純黒なる殲滅龍の戦記物語

キャラメル太郎

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第9章

第138話  導きによる邂逅

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 上空から、オリヴィア達の居る場所へ突如としてリュウデリアが振ってきた時よりも少し時間を遡る。



 リュウデリアは手の中にノアーシを乗せながら空を飛んでいた。行き先は随時ノアーシから指示されて、その通りに飛んでいる。数百キロを出して飛行しているので風圧で吹き飛ばさないように魔力障壁で護っているが、中で変わらずの笑みを浮かべている彼に、薄気味悪さを感じる。

 別に、常に浮かべている笑みに言っている訳ではない。ノアーシという存在が、他の神と比べて何か違うと感じるのだ。気配は神のものだ。それは確かに言える。だが何かだ。何かが違うのだ。はっきりとは解らない。残念ながらそこまで詳しくは知れない。所詮は何となくそう思うというだけだからだ。

 チラリと手の中を見てみれば、盗み見る事を視ていて知っていたからか、同じタイミングでこちらを見て目線が合った。ニッコリと笑いかけて手を振ってくる。それに目を細めて鼻を鳴らし、目線を切った。つまりは怪しいという事なのだが、怪物の場所に案内するという言葉に嘘は無かった。

 怪しさがあって少し気に入らないが、無限に続く神界ならばこのような変な神も居るだろう。そう納得することにして、今は怪物のことを優先する事にした。ノアーシが言うには、両者が初めて会った場所から少し離れているというのだ。

 リュウデリアはまだ知らないが、怪物は瞬間移動をして移動している。なので同じ場所に留まり続けることはなく、あらゆる場所を転々としている。つまるところ、会うにはそれなりの運も無ければならないということだ。しかしここには未来を視る事ができるノアーシが居る。



「後少しだよ。このまま真っ直ぐ飛んで湖があれば、そこに現れるよ」

「現れる……その場には居ないのか」

「そうさ。大丈夫。必ずそこに現れるからね。リュウデリア君が向かわなかったら別の場所に行ってしまうけど、君が辿り着けば水分補給をしにやって来るんだ。だから心配しなくていいよ。けど気をつけてね。彼はやらなくちゃいけないことをやっているから強いんだ。背負っているものがある存在というのはいつの時代も手強い。リュウデリア君もそれは覚えておいてね。僕との約束だよ」

「ふん。結局はより強い力を持つ者が……何?」



 忠告を受けたので言葉を返して手の方に視線を向け直すと、そこにはノアーシの姿が無かった。姿を消していたのだ。最初からそこに居なかったように。

 手はノアーシが吹き飛ばされないように球状の魔力障壁で覆い尽くしている。入口も無ければ出口も無い状態だ。にも拘わらずノアーシは姿を消してみせた。未来を視るという権能だけではなかったのか。そう疑問に思えど、どちらにせよ戦いになれば邪魔になるので、放っておくことにした。

 出会ってから別れまで、短い間の交流ではあったが、最後まで良く解らない神だった。神界が滅ぼされるのを阻止したいという姿勢ではあったものの、本当にそれだけが目的だったのか掴みきれない。リュウデリアにとっての不思議な出会いだった。



「はぁ……まったく。過去の神界は訳の解らんことばかりが起きるな。だがまあ、怪物に会えるだけでも十分か。……さて、現れるのは湖だったな」



 消えてしまったノアーシに言われた通り、真っ直ぐと飛び続けるリュウデリア。魔力を使わずに全速力で飛び続けること数十分。言っていたと思われる広い湖に到着した。澄んだ水があり、泳いでいる神界の魚が泳いでいた。

 急降下して降り立ち、湖の畔で周囲を見渡す。周りには木が生えている。それだけで他には特に何かあるわけでもなく、怪物らしき者や気配はしていない。何の変哲もない湖だけがある。ノアーシに言われた速度以上で飛んだので、遅かったということは無いだろうと踏んで、早く来すぎたようだと察した。

