純黒なる殲滅龍の戦記物語

キャラメル太郎

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第7章

第89話  快楽

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「すぅ……すぅ……」

「…………………。」



 ──────うぅっ……昨日はついベッドに入ってそのまま眠ってしまった……ッ!!リュウデリアと両想いになれたというのに……ッ!!折角、風呂で体を隅々まで洗ったというのに……ッ!!夜の営みにふけることが出来なかったッ!!



 ゴブリンしか出なかったダンジョンを攻略して翌日の朝。オリヴィアはリュウデリアの腕の中で目を覚まし、両手で顔を覆って今日に声を出さず叫んだ。

 体は洗った。隅々まで丁寧に念入りに洗った。もうめっちゃ洗った。宿に備えられているバスローブのみを身につけて、心臓をばっくばっくに鼓動させてベッドに横になり、熱を帯びた真っ赤な顔をしながらリュウデリアを待った。そして寝た。

 いや違うのだ。そこまで疲れていた訳ではない。言っては何だが攻略したダンジョンはダンジョンとは言えないくらいつまらなくて思い出したくないものであり、何と言っても階数が少なかった。ちょっと歩いただけで最深まで行ってしまった。疲れる要素なんて皆無だった。

 では何がいけなかったか。ベッドだ。ベッドの柔らかさが悪い。リュウデリアが瀕死の重傷を負って眠る7日間は固い地面に草を敷き詰めてベッド代わりをしていた。彼に寄り掛かっても寝ていた。でも固いし硬いのだ。寝づらかった。なのにいきなりふわっふわのベッドの上で横になったらどうなるか。寝るだろう。普通に。



「は、初めての交わりだと緊張してたのに……私が寝てしまったばかりにお預けになってしまった……布団を掛けて抱き締めてくれているし…………好き」

「すぅ……すぅ……」

「……ふふっ。かわいい……」



 自身を両腕でしっかり抱き締めながら、静かな寝息を立てて眠るリュウデリアを正面から見つめる。黄金の瞳が見られないのは残念だが、気を許してぐっすり眠る姿は可愛い。そして凛々しくてかっこいい。純黒が今日も一段と純黒だ。

 頬に手を伸ばして撫でても起きる様子は見られない。そこで鼻を指先でくすぐってみた。ちょっとしたイタズラをしてみると、くすぐったかったのか、ふんッと鼻息を立てた。それが面白くてクスリと笑う。

 次は恐る恐るといった感じで口に手を這わせ、上と下に引いてみる。大きな口が開かれて鋭い歯が並ぶ口内が見えた。噛まれれば一溜まりもない、肉に食い込んで引き千切る鋭利な歯。歯磨きを欠かすことなくやらせているからは真っ白で健康的だ。



「──────わっぷ」

「──────はひおひへえうんあ何をしているんだ……」

「あ、えっと……これは……んんっ、おはようリュウデリア」

「はぁ……おはよう。まさか口を無理矢理開けられて目を覚ますとは思わなかったがな」



 奥の歯も覗き込んで確認していると、長い舌が動き、口の中を覗き込むオリヴィアの顔をベロリと舐めた。舐められたところに唾液が付いてしまい、口を離して袖で拭うと、起きたリュウデリアが呆れた目線を向けていた。前にも寝ているリュウデリアにイタズラをしたから、またやっていると思われているのだろう。

 可愛くてイタズラをしたと言ったら、尚更呆れた視線を向けられてしまうだろう。なのでここは、虫歯が無いか確認していたところだったと言って誤魔化した。まあ、嘘だなとノータイムで看破された訳なのだが。



「さて……ふあぁぁ……さっさと飯を食って図書館にでも行くぞ。昨日確認した限りでギルドに出されている依頼で特に良いものは無かったからな」

「あ、うん。分かった。着替えるから少し待ってくれ」

「急がんでも良いぞ。……あぁ、オリヴィア」

「うん?なん……んむ」

「──────隙ありだ。くくッ」

「ぁ……うぅ……~~~~~~~~~っ!!!!」



 外に出る為にバスローブから着替えようとしたオリヴィアを呼んで振り向かせ、目線が合うと同時に彼女の唇へ口先を付けてキスを贈った。意識していなかったので不意打ちとなり、キスされた後少しだけ呆然としていたが、状況を理解すると顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 首から耳まで真っ赤になっているのが見えるので、仕返しを出来たリュウデリアは満足げだ。純白の髪の間からチラリと見てくる朱い瞳を見つめ返すと、ハッとしたように恥ずかしさをぶり返してまた深く俯いた。可愛い反応にクツクツと笑いながら、顔を覆う両手の手首に尻尾を巻き付けて離させ、両手を頬に当てて顔を合わせる。

