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怒りの戦士達、狂戦士へと変貌する
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警報が鳴り響き、慌ただしく先ほどまで非番だった戦闘可能な人達が、転送陣がある中央広場に次々と集合していく。
我らが、先生が敵の情報が判明している段階で説明があるので、指示があるまで、待機するのが原則である。
単身、突っ込んで死んでしまっては愛しの団長に会えなくなるからな、それだけは避けんとな。
ん?団長だけかって?もちろん姫様もさ!我らが、2TOPに会えない未来何て、考えたくないね、生き甲斐だからな。
周りの人達も敵の事を考えると、どうしても、ソワソワしてしまう、久しぶりの人型タイプ、死者が出てしまう過酷な戦い。先ほどまで休暇を楽しんでいた者たちだ、死の覚悟がまだ、宿っていない状態だ
こんな事なら告白しとけばよかった!
ああ神よ(姫様の写真を見つめながら)!
おお女神よ(団長の写真を見つめながら)!
我らがゴッデスよ(2TOPが仲良く街中で、尚且つ、私服姿で買い物している隠し撮り写真、しかも、団長が女性の服着てるヴァージョン)!
おい!ちょっとまて!?なんだその写真!?激レアすぎるじゃねぇか!マジで欲しい!!
なので、死の覚悟を宿すために、等々と各々が過去の未練を清算するために死なぬ決意を固めたり、己の魂を独自の方法で鼓舞してたりする最中、いきなり地面から砂埃が舞い上がる、上空へ突風が吹いた、そんな不自然な風を起こすということは、誰かが人為的に起こしている可能性しかないので、誰だろうと上を見上げると、
我らがマドンナ、心のオアシス、生き甲斐、二人そろって尊さ1000倍の団長が上空から降りてくる!?
上空から天女様が降臨されたぁっていう感じで一瞬、呆気に取られていると、団長が地面に綺麗な転がり着地を決めると同時に地面を蹴り、転移陣に入っていく
余りにも華麗な無駄の無い動きに心から感動しているが、ふと我に返る
団長は非戦闘員!!
単独で戦場にいっちゃったよ!?
ぇ、ぇ、ぇ、あかんあかんあかんあかんあかんあかん、
何一人で行ってんすか!?僕たちの出撃ま、まって下さいよ!?
先ほどのシーンを目撃したのが複数名居るみたいで、その一連の流れを見た全員の挙動がおかしくなる、辛いことに、その流れを見たほとんどがまだまだ少数で人型と対峙出来る程の技量を持ち合わせていない兵士達ばっかりで、今すぐにでも駆けつけたいが、行ったら足手まといになるとしか思えないし、死にたくないし、命令違反で懲罰モノは避けたいという心の枷が邪魔してアクションを起こせないでいた。
ぁぁぁぁぁ!!!
もどかしい、もどかしい!!
せんせい!てぃーちゃー!はやくはやくはやくはやくはやく!!!
現場に戻ってきて!!!事件が発生しています!!!
焦りは禁物って言葉があるけど、大事な人が危険な場所にいったなんて知っちゃったらもう、焦りしか生まれないっす!!!
あの人が怪我なんてしようものなら、人型のくそったれを、この世に生まれたこと後悔させてやるレベルでぶち殺してやるからな!!!!
団長!我々が出陣するまで無事でいてくださいね!!!
団長が、先に単独で突っ込んだのを見た兵士達の気力と殺意が急上昇していくのを肌で感じ、団長が単独で突っ走ったのを見ていない人達は、先ほどまでちょっとお通夜気味だった隊員のやる気と殺意が漲っていきピリっとひりつく感じに切り替わったことに何事かと状況がつかめていない様子だった。
皆の、落ち着きがない状況で遠方から鳴り響く轟音…
自分を含め、団長が単独で突っ走ったのを見てた連中の顔が一気に青ざめていく。
おい、ちょっとまて、爆発音、だと?さっきもなって、なってたよな?うん、ここに来る途中でなってた爆発音だよな。
ぇ?味方?敵?どっち?隠蔽部隊って爆発物持ってたっけ?持ってたらみんなで投げるから、もっと前からするよね?じゃぁちが、うよね?ってことは、て、敵からのだよね?
ここまで聞こえる爆発音って・・・・・・そうとうな規模だよね?・・・・・
状況を理解した戦士たちの青ざめた顔が徐々に変化していき、目が血走っていき顔も高揚し赤色に変わっていく、独りでも団長の下へ駆けつけようと走り出す奴がいたので全員でブロックする。
気持ちは分かるが落ち着け!気持ちが先行していては出来ることも出来ないぞ!
心臓が異常な音を出しながら爆発するんじゃないかってくらい鼓動が激しい、時間の流れる感覚が遅く感じる
ぁ、これが噂のゾーン?覚醒?目覚め?愛が暴走?今なら何でも、そう、神ですら殺せる自信がある。
はぁはぁはぁ、はやく、はやく!号令を!突撃の号令を!これで手遅れになってたらおらぁもうなにしでかすかわかんねぇぜ?
「遅くなった!」ほんとうだよ
「敵の情報を集めるだけ集めたぞ!」ごたくはいい
「敵の種類だがタイプは、魔法特化型で魔術を発動させるための依り代をもっている!」おいちょっとまてそれってつまり、さきほどのごうおんは!!!
「お前たち!?どうした!?勝手に陣にはいろうと、ど、どうした!?熱り立つな!冷静になるんだ」どうやっておさえろっていうんだおれもむりだ・・・いこう
脳の何かが外れそうになりかけていると、
更に響き渡る轟音・・・・
即座 に 理かイ すル 愛すル ヒト シニソウラエ
キレタ
カンゼン ニ キレタ リセイ ナンテ イラナイ コロス
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!
