純黒なる殲滅龍の戦記物語

キャラメル太郎

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第10章

第177話  女の戦いの終わり

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 炎龍王の娘、イルフィ。彼女の実力はどれ程か。率直に言ってしまえば精鋭部隊では止めることすらできないぐらいは持っている。今はもうリュウデリアに皆殺されてしまい1匹も居ないが、どれもが選ばれし者達であり相当な実力者に間違いなかった。そんな精鋭部隊でも止められないのが彼女だ。

 狡猾な手など使わない。真っ正面から堂々と相手を取りにいく。父である炎龍王から受け継いだ炎への高い適性をふんだんに使用し、主に炎系の魔法を使っていた。本来の龍の姿であれば、戦い方も少し違ってくるが、人化している彼女の戦い方は炎を拳に灯して殴る。

 膨大な炎の魔力を灯した拳は、触れると途端に爆発する。副次的ダメージと強い衝撃を生み出し、純粋な熱の熱さも与える。実にシンプル。殴るだけの攻撃。しかしそれ故に脅威だ。体力に自信があるのか猛攻を仕掛けてきて、距離を取ろうとしても詰めてくる。審判も居ない戦いに身を投じるオリヴィアは、殴打による炎の爆発に後退していた。

 純黒なる魔力で形成された槍を高速で振り回して対応しているが、触れる度に炎が爆発してくる。爆発、それに伴い熱風と強い衝撃に曝され、踏ん張っても脚が勝手に後ろへ滑っていってしまう。フードを外していて見える美貌は、舌打ちを打っていそうな表情をしている。



「アタシの拳を受け止める事は褒めてやる。だがこのまま続けていればオマエを押し切るぞッ!」

「……チッ」



 槍の先端の刃部分だけの形を変えて柄が長い斧のようにした。力の限り振りかぶった武器はイルフィの元へ。当たればダメージはある。肉体を魔力で強化し、大きく振りかぶっていたからだ。先の部分が斧のようになっていることから重さも加わり、遠心力も合わせる。

 龍の姿よりも人化していた方が龍の肉体は弱い。弱体化して利便性を手に入れているからだ。鱗の硬さはある程度反映されているが、オリヴィアのこの重い攻撃を肌で受け止めきれるほどではない。それを距離を取らせるために、つまり攻撃が目当てではなく放ったのだ。

 地と平行になるよう振られた純黒の魔力で形成された武器の刃部分がイルフィの脇腹に吸い込まれていく。しかし、それで易々とは決まらなかった。迫る刃に拳を向ける。固く握り込んだ拳に炎が灯り、刃に触れる寸前に起爆した。視界を遮るほどの爆発と爆煙を生み出す。黒い煙の中から足で獣道を作りながらオリヴィアが後退しながら出て来る。

 凄まじい衝撃で無理矢理後退させられてしまったのだ。手に持つ魔力の武器からの震動で掌が軽く痺れる。反動で揺れる武器の握りを軽くし、もう一方の手を軽く添えるだけにして揺れが治まるのを待つ。その間に爆煙からイルフィが疾走しながら出て来て拳を振りかぶった。

 武器の揺れがまだ継続しているので受け止められない。隙を見つければ突く。戦闘に於いて当然の一手。この一撃で終わらせるつもりで繰り出したイルフィの拳は、オリヴィアに到達する寸前で魔法陣により阻まれた。瞬間、打ち込んだ際に発生しただろう純粋な拳の威力と、灯っている爆発する炎の威力が数倍にして返ってきた。

 現象の反転を行う『現象反転リフレクション』。打ち込まれたものを好きな倍率に設定して返すことができる魔法。リュウデリアならば数十倍まで倍率が出せるのだが、オリヴィアのローブは最高で10倍までだ。今回は念の為に4倍にした。弱い攻撃には殆ど意味を為さないが、強い攻撃には意表を突くのと更に強いカウンター攻撃として良い一撃となる。