 真っ赤になった顔と、潤んだ瞳と視線が合って口の端がモニョモニョと動いている。顔を隠したいのに尻尾で両手を捕らえられて隠せないのだ。両手で顔を固定させているので、逸らすことも出来ない。上から覗き込みながら近付いていくと、体をもじもじとさせ始めた。



「俺は龍だからキスという行為をそこまでするものとは捉えていないが、オリヴィア……お前は違うだろう?」

「ま、まあ……キスはするのもされるのもイイと思うしな……種族の違いによる捉え方が差異があるから、リュウデリアにしろと強制はしなんむっ!?……ん……んんっ……は…ぁ……んむ……」

「口の構造上、人間達がするような唇を合わせるキスは出来ないが、人間には無い舌の長さを利用することは出来るぞ。こんな風にな」

「んんっ!?んーっ……んんっ……はぷ……んぁ……んちゅ……っ」



 身動きが取れないし顔も動かせないオリヴィアの唇へ口先が触れるだけのキスをした後、口を少し開けて長い舌を出して彼女の唇に這わせて舐め、最後は唇を割って舌を捻じ込んだ。口の中にリュウデリアの長い舌が這いずり回って蹂躙される。前歯も奥歯も、上顎の平らな部分や頬の裏側も存分に舐められた。

 自由自在に動く長い舌が次に捉えたのはオリヴィアの舌だった。上から擦り合わせてぬちゅりと音を立てて舐められたかと思えば、巻き付いて根元から先まで扱かれた。口の中で舌と舌が濃密に絡み合うぬちゅぬちゅとした水音が頭の中に響いてきて、感じたことのない快楽と一緒に思考を蕩けさせた。

 初めての深くて濃厚で濃密なキスに、反射的に体が動こうとするが、尻尾に囚われて動けない。顔も手が添えられていて動かない。出来るのは、エロチックな口の中の音を聴きながら快楽で顔を蕩けさせるだけだった。

 リュウデリアの口内の蹂躙は5分程続けられた。生理的な涙を流しながら体を震わせて、口の中いっぱいに入り込んだ長い舌の感触を味わいながら、いつの間にかもっともっとと強請ねだるように自分からも舌を絡ませていた。膝がガクガクと震えて、これ以上は自力で立っていられないと、快楽で塗り潰された頭の端で考えた時、ぐちゅりと鳴らしながら長い舌を抜かれた。

 絡み合った唾液が口の端から溢れており、舌を抜かれた時などは唾液の橋を作った。口内を蹂躙した舌は抜かれているのに、口は開けられたまま荒い息を繰り返した。そして口の中に残った、自身とリュウデリアの唾液を舌で更に混ぜ合わせて、口を閉じながらゴクリ……と、喉を鳴らしながら飲み込んだ。

 嚥下が済むと、荒い息をするために口を開ける。まるでそれは、しっかりと飲み込みましたと報告するような仕草に見えた。艶めかしい舌が唇を舐めて、付いている唾液を舐め取る。リュウデリアがそれを目を細めながら眺めて尻尾から手を解放すると、よろりとフラつきながら抱き付いてきた。



「はぁ……はぁ……ぅんっ……はぁ……なんて、えろいキスをするんだ……っ」

「嫌だったか?」

「……イヤじゃ……ない。けど……もっとっ」

「──────では図書館に行くとしよう」

「…………………………えっ」



 嘘だろう?あれだけ、深いキスをして体を火照らせておいて、今から図書館に行くのか?と、オリヴィアは呆然とした。普通はそうなるだろう。それを訴えるような目を向けるのだが、肝心のリュウデリアはどうしたと言わんばかりに首を傾げていた。

 器用に指をパチンと鳴らす。すると、バスローブだけを身につけていたオリヴィアの服装が何時ものものへと切り替わっていた。しっかりと純黒のローブで体を覆っていた。まさかの早着替えの魔法である。それも着替えが出来ているのを確認すると、部屋を出て行ってしまった。

 幻覚の魔法で人外には見えないようにされている宿の従業員や、街の人はリュウデリアに視線を向けることはなかった。指を絡ませた恋人繋ぎをしながら引かれて図書館へ向かう。彼は既に魔力を使って街の全体像を把握していた。

 しかしオリヴィアはそれどころではなかった。先程のキスが後を引いており、歩くことすら儘ならなくなっていた。履いている下着が気持ち悪い。一歩歩く毎にぬちゅりと音を立てて張り付いてくるのだ。生理的反応によるそれが立てる音を、他の者に聞かれていないか気が気ではなかった。

 深く被ったフードの中で、恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、どうにか図書館へとやって来たオリヴィア達。リュウデリアは早速読んだことがある本を除いて、端から順番に読み始めた。後ろでオリヴィアが体をもじもじとさせているのに気が付きながら。