脳の何かが切れてしまった兵士達の号砲が街を包み込み大地を震わせる、今まで、ここまで戦士達が戦いに対して熱量を持ったことは嘗てないだろう。
狂戦士へと変貌した死を恐れぬ軍団が今ここに!
もう誰も止めることが出来なかった
我先にへと陣に飛び込んでいく狂戦士達、戦々恐々、
その姿形はまさに百鬼夜行、人のそれではない、バケモノの群れだ。
戦闘指揮をする為の軍師としての役割を持っている小隊長でさえ、理性が崩壊していた、これはよっぽどの事態だと判断したティーチャーは急いで全員に突撃命令を出す
このレベルの熱量なら、押し切るしかないと判断したからである。
そして、ティーチャーも転送陣をくぐり抜けると
想像を絶する光景が飛び込んでくる、辺り一面に焼けこげた後、数多くの飛び散る人体のパーツ、人の焼ける臭い、隠蔽部隊のテントが跡形もなく吹き飛んでいた。
その光景を、見た多くの隊員達が、戦意喪失していないかという不安に駆られ喝を入れる為の号令を出そうとした瞬間だった
!!!!ころせぇぇぇぇぇぇぇえぇなんとしても、なにがあろうとやつをころせぇぇぇぇぇえぇぇええっぇぇぇ!!!!
その場にいる全員が咆哮していた、それだけじゃない、血の涙を流している者もいた、何事かと思い全員が見ている視線の先を見ると
これはだめだ、感情を押し殺すなんて不可能だ、冷静になんてなれるわけがない
爆発で吹き飛んだ穴の中に、
この街で貴女の事を知らない人は居ない、
お世話になっていない人はいない、
心も体も助けてくれた俺たち戦士達の憩いの人が見るも無残な状態で転がっていたからだ。
こんな状況を見て、冷静になんてどう頑張っても無理難題だろう、どんな言葉をかけたとしても戦士達の耳には何も入らない。彼らは既に狂戦士へと変貌している。
敵のくそったれな猿が追撃をしようとしているのが見える、依り代である杖を投げようとしている
どこに?決まっているだろう、俺たちのマドンナに向かってだよ。
やらせるかぁあああああああああああああああああああああ
数多くの隊員が天地に轟き、我らが街にまで聞こえる程の咆哮と同時に、全力で敵に向かって突撃する。
槍を持つものは、
敵の顔面に向けて何を持っても確実に殺すほどの殺意を込めて投げる人と、
全身の全ての力を使って捨て身の突撃を心臓に向かって走り出す人
盾を持つものは、
投げようとしている依り代から愛する人を守るために愛する人の前に立つ
剣を持つものは、
敵の腕を、愛する人を傷つけたことにより憎しみを込めて腕を切るという技量ではなく、
技量など無く憎しみの力で叩き折るように振るう
槌を持つものは、
愛する人を傷つけたやつが地面に立っているのが許せない、
敵の膝、足の指先目掛けて大地を裂くか如く勢いで叩く
弓を持つものは、
一斉攻撃が引いた瞬間に敵の追撃をさせないために、
または完全なる止めを刺すために全力で弓を絞り必殺の一撃を放たんが為に心と力を矢に込める
日々の研鑽する練度が120%の形で発揮される、己が出来る全力をこれ以上ないほどに完璧だった、これが推しへの愛の力
投擲された槍は、確実に相手の顔に当たっているのだが、怯む様子はなく団長に向かって依り代を投げる。
しかし!こちらの盾の部隊が依り代を弾く為に既に動いている、弾き方もしっかりと計算さえており、統率も取れている。
団長の前で隙間なく待機する人達のほかに、投げられた依り代の起動予測地点に連係プレイで盾を持っている人を投げ、空中で盾を使って依り代を叩き落とすことによって万が一を防ぐ。
万が一とは?依り代に魔力を込め、相手に着弾と同時に起爆し周辺を巻き込むという可能性の為に近くで受け止めるわけにはいかない
槍兵が、心臓目掛けて突撃するが敵の毛が硬く弾き飛ばされる、それを見た後続の槍兵はお腹目掛けて槍を突き出すが同じく刺さらないが、相手の動きを封じ込めるように槍を突き立てる。
剣戟は、相手の腕にしっかりと当たるが皮膚を裂けることが出来ず、強固な鎧の表面を滑らせるような感覚しか伝わってこず、手応えが感じ取れない、感覚で解る不発だと。
槌も確実に膝に当てるが弾力性の高いマットを重ねた大黒柱に向かって殴ったような感覚、きっちりと衝撃が伝わらず抜ける様な感覚が伝わる、これまた、感覚で解る不発だ。
足の指を狙った槌も確実に捉えていたが、感触は土を殴るような感覚、圧によって潰したような手応えが感じ取れない、不発だと直感する
不発を感じた隊員は流れるように、敵から離れていく、次の隊員の一撃の邪魔をしない為である。
全ての隊員が離れた刹那に強弓から放たれる究極の一撃!必殺の弓矢が放たれるが、遠距離攻撃を警戒しているのか全て頑丈な毛皮のある部分で矢が弾かれる。
この状況を見て、狂戦士達も一瞬で我に帰る。
ぁ、これ、フィニッシュムーブないぞと察する。熟練の戦士も窮する千日手になるぞっと
全員が、究極に神経が研ぎ澄まされた状態でゾーンに入っていると感じている人達しかいない状況だからこそ出来る、一糸乱れぬこれ以上ないほど完璧な連携で次の手、次の手と、手を休めることなく連撃を繰り返しながら繰り出していく。
なぜ、手を休めないのか?