 しかし、イルフィは驚異的な勘と反射神経で『現象反転リフレクション』によって自身の力が反転して返ってくる前に、もう一方の拳を打ち込んで相殺した。オリヴィアを倒すつもりで繰り出した拳は、本気ではなかったのだ。高威力の攻撃に高威力の迎撃を行った事でまたもや爆発が発生した。

“御前祭”が終わってから勃発する戦いに、少しずつ観戦者の龍達の視線が集まる中で起こった巨大な爆発に、大気が揺れる。爆心地に居るイルフィは無事だが、オリヴィアはどうなるだろうか。緊張が奔ったその時、斬撃が爆煙を真っ二つに斬り裂いた。槍から長柄の斧に変えていた武器は、薙刀へ変化していた。

 振り抜かれた薙刀から発生した純黒の斬撃が遙か彼方まで飛んでいき、雲も両断した。明らかにイルフィを狙った一撃だった。爆煙や雲と同じように2つに両断されていてもおかしくないだろう。だがそこは炎龍王の娘。上体を後方へ大きく反らすことにより間一髪の回避を見せた。



「しィ……ッ!!」

「……っ!!速いなッ!」



 斬撃を生み出すには、長柄を持つ薙刀を思い切り振り抜く必要がある。柄の頭の方を持って遠心力も加えてやっとできる斬撃故に、絡繰りを見破られてしまっている現状もう一度やろうとしても接近されて大振りの隙を突かれるのがオチ。ならばどうするか。

 薙刀の中間辺りを持って体の周りに結界を張るが如く振り回す。細かく速い振り回しに加え、刃から魔力を飛ばす。魔力による飛ぶ斬撃である。一撃の重さや鋭さは無いが、手数で圧倒する程の細かい数多くの斬撃がイルフィを襲う。視界一杯に迫る純黒なる魔力の斬撃に、両の拳を構えて対峙した。そして、それしか知らぬとばかりに拳を振るった。

 純黒なる魔力を直接触れればアウトだ。忽ち浸蝕されていくことだろう。それはリュウデリアが行った虐殺等から解る話。故にイルフィも触れることはしない。拳に灯した炎を直前で爆発させて軌道を逸らすのだ。その連打。腕が何本にも見える程の迅速の連打により、連続して爆発を起こしていく。

 1歩1歩、互いに近づいていくオリヴィアとイルフィ。両者から感じる異常な圧力は、武器の回転と爆発すらも霞ませる。発生させて飛ばす魔力の斬撃と、その斬撃を真っ向から吹き飛ばさんとする爆発する炎。競り勝つのはどちらかと思われた時、イルフィが右足にも炎を灯した。

 そして次の瞬間、薙刀を薙ぎ払うが如く右脚を振り抜いた。三日月形の膨大な熱量を持つ炎の魔力がオリヴィアの元へ飛来する。飛ばした細かい多くの斬撃を弾き飛ばしていき、互いに距離を詰めていた事もあって、あっという間に炎の魔力は到達した。回避は間に合わず、現象反転リフレクションも遅いと直感し、手に持つ魔力の武器を構えて受け止めた。



「ぐッ……ん゙ん゙……ッ!!」

「まだまだァッ!!」



 蹴りで放った巨大な炎で多くの斬撃を弾いたお陰で、遮られる物が無い道が作られた。そこでイルフィは一直線に出来た道を突き進み、オリヴィアを押し切ろうとする巨大な炎の魔力に、拳の炎を叩き込んだ。次の瞬間、これまでの戦いで最もな爆発と破壊力を見せる。

 0距離による大爆発。オリヴィアの視界は一瞬真っ白に染まった。次いで骨にまで響く爆発の衝撃に見舞われた。蹴り飛ばされたボールのように吹き飛んでいき、背中から地面に落ちて転がっていった。初めて真面なダメージを負ったというのに、その攻撃は1番強いものだった。