 特にやることも無く、怪物が来るまで待って居なくてはならないので、リュウデリアは水浴びをする事にした。神の国を襲って滅ぼし回っていたお陰で、鱗に土埃や返り血が付着しているのだ。足裏に関しては血溜まりを歩いたのでベッタリとついている。

 日頃からオリヴィアと旅をして、必ず体を洗うようにしていたのでその習慣が身についていた。元の大きさのままでゆっくりと湖に入っていく。風によって波打っていた表面に、強い波が作り出される。思ったよりも深くて、うつ伏せになって入れば背中まで水に浸かる事が出来た。

 翼をばさりと広げて水に浸け、しっかりと翼の汚れを落とし、腕や胴の汚れは手で擦って洗い落としていく。足裏や飛び掛かった返り血が滲んで取れていき、透明度の高い水を少し汚していった。しっかりと鱗の汚れを取り終えると、湖から出て来て畔の所に胡座をかいて座った。

 濡れた体を自然乾燥で乾かし始めること30分くらいだろうか。鱗が完全に乾いた頃、リュウデリアの直感が何かを鳴らした。座っていた状態をやめて立ち上がる。すると、彼の体が影に易々と呑み込まれた。30メートル近くある彼の体がだ。



「ふはッ──────想像以上に大きいな、お前」



「──────■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!」



 怪物は背後に立っていた。大きすぎる体は見上げねば顔を見ることすら出来ず、自身の大きな体を影によって包み込ませた。まさしく巨大。そして、感じ取れる禍々しく強大な気配。なるほど確かに、これはそこらの神の手には負えない存在だと納得し、ケタケタと嗤い始めた。




























 リュウデリアが居る過去とは違い、元の時間軸の神界。その神界の世界樹の頂上に在る大宮殿。そのとある場所を、現最高神のプロメスが歩いていた。灯りは壁に付けられている消えない蝋燭の火のみ。それだけを頼りに視界を確保し、進んでいく。

 此処はプロメスしか知らない秘密の場所へ続く通路。此処を見つけたのは偶然だった。リュウデリアによって一部破壊された宮殿を修復してもらい、内部に置かれていた前最高神の像を全て撤去してもらった宮殿を見回して、何か無いかと鑑定眼を使用したところ、秘密の通路を見つけたのだ。

 薄暗い通路を進み続ける。すると古く錆びた両開きの扉が見えてきた。天井まである高さの扉に手を掛けて押し込んで開けば、中はそこまで広い訳でなく、普通の一室と同じくらいだろうか。プロメスは躊躇いも無く中へ入っていく。部屋は石壁に囲まれており、窓なんてものもなく、頼りの明かりは通路と同じく燃え尽きない蝋燭の灯火だけ。

 そんな薄暗く、薄気味悪い部屋の中央に台が置かれていて、その上に石板が1つ設置されていた。興味を惹かれて歩いて近付き、石板には触れずに見下ろして刻まれている文字を読んでいく。かなり古い年代物と言わざるを得ないそれには、過去にあったある出来事の事が書かれていた。



「……ある日、神々の世に大いなる破壊の獣が顕れた。その獣は神々を喰らい、神々の世を蹂躙し、災厄を撒き散らした。世界は滅び、神をも含んだ生命の絶滅が訪れようとした時、獣を狩る存在が姿を見せる。その者は純黒。総てを呑み込む闇であり深淵の存在。獣と対する彼かの純黒が交わる時、多大な犠牲を払いながら純黒が獣を呑み込んだ。神々の世は救われたように思われたが、純黒は獣を呑み込んでも足らず、神々を滅し始めた。大いなる獣を呑み込む純黒に多くの神々が滅せられた時、純黒は忽然と姿を消す。未来のこれを読む神に告げる。純黒は必ずやまた訪れる。心するが良い。純黒に抗う術は無い。……純黒。やっぱりボクにはリュウデリアとしか思えないんだよなぁ。けど、オリヴィアが言うには百年余りしか生きていない、まだ子供の部類の龍って事だしなぁ……」