そう、相手を引き付ける為である、相手がぶん投げた依り代を回収させないため、団長から意識をそらさせ、救護班が団長の下へと駆けつけやすくするためである。
出来る限り、この場から敵を引き離さないといけないという全員が同じ目的で動くからこそ出来る完璧な連携プレイだった
目と目が合った瞬間、
呼吸のリズムが揃う瞬間、
動きが完全にシンクロする。
これも愛が成せる業であろう。
今後一生、ここまでの練度の高い究極の連携は不可能だとのちに語られるほどであった。
究極の連携だからこそ、独りだと絶対に勝てない相手も怯ませることができるし、救護班が安全に確実に素早く救護することが出来る。
それに、救護班もこの惨状を見た瞬間ブチ切れていた、血の涙を流しながら、唇をかみ血を流しながら、自分たちが非戦闘員だということが、相手に恨み怒りをぶつける事が出来ない憤りを感じながら戦場を駆けだす、少しでも息のある人の命を繋ぐために
こんな状況でも団長の教えを、信念を守り通す、死が近い人から救護する事、命に余裕がある人は後回しにすること、助ける順番に私情をはさまない
例え、自分が怪我をしても、この順番を違える事無かれ
その教えがまた、救護班に血の涙を流させていた、救護班の殆どが団長に教えを乞うた愛弟子達であり、救護班の殆どが団長の事を神格化している。
神を逸早く誰よりも速く!駆けつけたい!が、その教えを守れないと神に嫌われるので出来ない、その葛藤がまた、彼らの感情を掻き立てて涙となって表れていた。
救護班が、全員の救助を完了したという報告が届いた瞬間、全員の超覚醒ゾーン状態が抜けてしまい、その隙を突かれ、地面に突き刺さっている依り代が人型の手に渡ってしまった。
そこからはもう、敵が魔力を依り代に込めさせないようにする為の波状攻撃へとシフトしていくが、ゾーンから抜けた瞬間の体が重く感じるこの時ばかりは数人の死者が出てしまうことを覚悟するしか無かった。
現に、こちらの攻撃を往(い)なし乍(なが)ら依り代に魔力を込めるという中々に我々をなめ腐ったようなムーブが我々の反感を買い、一部が挑発に乗りそうになるが、同じ土俵に下りないように!
どんな相手にも騎士としての志を忘れる事無かれ!品位を下げないように!
我を忘れて特攻しそうになる人を号令で宥めながら、敵の依り代に向けて様々な攻撃を行い、少しでも意識をそらさせる。
非戦闘員が、居ないからこそできる作戦もあり、それらを実行していく、遠保に出ていた殲滅部隊も参戦し、殲滅部隊を守る騎士隊も参戦したので、こちらの戦力は万全ともいえる、欲を言えばベテランさんが居て欲しいがあの人まだ休暇中。
たぶん、他所の街からの帰り道だと思われるので、即座に参戦するにしても時間が掛かる
人型から放たれる爆裂魔法、依り代に魔力を一定数以上貯めると光の弾となって飛ばし、着弾時に爆発する術式で魔力を貯めれば貯める程、威力が上がるタイプ。
で、一定数貯めて、再度、違う動き等をしているとじわじわと貯めた魔力が霧散するタイプなのか一定以上魔力を込めたら、直ぐに依り代から光の弾が放たれるが、予兆も事前動作もわかりやすいので対処は非常にしやすいし、遠くの街まで響かせたあの威力を貯めるには、相当な時間を要する、
なので、攻撃を加えて敵の意識をそらして、溜めきれずに打たせるのが一番被害が出ないと判断し、攻めの手を緩めない
そんな膠着した状態が、長く続いた
中には、爆裂で飛んできた石等が被弾して一時医療テントに避難した者もいたが、帰ってくると全員そろって目が血走っていて殺気が溢れ出ていた。
医療班に何か投与されたのかと思うくらい、殺意が漲っていた、確実に相手を殺しつくす決意を胸に狂戦士の高みへと至って戻ってくる。
その高すぎる殺意に、医療テントに顔を出していない人達がざわつき始める、
まさかの事態になっていないか?我らの神が下天?いや、天に還られたのか!?というざわめきがあったが、
テントに顔を出した戦士達がそれは大丈夫、しっかりと生きているが、姿を見るな、見ると心のざわつきが抑えられない、衝動がおさえられない、耐えられない!!!
心が叫ぶんだ!
団長をあんな姿にしたアイツを許すなって、一生モノの傷を負わせたアイツを殺せって心の叫びが訴えが情動が止まらなくなるんだ!!!っと叫んでしまったがゆえに
その場にいる全員が理解した。
爆発であの玉の様な透き通る肌や、あの麗しき妖艶で魔性の肉体が、遠目からでも美貌が一目瞭然、歩けばそこはトップロード!