 転がっていって少しずつ減速し、力無く倒れ込んだ。手に持っていた魔力の武器も弾き飛ばされて上空を舞い、オリヴィアの傍に落ちてきて地面に突き刺さると、霧散して消えていった。1度の跳躍で彼女の元へやって来たイルフィは、手を合わせてばきりと関節を鳴らすと、拳に炎を灯した。



「悪いが、アタシの勝ちだ。リュウデリアの番はアタシに譲ってもらうぞ」

「──────悪いが私の勝ちだ。態々私の元まで来たのが敗因だ」

「何……?──────かはッ!?」



 倒れ込むオリヴィアと拳を構えるイルフィの周辺の土が砕けた。広範囲が砕けた訳ではない。細く長く砕けたのだ。中から現れたのは、純黒の鎖。魔力で形成された長い鎖が、土の中から出て来たのだ。そして、複雑に編み込まれた鎖達は、1度に引かれてイルフィに絡み付いた。

 体を雁字搦めに締め付ける純黒の鎖に苦しげに顔をするイルフィ。魔力で造られているので動きは頭の中のイメージ次第だ。無理矢理引き千切ろうとしても罅すら入らず、力技で外そうとしても非常に固く、抜け出せる気がしない。炎で焼こうにも全く意に返さず、鎖の拘束はイルフィの動きを完全に封じた。

 外そうと藻掻くイルフィの前で、咳き込みながらゆらりと立ち上がった。確かにダメージは負ったが、完全にダウンするほどではなく、彼女の力で立ち上がったのだ。そして、右手を前に突き出した。前方に膨大な魔力の塊が生成されていく。イルフィが藻掻くのをやめ、冷や汗を流すほどのものだった。

 直径が上がっていく。30センチ程のものから1メートル。5メートルと。だが最後は10メートルはあった魔力の塊が掌に乗るような大きさへと凝縮されていった。大きさが変わろうと込められた魔力は膨大なもの。それを右手で鷲掴み、駆け出しながら大きく振りかぶった。



「……ッ!くッ……外せない……ッ!!」

「これで終わらせてやる……ッ!!」

「──────ッ!!!!」



 手に持った魔力の塊は、腹部に強く押し付けられた。純黒の鎖によって身動きが取れないイルフィにとって回避不可能の一撃。それも相当な魔力を込められた一撃である。純黒の閃光が奔り、観戦していた者達の視界を一瞬だけ純黒にした。次に起こるのは鼓膜を刺激する爆発音と爆風だった。

 先程イルフィが起こした爆発と比べても圧倒的火力であり、それが直撃した。龍といえどダメージが入ることは確実。ましてや今は弱体化していると言っても過言ではない人化をしている状態だ。これは相当に効くことだろう。だが、爆発はその1度だけではなかった。

 爆煙と砂埃が晴れる前に、龍達にはまたしても膨大な魔力を感じ取った。どうやらオリヴィアが爆煙の中で先と同じものを作っているらしい。それも2つ感じることから両手分だろう。ということは、純黒の鎖は解かれておらず、爆発に見舞われたイルフィは未だに拘束を受けているということだろう。

 2度、3度と同じ規模の大爆発が起きる。立て続けの爆発は異常な圧力を感じさせた。それにイルフィが打ち込まれている最中だと思うと今現在どうなっているのか気になっても仕方ない。それに加えて、爆発は3度ではなく8度続いた。普通の人間が相手なら粉々になっているだろう程の回数。戦いはどうなったのか煙が晴れるのを、観戦している者達は一様に見守る。



「はぁ……ッ……はぁ……ッ……はぁ……ッ!」

「ぐ………く………げほッ……ッ!?」



 8度に続く尋常ならざる大爆発。その間に純黒の鎖は千切れることなく、常にイルフィの体を拘束し続けていた。煙が晴れて見えてきたのは、所々が純黒に浸蝕されて血を吐くボロボロのイルフィと、肩で息をしているオリヴィアだった。