 この部屋に来るのは2度目だ。偶然鑑定眼を使って見つけたこの部屋は、他の召使いの神にそれとなく聞いても知らないと言っていた。宮殿に仕えている神全てに聞いてみたが、知っていると口にする者は居なかった。それで察した。あの部屋は前最高神によって隠されていた、秘密の部屋なのだと。

 そしてそんな部屋に置かれている石板には、先のような事が記されていた。昔に居たという大いなる者……災厄を撒き散らしたという災厄の獣。それと対峙して見事打ち倒したという純黒なる存在。プロメスが知っている中で唯一の純黒というのが、リュウデリアだった。

 だからオリヴィアに、数千年前から生きている可能性は無いかと聞いてみたのだが、それは絶対に無いと言われてしまった。無いと思う……ではなく、無いと言われたのだ。そこまで強く確信を持って言われれば、そうなのかと納得するしかない。



「ボクが戦ってどうにか勝ったあの獣……あれが災厄の獣って事かな?分裂した末端に過ぎないけど。うーん。でもなぁ……あれは……」



 うーんと首を傾げるプロメス。何かに疑問を抱いている様子だった。現最高神である彼の前の最高神であるデヴィノスが封じたとされる災厄の獣の末端。だが、やはり彼はそこに疑問を持つのだった。

 神界が滅びる寸前までいったという記述に嘘は無いだろう。むしろこれは忘れないために残したと言っても過言ではない。神界が滅びて神々が全て消滅するとまで書かれた内容に、それを起こそうとした災厄の獣。そして、それを止めたという純黒なる存在。プロメスは、きっとその時の両者は、今の自身では考えられない程の強さを持っていたんだろうなと、何となく思った。




























 血のように赤黒い色をした長い毛並みを持ち、リュウデリアを捉えている目を4つ。大きく裂けた口からは奥へ3列も重なった鋭い牙が所狭しと並び、口の奥にはもう一つ同じ口が存在している。吐かれる吐息は血生臭く、どれだけの神を喰ったか分からない。

 顔は狼をベースにしながら、人のような輪郭も持ち合わせていて、憎悪に取り憑かれながら悦楽を見出し、それでも憤慨しているような恐ろしい形相をしている。頭上には黒い輪が浮かんでいる。大きさは300メートルもあり、過去にリュウデリアが対峙した、最も大きい図体をした突然変異のジャイアントレントと同程度だ。

 そんな巨体を誇り、禍々しく強大な気配を撒き散らす獣とも言えるそれが、背後に現れた。確かに現れたのだ。瞬間移動をして。超速度なんてものではない。それならば遠くからやって来る時点で気配で解ったし、何と言っても走ってきた場所が抉れていたりしても良いはずだ。

 しかし獣の足下は何もなっていない。精々踏み潰された木があるくらいだ。つまりその場に忽然と現れた事になる。自身の他に瞬間移動が出来る者は居ないので、どんな戦いになるのか少し楽しみになる。それにこの感じる気配が最高に楽しい殺し合いになることを教えてくれるのだ。

 クツクツ。ケタケタと嗤い出し、興奮した様子で両手を広げた。お前を待っていたと言わんばかりの仕草に、獣は唸り声を上げて返した。殺気が飛ばされる。心地良いほど強い濃密な殺意だ。相手もやる気に満ち溢れているので、心底可笑しそうに嗤う。



「初めましてだなァ?神界を滅ぼしうる力を持った存在。獣よ。俺は──────」



「■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!」



 リュウデリアの眼にも恐ろしく速く映った前脚が、横から振り抜かれた。前脚での払いは、300メートルという途轍もない大きさと、持っている筋力と合わさって絶死の一撃となる。それを真面に受けた彼は、簡単に吹き飛ばされ、地面を抉って湖に叩き込まれ、更に向こうへと飛ばされていった。