神に許された美が歪められたのだと
全員が一気に狂戦士へと化ける、それ程までに彼女の存在はこの街にいる戦士の拠り所となっている。
戦士の中には、女性も当然ながら居る、その女性もまた、あの美貌に癒され恋焦がれ、憧れているものが多いし、彼女がその美貌を保つために食においても日常ににおいても常に磨き続け、努力を怠らないのも知っている。
その弛まぬ努力の結晶が汚されたことに乙女としての怒りが沸き上がり狂戦士へと至る。
本来であれば、人型と対峙すれば、もっともっと過酷で苦戦を強いられてしまい、多大な犠牲が出てしまうことが多いが、今回は全員の集中力が高すぎて迂闊なミスなどが一切ない。
その為、軽傷で済むものが多く、大きな怪我も無く戦い続け、多少の怪我がある人は、直ぐにテントに帰っていき、フェルマータしたと思ったら、殺意がフォルテッシモして、ぶち切れて現場に帰ってくるを繰り返していた。
コンダクターができ、、、いかんな、疲れが響いてきているようだ、意識がちょっと遠い、言葉が色々と混ざってきている。
安全のために一度、指揮を小隊長に一任し、自分もテントで英気を養いに戻る
医療テントに到着し、休憩する用のテントに入って体力、及び、組織回復を目的とした陣に魔力を通して起動させ、兵糧丸を口に放り込み一息つく
小一時間程、休憩した後、
医療テントの中で眠っているであろう同期でもある団長の顔を見てから出陣しようとテントの中に入っていく。
入ると、医療班の人が出迎えてくれて、状況説明をしてくれる。
特に、重篤な方がいるわけではないので、意外と落ち着いていたので驚きである、どうやら、命の危機に瀕している人は真っ先に街の集中医療室に運ばれて処置されており、現場復帰が可能な方はこちらで処置する流れなのだが、その流れで、あれば
団長も集中医療室へ運ばれるはずでは?
と思ったが、彼女の事だからある一定の治療が終われば現場に戻ろうとするので、現場に居てもらうのが一番なのと、すっと団長がいる場所に案内されると、
全身が包帯に覆われた団長が横になっていた。
これを見て察する、全身が焼け爛れたのだと、俺は知っている、同期の彼が、いや、彼女が美に対する意識が物凄く高い事、自身の体に大きな俺達では計り知れないほどのコンプレックスを抱いていることを!彼の友としてずっと、近くで切磋琢磨した仲間として、彼から彼女へと変化していく過程も友として見守ってきた身としては、この姿を見て怒りしか湧いてこない
ぁぁ、成程、彼女に酔狂な連中がこの姿を見て悲しみを怒りを殺意を抱かなわけがない。
かくいう俺も抑えることが出来ない、若造の如き感情が込み上げてくる。
それに、この姿を街の人達が見たら、我を忘れる者たちが数多く存在するし、何よりも本人が鏡などで見てしまったら心折れてしまう
何となくこんな状態だろうなと思い描くのと現実を突きつけられるのでは、心の折れ方が違う。
彼女の心を守るために彼女を心も体もケアするために、配慮された配置なのだと察する。
その心遣いに大きな感謝を!
医療班の人に涙を流しながら熱い握手を交わし
俺は戦場に戻る
あの糞猿を生まれてきたことを後悔させるだけでは生ぬるい!
彼女を傷つけた代償を払っていただこう!!その身でな!!
彼女の皮膚を傷つけた指を一つ一つへし折ってくれよう
彼女の心を傷つけたその魔力臓器を生きた状態で腹を裂き引きずり出してやろう
彼女の努力を踏みにじった、その脳を頭蓋骨を叩き割、
この手で握りつぶしてミンチにしてやろう!!!!
この世に存在するありとあらゆる苦痛を与えねば
俺らのアイドルが怪我した罪は償えぬと知れ!!!!
テントの外に居る他の隊員が俺の顔を見た瞬間に「鬼が居る」っと小声が聞こえた、
鬼にもなろう、
悪鬼羅刹にもなろう!
我が心が晴れるのであれば、如何様にも転じて見せよう!!
修羅のごとく!鬼のごとく!羅刹のごとき!人外になろうとも果たして見せるわ、この衝動!!
そうでもしなければ、我らの気持ち!抑えきれぬ!!!!
殺してくれよう!滅してくれよう!滅ぼしてくれよう!!
こうして、指揮官もまた先の者と同じように狂戦士へと変貌し、戦場に戻るのであった。
戦場に戻ると、ベテランさんが居て、指揮を執っており、周りを鼓舞しながらあの人型をほぼ独りで相手取っていた
それだけじゃない、得物が依り代が敵の手に無いのがわかる
どうやら、ベテランさんが敵の一部の指が無いの作戦に組み込み、虚をつき奪いとってすぐに、転移陣に向かってバケツリレーの様に隊員にリレーさせ放り込んだそうだ。
既に、遠見の術で解析班があの杖の特徴を解析分析しており、奪い取っても遠距離で起動することは出来ないタイプであると判断し、強奪したそうだ。
流石、師匠!俺では至らぬ領域からの指揮素晴らしいです!では、指揮を任せてもよろしいですね?この高ぶる感情をぶつけてきてもよろしいですか?よろしいですよね?
はい!行ってきます!!
死ねや!ごらああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!
普段は寡黙で、紳士で、音楽が大好きな騎士がここまで荒ぶるなんてなぁ、よっぽどのことがあったんだろうなぁっと吾輩ですらどん引いてしまうほどの彼のテンションについ、やりたくもない指揮官役を受け取ってしまった。
彼が、医療班のテントから戻ってきた様子から、察する、2TOPに何かあったのだと、
これで合点がいく、現場の殺意が今までとは、比べ物にならない程の熱量になっているのを
そして、この熱量に充てられて他のエリアの獣も集合して弾丸の様に突進してくる、
うむ、これはこれで、良しとしよう、獣も間引けるし、皆の集中力も最高潮だからな。
後は、アレをどうやって仕留めれば良いのか、有効な攻撃手段を解析班が生み出すのを待つために千日戦闘と行こうではないか!!