「あの、リュウデリア……っ」

「何だ?」

「いや……その、な……なんでもない……」

「そうか?……それにしても、この街の図書館は一般人も入館出来るというのに人間が全く居ないな」

「そ、そうだな。私とお前で2人っきりに見え……きゃっ」

「くくッ。ならば俺に少し付き合え」

「えっ……リュウデリア……?」



 可愛らしい声をオリヴィアが出したのは、振り向いたリュウデリアに突然横抱き……お姫様抱っこをされたからだ。フードの中で目を白黒させていると、自身を抱えたまま彼は歩き出した。チラリと背後の方を見ると、何冊もの本が宙に浮いて後を追い掛けていた。

 歩く先には図書館に設置されているソファがある。前の街でも最高神の事が記されている本を読んでしまったことで自分でも不機嫌になり、リュウデリアに甘えたという記憶がある。

 腰掛けたリュウデリアの膝上に横抱きのまま降ろされ、軽く抱き締められながら読書を続行されている。少し見上げれば彼の横顔が見える。胸の前で両手を合わせて小さくなっていると、彼の口から長い舌が蛇のようにチラリと出た。それだけで先程のキスを思い出してしまい、体が熱くなってしまった。

 最早顔を見るだけで恥ずかしいので、目をギュッと瞑った。すると体に笑った時の振動が伝わってきた。何だと思いながら目を開けて見れば、彼がこちらを見ながら笑っていた。確信犯であると悟ると、唇をムッとした形にした。



「……いじわるだぞ、リュウデリア」

「すまんすまん。それよりも、腹は減っていないか?結局朝飯を食わずに此処まで来てしまったからな」

「私は大丈夫だ。……あんなキスされてそれどころではなかったし」

「気に入ったか?」

「……ばか。わかっている癖に……んっ」

「流石に図書館だからな。これだけだ」

「うぅ……っ」



 フードを深く被っているので、普通ならば真っ暗で顔も見えないのだが、目の良いリュウデリアには見えているので、正確にオリヴィアの唇へキスをした。触れるだけのものなので深いキスよりは恥ずかしくない。というよりも、今日はとても積極的なので嬉しい。

 ほんのりと頬を赤くして、大人しくなっているオリヴィアの顔に頬を擦り付けてから読書に戻った。リュウデリアが本を読んでいる間、彼女はその横顔をポーッと見つめているだけだった。その後は昼間で読書を続け、時間的に頃合いになると昼食を取るのだった。




























「──────実に有意義だった」

「まさか今日だけで図書館の本を全部読んでしまうとは思わなかったぞ」

「読んだことがある本がそれなりにあったからな。本当に全部読んだ訳ではないから、今日だけで読み終わった」



 夕方。オリヴィアとリュウデリアは図書館から、2泊3日の前払いで泊まっている宿に帰ってきた。朝に乱されていたベッドが綺麗になっている。宿の従業員が掃除をして整頓をしてくれていたのだ。なので帰ってくるとスッキリした気持ちになれる。

 オリヴィアは、図書館で膝の上に乗せてもらいながら一日を過ごした事が嬉しくてニヤけるが、少し思うことがある。自身達の他に図書館へ来館する人間が居なかったのだ。誰1人も来なかった。まあ2人っきりになれたから文句は無いのだが、今となっては不思議だ。

 小さな疑問に首を傾げて、純黒のローブを脱ぐ。今日は恥ずかしいことがあったので少し汗を掻いてしまったので、すぐに風呂に入ろうと考えた。サッパリして、今度こそ先に眠らないようにしよう……と、心臓の鼓動を激しくさせながら、期待で胸を膨らませる。しかしその期待は、驚きで一瞬消えた。



「……っ!?リュウデリア、何を……して……」

「何だ?」

「ぁ……いや、えっと……この体勢は……?」



 純黒のローブを椅子に掛けた時、後ろから押されてベッドの上に倒れ込んだ。それも倒れきる瞬間に腕を掴まれて反対を向かせられ、背中から倒れたのだ。そして上からリュウデリアが覆い被さってくる。殆ど零距離となって、顔が目の前にある。吐息すらも肌に触れて感じられる。

 どうしたのかと問うたが、オリヴィアは無意識に生唾をゴクリと飲み込んでいた。自身を見つめる縦に切れた黄金の瞳に、情欲が宿っているのに気が付いたからだ。まさか……と、思ったが、心の中では多大な期待をしていた。しかし思い出す。まだ風呂に入っていないと。