 これだけ打ち込んでも部位の欠損は見られない。爆発のダメージと言うよりも、純黒に浸蝕されてのダメージに大半であり、それにより苦しんでいるようだ。つまりオリヴィアが行った攻撃の威力では龍を倒しきることはできなかったということになる。炎龍王の娘ということもあり、肉体的強さも兼ね備えているのだろうが、それでも倒せていない。

 荒い息を整えたオリヴィアは、深く息を吐き出してから、左右の手にもう一度膨大な魔力を溜め始めた。一方血を吐き出すイルフィも、抜け出すことより自爆覚悟の姿勢で全身から莫大な魔力を解放し始めた。流石にアレを今のオリヴィアが食らうのはマズい。ここは引き分けにしてしまおう。そう考えたのは炎龍王だった。

 炎龍王の娘という肩書は軽いものではない。例え純黒のローブの製作者があのリュウデリアであろうとも、龍ですらない者に炎龍王の娘が負けたとなると体制が悪くなる。実力至上主義の龍と言われている癖に、外聞を気にするのはどういうことかと思われるが、実際姿が他と異なるリュウデリア達が陰口を叩かれていることが証明している。

 炎龍王に陰口を叩く者は居ない。だが、それよりも下の存在であるイルフィは違う。きっとオリヴィアに負ければその瞬間から龍の風上にも置けない者と批判されることだろう。次の炎龍王はイルフィにさせようと考えている炎龍王からすれば、この決着は少し見送らせて欲しいものだった。

 幸いにして、これはリュウデリアの番になろうとする側と認めない側の、意見の不一致による女の戦いだ。龍の決闘ではない。つまり横から入って止めても問題は無いのだ。故に炎龍王は止めるために口を開き……言葉を発することはなかった。



「──────オリヴィア。そこまでにしておけ」

「……リュウデリア」

「此奴を今倒せば、今後面倒なことになるぞ。龍のつまらん話にお前を捲き込みたくはない。後は俺に任せておけ。いいな?」

「……分かった。すまない、勝手なことをしてしまって……」

「俺を想っての行動であり主張だったのだろう。構わんとも。離れて休め」

「……うん」



 溜めた左右の手の魔力を解放しようとしたオリヴィアの手を取り、魔力を強制的に霧散させたのはリュウデリアだった。炎龍王が来る前に止めに来たのだ。愛しい彼に近づく者が居て頭に血が上り、冷静さを欠いていたことを今になり自覚したオリヴィアは、申し訳なさそうに謝罪をした。

 下がった頭に手を置いて、優しく撫でる。爆煙や砂埃で汚れた部分を魔法で落とし、純白の長髪に指を滑らせながら優しく撫でた。手つきから気にしていないと伝わってきて頭を上げると、目元を緩ませた彼が見下ろしていて、ふっと肩が軽くなった。言われた通りに離れながら休んでいると、リュウデリアが振り向いて今度は座り込むイルフィと向き合った。

 彼は人差し指を立てた右手を軽く振る。すると、イルフィの肉体を蝕んでいた純黒が消えていった。傷はそのままだが、蝕む純黒が消えただけで安心したように息を吐き出した。そしてバツが悪そうな表情をしてから恐る恐るリュウデリアの事を見上げるのだ。



「勝手に取り合うような真似をしてすまなかった……。だがこれだけは解って欲しい。アタシは本気でリュウデリアのことを……っ!」

「不愉快だ」

「好きに……っ……」

「俺にはオリヴィアが居て、オリヴィアが居れば良い。炎龍王の娘だろうが龍だろうが、そんな下らん理由で俺がお前を番に選ぶとでも思ったかァ?烏滸がましいんだよ。分不相応だということに気がつかんのか。何が番になりたいだ。そこまで飢えているならば他の龍にしろ。俺をそんな目で見るな。実に、実に不愉快だ」

「……っ。どうしても……か?別にあのオリヴィアという者が居て、アタシが2番目でも構わないんだ!ただ交尾の相手をするだけの雌でも構わない!オマエの言うことには何でも従う!だから……っ!」