こうして、戦士達は怒りの渦に呑まれたまま、狂乱の終わりのない千日戦闘が幕を上げるのであった。
我らが、先生が敵の情報が判明している段階で説明があるので、指示があるまで、待機するのが原則である。
単身、突っ込んで死んでしまっては愛しの団長に会えなくなるからな、それだけは避けんとな。
ん?団長だけかって?もちろん姫様もさ!我らが、2TOPに会えない未来何て、考えたくないね、生き甲斐だからな。
周りの人達も敵の事を考えると、どうしても、ソワソワしてしまう、久しぶりの人型タイプ、死者が出てしまう過酷な戦い。先ほどまで休暇を楽しんでいた者たちだ、死の覚悟がまだ、宿っていない状態だ
こんな事なら告白しとけばよかった!
ああ神よ(姫様の写真を見つめながら)!
おお女神よ(団長の写真を見つめながら)!
我らがゴッデスよ(2TOPが仲良く街中で、尚且つ、私服姿で買い物している隠し撮り写真、しかも、団長が女性の服着てるヴァージョン)!
おい!ちょっとまて!?なんだその写真!?激レアすぎるじゃねぇか!マジで欲しい!!
なので、死の覚悟を宿すために、等々と各々が過去の未練を清算するために死なぬ決意を固めたり、己の魂を独自の方法で鼓舞してたりする最中、いきなり地面から砂埃が舞い上がる、上空へ突風が吹いた、そんな不自然な風を起こすということは、誰かが人為的に起こしている可能性しかないので、誰だろうと上を見上げると、
我らがマドンナ、心のオアシス、生き甲斐、二人そろって尊さ1000倍の団長が上空から降りてくる!?
上空から天女様が降臨されたぁっていう感じで一瞬、呆気に取られていると、団長が地面に綺麗な転がり着地を決めると同時に地面を蹴り、転移陣に入っていく
余りにも華麗な無駄の無い動きに心から感動しているが、ふと我に返る
団長は非戦闘員!!
単独で戦場にいっちゃったよ!?
ぇ、ぇ、ぇ、あかんあかんあかんあかんあかんあかん、
何一人で行ってんすか!?僕たちの出撃ま、まって下さいよ!?
先ほどのシーンを目撃したのが複数名居るみたいで、その一連の流れを見た全員の挙動がおかしくなる、辛いことに、その流れを見たほとんどがまだまだ少数で人型と対峙出来る程の技量を持ち合わせていない兵士達ばっかりで、今すぐにでも駆けつけたいが、行ったら足手まといになるとしか思えないし、死にたくないし、命令違反で懲罰モノは避けたいという心の枷が邪魔してアクションを起こせないでいた。
ぁぁぁぁぁ!!!
もどかしい、もどかしい!!
せんせい!てぃーちゃー!はやくはやくはやくはやくはやく!!!
現場に戻ってきて!!!事件が発生しています!!!
焦りは禁物って言葉があるけど、大事な人が危険な場所にいったなんて知っちゃったらもう、焦りしか生まれないっす!!!
あの人が怪我なんてしようものなら、人型のくそったれを、この世に生まれたこと後悔させてやるレベルでぶち殺してやるからな!!!!
団長!我々が出陣するまで無事でいてくださいね!!!
団長が、先に単独で突っ込んだのを見た兵士達の気力と殺意が急上昇していくのを肌で感じ、団長が単独で突っ走ったのを見ていない人達は、先ほどまでちょっとお通夜気味だった隊員のやる気と殺意が漲っていきピリっとひりつく感じに切り替わったことに何事かと状況がつかめていない様子だった。
皆の、落ち着きがない状況で遠方から鳴り響く轟音…
自分を含め、団長が単独で突っ走ったのを見てた連中の顔が一気に青ざめていく。
おい、ちょっとまて、爆発音、だと?さっきもなって、なってたよな?うん、ここに来る途中でなってた爆発音だよな。
ぇ?味方?敵?どっち?隠蔽部隊って爆発物持ってたっけ?持ってたらみんなで投げるから、もっと前からするよね?じゃぁちが、うよね?ってことは、て、敵からのだよね?
ここまで聞こえる爆発音って・・・・・・そうとうな規模だよね?・・・・・
状況を理解した戦士たちの青ざめた顔が徐々に変化していき、目が血走っていき顔も高揚し赤色に変わっていく、独りでも団長の下へ駆けつけようと走り出す奴がいたので全員でブロックする。
気持ちは分かるが落ち着け!気持ちが先行していては出来ることも出来ないぞ!
心臓が異常な音を出しながら爆発するんじゃないかってくらい鼓動が激しい、時間の流れる感覚が遅く感じる
ぁ、これが噂のゾーン?覚醒?目覚め?愛が暴走?今なら何でも、そう、神ですら殺せる自信がある。
はぁはぁはぁ、はやく、はやく!号令を!突撃の号令を!これで手遅れになってたらおらぁもうなにしでかすかわかんねぇぜ?
「遅くなった!」ほんとうだよ
「敵の情報を集めるだけ集めたぞ!」ごたくはいい
「敵の種類だがタイプは、魔法特化型で魔術を発動させるための依り代をもっている!」おいちょっとまてそれってつまり、さきほどのごうおんは!!!
「お前たち!?どうした!?勝手に陣にはいろうと、ど、どうした!?熱り立つな!冷静になるんだ」どうやっておさえろっていうんだおれもむりだ・・・いこう
脳の何かが外れそうになりかけていると、
更に響き渡る轟音・・・・
即座 に 理かイ すル 愛すル ヒト シニソウラエ
キレタ
カンゼン ニ キレタ リセイ ナンテ イラナイ コロス
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!