「リュウデリア……っ!その……お風呂に入っていないから、先に入らせてほしいのだがっ」

「ふむ……」

「今日は少し……汗を掻いてしまってな?流石に洗い流したいんだ。それにまだ夕食を摂っていないだろう!?だから……」

「そんなものはどうでも良い」

「えっ」



「──────俺はお前を食いたい」



「…………………………………はぅ」



 オリヴィアは全身が赤くなった。言ってもらいたい言葉ベスト10に堂々とランクインしている台詞を、目を見ながら言われたのだ。これを言ってもらった事は1回しか無いので耐性が無かった。しかもそれは、リュウデリアがクレア達と会って酒を飲み、酔っ払った時にどさくさに紛れて言ってもらった時だけだ。

 その時、オリヴィアはハッとした。まさか、酔っていてもその時の記憶があったのではないか?と。その事に思い至った自身に気が付いたのか、リュウデリアは面白そうに目を細めた。全力でこの場から消えたくなった。

 しかし状況は変わらず、寧ろ悪化しているように思える。オリヴィアが倒れ込み、覆い被さる時に両脚の間に体を滑り込ませていたのだ。それ故に彼の腰が押し付けられていく。しかも感触が素肌に直接触れているようだった。そこで視線を下げると、自身の全裸が目に映った。



「~~~~~~~っ!?ぁ、まって……リュウデリア、本当にあの……お風呂……っ」

「俺は気にしない。それよりも、今のお前と交尾がしたい。いや、交尾ではなく性行為と言った方が良いか?それともセックスか?」

「ぁ……ぁあっ……お、お願いだっ。お風呂に入らせて……んむぅっ!?んちゅ……んはっ……はぷっ!?んんっ……ん……ちゅっ……んはぁっ」

「断る。さぁ──────お前を抱かせろ」



「………………………………………………………はぃ」



 オリヴィアは堕ちた。それはもう綺麗に堕ちた。というか抵抗らしい抵抗もしていないので、堕ちかけているところにトドメを刺しただけに過ぎないものだった。服は魔法によって剥ぎ取られてしまい、防御力の無い全裸となり、筋力的に絶対勝てないのに覆い被されている。

 最後の一言が決め手となって、オリヴィアは静かに目を閉じた。完全に目が閉じる刹那、彼女の瞳に桃色のハートマークがあった気がしたが、その事については触れなくても良いだろう。今更な感じがするので。

 最初は唇に触れるだけの軽いキス。その後は朝にされたような深くて口内の全てを蹂躙するキスが与えられ、今度は傷付けないように配慮された力加減と触り方で胸を揉まれた。一度に2箇所から快感が押し寄せて、キスされながらくぐもった声を上げた。

 治癒の女神オリヴィア。生まれてから何千年という時を過ごした彼女は今日は、濃厚な攻めを受けながら、最愛の彼に初めてを捧げたのだった。



「ぁっ……おっ……きいぃっ……ま…って……っ!やさしく……して……っ…ぁんっ……そんなに強く……抓ったらっ……あっ、あっ、あっ、あっ、あぁっ………んあぁぁぁぁぁぁっ!!んちゅっ!?……ん、んんっ……ちゅっ……愛してる……リュウデリア」

「あぁ、俺も愛している……オリヴィア」

「はぁ……はぁ……あっ……お腹が……熱い……ふあぁっ!?また……奥っ……までぇっ……っ!」



 頭がどうにかなりそうな程の快楽を叩き込まれながら、オリヴィアはその果てしない幸福感を感じて笑っていた。何をされても、どれだけ激しくされても、彼女はずっと幸せそうに笑っていた。





 因みに、オリヴィアはリュウデリアに全然離してもらえず、一睡もしないまま朝日を拝む羽目になった。





 ──────────────────


 リュウデリア

 オリヴィアが情欲の宿った目で見てきていた事に気が付いて抱こうと思ったが、先にぐっすり眠っていたのでやめて、明日でいいかと考えて抱き締めて寝た。結局翌日に抱いた。

 龍の性行為はぶっ続けで行われる。子供を確実に作り、子孫繁栄を謀るためである。

 しかしオリヴィアにそんな日数も相手にさせると壊れてしまうと解っているので、次の日の朝までにしておいた。




 オリヴィア

 念願だった、最愛のリュウデリアとの性行為が出来た。処女は初めての時が痛いと、経験のある女神に聞いた事があったが、叩き付けられる快楽で痛みなんて全く感じなかった。

 7日間交わっていたら流石に頭がおかしくなるので、夜が明けるまでにしてもらったことを今は知らない。すっごい精力絶倫なのだと勘違いしている。

 途中快楽に負けて気絶したが、行為の最中だったので強制的に起こされて続行。また気絶というのを繰り返した。途中からはもう自分で腰を振っていた。

 まさか性行為がこんなに気持ち良くてとんでもないものだとは思わなかった。だからといって控えるつもりはない。




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