 湖の中で爆発が起きたような、高く打ち上がった水飛沫。巻き上がる大量の土。折角洗ったばかりの純黒の鱗は土に塗れる結果となった。横合いから叩き付けられた前脚の威力をもろに受け、500メートルは地面を抉り込みながら吹き飛ばされたリュウデリアは、訪れた衝撃の強さにゲラゲラと嗤った。

 大の字になって上を見上げながら嗤うリュウデリアに、上から瞬間移動した獣が墜ちてきて前脚を叩き付けた。核爆弾が落とされたと錯覚してしまう衝撃が奔り、土煙の柱が上がり、大地は広範囲に渡って砕かれた。地割れを起こして神物を巻き込んでいく。湖は地割れによって姿を消し、叩き付けの威力を物語った。

 立ち上った土煙の柱から、何かが飛んで出て来た。リュウデリアかと思われたその塊は、彼ではなく獣だった。背中から宙を飛んでいる獣の頬には、強い衝撃を受けたように跡が残っている。近くにあった2つの目は瞑り、反対の2つの目を殺意を孕ませて鋭くしていた。そして土柱からもう一つの塊が出て来た。今度こそ彼だ。

 攻撃を受けた筈なのに、純黒の鱗に傷は無い。それどころか楽しそうにしている。やっと求めていた獣に会えて、しかも強いというオプションまで付いてきたので興奮しているのだ。翼を使って飛翔し、殴り飛ばした獣を追い掛ける。それに対して、獣は空中で瞬間移動をして彼の真上に現れ、もう一度前脚を叩き付けた。

 ばきりと大きな音が響いてリュウデリアが大地に向けて落下する。しかし地表に到達する前に姿を消し、獣が上に向かって弾き飛ばされた。瞬間移動である。一度見た場所に転移する力を使い、獣の腹部の目の前に現れて拳を打ち込んだのだ。

 10倍以上の体格差をものともしない強靭な膂力で打ち込まれた拳に、獣は苦しそうに嘔吐いた。そこから目にも止まらないラッシュが叩き込まれた。秒間150発の拳が獣に襲い掛かる。一撃でも嘔吐くというのに、その一撃を信じられない速度で連続して入れられれば、獣もタダでは済まないだろう。

 そこで、獣は態勢を立て直す為に瞬間移動した。しかしそれを直感で察知してリュウデリアが拳のラッシュをやめて獣の長い毛を掴んで共に瞬間移動させた。付いてきた事に動揺したのか、瞬間移動した先はまたもや空中で、毛を掴んでいるリュウデリアを前脚で無理矢理弾いて、後ろ脚で蹴りを入れた。



「──────■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!」

「──────■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!」



 真面に当たったリュウデリアは今度こそ大地に叩き付けられる。そうして、彼は気付いていないがオリヴィア達が傍に居る場所にやって来たのだ。興奮して気がついていないまま、すぐさま跳ね起きて咆哮を上げて獣へと向かっていく。





 最近会わなかった圧倒的強者。獣との戦いにリュウデリアは身を投じる。強者と強者による戦いが、熾烈を極めようとしていた。





 ──────────────────


 プロメス

 石板が置いてある秘密の部屋を見つけ、書かれていることを読んでみたところ、見覚えのある純黒の糊塗を書かれているので、リュウデリア達が専用武器を造ってもらっている時にオリヴィアに聞いてみた。しかしそれはありえないと言われて、やっぱり違うのかな?と思っている。




 ノアーシ

 リュウデリア達に神界の未来を託して姿を消した。戦いの最中、オリヴィア達の元へ転移する未来も視えていた。




 リュウデリア

 怪物である獣が予想以上に強くてテンションが上がっている。拳を打ち込んでも爆散しないので、強度もあるし、まだまだ隠している力もあるだろうからそれも楽しみにしている。




 獣

 リュウデリアと真っ向から戦える力を持つ。移動する際は瞬間移動をし、ノアーシの視た通り湖には水分補給に来た。が、リュウデリアが居て、底知れない気配を感じ取って敵と認識した。


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