下準備とかやる事が多いみたいで二人で手伝うことに。

こういったお祭りの準備なんて、したことが無かったから凄く新鮮で楽しかった。指を動かすのも良いリハビリになりますし!
友達と一緒にこうやって何かをするっていうのは良い物ですわね、今までずっと遠目で見ていた世界がこんなにも素晴らしい世界だなんて…感じれて凄く嬉しいですわ。


一段落して、休憩していると、何やら、人が一定の方向に向かっている様子ですけれど、何かあるのかしら?三つ編みさんも気になっているご様子ですし、何か催し物でもあるのかもしれないですわよね。一緒に行きません事?

車椅子を押してもらって人の流れに身を任せていくと、病棟の前に皆さん待機してらっしゃいますわね?何事でしょうか?

病棟のドアが開いてからはそれはもう、熱狂的で酔狂的で、こんな一体感のある出来事、ここまで凄い一体感何て、神事でも見たことがありませんわ!?

衝撃のおはだけも驚きでしたわぁ、あの方って男性じゃなかったの?もう混乱ですわぁ、隣で一緒に見ていた三つ編みさんなんて、目がハートですわ、体をくねらせるんじゃなくてよ?淑女としての嗜みはありませんの?


それからはもう、長い長い夜になりましたわ、他にもいろんな場所で盛り上がっている場所もありましたし、この街はなんて一体感のある街なんでしょう。
わたくしがいた街は何て醜かったのでしょう、この街は確かに危険、常に死と隣り合わせで生きることが困難で辛くて毎日が辛いからこそ、生まれるのですわね、この代えがたい一体感が街中にあるのですわね、この街全体を包み込む空間こそ、きっと、【絆】なんだと思いますわ。私もこの街の一員になりたい、この街で誇りを得たい。

そういえば、学生の方で、ずっと葬儀やご遺体の色々な手伝いをしていた二人組が居ましたけれど、先ほど見かけましたら、決意を固めた漢の顔をなさっていましたわ。

きっと、この祝勝会を通して色んな人が前に一歩進めたのだと感じれますわ。
私も三つ編みさんも、お互いの夢を語って、二人でいつかは恩を返したいねと微笑みあいましたわ。


進もう未来へ、進もう明日へ、進もう自分の夢をかなえる為に、進もう自分を支えてくれた人たちにお礼を言えるように。

また、こうやってみんなで笑顔で笑いあえる日を作ろう、作るんだ私達の手によって!これからだ私達の人生は!!
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