「はッ!最初から俺の代わりにオリヴィアが言っていただろう。互いに愛し合っている番だと。俺に2番目も3番目も必要ない。俺が愛すのはオリヴィアだ。お前の入れる余地は無い。そもそも、2番目なんぞオリヴィアに対して侮辱しているに等しい。俺には到底愛する者を侮辱したり、他の雌に色目を使う程の不貞をする心は無い。それをいい加減理解しろ」

「……そうか。……っ……そっか……っ。わか……ぐすっ……わかった……っ。つまらな……い……ずずっ……揉め事をして……すまなかった……っ!」

「ふん。……この短時間の出会いで番の申し込みを断られて泣くほどの好意を抱き、一途になれるならば、お前に合った番にいつか巡り逢える事だろう。俺が言えることは状況と機会を見逃すな。それだけだ。それ以外にも何か言うとすれば……炎龍王とは違い良い龍になることだろう。雌としても龍としても。それだけのモノをお前から感じた。強い者や強くなる者は歓迎してやろう。お前に対して伸ばす最初で最後の手だ。取るが良い」

「……ずずっ……ありがとう。フラれてしまったが、リュウデリアを好きになれて良かった。少し引き摺るだろうが、次を探してみるとしよう。折角好きになった雄から助言を貰ったのだから」



 差し伸ばされるのは、イルフィの内に眠る力に光るものを感じた事による、良い龍になるだろうという微かな期待からだ。だがこの手は最初で最後。これからリュウデリアは彼女に何かを言うことはない。番を申し込み、断った。それで話は終わりなのだ。

 少し哀しげな目をして差し出される純黒の鱗に包まれた手を見つめたイルフィだったが、フッと小さく笑みを浮かべて手を取った。強い力で引き寄せられて立ち上がることができた。体の節々が痛むし、まだ涙が出そうだがグッと堪えてリュウデリアの顔を笑み浮かべながら眺める。





 こうしてリュウデリアを巡る戦いに終止符が打たれた。炎龍王が止めるよりも、キッパリと断りを入れるという形で。そんな彼の後ろ姿を、ホッとしながら見ているオリヴィアが居たとか。






 ──────────────────

 イルフィ

 一目惚れだったが、本当に好きになっていた。断られてしまって傷付いたが、良い龍になると言われたので、期待されていると解って前を向いて新しい恋を探すことにした。

 オリヴィアはかなり強いと認めている。結局彼女の攻撃で倒れることはなかったが、龍でないのにあそこまで戦えるならば良い才能を持っていると思っている。




 リュウデリア

 ハーレムなんか望んでいない。むしろ、そんなことをすればオリヴィアに失礼だし侮辱しているのと同義の事だと思っている。なのでイルフィの番の件は断った。

 だが、イルフィの内に眠っている強さに気がついたので、これから強くなれという意味も込めて手を差し伸べた。だが最初で最後。後どうなるかは彼女次第にする。

 心に決めたのはオリヴィアだけだが、告白自体は悪い思いはしていない。不愉快だと言ったのは食い下がろうとしているから。




 オリヴィア

 結局イルフィを倒すことができなかった。倒せそうになっていたのは、純黒なる魔力による浸蝕があったからこそ。それは自覚しているので、悔しい思いを抱いている。鎖が無かったらどうなっていたかは分からない。

 イルフィに面と向かって、リュウデリアがオリヴィアだけが番だと言ってくれて背後でキュンキュンしていた。真剣な話しだったので我慢していたが、背中に抱き付こうとしている自分の体を必死に押さえ込んでいた。




 炎龍王

 イルフィの体制が悪くなるので戦いを中断させようとしたが、それより先にリュウデリアが止めたのでホッとした。が、これは貸し扱いにされるのでは?と後になって気づく。

 止めるくらいなら最初からやらせるなと思うが、正直リュウデリアが造った純黒のローブの性能を甘く見てた。



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