脳の何かが切れてしまった兵士達の号砲が街を包み込み大地を震わせる、今まで、ここまで戦士達が戦いに対して熱量を持ったことは嘗てないだろう。
狂戦士へと変貌した死を恐れぬ軍団が今ここに!
もう誰も止めることが出来なかった
我先にへと陣に飛び込んでいく狂戦士達、戦々恐々、
その姿形はまさに百鬼夜行、人のそれではない、バケモノの群れだ。
戦闘指揮をする為の軍師としての役割を持っている小隊長でさえ、理性が崩壊していた、これはよっぽどの事態だと判断したティーチャーは急いで全員に突撃命令を出す
このレベルの熱量なら、押し切るしかないと判断したからである。
そして、ティーチャーも転送陣をくぐり抜けると
想像を絶する光景が飛び込んでくる、辺り一面に焼けこげた後、数多くの飛び散る人体のパーツ、人の焼ける臭い、隠蔽部隊のテントが跡形もなく吹き飛んでいた。
その光景を、見た多くの隊員達が、戦意喪失していないかという不安に駆られ喝を入れる為の号令を出そうとした瞬間だった
!!!!ころせぇぇぇぇぇぇぇえぇなんとしても、なにがあろうとやつをころせぇぇぇぇぇえぇぇええっぇぇぇ!!!!
その場にいる全員が咆哮していた、それだけじゃない、血の涙を流している者もいた、何事かと思い全員が見ている視線の先を見ると
これはだめだ、感情を押し殺すなんて不可能だ、冷静になんてなれるわけがない
爆発で吹き飛んだ穴の中に、
この街で貴女の事を知らない人は居ない、
お世話になっていない人はいない、
心も体も助けてくれた俺たち戦士達の憩いの人が見るも無残な状態で転がっていたからだ。
こんな状況を見て、冷静になんてどう頑張っても無理難題だろう、どんな言葉をかけたとしても戦士達の耳には何も入らない。彼らは既に狂戦士へと変貌している。
敵のくそったれな猿が追撃をしようとしているのが見える、依り代である杖を投げようとしている
どこに?決まっているだろう、俺たちのマドンナに向かってだよ。
やらせるかぁあああああああああああああああああああああ
数多くの隊員が天地に轟き、我らが街にまで聞こえる程の咆哮と同時に、全力で敵に向かって突撃する。
槍を持つものは、
敵の顔面に向けて何を持っても確実に殺すほどの殺意を込めて投げる人と、
全身の全ての力を使って捨て身の突撃を心臓に向かって走り出す人
盾を持つものは、
投げようとしている依り代から愛する人を守るために愛する人の前に立つ
剣を持つものは、
敵の腕を、愛する人を傷つけたことにより憎しみを込めて腕を切るという技量ではなく、
技量など無く憎しみの力で叩き折るように振るう
槌を持つものは、
愛する人を傷つけたやつが地面に立っているのが許せない、
敵の膝、足の指先目掛けて大地を裂くか如く勢いで叩く
弓を持つものは、
一斉攻撃が引いた瞬間に敵の追撃をさせないために、
または完全なる止めを刺すために全力で弓を絞り必殺の一撃を放たんが為に心と力を矢に込める
日々の研鑽する練度が120%の形で発揮される、己が出来る全力をこれ以上ないほどに完璧だった、これが推しへの愛の力
投擲された槍は、確実に相手の顔に当たっているのだが、怯む様子はなく団長に向かって依り代を投げる。
しかし!こちらの盾の部隊が依り代を弾く為に既に動いている、弾き方もしっかりと計算さえており、統率も取れている。
団長の前で隙間なく待機する人達のほかに、投げられた依り代の起動予測地点に連係プレイで盾を持っている人を投げ、空中で盾を使って依り代を叩き落とすことによって万が一を防ぐ。
万が一とは?依り代に魔力を込め、相手に着弾と同時に起爆し周辺を巻き込むという可能性の為に近くで受け止めるわけにはいかない
槍兵が、心臓目掛けて突撃するが敵の毛が硬く弾き飛ばされる、それを見た後続の槍兵はお腹目掛けて槍を突き出すが同じく刺さらないが、相手の動きを封じ込めるように槍を突き立てる。
剣戟は、相手の腕にしっかりと当たるが皮膚を裂けることが出来ず、強固な鎧の表面を滑らせるような感覚しか伝わってこず、手応えが感じ取れない、感覚で解る不発だと。
槌も確実に膝に当てるが弾力性の高いマットを重ねた大黒柱に向かって殴ったような感覚、きっちりと衝撃が伝わらず抜ける様な感覚が伝わる、これまた、感覚で解る不発だ。
足の指を狙った槌も確実に捉えていたが、感触は土を殴るような感覚、圧によって潰したような手応えが感じ取れない、不発だと直感する
不発を感じた隊員は流れるように、敵から離れていく、次の隊員の一撃の邪魔をしない為である。
全ての隊員が離れた刹那に強弓から放たれる究極の一撃!必殺の弓矢が放たれるが、遠距離攻撃を警戒しているのか全て頑丈な毛皮のある部分で矢が弾かれる。
この状況を見て、狂戦士達も一瞬で我に帰る。
ぁ、これ、フィニッシュムーブないぞと察する。熟練の戦士も窮する千日手になるぞっと
全員が、究極に神経が研ぎ澄まされた状態でゾーンに入っていると感じている人達しかいない状況だからこそ出来る、一糸乱れぬこれ以上ないほど完璧な連携で次の手、次の手と、手を休めることなく連撃を繰り返しながら繰り出していく。
なぜ、手を休めないのか?
そう、相手を引き付ける為である、相手がぶん投げた依り代を回収させないため、団長から意識をそらさせ、救護班が団長の下へと駆けつけやすくするためである。
出来る限り、この場から敵を引き離さないといけないという全員が同じ目的で動くからこそ出来る完璧な連携プレイだった
目と目が合った瞬間、
呼吸のリズムが揃う瞬間、
動きが完全にシンクロする。
これも愛が成せる業であろう。
今後一生、ここまでの練度の高い究極の連携は不可能だとのちに語られるほどであった。
究極の連携だからこそ、独りだと絶対に勝てない相手も怯ませることができるし、救護班が安全に確実に素早く救護することが出来る。
それに、救護班もこの惨状を見た瞬間ブチ切れていた、血の涙を流しながら、唇をかみ血を流しながら、自分たちが非戦闘員だということが、相手に恨み怒りをぶつける事が出来ない憤りを感じながら戦場を駆けだす、少しでも息のある人の命を繋ぐために
こんな状況でも団長の教えを、信念を守り通す、死が近い人から救護する事、命に余裕がある人は後回しにすること、助ける順番に私情をはさまない
例え、自分が怪我をしても、この順番を違える事無かれ
その教えがまた、救護班に血の涙を流させていた、救護班の殆どが団長に教えを乞うた愛弟子達であり、救護班の殆どが団長の事を神格化している。
神を逸早く誰よりも速く!駆けつけたい!が、その教えを守れないと神に嫌われるので出来ない、その葛藤がまた、彼らの感情を掻き立てて涙となって表れていた。
救護班が、全員の救助を完了したという報告が届いた瞬間、全員の超覚醒ゾーン状態が抜けてしまい、その隙を突かれ、地面に突き刺さっている依り代が人型の手に渡ってしまった。
そこからはもう、敵が魔力を依り代に込めさせないようにする為の波状攻撃へとシフトしていくが、ゾーンから抜けた瞬間の体が重く感じるこの時ばかりは数人の死者が出てしまうことを覚悟するしか無かった。
現に、こちらの攻撃を往(い)なし乍(なが)ら依り代に魔力を込めるという中々に我々をなめ腐ったようなムーブが我々の反感を買い、一部が挑発に乗りそうになるが、同じ土俵に下りないように!
どんな相手にも騎士としての志を忘れる事無かれ!品位を下げないように!
我を忘れて特攻しそうになる人を号令で宥めながら、敵の依り代に向けて様々な攻撃を行い、少しでも意識をそらさせる。
非戦闘員が、居ないからこそできる作戦もあり、それらを実行していく、遠保に出ていた殲滅部隊も参戦し、殲滅部隊を守る騎士隊も参戦したので、こちらの戦力は万全ともいえる、欲を言えばベテランさんが居て欲しいがあの人まだ休暇中。
たぶん、他所の街からの帰り道だと思われるので、即座に参戦するにしても時間が掛かる
人型から放たれる爆裂魔法、依り代に魔力を一定数以上貯めると光の弾となって飛ばし、着弾時に爆発する術式で魔力を貯めれば貯める程、威力が上がるタイプ。
で、一定数貯めて、再度、違う動き等をしているとじわじわと貯めた魔力が霧散するタイプなのか一定以上魔力を込めたら、直ぐに依り代から光の弾が放たれるが、予兆も事前動作もわかりやすいので対処は非常にしやすいし、遠くの街まで響かせたあの威力を貯めるには、相当な時間を要する、
なので、攻撃を加えて敵の意識をそらして、溜めきれずに打たせるのが一番被害が出ないと判断し、攻めの手を緩めない
そんな膠着した状態が、長く続いた
中には、爆裂で飛んできた石等が被弾して一時医療テントに避難した者もいたが、帰ってくると全員そろって目が血走っていて殺気が溢れ出ていた。
医療班に何か投与されたのかと思うくらい、殺意が漲っていた、確実に相手を殺しつくす決意を胸に狂戦士の高みへと至って戻ってくる。
その高すぎる殺意に、医療テントに顔を出していない人達がざわつき始める、
まさかの事態になっていないか?我らの神が下天?いや、天に還られたのか!?というざわめきがあったが、
テントに顔を出した戦士達がそれは大丈夫、しっかりと生きているが、姿を見るな、見ると心のざわつきが抑えられない、衝動がおさえられない、耐えられない!!!
心が叫ぶんだ!
団長をあんな姿にしたアイツを許すなって、一生モノの傷を負わせたアイツを殺せって心の叫びが訴えが情動が止まらなくなるんだ!!!っと叫んでしまったがゆえに
その場にいる全員が理解した。
爆発であの玉の様な透き通る肌や、あの麗しき妖艶で魔性の肉体が、遠目からでも美貌が一目瞭然、歩けばそこはトップロード!
神に許された美が歪められたのだと
全員が一気に狂戦士へと化ける、それ程までに彼女の存在はこの街にいる戦士の拠り所となっている。
戦士の中には、女性も当然ながら居る、その女性もまた、あの美貌に癒され恋焦がれ、憧れているものが多いし、彼女がその美貌を保つために食においても日常ににおいても常に磨き続け、努力を怠らないのも知っている。
その弛まぬ努力の結晶が汚されたことに乙女としての怒りが沸き上がり狂戦士へと至る。
本来であれば、人型と対峙すれば、もっともっと過酷で苦戦を強いられてしまい、多大な犠牲が出てしまうことが多いが、今回は全員の集中力が高すぎて迂闊なミスなどが一切ない。
その為、軽傷で済むものが多く、大きな怪我も無く戦い続け、多少の怪我がある人は、直ぐにテントに帰っていき、フェルマータしたと思ったら、殺意がフォルテッシモして、ぶち切れて現場に帰ってくるを繰り返していた。
コンダクターができ、、、いかんな、疲れが響いてきているようだ、意識がちょっと遠い、言葉が色々と混ざってきている。
安全のために一度、指揮を小隊長に一任し、自分もテントで英気を養いに戻る
医療テントに到着し、休憩する用のテントに入って体力、及び、組織回復を目的とした陣に魔力を通して起動させ、兵糧丸を口に放り込み一息つく
小一時間程、休憩した後、
医療テントの中で眠っているであろう同期でもある団長の顔を見てから出陣しようとテントの中に入っていく。
入ると、医療班の人が出迎えてくれて、状況説明をしてくれる。
特に、重篤な方がいるわけではないので、意外と落ち着いていたので驚きである、どうやら、命の危機に瀕している人は真っ先に街の集中医療室に運ばれて処置されており、現場復帰が可能な方はこちらで処置する流れなのだが、その流れで、あれば
団長も集中医療室へ運ばれるはずでは?
と思ったが、彼女の事だからある一定の治療が終われば現場に戻ろうとするので、現場に居てもらうのが一番なのと、すっと団長がいる場所に案内されると、
全身が包帯に覆われた団長が横になっていた。
これを見て察する、全身が焼け爛れたのだと、俺は知っている、同期の彼が、いや、彼女が美に対する意識が物凄く高い事、自身の体に大きな俺達では計り知れないほどのコンプレックスを抱いていることを!彼の友としてずっと、近くで切磋琢磨した仲間として、彼から彼女へと変化していく過程も友として見守ってきた身としては、この姿を見て怒りしか湧いてこない
ぁぁ、成程、彼女に酔狂な連中がこの姿を見て悲しみを怒りを殺意を抱かなわけがない。
かくいう俺も抑えることが出来ない、若造の如き感情が込み上げてくる。
それに、この姿を街の人達が見たら、我を忘れる者たちが数多く存在するし、何よりも本人が鏡などで見てしまったら心折れてしまう
何となくこんな状態だろうなと思い描くのと現実を突きつけられるのでは、心の折れ方が違う。
彼女の心を守るために彼女を心も体もケアするために、配慮された配置なのだと察する。
その心遣いに大きな感謝を!
医療班の人に涙を流しながら熱い握手を交わし
俺は戦場に戻る
あの糞猿を生まれてきたことを後悔させるだけでは生ぬるい!
彼女を傷つけた代償を払っていただこう!!その身でな!!
彼女の皮膚を傷つけた指を一つ一つへし折ってくれよう
彼女の心を傷つけたその魔力臓器を生きた状態で腹を裂き引きずり出してやろう
彼女の努力を踏みにじった、その脳を頭蓋骨を叩き割、
この手で握りつぶしてミンチにしてやろう!!!!
この世に存在するありとあらゆる苦痛を与えねば
俺らのアイドルが怪我した罪は償えぬと知れ!!!!
テントの外に居る他の隊員が俺の顔を見た瞬間に「鬼が居る」っと小声が聞こえた、
鬼にもなろう、
悪鬼羅刹にもなろう!
我が心が晴れるのであれば、如何様にも転じて見せよう!!
修羅のごとく!鬼のごとく!羅刹のごとき!人外になろうとも果たして見せるわ、この衝動!!
そうでもしなければ、我らの気持ち!抑えきれぬ!!!!
殺してくれよう!滅してくれよう!滅ぼしてくれよう!!
こうして、指揮官もまた先の者と同じように狂戦士へと変貌し、戦場に戻るのであった。
戦場に戻ると、ベテランさんが居て、指揮を執っており、周りを鼓舞しながらあの人型をほぼ独りで相手取っていた
それだけじゃない、得物が依り代が敵の手に無いのがわかる
どうやら、ベテランさんが敵の一部の指が無いの作戦に組み込み、虚をつき奪いとってすぐに、転移陣に向かってバケツリレーの様に隊員にリレーさせ放り込んだそうだ。
既に、遠見の術で解析班があの杖の特徴を解析分析しており、奪い取っても遠距離で起動することは出来ないタイプであると判断し、強奪したそうだ。
流石、師匠!俺では至らぬ領域からの指揮素晴らしいです!では、指揮を任せてもよろしいですね?この高ぶる感情をぶつけてきてもよろしいですか?よろしいですよね?
はい!行ってきます!!
死ねや!ごらああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!
普段は寡黙で、紳士で、音楽が大好きな騎士がここまで荒ぶるなんてなぁ、よっぽどのことがあったんだろうなぁっと吾輩ですらどん引いてしまうほどの彼のテンションについ、やりたくもない指揮官役を受け取ってしまった。
彼が、医療班のテントから戻ってきた様子から、察する、2TOPに何かあったのだと、
これで合点がいく、現場の殺意が今までとは、比べ物にならない程の熱量になっているのを
そして、この熱量に充てられて他のエリアの獣も集合して弾丸の様に突進してくる、
うむ、これはこれで、良しとしよう、獣も間引けるし、皆の集中力も最高潮だからな。
後は、アレをどうやって仕留めれば良いのか、有効な攻撃手段を解析班が生み出すのを待つために千日戦闘と行こうではないか!!
こうして、戦士達は怒りの渦に呑まれたまま、狂乱の終わりのない千日戦闘が幕を上げるのであった。
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